第73回 大阪市住宅審議会
2014年9月10日
ページ番号:5284
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1.日時
平成16年2月18日(水) 14時00分~15時45分
2.場所
大阪キャッスルホテル
3.出席者
(委員)
大山委員、尾嶋委員、北浦委員、佐々木委員、佐藤委員、塩委員、田口委員、德矢委員、鳴海委員、西木委員、服部委員、宮本委員、三輪委員、村田委員、山原委員、山本委員
(大阪市)
岸野住宅局長、永井計画調整局理事、坂住宅局理事、北山住宅局理事兼建設部長、岩城管理部長、平岡企画部長、菊植建築指導部長、中村住環境整備担当部長
4.会議の議題
(1) 議事要旨について
(2) 今後の住宅施策の方向について
5.議事要旨
(1) 議事要旨について
(会長): 前回の第72回住宅審議会においては、大阪市から「今後の住宅施策の方向(素案)」について説明があり、委員の皆様方からたくさんのご意見をいただいた。
前回の議事内容について、「議事要旨」として取りまとめているので、委員の皆様のご確認をお願いしたい。特に問題がなければ、一応議事としてはご承認いただいたということで先へ進めさせていただきたい。
(2) 今後の住宅施策の方向について
(会長): 前回の審議会では、特に第6章「今後重点的に取り組むべき施策」について、いろいろとご意見をいただいた。本日は、前回の審議会でご確認いただいた部分に加え、新たに「はじめに」、「むすび」、第3章「住宅政策の基本目標」について記述したものをご用意している。これら新たに書き起こしたところを中心に、細かく見ていただき、あらためて全体を通してながめていただきたいというのが本日の会議の趣旨である。
本日の資料の作成に当たっては、企画委員の先生方にもご意見いただき、また、第5章、第6章については少し冗長な部分があったため、この2つをつなげて整理し、新たに第5章として少しコンパクトにまとめている。
それでは、まず事務局から説明をお願いいたしたい。
[1] 今後の住宅施策の方向について答申(案)の説明概要
<はじめに>
<1.大阪市の住宅政策を取り巻く状況と課題>
(1)都市居住ニーズの高まりと都市再生の潮流
(2)中堅層の市外転出と少子高齢化の進行
(3)ますます多様化・高度化する居住ニーズ
(4)一層の改善が求められる市民の居住水準
(5)魅力の向上が必要な居住地環境
(6)住宅政策を取り巻くその他の動き
<2.住宅政策の役割と必要性>
(1)市民が安心して豊かな生活をおくるための住宅政策
(2)都市に活気と活力をあたえるための住宅政策
(3)持続可能な社会を形成するための住宅政策
<3.住宅政策の基本目標>
『活気あふれる多様な大都市居住の実現』
-「まちに住まう」新時代に向けて-
<4.施策展開にあたっての重要な視点>
(1)総合性のある居住政策を展開する
(2)地域特性を重視する
(3)既存のストックを活用する
(4)公共と民間が適切に役割分担し、協働する
<5.今後取り組むべき方向と主要な施策>
(1)市民に愛される個性豊かな居住地の創造と再生
- 魅力ある居住地の創造
- 良質で多様な都市型住宅の供給
- 環境に配慮した住まいづくり
(2)地域特性を重視する
- 多様なライフスタイルを踏まえた居住ニーズへの対応
- 子育て世帯をはじめとする中堅層向け住宅施策の展開
- 高齢者・障害者に対する住宅施策の充実
(3)既存のストックを活用する
- 老朽住宅密集市街地整備の推進
- 安全・安心な住まいづくり
(4)公共と民間が適切に役割分担し、協働する
- 分譲マンションの適正な維持管理と円滑な建替え
- 民間住宅ストックの有効活用
- 市営住宅ストックの有効活用と地域のまちづくりへの貢献
(5)市民とともに進める都市居住
- 住まいに関する情報提供・相談事業の拡充・強化
- 多彩な交流・連携による居住地の魅力情報の発信
<むすび>
[2] 委員等発言要旨
(会長): 本日は、本文のところの大きな意味の流れやキャッチフレーズ、キーワードの立て方、そのあたりを中心にいろいろとご意見いただきたい。
特に新しい要素としては、第3章「活気あふれる多様な大都市居住の実現」のところに「『まちに住まう』新時代に向けて」というのが副題についている。このあたりを中心に、本日は特にご意見をいただきたいと思う。何かご発言があれば、お願いいたしたい。
(委員): 「はじめに」のところで「現在、長期化する景気低迷」という記載があるが、本格的に景気回復するかどうかはだれも断言できないとは思うが、少し上向き加減ということが言われているので、「長期化する」というところを「長期にわたった」など、それを踏まえた表現にしたほうがよいのではないかと思う。
見出しについて、確かに書いてあることはそのとおりであるし、基本的なキャッチフレーズもそのとおりであるが、特に何をアピールしたいのかというところをもう少しはっきりさせたほうがよいのではないか。もう少し強調するものが何であるのかをはっきりさせたほうがよいと思う。
あるいは、日本を代表する都市である大阪市の住宅政策なのだという気概が表現としてどこかにあってもいいのではないか。21世紀の都市のあり方であるとか、大都市居住のあり方であるとか、都市文化のあり方、あるいは西日本のリーダーとしての模範を示したいという、そのような感じがなければ、他の大都市が出してくる住宅政策とそれほど変わらないのではないかという気がする。文化庁が文化力発信ということで、関西に対する期待が非常に強まっている中、大阪市としては、このような役割を持って住宅政策を進めていくのだというカラーが少しいるのではないかと思う。
(委員): 最初の「はじめに」と、最後の「むすび」の内容がそれほど変わっていない感じがする。表現についても共通する言葉づかいがあちこちにあったり、あるいは「はじめに」と「むすび」以外のところと同じような表現等があるように感じる。「はじめに」で言うべきことと、「むすび」で言うべきこと、これを分けて整理するということと、言葉の重複等が気になるので、その辺を整理したほうがよいのではないか。
(委員): 「大都市居住の実現」とテーマを掲げる必要があるのかと、逆に少し感じるところがある。例えば、大都市ではあるが、ヒューマンスケールがほしいし、人間性がほしいというのが逆に21世紀ではないかと思ったので、今までの価値観の「大都市」というイメージをそのまま引きずる方法がよいのだろうか。かえってそのほうが古く感じてしまうのではないかと少し思うところがある。
この基本目標のところであるが、非常に微妙に書いてあるように思う。せっかくの目標にあまりなっていないというか、「問題がある」や「重要となっている」ということで、実際に行われることがずばり書けていないというのか、書いていないというのか。わざわざ書いていないのかもしれないが、ここの打ち出し方が少し弱く思える。施策展開に当たっての視点のところはきちっと書いてあるが、ここの部分でも、目標がいくつあり、これらの目標に対してどのようにしていくのだというアピールが必要なのではないか。
例えば中堅層が市内にいないということが書いてあるのだから、それならば幅広い全部の世代が住むようなまちにしていくとか、「都市に住む」ということは、今までは割と孤独に住み、一人一人が別々で無関心であったが、これからの都市というものはもっとコミュニティをしっかりさせなければならないとか、そのようなものを何となく謳ってはいるのだが、それがずばり出ていない。思っていることをもう少し書いたほうが、何を目標にすべきかということがよくわかるのではないかと思う。
(委員): ぜひ出してほしいと思うのが「子ども」というキーワードである。「子ども」という言葉が1つも出てこないのに、次世代に引き継いでいくといったことがかなり書かれている。そのような言葉で「子ども」が表現されているのだとは思うが、もう少し現実味、今までと違う都市の住み方という中に、子どもがそこでどのように暮らしているかというイメージが次世代に引き継ぐためには非常に大事であると思う。何かそのようなものがわかる表現があれば、「まちに住まう」楽しさや、それが引き継がれていくということが強調されるのではないか思う。
もう1つは、住宅供給公社のことが書かれているが、今後どのような役割を持つようになるのかお聞きしたい。
(会長): 「子ども」というキーワードが大変重要であるということと子どもの生活空間のようなものが見えるような表現がほしいというご意見である。
そして、住宅供給公社はどうなるのかということであるが、事務局から説明いただきたい。
(市): 大阪市の住宅供給公社は、これまで昭和41年に設立して以降、中堅層向けの分譲住宅の供給を中心に役割を果たしてきているが、平成7年に市営住宅の維持管理や大阪市が実施しているさまざまな融資助成施策の市民への窓口業務を担当していた住宅整備公社と合併し、現在、住まい情報センターでさまざまな情報発信や相談業務も担当している。今、住宅供給公社についてはいろいろと議論になっているが、大阪市の場合には、すでにそういった新しい役割のほうに着手をしている。
住宅供給のほうについても、例えば公共建築物の上部空間を活用して都心居住を進めていくための合築、複合建築であるとか、供給公社が昭和30年代に建てた古い賃貸住宅の建替事業であるとか、大阪市のまちづくりにかかわって供給公社が果たすべき住宅供給であるとか、そのような公共的な役割を果たすところに限定した事業に今後はシフトしていくことになると考えている。
住宅供給公社については、大阪市の住宅政策を実施していく上で重要なパートナーと考えており、役割分担をしながら、施策をともに進めていく必要があろうかと考えている。
(会長): 実際は今後、成り行きを追いながら進めていくことになるということだと思う。大阪市の住宅行政の中で遊撃手のような役目があり、例えば公営住宅と違う役割を住宅公社は担っている。供給公社には、重要な資源と技術力と組織があるので、有効に活用したいということだと思う。
(委員): 前回、前々回の答申で都市居住を取り上げているが、もう一度、今回の答申でそれを取り上げるということについて妥当性があるのかどうか考える必要があると思う。あえて今回の答申でも都市居住を取り上げるのならば、文言の面からも思い切ったことを書かなければならないのではないか。
基本目標のところも「新次元」というような表現としたかったのだが、「次元」と言うと前と切れてしまい、継続性が失われるということで、「新時代」ということになった。そこにはこだわらないが、今、もう一度「都市居住」を取り上げるのであれば、これまで都市居住政策を進めてきたが、まだクリアできていない部分があるということに強くスポットライトを当てることが必要なのではないかと思う。
その点から言うと、分析のところでは、人口回復が起こったけれども、周辺区の人口減少、あるいは周辺区では中堅層の回復が進んでいないという現状の分析をしているが、それが施策のほうに必ずしもつながっていないのではないか。これから何をやるかということになると、地域特性の重視、あるいはHOPEゾーン云々ということが書いてはあるが、周辺区問題、特にHOPEゾーンについていろいろと取り組んだとしても、それが中堅層の回復ということに結びつく保証はないのだから、そのような点を強く意識したことが周辺区で必要なのではないか。
というのは、都心居住の回復というところで、「都心」というものに限定したものを出している。周辺区すべてが減少しているわけではないが、特定の地区を除けば、今後、減少が目立ってくるかもしれないので、必ずしも市全体としての人口回復が楽観できる状態にはないと思う。数合わせだけの問題ではないが、周辺区については的確な手だてがなかなか見出せないということがあるので、それを問題として認識しておいて、書けるところまでで妥協するかどうかである。人口回復と言いながら手放しでは喜べない状況があるということを認識するかしないかということがあると思う。
それから、もう1つ、これはこれまでの議論で出てこなかったが、都市景観、美観の問題がある。景観の問題に市民の要求が強いということを指摘してあるのだが、その文章中では、それが緑化問題に収斂してしまっている感じがする。緑化が一番基本であることは確かだが、それだけなのかということがある。町並みとしての景観問題、あるいは修景の問題であるとか、あるいはまちの環境を整えるために市民がいろいろと手を尽くさねばならないのではないかなど、そのようなことで非常に成果を上げている都市もある。そのようなこともあり、緑を増やすということだけに絞られてしまうのは少し問題があるのではないか。
それから、外国人対策の問題で、ビジネス等で来訪する人という表現になっている。そこに書かれていることは、市営住宅の転用などが挙げられているのだが、大学で教鞭をとっていたとき、中国を中心に留学生が多く来て、世話もしていたことがある。彼らは、市南部の住吉区などの古い木賃アパート、あるいは崩れそうになった独立家屋を、月1万円ぐらいの家賃で借り、何とか生活しているというような状態であった。このような人たちもこれから増えてくると思う。私費留学の人も、非常に経済的に困っている。そのようなレベルの話と、ここで言う外国人対策の話とがマッチするのであろうか。マッチさせるのは非常に苦しい話であるだろうが、そういう点が気になる。それから、中小企業等に研修生として来る外国人労働者の問題は論じる必要があるのではないか。答申に盛り込むことについては、適、不適があるが、そのような点が気になる。
(委員): 第1章の「住宅政策を取り巻く状況と課題」が、一番最後の第5章で「取り組むべき方向と主要な施策」というふうに、まとめられているのだが、第1章の課題が第5章へ行くと、項目としてそれぞれどこにつながっているのかがあまり明快になっていないように感じる。課題の項目が第1章と第5章とで連結して話が進んでいると、読みやすくなるのではないかと思う。
(委員): 私の仕事においても、実際に直面している課題はたくさんある。答申案を読むと、全ての課題に対する今後の施策が記載されており、これらが全て実現できればすばらしいと思う。
中古マンションは全く売れていない。新築マンションが安く買え、質もよくなっている。所有する中古マンションを売って田舎へ帰りたいけれども、値段を下げても売れない。月単位ではなく年単位で待っても売れない。そのような問題を、今抱えている。何か一番手っとり早い方法がないだろうかとこの問題に直面するたびに思う。
選択の幅が広いということは非常に結構なことだと思う。しかし、環境の似た者同士、同じような環境の人同士が住めればよいが、どんなに立派な分譲を買っても、良い賃貸住宅に居住しても、上下、隣関係で環境が全く違う人が住めば、極楽が一遍に地獄になる。そのような問題も多く抱えている。
人生は、子どもを産み育てる時期、それからその子どもを教育して静かに勉強させる時期、そして、子どもが独立すると後に残るのは夫婦だけになる。生活必需品を買いにいくのにいつまでも命がけで買いにいかないといけないというように、その人が交通戦争の真ん中にいつまでもいる必要はないのであって、60か65歳以上になれば、静かに、楽に、豊かに暮らせるような環境に身を置くことができる。最近のように老後が心配というのではなく、若い時に一生懸命やっておけば、年取っても心配なく生活していけると若い人に夢を持たせるような施策が必要であるし、選択に幅があることも結構であるが、環境の似た者同士を集めていくということも重要であると思う。
そのようなことがこの答申案には、皆入っているし、ぜひこれを実現してほしいと思う。
(会長): やはり住宅の流通が非常に重要であると思う。
(委員): 「居住地イメージの向上」と書かれているが、居住地イメージを向上させるよりも、大阪の居住地イメージが見えないというのが一番の問題なので、大阪にはどのようなまちがあって、どのようなイメージであるかということをまず確立しなければならないし、打ち出していく必要があると思う。
その点について、地域特性を反映したとか、高いアイデンティティを有したとか、あちらこちらに書いてあるのだが、まち全体として一体どのようなイメージを市としてとらえて、伸ばしていくべきなのかをクリエイティブに考えなければならないと思う。どのようなまちにしていけばよいのか、それぞれのまちがはっきり見えるようにする、もう少し強い姿勢がいるのではないかと思う。例えば建ぺい率の緩和について、指導課できちんと実施していきますと書かれているが、それでどのようなまちができるのかなど、そのようなものをもっと強く打ち出してほしいと思う。
地域住民とNPOが連携し、それに関する様々な情報を住まい情報センターで発信していくというようなことが書かれているが、それでは少し弱いのではないかと思う。市が率先して、まちづくりとしてこのようにやっていきたいと呼びかけていかないと、地域住民も反応のしようがない。最初から順番には書いてあるが、書きぶりが前のほうと半ばと後ろのほうで少しずつ違うので、そのあたりを統一するのと、もう少し市のビジョンを強く打ち出した表現がどこかにほしいと思う。
それに関連して、最近、超高層マンションが多く建設されているが、それに関する記述がほとんどされていないように思う。例えば、現在、開発している湊町に、この数年で約2,000戸住宅が建設される。そうなると、これまでと全く違った湊町のイメージが生まれてくるし、ほかの地域でもそのような機運がある地区がいくつかある。このような超高層マンションについて、大阪の住まいのイメージをつくっていく上で、住宅づくりを行なっていく者としてどのような認識を持っているかというのは、やはりメッセージとして入れてほしいと思う。超高層マンションは視覚的にも目立つものなので、市がそうした住宅をどうとらえてまちづくりに位置づけていこうと思っているのかを、先ほどの地域のイメージの観点とあわせて、何か入れてほしいと思う。
(委員): この第3章のテーマであるが、先ほど、大都市居住の問題で、それをそのまま引きずってよいのかという発言があったが、6年前の大阪市の高層マンションと、現在の高層マンションの数や形や面積や質は全く違うと思う。だから、そのまま引きずっているのではなく、すでに本当に変貌を遂げた大阪市という感じでとらえられるのではないか。それを踏まえて大阪市は、マンションの中で孤立したり、あるいはその中でそれぞれ好き勝手をしているのではない、みんなが和やかに豊かな心で過ごせるようなコミュニティづくりをするという役目を担っていくべきではないか。
それから、括弧で書いてあるほうの「まち」のイメージというのは、むしろそれぞれの地域的特性を持った「まち」であり、どちらかと言うと、もう少し低層階の感じでとらえている、心のほうに重点があるような雰囲気で使われている。コミュニティ中心と言うと少し違うが、昔から伝統的に守られているような町並みであるとか、伝統的行事を重視したような「まち」というイメージが、ここに上手にあらわされているのではないかと感じる。
「次の次元に」というイメージは、もっと大きくとらえていると思うが、大阪は、現在、大きく発展して、超高層もある大都会というイメージと「まち」というイメージとの両面性を持っているという特質を、もう少し理解するような形で表現がされればよいのではないか。今後もまだまだ超高層マンションが建設されていくのであれば、この6年間に超高層マンションがどのぐらい建設され、何千所帯が増えたという数字があれば、大都会化している現状というのが具体的に理解できるかと思う。
(委員): 地域特性について、この答申案そのものに盛り込むかどうかは別にして、代表的な地域をいくつか取り上げて、その地域の強みと今後の課題のマトリックスが付属資料にあってもいいかと思う。あるいは、そのようなことをすでに行なっているなら、それを出すのもよいのではないかと思う。
例えば平野郷や空堀、ここにも書かれているが、比較的古い、しかし人気のある北大江公園界隈、中大江公園界隈のマンション街、あるいは酉島の団地、天神橋筋商店街界隈など、実に多様であると思う。それぞれの地域の居住という点からのプラス、マイナスを整理して、その上でこれを読めば、また違ってくるのではないか。
梅田センタービルの東側、地下鉄で言えば中崎町、あの辺りは密集地であると思うが、古い民家や古い商店もあれば、コンビニもある。ここのコンビニは非常に売上効率のよいコンビニであるそうだ。それから、マンションがあって、マンションの1階にはフランス料理店があって、結構人気がある。そのほんの先には大きな浴場があって、聞くところでは随分人気があるそうだ。梅田のすぐ近くであるし、何でもそろっていて快適な地域である。課題としてあるのは恐らく防災、例えば火災への対策であると思うが、いろいろな地域特性の具体例を整理すれば、もっと大阪の都市の多様性の中身が具体的に浮かんで、市民の方もいろいろと考えやすいのではないかという気がする。
(委員): 今現在の住宅は、地域によって非常にばらつきがあると思うが戦前から残り、すでに50年、60年以上経過している地域もある。此花区には、フローラルタウンという、高層マンションが建っている地域があり、その近くにある伝法地区は、戦前から残っている地区なのだが、阪神大震災の時に損壊した住宅が多かった。どうにか損壊を免れた住宅も、賃貸住宅は住んでいた人たちは皆、出ていってしまった。そうすると、残った年寄りの方が、住み慣れて、地域もいいところであるし、住んでいる分には差し支えないのだが、夜になると怖いという声を聞く。そのようなところをどうしていくのか。
古くなった市営住宅を建替えて、新たな住宅に入居する際、そこの家賃が非常に高いという問題があると聞いたのだが、その辺について伺いたい。
(委員): 建替えや、戦前の古い建物に対する施策について、事務局からお話しいただきたい。
(市): まず、フローラルタウン周辺の伝法地区の古い住宅の多い地区についてであるが、老朽住宅の密集市街地の整備は、重要な課題と考えている。そのような古い住宅を建替える場合に、残る方が少なくなり空き家が増えて心配であるということであるが、そのような古い住宅を家主が建替える場合には、建替えについての相談や設計段階の支援であるとか、もともと住んでおられた方の家賃については、建替え後に戻る場合には差額に対する家賃減額補助、そこにそのまま住めない場合には、転出した場合でも家賃についての助成を行い、古い住宅を安全な防災性の高い住宅に大家さんが建替える場合に、大阪市としてバックアップをして支援をしていきたいということで、事業を進めているところである。
市営住宅の建替えについては、市営住宅ストック活用計画を立て、浴室の有無や、エレベーター設置の有無等の条件で、建替えていくものと住戸改善をしていくもの、またエレベーターを設置するもの、維持保全するもの等、それぞれの住宅ごとに方針を決めている。比較的古い昭和30年代に建設された市営住宅については、建替えを中心に事業を進めているところである。
そのような場合でも、もともと入居している方で、家賃の負担が建替え後に高くなる分については、家賃の激変緩和を行なっている。また、家賃は公営住宅法の改正により応能応益家賃という入居者の所得に応じた家賃負担となっている。また、新しい住宅よりも住み慣れた同じようなタイプの住宅のほうを希望する方にはそのような住宅を斡旋するなど、個々の要望にもお応えして事業を進めている。
それぞれの方の持っている住まいに関するニーズは多様であるので、住宅施策を進める上で、そのような個々のニーズに応えられるように努力して進めているところである。
(会長): なかなかかゆいところに手が届くようにはいかないかもしれないが、色々と工夫はしているように思う。
(委員): 大阪市民になって30年になり、集合住宅に住んでいるのであるが、この30年間に何度か出ていこうと考えたことがある。ただ、若いころは、職住遊の近接というメリットが大きかったため、転居することなく現在に至っている。30年前に入った時は、もともと居住していた方に対して、我々は「新住民」であったが、ようやく20年ぐらいでコミュニティができ、自治会活動も活発になり、管理組合も熱心にやってきた。最近問題となっているのは、やはり高齢化である。若い人たち、つまり子どもの世代がどんどん出ていっており、この現象は、千里ニュータウンや泉北でも深刻な問題になっている。
その意味では、基本目標で「活気あふれる」とあるが、第1章で子育て世帯、中堅層の問題、現状と課題だけ述べてあって、後ろのほうに少し施策があるが、「活気あふれる」というのは、やはり若い人が増えないといけないのではないか。人口は増えているということであるが、お年寄りの都心回帰というのもそれはそれでよいことではあるが、それだけでは解決されないのではないか。
「活気あふれる」のところに、融資の問題や、施策が書いてあるが、それ以外に、やはり大阪市に住みたいと思わせるものは何なのかを考えなければならないのではないだろうか。町並みの景観や美観は中之島あたりでも本当に美しくなって、去年のクリスマスの夜は、神戸のルミナリエではないが、確かに美しくなった。地域単位では美しくなっているが、まち全体として本当に住みたいな、うるおいがあるなというまちにしていかなければならないと思う。防犯や教育、福祉等、いろいろとまさに何でも書かれてあり、これが実現できれば大変すばらしいと思うが、もっと若い人が住みたいという視点をこの答申の中に織り込んでいければよいと思う。
というのは、自治会でもよく話をしているのであるが、「これから10年たてば、うちのマンションはどうなるのだろう」という話が頻繁に話題になっており、この答申そのものは5年後ということであるが、その5年間にやはり10年先の布石というのは当然打ってほしいと思うし、その視点をもう少し織り込んでほしい気がする。
(委員): 初めに、大阪市の住宅政策、新時代の先駆けになるような住宅政策を展開できないのかという話や大阪市の住宅イメージというものをもっと出さなければいけないのではないかという話があった。思いは同じであるのだが、打ち出すべきものが本当にあるのかという迷いがある。確かに、新しい景観、あるいは高層マンションが入ってきたことで、新しいライフスタイルが付け加わってきていることは確かではあるが、これぞ大阪というようなものには必ずしもまだなっていないと思う。
むしろ、「変化に向かって」というと少し違うのかもしれないが、打ち出すべきものは、そのようなものを真剣に求めているぞという市民の姿勢や次世代に向かって引き継ぐべき次代の都市の住まい方、あるいはそのルールを求めている都市があるということを発信することが大事なのではないかと思う。
他方で、地域ごとの特性を打ち出していくという話があったが、地域特性は現在存在しているという話であったので、それは非常に大事なことであるのだが、それだけで十分カバーできるのかどうか、これぞ大阪というものにとって十分なのかどうかという点で少しわからないので、それがどうつながっているのかというのを教えていただきたい。
(委員): 都市のことはあまりわからないのだが、ただ、地域特性というものが1つの切り込む大きな角度であり、新聞で言うと見出しになるような考え方ではないかと思う。つまり、大都市大阪というのは何でもありで、よいところも多くあるかわりに、課題のデパートでもある。これを地域特性という視点から、こういう地域の居住についてはこのようにやっていき、このような特性のところにはこのようにやるのだということを示すことが大事ではないかと思う。老朽化問題や防災、環境、エネルギー、コミュニティの醸成や育成といった大都市の抱える多様な住宅の課題に率先して取り組んでいくのだということを。
例えば、ある団地も結構古くなってきている。あそこには住みたくないなと、いつも通りながら思うのだが、それでは、ここには何が欠けているのかということをずっと列挙して考えていくと、たくさんの具体的なイメージがわいてくる気がする。上町台地と空堀を本当に全国区に持っていくぐらいの評価をすればよいと思うし、中崎町あたりになぜ安くておいしいフランス料理店が出てくるのか、そして密かな人気を博しているのかというあたりを見ると、やはり1つの大阪の強みが見えてくると思うし、たくさんの具体的な強みのイメージが浮かぶとともに、それぞれの課題が出てくると思う。
大阪のまちの中の個性のある地域は、本当にたくさんあると思う。それを全面に押し出して、居住の点から課題や具体的な施策を出していけば、結果的には同じような答申の文章になるのかもしれないが、何が大事で、何をやろうとしているのだということが見えてくる。このようなことをやる率先的エリアというとらえ方もあるのかなという気がしている。
(会長): 少し関連して、先ほど話があった、燃えなかったまちと燃えたまちという違いもあるし、地べたのまちもあれば空中に浮いているまちもある。とりわけ、地べたのまちに結構よいものが多く残されていると思うので、そのようなものを失わず育てていかないと、大阪のまちのイメージがはっきりしていかないと思う。それに加えて、新しくできるまちも、大阪の新しいまちとして個性を発揮していけばよいわけで、いろいろとあちこち見て歩くと、全部ではないが、大阪の商店街には元気があり、そのような商店街を支えられるまちというのはやはりすばらしい都市居住であるのではないかと思う。そのようなまちは、恐らく10カ所以上あると思う。新しい湊町をどう大阪のポイントにしていくか、そのような視点も必要ではあるが、地べたのまちで燃えなかったまちにもたくさんよいまちがあるし、そのへんをもっと育てていく姿勢というのがほしいというのは同感である。
(委員): その部分であるが、私も、日本で最も豊富な都市居住文化を持っているまちだと思っているのであるが、そのような大阪の個性があり、それをこのような答申の中に盛り込んでいくということも大事であるが、答申は数年に1回限りのことで、そう普段に目に触れるというものではない。だから、答申で盛り込んでいくのと同時に、やはり都市政策として我々自身が持っている遺産というか、伝統というものを、常に出していく姿勢を持ち続けなければならないと思う。
その点で、「都市居住文化の継承と振興」のところで、いろいろとよいこと、必要なことを書いているのだが、「魅力をPRするとともに、住まいに関する参加型学習会や各種展覧会、講座等を開催することにより、歴史的に蓄積してきた大阪の都市居住文化を若い世代等へと継承し」という言い方になっている。これについて、反対ではないが、もっと広い天下にこれを広げていけないかと思う。広げるだけの値打ちがあるものなのだということをみんながわかってくれば、中の人間も、あるいは若い人たちも、そのようなすごいところにいるのだとか、あるいはそれをさらに伸ばしてやる必要があるな、ここで住もうかというようなことも出てくるので、このような書き方で書くのもよいのだが、もう1ルートというか、もっと国内的、国際的にこれを広げるという手段、方向を少し書き添えられないかと思う。
以前、「住宅博をやったらどうか」というようなことを言ったことがあるのだが、その住宅博というのも、例えば花博や万博のような巨額を必要とするような博覧会というイメージで受け取られてしまったのかなと思うのだが、そのような形にはとらわれない、いろいろなユニークな形というのがあり得るのではないかと思う。ただ、講習会や展覧会だけでは、少し伝わりにくいのではないかなと思うので、もっと飛躍的に広げる方法を考えられないか。
(会長): いろいろなご意見ありがとうございました。
本日いただいたご意見については、事務局で整理し、次の段階としてパブリック・コメントに出していきたいと考えている。
いただいたご意見の中で、例えば見出しの中で「活気あふれる多様な」、ここには異存はないと思うが、その次の「大都市居住」というところが、「大都市居住」と言うと、匿名の生活ができるとか、隣にはだれがいるかわからないけれども非常に便利で快適な生活を自分だけは享受できるというようなイメージが強いので、「大都市居住」をやめて、文言はまだはっきりと決めていないが、例えば「活気あふれる多様な居住を大阪市で実現しよう」というような方向で少し変えていきたいと思う。
そして、「新時代に向けて」というところも、もうひとつ先に行って、例えば「新次元へ向けて」ぐらいの感じで、今の状況からはもうちょっと離れて、一歩でも半歩でも少し前へ行きたい。過去との連続性とか何かではなくて、やっぱり新しい局面へちょっとだけ出ようというふうな気持ちもあってもよいのではないかという感じがしている。
そのような方向で少しこれに手を加えたもので次の段階へ進んでいきたいと思う。本日は多くの貴重なご意見、ありがとうございました。
具体的にこの答申の段階で織り込める内容の意見は、なるべく答申案に取り込みたいと考えている。今後は答申を基に実際に実施計画を進めたり、あるいは、住まい情報センターでもいろいろな事業を実施していく中で、この街角の何丁目はこのようなところで、このようなユニークなところであるというような情報をつくり、こういうことが工夫できるのだという情報を流して、例えば市民向けにPRするとか、どこかの局面で本日いただいた意見を参考にさせていただく方向で事務局で工夫してもらいたいと思う。
本日の審議については、これで終わらせていただきたい。
パブリック・コメントにかかる前の段階での整理は、文言等を少し手直しをさせていただきたいと考えているので、本日のものと多少最終的な字面は違ってくることがあるかもしれないが、そこはお任せいただきたい。
それでは、パブリック・コメントの手順について、事務局から説明いただきたい。
(市): パブリック・コメントについては、これから審議会としての答申をまとめていただくに当たり、市民の方からいろいろとご意見を頂戴するということで、事務局として、大阪市の広報を通じて、ホームページや冊子の配付などを行い、いただいたご意見については、それをまた審議会のほうに反映させていただくということで、これから進めていきたいと考えている。
(会長): その手順が済んだ後で、審議会をもう一度開催し、そこで最終答申を確認していただき、それでご異論がなければ、それで答申という運びにさせていただく予定なので、よろしくお願いいたしたい。
それでは、本日の議事は全て終了したので、会議はこれで閉会する。
閉会 15時45分
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