ページの先頭です

第69回 大阪市住宅審議会

2014年9月10日

ページ番号:5387

1. 日時

平成15年5月16日(金) 14時00分~16時30分

2. 場所

ヴィアーレ大阪

3. 出席者

(委員)
尾嶋委員、北浦委員、佐々木委員、佐藤委員、宍戸委員、白澤委員、鈴木委員、巽委員、徳矢委員、宮本委員、三輪委員、村田委員、山原委員、山本委員

(大阪市)
岸野住宅局長、永井計画調整局理事、坂住宅局理事、北山住宅局理事兼建設部長、岩城管理部長、平岡企画部長、菊植建築指導部長、中村住環境整備担当部長 他

(注) JISコードにない漢字は一番近い字で代用しています。

4. 会議の議題

(1) 議事要旨について

(2) 社会経済情勢の変化について

(3) 住宅施策の実施状況について

5. 議事要旨

(1) 議事要旨について

 前回議事要旨の内容の確認を行った。

 

(2) 社会経済情勢の変化について

 大阪市より社会経済情勢の変化について本審議会に説明を行い、質疑等を行った。

 

(3) 住宅施策の実施状況について

 大阪市より住宅施策の実施状況について本審議会に説明を行い、質疑等を行った。

6. 議事概要

(1) 議事要旨について

[1] 委員発言等要旨

(会長)

 前回の第68回住宅審議会において大阪市長から「今後の住宅施策について」諮問をいただいたが、審議会の内容についてはホームページ等で公開することとなっているため、前回議事内容を事務局で要旨という形で取りまとめていただき、私が目を通させていただいた。この前回の議事要旨を審議会の場でご確認いただき、公開して参りたいと考えている。

 

(委員)

 「地域が活性化するためには、やはり子どもがいないといけない。都心に子どもを持つ人が住みたいと思うような家をつくらないと、いくら都心を活性化させても、大人だけの地域というのは不自然な感じがする。子どもを持つ親が住みたいと思うようにしなければならない」と言う発言をしたが、子育てをするための住まいということで、都心にも低層の住宅を造ってはどうかという主旨である。

 

(会長)

 前回の発言のキーワードが抜けているということですが、議事要旨で主旨がとおっていないことがあれば、次の審議会なりでご発言いただきそれを次の議事要旨で反映させるということで、議事要旨を承諾いただきたい。

(2) 社会経済情勢の変化について

[2] 「社会経済情勢の変化」説明概要


<人口・世帯構成の変化>

  • 都心回帰の傾向

    阪神・淡路大震災の影響が見られた平成7年を除いて微減傾向にあった人口が、平成12年から増加に転じ、平成13年では約260万9千人、平成14年では約261万9千人と年間約1万人増加し回復傾向にある。北区・福島区・中央区・西区・天王寺区・浪速区の都心6区では近年の回復基調が市域全体に比べても非常に大きくなっている。

  • 全国的な人口減少社会、世帯数減少社会の到来

    将来人口の推計によると全国的には平成18年頃をピークに減少に転じる見込みとなっており、世帯数についても平成27年頃をピークに減少に転じる見込みとなっている。

  • 少子化の進行

    昭和48年をピークに出生数は年々減少している。

  • 団塊世代、団塊ジュニア世代の住宅需要

    団塊世代の子の世代の独立に伴うシニア・高齢世帯の増加、及び、団塊ジュニア世代の世帯形成に伴う新婚・子育て世帯の増加により、現在、新たな住宅取得需要が生じていると考えられる。

  • 高齢化の進行

    本市の高齢化率は年々上昇しており、平成12年では全国平均とほぼ同じ17.1%となっている。

  • 中堅層の市外転出傾向

    15歳~24歳の若年層は引き続き増加しており、25歳~29歳については以前は減少傾向にあったが最近5年間では減少がおさまってきており、ほぼゼロとなっている。
    一方、30歳~44歳のいわゆる子育て層・中堅層は依然として転出傾向にあり本市における、少子・高齢化の進行の一因となっている。

  • 単身世帯・2人世帯の増加

    単身世帯は年々増加しており、平成12年では総世帯数に占める単身世帯の割合が約40%、2人世帯が約25%となっている。単身世帯を年齢別に見ると、20歳くらいから30代前半のいわゆる若年層に加え、50歳代の男性、60歳以上の女性に単身世帯が多い。

  • 家族形態・世帯形成の多様化

    女性の就業等による共働き世帯の増加と共に、25歳~34歳くらいのいわゆる子育て期においても、増加傾向が見られる。また、未婚の増加等に伴う若年単身世帯の増加をはじめ、ライフスタイル・ライフステージの変化に伴う家族形態、世帯構成の多様化が見られる。

 

<経済情勢の変化>

  • 景気後退、地価の下落・安定、低金利

    全国と比べても大阪市の経済成長率は厳しい状況下にある。
     地価については、平成4年のバブル崩壊以降、下落・安定が続き、バブル以前の昭和60年頃とほぼ同水準となっている。
     また、バブル崩壊以降、低金利が続いており、民間金融機関による低金利の住宅ローンについても最近2%、場合によっては1%台のものもある。

 

<都市再生の潮流>

  • 全国的な都市再生の動きの活発化

    人口の都心回帰の傾向が続き、全国的に都市再生の動きが活発化するなど、改めて大都市が注目されてきており、グローバル化の進展に伴い都市間競争の時代を迎えている。

  • 都市再生に向けた国の動き

    国においては、平成13年5月に都市再生本部を設置し、都市再生プロジェクトの決定を行った。また、地域の実情に応じた建築誘導が図られるよう、建ぺい率や容積率等の規制基準のメニュー化等に向けた各種法制度の整備を実施している。

  • 都市再生に向けた大阪市の動き

    大阪市においても、平成14年7月に都市再生本部を設置し、同時期に国の方から「大阪駅周辺・中之島・御堂筋周辺地域」をはじめ、4つの地域が都市再生緊急整備地域に指定されている。また、平成15年3月には大阪市の都市再生プログラムを策定し、都市再生に向けた都心居住の重要性についても位置付けられた。

 

<ライフスタイル・価値観の多様化>

  • 居住ニーズの多様化・高度化・個性化

    住宅についても、量的には充足しており、世帯数を住宅数が上回っている状況が昭和48年頃以降続いている。居住水準の向上に関しては、最低居住水準未満の世帯率が昭和63年から平成10年の間に22%から12.5%へと約10ポイント減少しており、居住水準の向上に伴い、居住ニーズはますます多様化・高度化・個性化している。

  • 住宅に対するニーズの多様化

    住宅について、「広さ」や「家賃・価格」に加え、「防犯性」「耐震性・耐久性」「性能表示・品質保証」「バリアフリー化」「環境共生」といった多様な項目について重要であるとの結果が出ている。

  • 住環境に対するニーズの多様化

    住環境についても、「病院・福祉施設」「日常生活のための買い物施設」「交通の利便性」等の生活の利便に加え、「まちの景観」「緑・水辺空間」といったアメニティの充実や、「保育所や幼稚園」「学校・教育環境」の子育て施設の充実、「火災・地震等に対する防災性」等の安全・安心に関する項目が重要視されている。

 

<景観・まちづくりへの関心の高まり>

  • 都市景観に対する関心の高まり

    まちの景観について、10年前と比べて良くなったと考えている方が7割を超えており、さらに、9割を超える方が都市景観の形成については「重要である」、あるいは「やや重要である」と考えている。

  • 緑化に対するニーズの高まり

    都市公園や街路樹等の緑は着実に増加しているが、緑に対するニーズは引き続き高いものとなっている。

  • 市民参加のまちづくりの動きの活発化

    地域の人々やNPO(特定非営利活動)によるまちづくり活動をはじめ、市民参加のまちづくりの動きが活発化している。
     「市民参加の活動意向」では、「ぜひ参加したい」「できれば参加したい」を合わせて約8割となっている。「市民参加を推進すべき分野」では、「環境対策」「社会福祉」に続いて3番目に「まちづくり」があがっている。
     大阪市内のNPO法人数の推移については、平成13年7月に171件であったものが平成15年3月には498件となっている。

 

<安全・安心へのニーズの高まり>

  • 耐震性の高い住宅・住環境に対するニーズの高まり

    阪神・淡路大震災の教訓や東南海・南海地震への関心の高まり等から、耐震性の高い住宅・住環境の整備が大変重要となっている。
     また、欠陥住宅や違反建築への対策に対する関心が高まっている等、安全・安心に暮らせる住宅への関心の高まりも見られる。
     大阪市における密集市街地ということで老朽住宅の集積度等を勘案し防災性の面で課題となる地域として、主としてJR環状線外周部の東部から南部にかけて、アクションエリア(防災性向上重点地区)として約3,800ヘクタールを考えている。その中で先程の都市再生の動きの中で、特に優先的な取り組みが必要な密集住宅市街地ということで約1,300ヘクタールを考えている。

  • 防犯性の高い住宅・住環境に対するニーズの高まり

    ここ数年、急激に犯罪件数が増加しており、防犯性の高い住宅・住環境に対するニーズも高まってきている。

 

<環境・健康へのニーズの高まり化>

  • 環境問題、リフォーム市場、シックハウス対策等への関心の高まり

    ヒートアイランド対策、省エネルギー・省資源、リサイクル等環境問題や、シックハウス対策への関心が高まっている。環境白書においては、消費者団体の関心事項ということで最初に環境問題が出ている。
     全国データであるが、リフォーム市場の将来予測ということで、改修や補修といったニーズが今後高まり、約20兆円市場から約30兆円市場へと拡大するのではないかと予測されている。

 

<高度情報化の進展>

  • 高度情報化の進展、地域情報へのニーズの高まり

    大量・双方向の情報発信が可能となっている。また、地域情報誌やミニFM等地域志向の高まりも一方では見られる。

  • 的確な住情報に対するニーズの高まり

    大阪市立住まい情報センターにおいて、1日あたり160件を超える多数の相談・情報提供が行われる等、迅速かつ的確な住情報に対するニーズが高まってきている。毎年5万件程度の利用者があり、また、専門家相談についても毎年300件超の相談があり、インターネットによる情報提供についても最近では5万件超で推移している。

 

[2] 委員発言等要旨

(会長)

 ただ今の「社会経済情勢の変化」について、大阪市の住宅施策を考えていくにあたっての、出発点となる現状認識、問題認識あたりで委員の皆様の忌憚のない意見を頂きたい。

 

(委員)

 2つあるが、先ず、太陽光発電に代表される、新エネルギーのことについての現状把握があっても良いのではないか。住宅に絡んで自然エネルギーを戸建てやマンションに活用していくことはこれからの重要な分野の一つではないか。
 もう1つは緑化であるが、大阪市に於いてもマンション等住居の屋上緑化や壁面緑化の助成制度を行っているが、その現状把握があっても良いのではないか。

 

(委員)

 資料として、持家希望なのか賃貸希望なのかが解るものがあれば、住宅の供給のあり方の参考になるのではないか。
 また、中堅層の市外転出傾向についての話があったが、どのような住宅に居住していた者が転出しているのかを統計は取りにくいかも知れないが、解る範囲で知りたい。

 

(委員)

 年齢別人口の比率では20歳~24歳の者が上昇しているがこれは大阪市に様々な職場があることを示しているからと考えられる。減少している30歳前後のところで結婚し市外に移動して減となっているのか、また、市外に移動する理由は何か等が解ると色々なことが見えてくるのではないか。
 私説であるがその1つが、色々なことからの推論であるが子育て期の低層住宅ではないかと思っている。

 

(委員)

 先程のご見解と関連してエネルギーのことであるが、燃料電池、特に家庭用分散電源が重要であると思う。太陽電池の方は国の補助もあり活用がしやすくなっているが燃料電池の方は制度的にもまだどうなるか解らないが、長期的には重要になってくるのではないか。

 

(委員)

 持ち家のリフォームのことであるが、高齢者の住んでいる家に、特に傷んでいるわけでもないのに修理する必要がある等と業者が来訪し、場合によっては少しの補修で法外な値段を取られたという話も聞いている。

 

(委員)

 ライフスタイルの変化では女性の就業について述べられているが、特に大阪市のような都市型の場合はフリーターやパラサイト化など新しいものがあり、若い方の就労の形態はずいぶんと変わってきているのではないか。価値観も多様化しているのではないか。

 

(委員)

 高齢者については、介護保険の改定に伴って、在宅介護や自立支援の方向に介護の形態も変わってきている。入院をしていても6ヶ月くらいで帰宅するケースが非常に多いが、その際に高齢世帯のバリアフリーがなされていないという問題が最近多いようである。高齢世帯でのバリアフリー化率等の調査をしておいた方が良いのではないか。

 

(委員)

 今年から税制改正が行なわれ、住宅取得資金贈与では3,500万円まで非課税となっているが、まだ、改正されて日が浅いため統計等については顕著に出ていないが今後、我々としても研究してまいりたい。

 

(委員)

 都心回帰の傾向ということで、大阪市は平成12年から人口が増えているとのことであり、すばらしいことだと思うが、他の大都市の状況はどうか。

 

(市)

 他都市については、本市のように市域全域が既成市街地の都市は比較的少なく、神戸市や京都市についてもニュータウン等を持っている。都心部にマンションが建設されそこに人口が戻ってきているという形は新しい動きであると考えている。
 また、先程からご指摘いただいている点をご説明させていただくと、エネルギー関連については、これから住宅とどのように関わっていくこととなるか非常に大切なことと考えており、関西電力や大阪ガス等の事業者からもエネルギーの今後のあり方について意見等伺っている。今後、住宅施策にどのようにつなげていくかをいろいろと検討していかねばならないと考えている。
 高齢者の1人住まいの方でリフォーム業者等の訪問について非常に不安を感じておられるという点については「住まい情報センター」で相談を受け付けており、必要によって消費者センター等と連携を取りながら相談を行なっている。
 介護保険、バリアフリーについてもこれからますます福祉部門との連携が必要と考えている。

 

(委員)

 市から、今、話があったが、「住まい情報センター」における住宅の相談の内訳で少子・高齢化に伴う相談がどのくらいあるのかを知りたい。
 また、相談の中で特徴的なものがあるならば、教えていただきたい。

 

(委員)

 マンションについてであるが、築年数はもとより、管理組合の大規模修繕等に備えた修繕積立金の実情のデータを把握すること等が重要なのではないか。

 

(委員)

 先程から高齢者の問題がずいぶん出てきているが、恐らく大阪市の独居老人比率は全国でも高いと思う。しかしながら、バリアフリーの問題もあるが、一人暮らしの老人が家を借りるのはずいぶん難しいという問題がある。施策とのからみで高齢者の民間住宅の賃貸のサポートをどうしていくのかという問題があるため、一人暮らしの老人の比率が地域によってどの程度の格差があるのかを知りたい。
 また、30歳~40歳代がずいぶん減少しているが、保育等の福祉との関係があるのではないかと思うし、住戸面積の問題もあるのかもしれないので移動時の変化についても検討いただきたい。

 

(会長)

 次回、またいろいろバックデータの補強を行い逐次改良し、手を加えたものを、また、見ていただくこととしたい。

(3) 住宅施策の実施状況について

[1] 「住宅施策の実施状況」説明概要


<大都市居住ニーズに対応する居住政策の展開>

  • 新しいタイプの居住スタイルへの対応

    前回答申における今後重点的に取り組むべき施策としては、「単身居住者向けの住宅供給」、「居住支援サービスの充実」、「多様な都市居住ニーズへの対応」となっており、実施施策として、優良賃貸住宅建設資金融資制度を平成11年に創設している。これは、民間の土地所有者による賃貸住宅の建設を促進する制度であり、従来は国の制度であったが、その制度がなくなるにあたり、大阪市として、新しいニーズに対応する施策として創設した。
     「国際化に伴い来訪する外国人への住宅ニーズへの対応」については、留学生住宅供給事業ということで、平成9年度に54戸の建設を行なった。

  • 子育て層に対する施策の強化・拡充

    「新婚世帯向け住宅施策」の実施状況としては、家賃補助や融資における優遇、市営住宅の別枠募集を行なっている。
     「子育て層向け持家対策の充実・強化」については、民間分譲マンション購入融資利子補給制度を平成10年に創設し、小学校就学前の子どもがいる世帯が住宅金融公庫融資を受けている場合に、利子補給を行っている。定期借地権付住宅の供給については平成9年度以降、大規模な住宅地開発を行なっている高見地区や、市営住宅の建替え跡地、民有地での供給に大阪市住宅供給公社で取り組んでいる。

  • 高齢者・障害者対策の充実・強化

    「市営住宅における高齢者・障害者対応」については、特別設計住宅及びケア付き住宅の供給を始め、引き続き各種の施策を進めている。
     「福祉部門等との連携による民間住宅の改造に対する支援」については、健康福祉局の事業であるが、介護保険における住宅改修制度が平成12年度より創設されたところである。
     「市が融資・助成するバリアフリー住宅の登録・活用」に関しては、平成11年度より、「大阪市立住まい情報センター」において、本市の融資助成制度を活用し、高齢化対応設計がなされている住宅を、同センターに登録し、情報提供を行っている。また、高齢者安心入居の情報提供についても平成12年度より実施している。
     「高齢者リバースモーゲージ制度の創設」については、高齢者が持っている資産を担保に住宅の改造資金を貸付け、死亡後、その資産によって、回収するという制度を検討したが、昨今の地価下落傾向や相続時の問題等があり、現在、制度創設には至っておらず、引き続き検討中である。

 

<地域特性に応じた居住魅力の創設>

  • 既存住宅地における居住魅力の再生

    「老朽住宅密集市街地の整備」として、「生野区南部地区整備事業」、「西成区整備事業」、「日本橋地区住環境整備事業」に加え、新たに、福島区の北西部において大規模な工場跡地を活用しながら、周辺密集市街地も整備する事業の調査を行っている。
     「アクションエリアの設定による老朽住宅の建替の重点的な促進」については、建替重点促進地区のエリアの中において民間老朽住宅の建替支援事業や、その他優良賃貸住宅の融資制度等において、補助対象の拡充や融資利率の優遇などを行っている。また、特に優先的な取り組みが必要な地域である1,300haのゾーンにおいては、狭あい道路拡幅促進整備事業について、今年度からスタートすることにしている。
     「歴史性・文化性を生かした居住地の整備」に関しては、「HOPEゾーン事業」ということで、歴史的・文化的資源を活用し、魅力ある住宅地づくりをしていく事業で、「平野郷地区」、「住吉大社周辺地区」において、平成11年度・12年度から事業をスタートしており、今年度は新たに都心部におけるHOPE ゾーン事業ということで、中央区空堀地区において商店街の活性化と連携した住宅地づくりの事業の調査をすることとしている。
     「住環境の保全・改善に対する助成制度の創設」については、HOPEゾーンの地域の中でまちなみ修景補助事業という形で、ガイドラインに沿った改造をする場合に助成事業を行っている。
     また、「住工が共存できる住宅供給と住環境の整備」では、優良賃貸住宅建設資金融資制度の中で、このような工業系地域においても住環境としての適正を配慮しつつ、柔軟に建設を認めることとしている。

  • 新たな住生活環境の創造

    「新たな住生活環境の創造」として、「ウォーターフロントを活用したアメニティ豊かな住宅地開発の推進」については、港区の築港地区、夢洲地区において、調査を実施しているが、これについては事業化にまでは至っていない。

 

<災害に強い安心できる住まいの確保>

  • 耐震・耐火性に優れた住まいづくり

    「民間老朽住宅の建替促進のための法制度の拡充」ということで、平成13年度から、一定の街区の中で合意が得られた所について建ぺい率を増やすことができるという許可をする建ぺい率許可制度を実施している。また、「協調建替型住宅設計制度」についても、直接道路に面していない土地を含む敷地であっても、全体でまちづくりとしての合意が得られた場合には協調建替型の建設を認める制度もスタートしている。
     「既存住宅の耐震改修の促進」については、「耐震改修資金融資制度」は金融公庫のリフォームローンを借りた者にさらに不足分を融資する制度であり、平成 9年から実施している。また、「戸建住宅等の耐震改修費補助制度」は計画調整局の事業であるが、今年度から新たにスタートする予定である。

  • 都市全体の不燃防災化の推進

    「道路整備と老朽住宅整備の一体的な推進」ということで、生野区南部地区整備事業を進めており、それに加え、狭あい道路の拡幅促進整備事業ということで、道路中心線から2m後退して建設をすることになっている。その後退部分が将来的に道路として確保されるように、その道路の整備や、後退表示板の設置等を行い、それを積み重ねることによって道路の拡幅を実現する制度であり、今年度からスタートする予定である。

 

<良質な住宅の供給と良好な住宅ストックの形成>

  • 適正な住居費負担による良質な住宅の供給

    「中堅層向けの良質な公共住宅供給の促進」として、「民間すまいりんぐ供給事業」は、制度の拡充を重ねてきている。「公社分譲住宅」においては、定期借地権付事業への着手や、環境共生といったものへの取り組みも行っているところである。
     「適正な価格・家賃による優良な民間住宅供給の促進」で、「優良賃貸住宅建設資金融資制度」を創設し、賃貸住宅の供給促進を図っている。
     「老朽市営住宅の総合的な再生」では、「大阪市営住宅ストック総合活用計画」を策定し、そのストック活用計画の中で、今後建て替えていくもの、全面的な改善をしていくもの、エレベーターを設置するもの、維持・保全していくもの、と住宅ごとに方針を立て、それに基づいて事業を進めているところである。

  • 新たな方策の展開による良好な住宅ストックの形成

    「マンションの適正な維持・保全や大規模修繕・建替の促進」ということで、「大阪市マンション管理・建替支援事業」を、平成12年度から実施しており、分譲マンションの建替えや改善を検討する場合のアドバイザーの派遣制度、並びにマンションの建替えを検討する際の検討費補助制度について、今年度創設を検討している。
     「共同住宅エレベーター防犯カメラ設置費補助制度」として、マンションや共同住宅等で防犯意識を高めるということで、エレベーターにカメラを設置する場合に、その費用の3分の1の助成金を交付する制度をスタートしている。

 

<総合的な住まい情報システムの構築>

  • 住情報の提供・相談機能の充実

    「住まい情報センターを核とした住情報ネットワークの確立」については、平成11年度に開設した「大阪市立住まい情報センター」において、住まいに関する相談事業、普及・啓発事業、住宅施策に係るライブラリー事業、広報事業として住まいの情報誌の発行、及び、住情報提供システムについても運用している。さらに、本市の融資助成制度を活用した民間賃貸住宅の登録・情報提供を行っており、また、同センターの中に、公団住宅及び民間住宅についても団体にご協力いただき情報提供を行っており、高齢者の安心入居の情報提供についても行っている。
     「住まいに関する相談機能の充実」の項目については、「住まい情報センター」と「大阪市マンション管理支援機構」において拡充に努めているところである。

  • 広域的な住情報の発信

    「総合的な住情報の広域的な発信」については、住情報提供コーナーの運営と住まい情報センターでの事業を実施している。
     「住宅地の魅力情報の提供・発信」として、「大阪くらしの今昔館(大阪市立住まいのミュージアム)」を江戸時代の大阪のまちなみを再現し、住むまちとしての大阪の魅力向上を目指したミュージアムとして、設立したところである。

 

[2] 委員発言等要旨

(会長)

 ありがとうございました。(1)大都市居住ニーズに対応する居住政策の展開、(2)地域特性に応じた居住魅力の創設、(3)災害に強い安心できる住まいの確保、(4)良質な住宅の供給と良好な住宅ストックの形成、(5)総合的な住まい情報システムの構築と、5つの項目が前回のときの住宅政策の柱であり、細かい個別の施策を束ねて考え、それで全体の組み立てをつくろうというのが前回答申である。
 今回、これをこのまま焼き直して新しいバージョンをつくるのではなく、一番最初の5つの大きな見出しの立て方も、改めてここでご相談して組み立て直していく必要があるのではないかと思う。これは皆さんのご意見をいただきたい。

 

(委員)

 勝手なことを申し上げて恐縮であるが、非常に多岐にわたって重要な施策を実施し、各項目ごとに自己採点されたら、どのくらいか。

 

(市)

 数字で自己評価をするのは非常に難しく、9年にいただいた答申の各項目について、一定我々この間検討してきたものについては概ね実現されているのではないかと思っている。先ほどのリバースモーゲージ等、実現されていないものも一部ある。これは、説明させていただいたように、種々の課題等もあり、なかなか実現に至っていない。それぞれ年度によっての実績の若干の前後はあるが、制度として創設すべきものについては、概ねできてきたのではないかと思っている。

 

(委員)

 逆に、この10年間で、役割を終えた施策は、どのくらいあるか。

 

(市)

 時代のニーズに応じて施策というのは柔軟に対応していくものだと考えており、具体に我々として、今の時点で、リストラをするということではなく、今後の視点も含めて考えていかなければならないのは、今までの住宅政策を形づくってきた金融公庫の融資等の住宅資金面の大きな流れが大きく今後変わっていくと予想されることである。それに連動して、特に融資関係等をどんなふうに組み立てていくのかということは、1つの大きな課題ではないかと考えている。
 また、賃貸住宅の融資については、今の経済情勢等も鑑みて、どのような賃貸住宅政策が今後いいのかということについて考えていくなかで、既存の制度をどうしていくか、検討することは必要ではないかと考えている。

 

(委員)

 おっしゃるとおりだと思う。例えば、通常のマンション購入資金融資制度について、単に補助金や、併せ融資を行う等、こういう制度はある意味では絶対的なローンの資金量が不足していた時代の制度である。そういう意味では、その分を見直して、例えば先程の、高齢者のリフォームの問題であったり、それから大都市でのヒートアイランド現象に対する対応であったり、そういう部分についてどう政策的に、融資する部分もあるが、それにどう組み合わせるかという観点で、もう一度これは見直していくことが必要だと思っている。

 

(委員)

 住宅政策としての具体的な施策としては、多様な施策を用意されているが、その成績はどうかというと、割合にいい成績のものと、だんだん落ちてくるものがあると思う。この辺にこれからの大阪市の住宅政策を考えるべきポイントがあるかと思う。多くの施策を並べてやることも市としては大事であろうが、今のように非常に変動的な状況下では、逆に、もっと基礎的なところで、そもそも大阪市という自治体が住宅政策として何をするのがいいのかということを検討すべきではないかと思う。
 例えば、分譲住宅と賃貸住宅の関係があるが、分譲とか賃貸とかと言うことは居住の形式にすぎないわけであるから、もう時代遅れであると思う。建物の中にも賃貸的な部分と分譲的な部分、借りる部分と所有の部分とがあって、その組み合わせがあるわけであるから、そういう時代の大きな流れの中で大阪市の施策として何をしたらいいのかということを検討すべきで、そのためには調査研究をすべきである。政策当局がやるべきことは、こういう施策を具体的に立てることも大事だが、基礎的な調査研究をして、大阪市の住宅はこれからどうあるべきか、供給形態あるいは物的な形態がどうあるべきかということを、絶えず調査しつつ、一方でそれを実際に行い、その成果を施策に反映する。うまくいけば民間にやってもらえばいい。うまくいかなければ止めればよい。そういうことを行うことが公共の役割であると思う。これまでは、例えば、資金の融資を行うとか、技術的な問題についても公的にイニシアティブをとらなければならなかったが、これからの公共の役割は、もう少し大きな公的な立場に立って、ほかの施策ともにらみあわせながら、実施していくことであると思う。
 分譲住宅は、資産価値が年々落ちていくため、若い人たちはそれを持とうとしなくなってきているという状況もある。そうすると、どのような形がこれから住宅の所有関係において望ましいのかということを、背景に施策をおきつつ、大局的に考えることが必要となるが、これを民間企業に任せても上手くいかないので、大学とも連携し、これからの大阪市独自の住宅のあり方を検討していただきたい。
 そのような分譲・賃貸の問題に加えて、犯罪率が非常に増えてきている。集合住宅になるとますます犯罪がふえていくと思う。一方、高齢化に伴い、高齢者の問題が出てきており、また、単身ではすぐ、民間業者は必ずワンルームマンションという反応になる。ファミリーというと今度はすぐにLDKという反応になる。
 これから大阪市の集合住宅はたぶん6~7割と随分高いものになるのではないか。従って、大阪市のメインの住宅形式は集合住宅だと狙いを定めて、その中に高齢者、単身者がたくさん居住される、そういう集合住宅のあり方をどのようにしていくのかということは、研究事項であると思う。
 それからもう1つの研究事項は、これまで、新規住宅供給のことに重点があった住宅政策であったが、これからはストックをどうするかということの住宅政策に変わってくると思う。いま法律違反の建物は、既存不適格と言って、結局放置しているが、そのままで良いのかどうか。既存不適格のものはやはり直していかないといけない。特に耐震性の問題は本当は緊急を要することなのに、震災から10年近くもたつと忘れてしまっているけれど、大変なことであると思う。例えば、そのような個所において公的な施策に力を入れる。それが同時に産業的に見れば大きな量になるので、産業の活性化にもつながると思う。密集市街地の再開発とか、既存不適格の建築物の改善とか、そういう地味な領域であるが、ストックの政策のほうに重点を移した住宅政策をしていただきたいと思う。
 これらを総じて言えば、もう少し研究との連携を考えて、長期的また大きな視野に立った住宅施策を検討していただければと思う。

 

(会長)

 貴重なご意見をありがとうございました。
 もし特にないようでしたら、今日の議論はここで終わらせていただきたいと思います。
 それでは、予定の議事は全部終了いたしましたので、本日の発言の趣旨をまとめまして次回の会議の冒頭に見ていただくということで、お願いしたいと思っております。最初に議事要旨に関しご発言のあった子育て、低層のことは、今日の会議の冒頭の所でこういうご発言があったと入れますので、またよろしくお願いいたします。今日の議事要旨で皆さん方の発言のご趣旨で意に満たないようなことがあれば、次の会合のときにご指摘いただければと思います。
 皆様、長時間ご議論いただきましてありがとうございました。
 それではこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市 都市整備局企画部住宅政策課住宅政策グループ

住所:〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所6階)

電話:06-6208-9217

ファックス:06-6202-7064

メール送信フォーム