土地区画整理事業のしくみ
2024年1月10日
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土地区画整理事業の概要
手法の概要
土地の交換分合
道路が狭く建物が無秩序に建て並んだまちなみでは災害時の避難や緊急車両の進入などの安全面や、生活環境面での問題があります。
このような状態を改善し、安心して暮らせる快適なまちをつくるため、道路や公園、広場、上下水道など都市基盤施設を整備するとともに不整形な土地の形状を整えて道路に面するように配置するなど、土地の使い勝手をよくする事業が土地区画整理事業です。
つまり、土地区画整理事業は土地の交換分合という手法によって「道路・公園などの公共施設の整備改善と宅地の利用増進を同時に行う」事業です。
道路や公園などの公共施設は、事業前の公共用地と、権利者の皆さんからの土地の提供(減歩)によって用地を確保して、整備します。
減歩により権利者の皆さんから少しずつ土地を提供していただきながら事業を行いますが、土地区画整理事業は、「公共施設の整備改善と宅地の利用増進」を図るために行う事業ですから減歩に対しての損失補償はされません。ただし、利用増進の度合いなどによる不均衡については金銭清算が行われます。
一方、市の予算や国からの補助金など、公共側からの支出により公共施設の整備や建物の移転、宅地の整地などを行い、これによって地権者の皆さんや周辺区域の住民の皆さんの利便性の向上を図るなど、広く事業利益が還元されます。
用地買収方式との違い
土地区画整理事業は、用地買収方式と違って、利用度の低い土地が残ったり、買収地に当たった一部の権利者がその地域を離れなければならないということがなく、事業の終わった後もその地域に暮らし続けられるなどの利点があります。
事業の特徴
面的な総合整備
土地区画整理は土地の調整を基本としてまちづくりを総合的に行います。 一定の区域で、道路・河川・公園・上下水道など公共公益施設の新設・再整備とあわせて宅地の形態も整えるため、効率的に基盤整備が行えます。
既存のコミュニティを維持
用地買収方式では、用地買収にかかる権利者だけが、従来とは異なった環境への立ち退きを迫られますが、土地区画整理事業では、事業前の生活や営業を事業後も継続できるため、地域のコミュニティを存続したままで、まちづくりが可能となります。
受益の配分が公平
道路・公園などや宅地の整備改善によってもたらされる受益の割合に応じた減歩等により公平な負担が可能です。
相乗的な投資効果
道路・公園などの整備や宅地の利用増進を起爆剤として土地所有者による土地利用の事業投資を誘導することが可能で、相乗効果により活力あるまちづくりが可能となります。
汎用性が高く、他の手法との同時施行が容易
既成市街地の再整備、スプロール化の解消、新市街地の開発など、地域の実情に合った柔軟な事業展開ができます。
事業の効果
都市の骨格の形成
施行地区内に計画されている広域的な幹線道路・公園・河川などが整備され、都市の骨格が形成できます。
良好な宅地の供給
道路・公園や供給処理施設が整備され、良好良質な宅地を提供することができます。
土地の有効利用
- 低未利用地の集約を図ることで土地の有効活用ができます。
- 建物整備などを同時に実施することによって地域の活性化を図ることができます。
生活環境の向上
オープンスペースが増加して防災性が向上するとともに通風や採光が向上することによって生活環境が良くなります。
安全性の向上
- 道路の整備によって緊急車両のアクセスが確保できます。
- 延焼を遮断するスペースが確保でき、安全性が向上します。
- 歩道や安全柵の設置によって、歩行者と車の分離ができます。
- 隅切りを設置することによって交差点を改善できて交通の安全が確保できます。
登記の整理・町区域の明確化
- 登記や公図を正確なものに再編製できます。
- 輻輳した町名地番を整理でき、町区域についても道路などにあわせて明確な境界で示すことができます。
事業の流れ (公共団体施行の場合)
1.まちづくり案の検討
土地区画整理事業にとって、関係権利者との合意形成はきわめて重要です。
権利者の皆さん自らが「自分たちのまちづくりを行う」という意識で事業に参加し、住民の意向や提案を事業に反映させるため、事業の計画立案段階から「まちづくり協議会」などを組織して、まちづくりの研究や検討を行っているところもあり、それらの提案が事業に活かされています。
2.都市計画決定
土地区画整理事業を行う施行区域などを都市計画決定します。
必要な事項については大阪市都市計画審議会で審議され、国土交通大臣又は大阪府知事の同意を得て決定されています。
3.事業計画の決定・施行規程の制定
- 事業計画に定めるべき項目は、施行地区、設計の概要(目的・方針・整理施行前後の地積・保留地の予定地積など)、事業施行期間、資金計画です。
- 施行規程(条例)に事業の名称、施行地区に含まれる地域の名称、事業の範囲、事務所の所在地、費用の分担に関する事項、保留地の処分方法に関する事項、審議会委員等に関する事項 、地積の決定に関する事項を記載します。
4.土地区画整理審議会の設置
施行地区内の土地所有者や借地権者の代表として、選挙によって土地区画整理審議会委員を選出します。審議会では換地計画・仮換地指定等について審議を行います。
5.仮換地の指定
将来換地とされる土地の位置や範囲を指定します。
6.建物移転・工事
指定された仮換地に順次建物を移転していきます。
道路の築造、公園の整備、宅地整地などの工事を実施し、まちなみを整えていきます。
7.換地処分
事業前の土地(従前地)の権利が換地上に移行します。事業としては、これでほぼ完了したことになります。
8.土地・建物の表示登記
施行者が、土地・建物の変更に伴う登記手続きをまとめて実施します。
9.清算金の徴収交付
換地についての各権利者間の不均衡を是正するために、金銭での清算を行います。
事業費
土地区画整理事業の事業費は、以下に示す財源などによって賄われています。
- 国庫補助金
- 公共施設管理者負担金
- 大阪市費
- その他負担金
- 保留地処分金(保留地地区の場合)
これらを財源に、土地区画整理事業の施行地区内の建物移転、道路や公園などの公共施設の整備、埋設管等の移設や新設、宅地整地などを行います。
減価補償地区と保留地地区
土地区画整理事業は、土地の所有者等から、その権利に応じて土地を提供(減歩)してもらい、その土地を道路や公園などの用地に充当します。これらの公共施設用地に充てる減歩を公共減歩といいます。また、保留地地区の場合、事業費に充てるための減歩もあり、それを保留地減歩といいます。
地権者の皆さんの宅地の面積は減歩によって事業前より少なくなりますが、道路、公園などが整備され、土地の区画が整うことによって、利用価値の高い宅地になります。
区画整理事業には、事業前後の宅地の総額を比較して、総額が増加する保留地地区と減少する減価補償地区があります。
減価補償地区
建物の建て詰まった既成市街地などでは、事業後の宅地総価額が事業前より減少することがあります。このような地区を減価補償地区といいます。
事業前の宅地総価額 > 事業後の宅地総価額 ⇒ 減価補償地区
保留地地区
土地区画整理事業の事業前と事業後の、施行地区内の宅地の総価額を比較し、事業後の方が大きくなる場合は、その範囲内で保留地を確保することができ、その保有地を売却して事業費に充当しますが、このような地区を保留地地区といいます。
事業前の宅地総価額 < 事業後の宅地総価額 ⇒ 保留地地区
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大阪市 都市整備局市街地整備部区画整理課事業調整グループ
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