第81回 大阪市住宅審議会(会議録)
2014年9月10日
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第81回 大阪市住宅審議会 会議録
1.日時
2.場所
3.出席者
<委員>
三輪会長、山本会長代理、斉藤委員、篠田委員、髙田委員、谷委員、德矢委員、
長﨑委員、中島委員、波多野委員、弘本委員、村田委員、矢田貝委員
<幹事>
岩城都市整備局長、平岡都市整備局理事、酒井都市整備局企画部長、
澁谷都市整備局まちづくり事業部長、坂本都市整備局住宅部長、
國松都市整備局住宅整備担当部長
<事務局>
野口住宅政策担当課長、坂中住宅政策担当課長代理
4.議題
5.議事録
(1) 開会
(配布資料確認)
- 座席表、会議次第、名簿
- 資料1「前回審議会における質問事項について」
- 資料2「住宅審議会の答申フレーム(案)」
- 資料3「大阪市の住宅政策を取り巻く現状と課題(案)」
- 資料4「今後の施策の方向性(案)」
- 資料5「施策展開にあたっての視点(案)」
- 資料6「制度・用語等の解説(案)」
- 資料7「住宅事情関係資料(案)」
- 資料8「今後取り組むべき分野と主要な施策(案)」
- 資料9「『基本目標』のコンセプトについて」
(2) 異動委員の紹介
退任 独立行政法人都市再生機構 福永清 様
新任 独立行政法人都市再生機構理事・西日本支社長 斉藤親 委員
(3) 局長あいさつ
(岩城都市整備局長)
皆様方には大変お忙しい中お集まりいただき、まことにありがとうございます。第81回大阪市住宅審議会の開催にあたりましてごあいさつを申し上げます。
前回の審議会におきましては答申に向けて全体のフレームなどにつきまして活発なご議論を賜りありがとうございました。本日は全体の構成についてさらに議論を進めていただきますとともに、答申全体を総括的に表現する基本目標や、今後どのような施策に取り組んでいくべきかなどについて委員の皆様方にご議論を賜りたいと存じます。ご多忙の中、ご審議を賜りますことにつきまして深く感謝を申し上げる次第でございます。
(4) 今後の住宅施策の方向について
(三輪会長)
委員の皆様方にはお忙しい中お集まりくださいましてまことにありがとうございます。企画委員の先生方にもいろいろとアドバイスをいただきありがとうございます。
ただいまより、第81回大阪市住宅審議会の議事に入らせていただきます。
本日の議題は、前回に引き続きまして今後の大阪市の住宅施策についてございます。資料2をご覧ください。左側から現状と課題の認識、それからまだ空欄の基本目標、ここは最終的には答申書の表紙の中のキーワードになりますので、これを固めていくことを最終目標にしていろいろご審議をいただきたいと思います。左から2番目の枠の下が今後の施策の方向性、1つ右へ行って施策展開にあたっての視点、それから一番右が今後取り組むべき主要な施策でございます。最初に、前回の会議の後に企画委員の先生方にもお知恵を拝借いたしまして、事務局のほうでその後の作業を加えまして本日お手元にお配りした資料ができ上がってきております。総合表題としては「今後の大阪市の住宅施策について」ということにしております。最終的に答申書をまとめる作業の途中でございますが、まず、前回以降の作業につきまして事務局から説明をしていただきます。
資料1につきましては、前回の審議会で、ここは少し資料が足りないのではないか、この辺はもう少し実態のわかるデータがないかとか、ご質問をいろいろいただいておりますので、その補足説明についてさせていただきます。
(坂中住宅政策担当課長代理)
前回の審議会におきましてご質問いただいた事項について説明させていただきます。
資料1をごらんください。まず1つ目の外国人登録者数の推移でございますが、1ページをご覧ください。これは德矢委員のほうから国際化にかかわりましてご質問いただいたものでございまして、国籍別の外国人の登録者数の推移を載せさせていただいております。傾向といたしましては韓国、朝鮮籍の方の登録者数が減少しておりまして、中国籍の方が増加しているという状況になっております。総数といたしましては12万前後で大きな変化はないというものになってございます。下の表は平成11年を100とした場合の指数であらわしたものでございまして、中国籍、アメリカ籍、フィリピン籍の登録者数が増加傾向にあります。
続きまして、2の学校数及び児童・生徒数等の推移でございます。これは子育て世帯の市内居住にかかわりまして篠田委員よりご質問いただいた事項でございます。保育園について見てみますと、乳幼児数、保育所数ともに増加傾向にございます。その下の幼稚園を見ていただきますと、こちらのほうはわずかながら減少傾向が見てとれます。待機児童数ですが、平成16年度より大阪市のほうでも待機児童の解消に力を入れたという経緯がございまして、16年以降減少してきておりまして、現在では15年当時と比べますと半数近くになっております。特徴的なところを申し上げますと、高校の生徒数が減少傾向にあります。これは高校の統廃合を進めた影響が出ております。なお、ここのところにはインターナショナルスクールなどは入っておりませんで、いわゆる学校教育法に基づく高校をカウントしているところでございます。小学校、中学校については大きな変化がないといった状況になってございます。
続きまして、A3縦長の表をご覧ください。これは、大阪市における住宅施策の変遷でございますが、これは前回審議会で弘本委員のほうから住宅の関連分野でもターニングポイントとなるような点について追記してはどうかというご意見をちょうだいしました。その後に企画委員の先生方にもいろいろとアドバイスをいただきまして、住宅施策の関連分野のあたりを追加させていただき、さらに市営住宅の中に福祉施策との連携という段を設けさせていただいております。そのほか、大阪市の動向のところに環境でありますとか福祉の分野などについて幾つか追記させていただいております。
資料1については以上でございます。
(三輪会長)
ありがとうございました。大阪市に関する地域ごとのデータを補強したということ、それから年表などの具体的な事柄を幾つか補強させていただきましたが、よろしいでしょうか。それでは、本日の議題の一番中心の部分に入りたいと思います。以前にもお配りした同じ形式の資料でございますが、前回の審議会以降、データの補強をしたり、用語を厳密に精査したり、具体的な世の中の動きをとらえたりしたことから、修正を図ってきております。事務局より説明をよろしくお願いします。
(野口住宅政策担当課長)
まず、A3横長の資料2「住宅審議会の答申フレーム(案)」についてでございますが、このフレーム(案)は答申全体の構成案として前回の審議会で一度ごらんいただきましたが、本日の資料は審議会でのご意見、さらにその後の企画委員の皆さんからのご指導により事務局のほうで改良させていただいたものでございます。組み立てや基本的な内容につきましては大きく変わっておりませんが、言葉の使い方でありますとか表現の見直しを行いましたことと、今後取り組むべき主要な施策について再整備を行い、体系化を図るといった修正を行っております。主な修正点について説明させていただきます。
現状と課題では、問題点が明確にわかりますように課題表記のスタイルに統一させていただいております。例えば、以前の資料では、人口世帯の動向という平坦な表現であったものが、今回の資料では、人口の都心回帰というように大まかな内容がわかる見出し、表現にさせていただいております。
次に、基本目標ですが、上段にブランクの箱がございますが、ここには、その下にございます施策の方向性、全体を受けた理念を示す答申の表題的なものが入るということを想定した箱でございます。たたきとして本日簡単な資料を用意しており、後ほどご説明をさせていただきます。
基本目標の中ほどより下にございます今後の施策の方向性の4つの項目につきましては、上から「安心・安全」、「まちの魅力」、「都市の活力」、「環境」と、キーワードに修正はございません。表現につきまして、環境につきまして、企画委員からのご意見もいただいておりまして、前回までは環境にやさしい持続可能な住まい・まちづくりとしておりました。今回は、環境と調和する住まい・まちづくりと、より環境に敬意を表した、わかりやすい表現に修正をさせていただいております。
次に、施策展開にあたっての視点の項目でございますが、5つの視点の趣旨については変わっておりません。企画委員からのご意見もございまして、情報発信のところで、近年、情報の質でありますとかメディア、さらにその情報に対するニーズというのが大きく変化していることから、発信だけでなく、その交流といった言葉をつけ加えてより幅の広い、奥行きのある表現とさせていただいております。
そして、今後取り組むべき主要な施策についてですが、魅力あるまちづくりと居住文化の継承、安全・安全な住まい・まちづくり、環境に配慮した住まい・まちづくり、住宅ストックの再生・有効活用、幅広い都市居住ニーズへの対応、より確かな居住安定に向けた取り組みの強化、総合的な情報発信の充実として整備をしております。具体的な施策例をあわせまして別途資料8でまとめておりますので、後ほどご説明させていただきます。
資料2の修正点は以上でございます。続きまして現状と課題、それから今後の施策の方向性、施策展開の視点とフレームの左から3つ目の欄までの章につきましては、今回簡単に文案化をさせていただいておりますので、ご紹介させていただきます。
(坂中住宅政策担当課長代理)
資料3についてでございますが、これは、これまでの審議会でも見ていただいてるものと同じものですが、これまでは文章とデータが一緒になってございました。これを今回、答申の形態をイメージし、文章とデータを分けた上で、章を全体まとめたような文章を追加させていただいております。本日はこのまとめた部分を読み上げさせていただいて、説明にかえさせていただきたいと思います。それ以外の部分につきましてはまたご一読いただきまして、ご意見いただけたらと思います。
それでは、まず1ページの(1)現状と課題ですけれども、少子高齢化の進行と中堅層の市外転出ということでございます。読み上げさせていただきます。
近年、都心部では若年層から高齢者層まで幅広い層の人口が増加しているものの、全市的には依然として30歳代から40歳代の中堅層の転出超過が続いている。また、少子高齢化が一層進んでおり、今後より深刻化するものと予想されている。こうした状況が続くと、地域コミュニティの維持が困難となることをはじめ、様々な面で都市活力の低下が懸念される。この下に人口の都心回帰や少子高齢化の一層の進行といったことを書かせていただいております。
3ページ、(2)一層の改善・向上が求められる住宅ストック。本市の居住水準は着実に向上してきているものの、全国や他都市と比較すると依然として低く、また、耐震性・耐火性の劣る老朽木造住宅など、市民が安心して暮らしていくうえで改善すべき課題を抱える住宅ストックが、数多く存在している。また、中古住宅の購入に際して、購入者が物件の良否を判断するために必要な情報を的確に入手する仕組みが確立されていないなど、既存住宅ストックの有効活用を図るうえで重要となる住宅流通における課題がある。
続きまして、7ページ、(3)潜在する多彩なまちの魅力。大阪市には、長い歴史のなかで培われた文化や歴史的まちなみ、水辺など多彩なまちの魅力が潜在している。しかしながら、こうしたまちの魅力が次の世代へと受け継がれていない場合や、まちづくりに十分には活かしきれていないことがある。一方、市民のまちづくりへの参加意向は高まりを見せ、NPO等のまちづくり団体の活動も活発化してきており、これらの人々と連携した取り組みを進めていくことが求められている。
続きまして、9ページ、(4)まちに求められる安全性の確保。大規模地震の発生が危惧されるなか、建築物の耐震化は喫緊の課題である。密集住宅市街地においては、防災面や住環境面で大きな課題を抱えており、重点的な施策展開が求められる。また、市内の街頭犯罪の発生件数が政令指定都市のなかで最も多いなど、まちの防犯性の向上が課題となっている。
続きまして、12ページ、(5)地球温暖化等の環境問題の深刻化。近年、地球温暖化やヒートアイランド現象といった環境問題が深刻化してきている。こうした問題は生活に与える影響も大きく、市民の関心も高まりつつある。CO₂排出量の多い住宅・建築分野においても環境に配慮した取り組みを進める必要がある。
最後に14ページ、(6)住宅政策にかかる国の動向と経済情勢の変化。住宅行政に関わる基本法が「住宅建設計画法」から「住生活基本法」へと移行し、住宅政策にかかる国の基本方針が、公的住宅の量的供給から、居住の安定確保、住宅ストックの有効活用と長寿命化、建築物の安全・安心の確保などへと大きく転換してきている。今後の住宅施策の展開にあたっては、こうした住宅政策を取り巻く国の動向や経済情勢の変化にも適切に対応していく必要がある。
これに関わりまして、総務省で平成20年度に実施しておりました住宅土地統計調査に関する速報値が先月出ております。文章中にも部分的な速報値を括弧書きで記載している部分がありますが、資料7の資料集で、幾つか反映しているものがございます。少しご紹介させていただきますと、資料7の6ページになりますが、速報値によりますと、住宅総数などが増えているということの結果が出てございます。空き家数については変わらないということですが、分母が増えていることにより空き家率としては低下しているということをデータとして新しいものが出てきておりますので、追加しております。先ほどご紹介した文中にも幾つかそういう速報値と書いた文章が出てきますが、これはそのことを指しているものでございます。
資料3の説明は以上でございまして、続きまして資料4をごらんいただきたいと思いますが、今後の施策の方向性につきまして文案を読み上げさせていただきます。
(1)安全・安心を支える住まい・まちづくり。市民が安心して暮らしていくためには、生活の基盤となる住宅・住環境について、耐震性や耐火性などの基本的な性能が確保されるとともに、住宅セーフティーネットの構築を的確に進めていくことが重要である。そのため、公的住宅はもとより、民間住宅についても、住戸面積や設備性能等の居住水準の向上、段差解消やエレベーター設置等のバリアフリー化の促進、耐震性や防犯性の向上等が図られるように適切に誘導するとともに、高齢者や障害者等が住宅を選択しやすい環境を整えていく必要がある。市営住宅においては、ストックの有効活用を図るとともに、真に住宅に困窮する世帯に対して、より的確に住宅が提供できるよう、公平で公正な管理を推進していくことが求められる。また、上町断層帯地震等の大規模地震の発生が危惧されるなか、住まいやまちの安全性を確保していくことは喫緊の課題となっており、老朽木造住宅の建替えや建築物の耐震化等を促進するとともに、特に甚大な被害が予測されている密集住宅市街地の整備を戦略的に進めていくべきである。さらに、安心して暮らせる住環境の形成を図るためには、防犯や、火災、震災、集中豪雨による浸水などに対する様々な防犯について、市民の強い意識が不可欠であり、施策展開にあたっては、市民との協働によるハード・ソフト両面からの取り組みを総合的に進めことが重要である。
(2)まちの魅力をひきだす住まい・まちづくり。誰もが住みたいと感じ、心豊かな生活をおくることのできるまちとしていくためには、市内の様々なまちの魅力を高め、愛着と誇りを持てるまちづくりを進める必要がある。大阪市は古くから都市として栄えた。そのため、市内には、まちの魅力を高める重要な要素となる、歴史的・文化的なまちなみや地域のシンボルとなる建築物や建造物、緑・水辺といった自然環境、古くから伝わる祭事や習慣など、地域に根ざした有形・無形の文化が資源として引き継がれている。しかしながら、それらの資源がまちづくりに十分に活かしきれていない場合や、さらに建築物の建替えや、まちの更新とともに失われていくことも少なからず見られる。またその一方で、長年にわたって育まれてきたコミュニティによって様々な活動が行われ、まちの魅力を高めている地域や、まちづくり団体等の取り組みによって、潜在する魅力が再認識されている地域も存在する。誇りと愛着をもって暮らせるまちを実現していくためには、地域との協働のもと、多彩なまちの魅力をひきだす住まい・まちづくりを進め、その魅力をさらに次世代へと継承し、発展させていくことが重要である。
(3)都市の活力を高める住まい・まちづくり。都市が将来にわたって継続的に発展していくためには、経済、文化、コミュニティをはじめとする様々な都市活動が活発に行われていく必要がある。都市活動の担い手は、言うまでも無く市民が基本であり、新婚・子育て世帯をはじめ幅広い世帯の市内居住を積極的に促進していくことが重要である。そのため、男女共同参画社会や国際化の進展等によりライフスタイルや価値観がますます多様化している状況を踏まえ、市民の住宅の選択肢を広げる多様な住宅ストックの形成など、幅広い居住ニーズに対応した施策を強力に展開していくべきである。また、市民が活き活きと、地域での生活をおくれることが、都市活力の向上には不可欠である。地域に根ざしたコミュニティは、活気に満ちた市民生活の基盤であり、その維持・形成を支援する取り組みが必要である。また、市営住宅ストックについても、地域の活性化に資する活用が求められ、建替えにあわせた周辺道路やオープンスペースの整理、建替余剰地を活用した福祉施設、生活利便施設の立地誘導など、まちづくりに貢献する事業展開を、民間活力も活用しながら進めていくべきである。
(4)環境と調和する住まい・まちづくり。地球温暖化の進行や異常気象の発生など、地球規模で環境問題が深刻化しているなか、都市レベルにおいても環境問題に対する取り組みはますます重要となってきている。特に、わが国で排出される温室効果ガスの約3分の1は、住宅や建築物から排出されており、省エネルギー技術や再生可能エネルギーを活用した住宅の供給、リフォームや適切な維持管理による住宅・建築物の長期利用、既存住宅流通の円滑化によるストックの有効活用等を促進するなど、環境負荷の低減を図る施策を展開していくことが必要である。また、大阪市では、都市がコンクリートやアスファルト等で覆われていることや、エネルギー消費に伴う排熱の増加などにより、気温が周辺に比べて高くなる、ヒートアイランド現象が大きな問題となっており、住宅・建築物における対策が求められる。
ここまでが施策の方向性でございます。
続きまして、資料5ですが、施策展開にあたっての視点の案文を読み上げさせていただきます。
(1)市民との協働。住宅政策の推進にあたっては、市民ニーズに応じた実効性のある施策が、課題解決に向けて継続性・持続性をもって展開されていくことが重要である。そのためには、基礎自治体として担うべき役割・責任を果たしつつ、市民や企業、様々なまちづくり団体等との協働により各種施策を進めていくという視点が不可欠である。とりわけ、魅力ある居住環境づくりや、密集市街地の整備、防犯性の高いまちづくりなど、地域特有の課題を踏まえ、長期的なビジョンをもって、着実に進めていかなければならない分野においては、地域の方々と共に取り組むもとが求められる。また、持続的なまちづくりを進めていくためには、地域住民による自立的な取り組みも重要であり、行政はこうした市民活動をサポートしていくことが求められる。市民と行政のプラットフォームづくり、市民活動のバックアップなど、「市民協働」を前提とした施策の推進が必要である。
(2)ストックの有効活用。人口減少社会の到来、ライフスタイルの多様化などを背景とした、いわゆる「成熟社会」においては、量的な拡充と充足の追求から、質的な充実を図っていくということに重点が移されるべきである。大阪市の住宅政策を取り巻く状況においても、総住宅数が総世帯数を上回り、数的な充足が当然の状況であるだけでなく、これまでの長い都市居住の歴史のなかで形成されてきた住宅や建築物、まちなみなどの多彩な地域資産や、地域を愛し、まちづくりに取り組む多くの人的資源とそのネットワークなど、ハード、ソフトにわたる多様なストックが蓄積されてきた。「フローからストック重視」の視点に立って、人・もの・ネットワークの資産を最大限に活かした施策展開が求められる。
(3)多彩な情報の発信・交流。市民のより良い暮らしを支援していくうえで、大阪市が実施する各種施策に関する情報はもとより、民間事業で実施しているサービスを含め、居住にかかわる各種の情報が、必要とする方々に的確に届くことが重要である。また、情報に対する市民ニーズは多様化・高度化しており、これらのニーズに的確に対応できるよう相談や情報提供の充実を図るとともに、市民と行政あるいは市民どうしが情報交流できる、多方向の情報ネットワークを構築していくことも重要である。また、居住地としてのブランド力など、都市魅力の向上に向けたイメージ戦略においても、情報発信の果たす役割は極めて大きく、民間企業やまちづくり団体等とも協働した取り組みが求められる。こうした視点に立って、住宅・まちづくり施策の推進においては、情報社会の進展も踏まえつつ、「情報の発信」を重要なツールと位置づけた展開を図る必要がある。
(4)様々な分野との連携・強力。市民ニーズの多様化・高度化が進むなか、政策分野間の適切な役割分担に基づく施策連携による総合性のある施策展開が一層重要となっている。住宅施策においても、福祉、環境、教育、文化、経済、消費者保護など、様々な関連分野との整合をとりつつ、施策効果を相乗的に高めていくとともに、地域と密接な関係を有する区役所との連携を一層強化し、地域ニーズによりきめ細かく対応した展開を図っていくことが必要である。
(5)先導性の発揮。都市としての永い歴史をもち、我が国有数の大都市である大阪市は、少子・高齢化の進行、密集市街地の存在、マンションの老朽化、ヒートアイランド現象等の環境問題など、都市に共通する課題が先行して顕在化してきている。また、活力の低下、コミュニティの沈滞化を逸早く経験した都市として、魅力創出・活性化といった、地域に根ざした積極的なまちづくりについても、極めて高い必要性と動機をもつ。地方分権への動きが着実に進むなか、大阪市の住宅政策の展開にあたっては、大都市としてのプライドと気概をもって、都市が抱える共通の課題を解決し、持続可能な都市へと発展するモデルとなり得る先導的な施策にチャレンジしていく視点に立つべきである。
(野口住宅政策担当課長)
続きまして、フレームの一番右端にございます取り組む施策ということで、資料8の説明をさせていただきます。
この資料は、資料2で整理をいたしております7つの分野ごとに、企画委員の皆様のお知恵をお借りしまして、施策(案)として表にまとめさせていただいたものでございます。分野ごとに中ほどに、今後取り組むべき主要な施策(案)として、新規あるいは既存性能拡充といった新たな取り組みを取りまとめております。そして、その右の欄に継続して取り組む主要な施策として、今後も引き続き進めるべき既存の制度を整理させていただいております。記述している施策(案)につきましては、現段階ではアイデアレベルで、さらに具体の検討が必要であります。事務局での現段階の整理状況ということでご理解を賜りたいと存じます。
それでは、新規・拡充の施策(案)について主なものをピックアップしながらご紹介をさせていただきます。
まず、1ページの(1)の魅力あるまちづくりと居住文化の継承の分野でございますが、HOPEゾーン事業の推進をごらんください。HOPEゾーン事業につきましては、現在実施しております平野郷、住吉大社周辺、それから空堀、天満などに加えまして、地域の動きにあわせて新たな地区での実施を検討いたしますとともに、事業地区内におきまして、これまで建物の修景事業を中心にしたものに加えまして、地域の雰囲気に合わせた、例えば道路舗装の美装化といった公共施設整備についても積極的に進めて、より効果的なまちづくりを展開していこうというものでございます。
また、地域資源のさらなる活用では、HOPEゾーンといった地区指定によらず、全市的にまちなみの重要なポイントとなる歴史性、あるいは文化性のある建築物について、修景や耐震改修の支援を行いまして、まちの魅力の資源として高めていこうという提案でございます。
居住地魅力の再発見と情報発信では、「わが家・わがまちコンテスト」は魅力あるまちづくりに貢献する自慢の住まいやまちを、自薦他薦を問わず募集しまして、コンテスト形式で表彰して、ホームページなどでその内容を広く情報発信するというもので、受賞作品の見学会などイベントや、新たなHOPEゾーン事業への展開としていくことも期待しており、市民協働にも魅力あるまちづくりの新たな入り口になる施策として考えております。
次に、(2)安全・安心なまちづくりの分野ですが、まず、1の密集市街地の整備の項目についてですが、既存施策の欄にございますように、これまで老朽住宅の建替え支援、幅員の狭い道路の拡幅整備、まちかど広場の整備など施策メニューとして多様な施策に取り組んできているところでございます。こうした施策は引き続き力を緩めることなく進めていき、新たな取り組みといたしまして、密集市街地になお多く残されております、現在の法律上では道路とみなされない細い通路にしか接していない敷地、いわゆる未接道敷地といったところなど、法律上建替えが非常に困難になっている老朽住宅の建替えを進めるための支援など、これまで不十分であった施策への展開が必要という提案でございます。また、2の建築物の耐震化の促進の項目では、例えば家具固定の方法でありますとか、震災に備えるための総合的なガイドブックの作成、そういったものの情報発信による普及啓発の強化をお示しさせていただいております。また、3の地域防犯・防災性の向上の項目では、既存制度の引き続き実施とあわせまして、今年度にスタートいたしました防災力強化マンションの認定制度の拡充策といたしまして、新築の際に容積率や高さ制限を緩和する総合設計制度を活用することによりまして、防災力強化マンションの供給促進を行うといった施策を提案しております。
(3)環境に配慮した住まい・まちづくりの分野でございます。環境に配慮した先導的な住宅の整備促進の1番目に、仮称ですが、環境配慮型住宅供給促進事業創設というのがございます。これは省エネ性能や敷地内の緑化であるとか、環境に関する一定の基準を満たす新築のマンション等を市が認定を行う認定制度、またその認定住宅を購入する際の購入者へのローン利子の助成制度などパッケージ化したものを想定しております。
また、市営住宅や公社住宅の建替え時に先進的な環境配慮型の設計をモデル的に導入するプロジェクトの実施について、こういう形で提案をさせていただいております。
既存施策との連携では、1つ目にヒートアイランド対策といたしまして、一定規模以上の新築建築物の設計に義務づけをしております大阪市建築物総合環境評価制度のCASBEE大阪、その充実活用を図りますとともに、住宅・建築物における蒸散設備等の整備誘導にございますように、冷房等による環境負荷の低減を図りますために、屋上散水でありますとかドライミスト装置の設置支援について施策案として掲げてございます。
続きまして、(4)住宅ストックの再生・有効活用の分野でございますが、ここでは既存の住宅をどのように有効に活用していくのか、また長く使える住宅をどのように増やしていくのかといったことに対する施策分野でございます。最初の項目の住宅の長寿命化につきましては、できるだけ長く住宅を使っていただくという観点から、国で法制度化された長期優良住宅制度がより進むよう、市独自の登録制度でありますとか表彰制度等を実施して、その普及啓発に強化を図るということと、適切なリフォームの促進のために信頼できるリフォーム事業者について情報提供を実施していくと取り組みを挙げております。次の2既存住宅の流通支援でございますが、中古住宅の市場価値を高め、住宅の長期利用を進めていくための取り組みでございまして、住宅売買時の第三者評価を行う専門家の紹介制度検討、あるいは売買時に留意すべき点をわかりやすくまとめたマニュアルの作成、さらには住宅の状態を市場に出た場合に客観的に知ることができるように、住宅の保守でありますとか改修の履歴情報をいわゆる家歴書という形で蓄積できるシステムづくりなどを施策案として掲げております。4市営住宅のストックの有効活用と地域のまちづくりへの貢献の項目につきましては、老朽化した市営住宅の建替え事業や耐震改修に着実に取り組みますとともに、市営住宅が市民共有の財産であるという視点に立ちまして、余剰敷地や空き住戸等について、団地周辺を含む地域のまちづくり、あるいはコミュニティ活動により積極的に活用していただくような施策の方向を示ししております。
(5)幅広い都市居住ニーズへの対応の分野でございます。1の新婚・子育て世帯の市内居住の促進につきましては、主に若い世代の市内居住の促進に向けた取り組みとなりますが、現在実施しております新婚世帯向け家賃補助や子育て世帯向けの分譲住宅購入融資利子補給制度、また子育て安心マンション認定制度等の各種の制度について、施策効果も適宜見ながら効率的に実施していくことが必要としております。また、子育て世帯向けのゆとりある良質な賃貸住宅供給の促進といった施策案もお示ししております。また、3の外国人の居住ニーズへの対応の項目では、市の活性化にも資するということで、例えば外国人ビジネスマンなどの居住ニーズにもこたえられる良質な住宅でありますとか居住関連施設を備えた住環境整備がモデル的にでも進められないかといった提案でございます。
次に、(6)より確かな居住安定に向けた取り組みの強化の分野についてですが、まず1の高齢者・障害者等の入居支援といたしまして、高齢者や障害者等の入居に積極的な民間賃貸住宅等の情報提供につきまして、あっせんを行うというか、あんしん賃貸支援事業がございますが、提供する情報内容の充実を図りますとともに、民間の家賃債務保証会社との連携による入居支援策の検討なども施策として掲げております。また、居住安定施策につきましては、ナショナルミニマムの観点ということから、国の役割も非常に大きいところがございます。こうした施策の体系整理につきまして、国への要望も必要であるという趣旨を示しております。3住宅のバリアフリー化の促進につきましては、ハード部分で居住安定に向けた重要な項目でございまして、マンションの供用部分のバリアフリー化に対する建築技術的あるいは法的な相談などの支援強化でありますとか、高齢者がお住まいの住宅への手すりの設置などについてアドバイスを行っているケアマネジャー等への技術的な研修や相談を実施するなどの施策を実施していこうというものでございます。
最後に(7)総合的な住情報機能の充実でございます。これは、市民サービスとして相談、情報提供、あるいは大阪の魅力やイメージを高めるための情報発信など、情報をツールにした積極的な施策展開を図ろうという視点を受けたものでございます。施策の間口としましては非常に広く、重要な分野であると考えております。1多様化・高度化するニーズに応える住情報の提供・相談体制の強化ですが、これは住まい情報センター発足以来の永遠のテーマで基本とも言えるものでございまして、センターでの相談が年々ふえ、また内容も時代背景によりさまざまに変化しています中、相談についてもきっちりとかつ柔軟に対応していくということが重要となっております。特に高齢化などを背景に住宅の日常のメンテナンスについてでありますとか、修繕、あるいは業者選びなどについての相談体制の整備が必要になってございます。また、2大阪の多様な魅力の情報発信の項目につきましては、文字どおり大阪のまちの魅力情報を幅広く広域的に発信して、イメージアップでありますとか愛着につなげていこうというもので、現在のハウジングデザイン賞を発展させまして、さらに建物の維持管理でありますとかマンションなどにおける地域のコミュニティづくりへの貢献といったソフト部門の表彰を加えたハウジング賞という形での充実を実施するという提案でございますとか、多様な居住地魅力の情報の発信のところで、現在取り組んでおります住まい・まちづくりネットワークの情報の中身でありますとか、タイアップイベントの充実などの提案をしております。3住まい・まちづくり学習機能の充実につきましては、住まい・まちづくりの学習実施を挙げております。大阪のまちや住まいの魅力について、市民の皆さんの理解を深めていただくといった学習プログラム、あるいは生活者、使い手としての住まいの知識、また住宅の売買や貸し借りなどの消費者としての住まいの知識など、住まいに関する幅広い学習ができる仕組みを住まい・まちづくり学習として子どもから大人までできるだけ幅広い世代を対象に住まい情報センターを核に、教育や消費者行政などと連携し実施していくという施策方針でございます。
以上が現段階で検討しております今後取り組むべき施策の内容でございます。
最後に資料9につきましてご説明をさせていただきます。
基本目標につきましては、資料2の答申フレーム(案)のブランクになってる部分に入るものでございます。4つ掲げている施策の方向性の全体を受けた理念を示す、いわば答申の表題的なものでございます。短い文章なので読み上げさせていただきます。
成熟社会にある現在、市民が住まいやまちに求めるものは、まず、安心を支える基盤としての役割である。また、まちの魅力は市民生活に豊かさを与える重要な要素であり、快適な環境や永い歴史を持つ居住文化などの魅力が市民の中にしっかりと根付くことにより、住む人の愛着や誇りを育み、住みたいまちとしてのポテンシャルが一層高められる。住みたいまちの実現は様々な都市活動の源となる人口の市内居住を促進させ、まちの元気を確かなものとする。さらに、大切なことは、まちを次世代へつないでいく持続可能性の確保である。地域のコミュニティや人のネットワークはもちろん、地球規模までも視野に入れた環境をより良い形で、将来に引き継いでいくための取り組みを、市民との協働のなかで進めていくことが重要である。こうした考え方に基づき、各種の施策を総合的に推進し、活気ある多様な居住をめざすべきである。
というものでございます。キーワードとしてはそこにございますように活力、安心、環境、魅力、市民協働といったものが考えられると思います。その下に、事務局から参考といたしまして基本目標の案を5つほど挙げさせていただいております。それぞれキーワードのどの部分に重点を置くかということでちょっと言い方を変えているということでございます。なお、一番下の「活気あふれる多様な居住の実現」、サブタイトルで「~○○○○○○○をめざして~」とありますけども、一番下にありますように現在の答申目標をそのまま踏襲したもので、大きな方向性については変わらないというような視点に、例えばサブタイトルのほうを新たなものにすることによって、新たな基本目標とするとの考えで挙げさせていただいたものでございます。あくまでも参考でございまして、議論のたたきとしてお示しさせていただきました。
資料についての事務局の説明は以上でございます。よろしくお願いします。
(三輪会長)
どうもありがとうございました。
それでは、本日のこの議題について意見交換に入りたいと思います。資料につきましては、逐条審議で見ていただくのではなく、大意をちゃんとつかんでいるか、委員の皆様のこういう中身を織り込んで最終的に答申でまとめていきたいという思いとずれがないかなどのご指摘をいただければと思います。それについて、事務局でまた手を加えていきたいと思います。
それでは、まず資料3の現状と課題については、小見出しのところを改良しておりますのと、それぞれの前文をつけたというところで、先ほど前文だけ朗読しておりますが、そのあたりについてのご質問、あるいはご意見ございましたらどうぞお願いいたします。何かお気づきの点ございませんでしょうか。
事務局からの説明を聞きながら考えておりましたが、3ページ、住宅ストックの前文の第2段落のところに中古住宅の購入に際して購入者がいる一方で、これはもしかすると例えばそれの売買に当たって、今自分の持ち家に住んでらっしゃる方がどのぐらいで売れるのかというようなデータを欲しいというような状況があると思います。最終的な購入者がいつも存在するとは限らないわけで、中古市場に出したいときにどの程度の価格が一番妥当かを他の誰かに見てもらいたいと想定しますと、中古市場での中古住宅の流通というようなことを考えたら、購入だけでなく売買の関係において、その物件の良否を判断するための必要なデータが欲しいというようなことも含めたらと思いました。
資料3の1ページ、人口の都心回帰という見出しですが、今の経済状況から想定するとオフィスビルより住宅のほうがその後の有効利用の可能性が高いかなという目で見てるなかで、この数年間は人口の都心回帰とあるように、都心の人口は増えてきているのですが、一方で特に大阪市の南部のほうの区で人口の減少が著しい。過去においては、大都市はドーナツ化という認識が定着していましたが、現在は逆ドーナツ化が見てとれます。この資料のなかで言われている都心回帰というのは、ニュータウンなど郊外からの都心回帰ということなのか、比較的大阪市内あたりを視野に入れた都心回帰なのか、教えていただきたいと思います。
ありがとうございます。事務局お願いします。
本日配布している資料の中には具体的な図などが入っていませんが、どちらかだけということではなくて、もちろん市内の中でのいわゆる区間の移動、周辺区から都心区への移動というのが、都心区から周辺区への移動よりも数が多いということもございます。それ以外に、今委員からご指摘のございました郊外の住宅地から大阪の都心部に帰ってきておられるという方と両方が入っております。市内で新しくマンションが建ったとき市外からこられるか市内からこられるかを見ますと3割、4割ぐらいが市外からこられるという荒っぽい情報があったと思います。両方の状況が入って大阪市内の都心部に人口が戻ってきています。
少し補足させていただきますと、本日お配りしています資料7の5ページ、5歳階級別の人口増減率というグラフを載せております。これは、ある年齢層、例えば25歳から29歳の年齢の方が、5年たちますと30から34歳になられるということで、5年たったときにその年齢層が増えているか減っているかということで、もちろん出入りがありますので出る方、入る方、例えば100人おられて、10人出られて15人入られたら105人になりますが、そのときの105人と100人の増減率というのをグラフにしたものでございます。ゼロになっているところは、その年齢層は、出入りはあるけれども、出と入りが同じということで、このゼロの線よりも上に出ている部分は、その年齢層は5年間でふえたということ。下にへこんでいる部分が5年間で減ったということでございます。上のほうのグラフは大阪市全域を示しておりまして、24区全体で見ますと20から24歳あたりはプラスの傾向が引き続き続いています。25から29歳のところは、以前は昭和60年代にはマイナス10%近くあったのが、現在はプラスマイナスゼロになっておると。あと30から34、35から39あたりは引き続き減少傾向にはありますが、減少の幅は少しずつ縮小してきているというのが全市的な傾向でございます。それを都心6区、いわゆる環状線の内側に当たります6区だけを見たのが下のグラフでございまして、黒い四角が最新の平成12年から17年でございます。こちらを見ていただきますと若年層、20から24あたりの大きな増加だけでなく25歳から29歳、その後ずっと40代ぐらいまでのところについて、各年齢層で増加傾向になっているということで、比較的都心部のほうにはいろんな年齢層の方が増加傾向になっておるという傾向が見ていただけるかと思います。いわゆる市内だけの移動でなく、市外も含めての人口回復傾向が都心部で見られるということでご理解いただけたらと存じます。
何かご発言ございませんでしょうか。
資料3の(5)地球温暖化についてですが、私はこの前文に個人的には、緑という言葉が欲しいと思います。13ページの最後に緑化の問題が取り上げていただいておりますが、緑というのは阪神大震災の際にも植樹、緑が火災の延焼を防いだという実例があります。その前の項目(4)にも関連すると思いますが、前文の中に緑という文字が欲しいなという気がいたします。
ありがとうございます。目を配っていただく範囲が資料3番だけじゃなくて4番、5番ぐらいまで広げて何かお気づきの点がございましたらご発言いただけましょうか。資料4も逐条審議で細かく見てくださるということじゃなくて、大きく、課題のつかみ方でずれがないかどうかというご発言でも結構ですのでお気づきの点がございましたら、どうぞよろしくお願いします。
全体としては、年齢層に関わらず、幅広い世代が住みたいと感じ、永く暮らせるまちということを考えて、お年寄りや単身世帯が増加し、その方の収入が減少し、持ち家よりも賃貸での意識が多いなかで、できるだけ自活できる情報提供をしたり、あるいは、先ほど会長も言われていましたが、土地つき一戸建ての家を持ってらっしゃる方が高齢化してくると、自分の家を手放して福祉住宅に入りたい、あるいはケアのついた建物のところに入りたいときに、幾らぐらいで自分の持ち家が売却できるのかという情報提供は大事であると個人的に思います。また、建物だけではなく、環境など地域ごとの特色がわかれば居住地を選択しやすくなるので、そのような情報提供も必要だと思います。大阪市として活力あるまちづくりというところを頑張っていただけたらと思います。
ありがとうございます。他にご意見ありませんか。
全体のフレームとして、住まいからまちづくりまで環境も含めて幅広く、課題があると思いますが、住宅審議会ということですので、住まいというところだけを見てみたときに、例えば課題のところでは2番のところに住宅ストックの問題が詳しく書いておられますが、新築の建物の評価や今後の誘導の施策というところが大きな課題の中にキーワードとして出てきていない感じがします。そういうものは余り取り上げないのか、あるいはそういうものは十分だからもういいのかという、どういうスタンスでこれをおつくりになったのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。
例えば現状の2、一層の改善・向上が求められる住宅ストックというのは、これはすごくインパクトがありますが、よく読んでみると新設住宅のことも書いてあります。そうすると、こういうタイトルのつけ方がふさわしいのか、全体のバランスとしてふさわしいのかどうかというところはどういうふうにお考えなのかお伺いしたいと思います。
事務局、お願いします。
住宅ストックを改善・向上というのは、今ご指摘いただきましたように既存のストックについてリフォーム等でよくしていくという面で、供給されるものがある程度一定の水準を満たしていくということがないと、ストック全体がよくならないという発想ではおります。少し書き込みが新築について薄いというところについて、また検討させていただきますが、ある程度新築供給に対して誘導促進策ということで受けて、供給面についてもいいものを誘導していくという方向は持ち続けてやっていくべきというスタンスであります。
基本方針に触れる話だと思いますので、市のほうで何かあれば。
新築の新規の住宅供給について、それぞれの目的のところで、例えば新婚や子育てに優しいような施策を行ったり、例えば実際に建てるときの建築指導の分野で、総合設計制度とかいうような形で良好なマンション供給する、またさらにそれにCASBEEという環境を配慮した性能を持たせて住宅供給していくといった、それぞれの分野でいろんな取り組みをしておりますが、今委員ご指摘ございましたように住宅ストック全体の話の中で新規ということについてのご指摘もございますので、またそれは企画委員の皆様方ともご議論していって、少し構成や表現についてはまた検討させていただきたいと思います。
見出しの住宅ストックという表現と具体的な個別施策に少し矛盾がありますが、決してやらないというわけではありません。見出しを見たときに出てないなという感じになりますので事務局として表現の整理を行いたいと思います。そのほかに、資料4、資料5についてはいかがでしょうか。資料5の1ページ一番下の2行のところで、「フローからストック重視」の視点に立って、ここのところの人・もの・ネットワークの資産を最大限に活かした施策展開の意味がよくわからないので、もう少し丁寧に説明してほしいと思います。資産という言葉がなぜここで出てくるのか、つながりがよく見えません。
資料5(4)様々な分野との連携・協力のなかで、区役所との連携を一層強化という表現があるのですが、この主語というのは大阪市になるわけですよね。そうすると、この区役所というのは市の1つの組織であるわけですから、第三者の方がこれ読まれると、市と区役所というのは別組織かと、連携がうまくいってないのかという誤解を生みかねないという違和感を覚ました。
ありがとうございました。
ほかに何かございませんでしょうか。特にないようでございましたら、きょうご発言いただいた問題点は個々に対応します。一応きょう見ていただいた文案を基礎にして最終的な答申書を組み立てていくという作業を進めていきたいと思いますので、それはご了解をいただきたいと思います。
それから、基本目標のところのキーワードという紙がございまして、1枚物ですが、これは案があるわけではなく、本日いろいろと意見交換をしていただくきっかけになればということで、コンセプトという紙を用意しております。このあたりにつきまして何かご発言、お知恵がございましたら、お願いします。
前回の答申のときは「まちに住まう新時代をめざして」が、副題についてございました。全体の大きい見出しのほうは「活気あふれる多様な居住の実現」が大きな表題でございました。今回は、大きな流れとしては、それほど前回とは路線が変わったわけでございませんで、非常に基本的なことを着実に粛々と積み上げていくというのが基本姿勢で、それを確実に取り組むということでございます。
それから、諮問が行われた審議会の際に、市長が、特に愛着の持てるような住まいづくりとかまちづくりということをおっしゃっておられました。安全・安心に加えて、愛着を持てるというのが1つキーワードにございました。
それから、今回少しウエートが高くなったのは、市長の方針とあわせて、一緒にやろうという協働、物を一緒につくっていこうとか、工夫を凝らそうという協働というキーワードが今回の作業の中に出てきております。
基本目標(案)の下のほうにサブタイトルで何々をめざしてという、これは多分何々をめざしてというのを何か提案するということだと思いますが、今、会長のお話をお伺いしてると、私は、実は随分20年以上前に出した「まちに住まう」という本のテーマがあるという、私自身の愛着もあるのですが、むしろ「まちに住まう新時代をめざして」というのは残して、上のテーマを今の愛着とか協働とかいう言葉を使ってはどうかと思います。
非常に貴重なご意見ありがとうございました。
「まちに住まう」という大阪の住居の歴史がございますね。非常に大事な基礎文献がございまして、どこかの資料の年表の中にあの本をつくったというのがございましたが。
本日の資料1、前回の質問事項についての3ページ、大阪市における住宅施策の変遷の年表の中の一番下の段、住情報の発信という欄の平成元年のところに「まちに住まう 大阪・都市住宅史」の刊行ということで、この発行までに3年間ぐらいの調査研究を踏まえて、元年に発行されております。
大阪市HOPE計画が策定されてから20年経つわけですね。それから住まいの絵本をつくったり、この「まちに住まう大阪・都市住宅史」を作ったりして、HOPEゾーン事業の話が具体的に平野のほうから始まったわけです。いろいろこのときは住宅関係のプロジェクトがございまして、それからそれが一番形をとったのが大阪くらしの今昔館でありました。だから、非常に大事なキーワードであるわけですね。ご提案ありがとうございました。
ほかに何かまたいろいろアイデアがございましたらご発言いただければと思います。
(5) 今後の進め方
(三輪会長)
特にないようでございましたら、また何かお知恵がございましたら事務局あてに連絡いただければと思いますが、本日用意してきました最終報告のまとめに向けてのいろんな準備についてはほぼご了承いただきました。若干の修正点はまだ幾つか本日ご意見として出していただきましたので、そういう点を加えて最終的に成案をまとめるように作業を進めてもらうことにしたいと思います。
次回が最後になるときは成文(案)を、答申書の文案をでき上がったものを見ていただいて確認をしていただくということになろうかと思います。それに向かっておよそこういう筋道で準備をさせていただきたいと思います。それから、企画委員の先生方また途中でいろいろ具体的なアドバイスをいただきに上がるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
(6) 閉会
(三輪会長)
本日の議題、予定の作業については大体終わりましたので、これで議題を終わらせていただきます。後の進行は事務局のほうでお願いいたします。
(酒井都市整備局企画部長)
会長、委員の皆様、長い間にわたりまして、どうもありがとうございました。
6.配布資料
(1)【資料1】前回審議会における質問事項について(下記参照)
(2) 【資料2】住宅審議会の答申フレーム(案)(下記参照)
(3) 【資料3】大阪市の住宅政策を取り巻く現状と課題(案)(下記参照)
(4) 【資料4】今後の施策の方向性(案)(下記参照)
(5) 【資料5】施策展開にあたっての視点(案)(下記参照)
(6) 【資料6】制度・用語等の解説(案)(下記参照)
(7) 【資料7】住宅事情関係資料(案)(下記参照)
(8) 【資料8】今後取り組むべき分野と主要な施策(案)(下記参照)
(9) 【資料9】『基本目標』のコンセプトについて(下記参照)
会議配布資料のダウンロード
【資料1】住宅審議会における質問事項について(pdf, 209.25KB)
【資料2】答申フレーム(pdf, 155.94KB)
【資料3】大阪市の住宅政策を取り巻く現状と課題(pdf, 274.54KB)
【資料4】今後の施策の方向性(pdf, 140.37KB)
【資料5】施策展開にあたっての視点(pdf, 129.28KB)
【資料6】制度・用語等の解説(pdf, 181.03KB)
【資料7】住宅事情関係資料(pdf, 907.29KB)
【資料8】今後取り組むべき分野と主要な施策(pdf, 248.23KB)
【資料9】基本目標について(pdf, 91.07KB)
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