生きた建築ミュージアム・大阪セレクション　BAR川名

2022年にこの世を去った大阪のインテリアデザイナー、野井成正が手がけたバー。線と面の構成、素材と光のニュアンスを大切にした野井は、ここでは細長い空間を活かしつつ、束ねた長い杉の角材をあえて水に浸け、乾燥で捻れる隙間から間接光が漏れるボトル棚を背面にデザインした。木材のテクスチャーを石膏で塗りつぶす遊び心が野井らしい。図面もほどほどに、現場で自らも手を動かしながらつくりあげていく独特の空間は、多くの人々に愛されてきた。法善寺横丁の路地空間にある「川名」は、2002年の火災で延焼を受けたものの、野井の空間を修復して今も営業を続けている。（髙岡伸一）

※解説文は2023年度の選定当初の内容です。

［所在地］大阪市中央区難波1-1-8

［建設年］1992年

［設　計］野井成正（内装）