生きた建築ミュージアム・大阪セレクション　はり重道頓堀本店

2025年4月3日

ページ番号：647221

選定

令和5（2023）年　選定

撮影｜西岡　潔

［解説］

はり重は1919（大正8）年に堺で創業、新世界にすき焼き屋兼精肉店を経営した。
道頓堀に本店を設けたのは1948（昭和23）年のことだ。松竹座の西側を占めていた二軒の茶屋と婦人子供服店などの土地を取得、3階建ての新たな店舗を建築する。
道頓堀側のファサードが印象的だ。三層ともに、軒庇として同じ切り妻の破風を三つ連続させ、全体の基調とする。1階は、精肉店、すき焼き店など業態ごとに異なる趣向の入り口を設ける。分割することで、複数の店が並んでいるように見せる工夫が面白い。
2階と3階は、北面・西面ともに大壁の表面に太格子風の意匠を配置するが、階ごとにまた場所ごとにその配置を違えている。御堂筋と道頓堀との交差点側の隅には、屋根を張り出しつつ、灯籠風のサインを掲げる。伝統的な茶屋建築を連想させるモチーフを多用しつつ、壁面全体をグラフィカルに構成する。モダンな和風の店舗建築である。（橋爪紳也）

※解説文は2023年度の選定当初の内容です。