生きた建築ミュージアム・大阪セレクション　原田産業株式会社大阪本社ビル

船場の近代建築が注目されて久しいが、まだ知られざる名建築が存在する。人気のショップが多く入居する大阪農林会館のそばに建つ、1928年に建てられた原田産業株式会社大阪本社ビルもそのひとつ。船場に典型的な間口の狭い敷地に建つ2階建ての洋館は小ぶりだが、古典的な左右対称をわざと崩した重厚なエントランスが目を引き、バルコニーをもつ大きなガラスの開口部の裏には、吹抜のホールと優雅な階段が設えられている。1923年創立の歴史をもつ原田産業が、ずっと大切に本社として使い続けてきた。小笠原祥光は、御堂筋の拡幅に合わせて1931年に建てられた、伊藤萬商店で知られる建築家。（髙岡伸一）

※解説文は2014年度の選定当初の内容です。

［所在地］大阪市中央区南船場2-10-14

［建設年］1928年

［設　計］小笠原建築事務所（小笠原祥光）