生きた建築ミュージアム・大阪セレクション　伏見ビル

青山ビルの西隣に建つ伏見ビルは、1923年にホテルとして建てられたといわれている。現在ギャラリーとして使われている1階にはかつて理髪店があり、今も大きな鏡が残る他、ビリヤード場もあったという。エントランスから左右対称に上っていく階段や、廊下に沿ってリズミカルに並ぶ個室の扉は、確かにホテルの雰囲気を感じさせる。昭和のはじめに現オーナーの先代が取得しテナントビルとなったが、転用時には外観も含めて大幅な改修を施したとみられる。全体に丸みを帯びたアール・デコ調のデザインは、他の船場の近代建築とは趣の異なるやさしい印象。（髙岡伸一）

※解説文は2014年度の選定当初の内容です。

［旧　称］澤野ビルヂング

［所在地］大阪市中央区伏見町2-2-3

［建設年］1923年

［設　計］長田岩次郎