ページの先頭です

第38回大阪市ハウジングデザイン賞受賞住宅が決定し、表彰式及び講演会を行います

2025年12月22日

ページ番号:666863

 大阪市は、第38回大阪市ハウジングデザイン賞の受賞住宅を決定しました。つきましては、令和8年3月20日(金曜日・祝日)に「第38回ハウジングデザイン賞表彰式」及び「大阪市ハウジングデザイン講演会」を開催します。

 大阪市ハウジングデザイン賞は、魅力ある良質な都市型集合住宅の供給や、既存ストックの有効活用、良好な維持管理を行う住宅の普及を促進するとともに、広く市民の皆様や住宅供給に携わる方々の住宅に対する関心を高めていただくことを目的として、昭和62年度から実施しています。

 今回は、令和7年4月1日(火曜日)から6月20日(金曜日)まで、市民の皆様や住宅供給に携わる方々からの推薦を募集したところ、358件の応募が寄せられ、そのうち86件について第38回大阪市ハウジングデザイン賞選考有識者会議で意見を聴取し審査した結果、次のとおりに決定しました。

大阪市ハウジングデザイン賞

 「LIB MARK minamihorie」(西区)

大阪市ハウジングデザイン賞特別賞

 「しきの音 伶人」(天王寺区)

 「リブウッド大阪城」(都島区)

 「スペースブロック上新庄」(東淀川区)


LIB MARK minamihorie


しきの音 伶人
撮影:名執 一雄


リブウッド大阪城
撮影:新 良太


スペースブロック上新庄
撮影:CAt

 これまでの受賞作品は大阪市ホームページ「大阪市ハウジングデザイン賞について」からご覧いただけます。

第38回大阪市ハウジングデザイン賞

総評

 今回で第38回を迎える大阪市ハウジングデザイン賞の募集に対して、358件の応募をいただいた。前回までと同様に、新築分譲住宅の応募が多数を占める一方で、賃貸住宅の改修事例や既存住宅の維持管理などの応募も垣間見られた。そのなかで、小規模ながら住まいやまちに継続的に関わる人々の活動が読み取れる応募が生まれていることは大きな時代の変化を感じ取ることができるが、審査や選考は一層難しくなってきていることも事実である。

 選考有識者会議では、書類審査、現地審査を経て、上記の状況もふまえて、多面的な視点からメンバー相互の議論を重ねてきた。その結果、今回は、総合的な観点から評価される住宅に贈られるハウジングデザイン賞1件、特定の分野において評価されるハウジングデザイン賞特別賞3件を選定した。

 ハウジングデザイン賞に選定された「LIB MARK minamihorie」は、西区で約20年前に建設された賃貸集合住宅の改修事例である。地域ニーズに合わせた2戸1化などの改善を入居者の協力も得ながら丁寧に実施している点が評価された。

 ハウジングデザイン賞特別賞に選定された「しきの音 伶人」は、天王寺区に建つ新築コーポラティブ住宅である。大阪市都心の住まいづくり運動「都住創」の遺伝子を継承しつつ、多くの困難を乗り越えて実現を達成した過程とその成果が評価された。

 同じく特別賞に選定された「リブウッド大阪城」は、都島区に建つ新築事務所併存賃貸住宅である。自社ビルの建て替えに当たって、3階までを鉄骨造、4階〜8階を木造とする混構造を実現、集合住宅における中高層木造の可能性を探究した意義が評価された。

 同じく特別賞に選定された「スペースブロック上新庄」は、東淀川区に建つ既存賃貸住宅である。築27年の個性的なデザインの集合住宅ではあるが、建物に強い愛着を持ち丁寧な維持管理を続ける所有者と、独特の居住空間をうまく住みこなす居住者によって現代の都市住宅として健全に維持されている点が評価された。

(選考有識者会議座長・髙田 光雄)

大阪市ハウジングデザイン賞受賞住宅

LIB MARK minamihorie〔改造(リノベーション)・賃貸〕




所在地:西区南堀江4丁目
事業者:富士建設株式会社
設計者:有限会社デコラティブモードナンバースリー(graf)
施工者:富士建設株式会社
構造・規模:鉄筋コンクリート造、地上8階、31戸

【講評】

 2003年に竣工した鉄筋コンクリート造8階建 ワンルームマンションを2022年から2戸を1室にしてファミリー向けタイプに改造している。

 建築当初は本物件を含む周辺は事業所が多く単身需要が多かったが、近年は事業所が転出し、カップル・子育てファミリーの需要が急増しており、地域ニーズに合致した改造となっている。

 既存の入居者がいるため、両隣が空室になるタイミングでの改造となるが、棟内転居の提案により、改造居室を確保する他、エントランス改造では、工事の内容の丁寧な説明により、居住者への理解をとりつけて、住民の対話が生まれる空間の創出に努めている。

 2戸1の改造室は、回遊できる動線を意識し、可動式間仕切りにより自由な型式が創出できる。床に楢の無垢材を使用し、幼児にも安心な仕様としている他、壁面は紙クロスを導入し、汚損場所を低コストで補修できる工夫も導入しており、将来メンテナンスにまで考慮したストック再生の点が評価できる。

(選考有識者会議メンバー・難波 里美)

大阪市ハウジングデザイン賞特別賞受賞住宅

しきの音 伶人〔新築・コーポラティブ〕




撮影:名執 一雄

所在地:天王寺区伶人町
事業者:夕陽ケ丘伶人町コーポラティブハウス建設組合
設計者:アトリエ・ホロニカ 一級建築士事務所
     株式会社プラスプラン
     ユウ-プランプロジェクト(構造)
     有限会社 アスク設計(衛生設備)
     株式会社 ST設備計画(電気設備)
施工者:株式会社 日生建設
構造・規模:鉄筋コンクリート造、地上10階、9戸

【講評】

 上町台地西側に位置する伶人町は、かつて四天王寺舞楽の楽師たちが集住していた地区である。「しきの音 伶人」という名はその歴史に由来する。この場所に土地をもつオーナーの思いをもとに、コーポラティブ住宅が立案されたのは2016年、新聞の折り込みで居住者を募り、コロナ禍で頓挫し、建設費高騰から見直しを迫られ、9年の歳月が流れた。数々の難題を超えて成し遂げたことに脱帽するが、設計者は「すまいは買うものという意識がハードル」という。都心の集合住宅は、投機対象や商品としての価値ばかりが注目されるなか、地域コミュニティを大切に、自分たちですまいをつくり、豊かな暮らしを紡ぐことの重要性を改めて思う。これほどに労力をかけたすまいはレアかもしれない。しかし、コーポラティブ住宅の草分け・都住創の遺伝子を受け継ぎ、愛情をもって丁寧にすまいをつくることの意義は大きい。だからこそ難題を乗り越えることができたのだろう。そこに共感が寄せられた。

(選考有識者会議メンバー・大谷 由紀子)

リブウッド大阪城〔新築・賃貸〕




撮影:新 良太

所在地:都島区片町1丁目
事業者:オリオン建設株式会社
設計者:有限会社ビルディングランドスケープ
施工者:オリオン建設株式会社・株式会社新宅工務店特定建設工事共同体
構造・規模:木造一部鉄骨造、地上8階、25戸

【講評】

 大阪城の北、寝屋川沿いに建つ8階建ての集合住宅である。1階から3階を鉄骨造、4階から8階を木造とした混構造で、木造の採用は中高層住宅における先進的な取り組みとして注目される。事業主の建設会社は、この地に明治35年に木材店として創業した自社の歴史から、自社ビルの建て替えに際し、自社のオフィスが入る木造中高層賃貸住宅を構想したという。木造の中高層住宅という挑戦的な試みは、事業主の熱い想いに賛同する地元関係者や銀行の後押しによって実現された。木構造をそのまま現した居心地の良い木質の室内空間は、窓の外に大きく見える大阪城天守閣とともに、この住宅の大きな魅力となっている。

 国は、木材の需要を喚起し、森林の循環を促すとともに、都市での長期に渡る炭素の固定を目指して、中大規模建築物の木造化・木質化を推進している。その先には、都市を森のような環境にかえるという未来像が描かれる。そうした社会的潮流にあって本住宅は、木造中高層住宅の可能性を示すものとして評価できる。続く木造中高層住宅の登場を期待したい。

(選考有識者会議メンバー・中嶋 節子)

スペースブロック上新庄〔維持管理・賃貸〕




住戸内写真   撮影:有限会社桂
外観・模型写真 撮影:CAt

所在地:東淀川区豊新3丁目
事業者:有限会社桂
管理会社:有限会社桂
改修時アドバイザー:株式会社シーラカンスアンドアソシエイツ
構造・規模:壁式鉄筋コンクリート造、地上5階、22戸

【講評】

 大阪の中心にほど近い下町の密集エリアに、この小さな集合住宅は、その特異な形態にも関わらず、埋もれるようにひっそりと存在している。竣工後27年の時間を経て推薦されてきた。建物は、2.4メートルのモジュールの立体を組み合わせた構成で出来ている。RC壁式構造の一種であるが、壁が上下に通らない空間が構成できるという特性を活かして、外部との関係や住戸内部の立体的な空間の組み合わせによって、16.8平方メートル~34.8平方メートルの小規模な22の住戸が、18タイプの個性的なワンルーム住戸として提供されている。設計者自身が言うように、平面と断面の組み合わせは多様で、いわゆる図面だけから空間を想像するのが難しいほど、それぞれ広がりを感じさせる豊かな空間が実現・展開されている。その結果、この建物に愛着を持ち日常的に献身的な手入れ・維持管理を行うオーナーと、それぞれの居住空間を気に入り住みこなしている住民とに介在すると伺い知れるコミュニティには賃貸住宅としての豊かさを感じさせるものがあり、そういった建築への再評価も期待して、ハウジングデザイン賞特別賞にふさわしいと評価された。

(選考有識者会議メンバー・江川 直樹)

表彰式及び講演会

名称

第38回大阪市ハウジングデザイン賞表彰式

大阪市ハウジングデザイン講演会「借りて暮らす大阪ー愛着の持てるリノベーションー」

日時

令和8年3月20日(金曜日・祝日)13時~16時

場所

大阪市立住まい情報センター3階ホール(大阪市北区天神橋6丁目4番20号

次第

13時~14時 第38回大阪市ハウジングデザイン賞表彰式(賞状贈呈/講評/受賞住宅紹介)

14時15分~16時 大阪市ハウジングデザイン講演会

参加申込

詳細については、あんじゅネット | 大阪市ハウジングデザイン講演会別ウィンドウで開くをご覧ください。(講演会の詳細は令和8年1月下旬頃公開予定)

問合せ先

大阪市立住まい情報センター

  • 住所 〒530-8582 大阪市北区天神橋6丁目4番20号
  • 電話 06-6242-1160
  • ファックス 06-6354-8601
  • 開館時間 月曜日・水曜日~土曜日 9時~19時、日曜・祝日 10時~17時
  • 休館日 火曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日(日曜日、月曜日の場合を除く)、年末年始(12月29日~1月3日)
主催

大阪市/大阪市立住まい情報センター(指定管理者:大阪市住宅供給公社・アクティオ共同事業体)

協力

大阪市マンション管理支援機構

取材について
  • 取材を希望される場合は、前日までに都市整備局企画部住宅政策課民間住宅助成グループ(06-6208-9226)までご連絡ください。
  • 当日の取材受付は、12時30分から大阪市立住まい情報センター3階ホールにて開始します。受付で名刺受けまたは受付簿への記入をお願いします。
  • 取材に際しては、必ず「自社腕章」「社員証(記者証)」または「市政記者カード」のいずれかを見えやすいところに着用してください。着用がない場合、取材いただけないことがありますのでご注意ください。
  • カメラ取材については、所定の位置で動線の妨げにならないようにお願いします。
  • 取材中は、式の進行を妨げないよう、職員の指示、誘導に従っていただくなどご協力をお願いします。

探している情報が見つからない