大阪市立心身障がい者リハビリテーションセンター研究紀要
2021年12月20日
ページ番号:410711
研究紀要とは
大阪市立心身障がい者リハビリテーションセンターでは、障がいのある方とその家族の福祉の向上を図るため、医学・心理学・工学・社会学・職業などの分野にわたる総合的な研究を行っています。その成果について、「研究紀要」を発行し普及を図っています。最新号については、下記からご覧になることが出来ます。なお、過去の研究紀要は冊子形式で市民情報プラザ(大阪市役所1階)、大阪市立公文書館、大阪市立中央図書館でご覧いただけます。

研究紀要(第35号) 令和3年8月発行
【論説】
小児期における睡眠障害と自閉スペクトラム症~発達特性の早期発見と母子衛生向上のための行政課題~(PDF形式, 588.15KB)
近年、不登校などの小児期不適応に睡眠障害が大きく関与していることが明らかになっている。また、胎児期の母体生活習慣との相互作用による生体リズム形成不全が、自閉スペクトラム症(以下、ASD)発症に関与していることが複数の研究から示されてきた。胎児期だけでなく、出生後の小児期全体を通して、睡眠を改善することで、ASD行動特性が改善することも分かってきた。後方視的研究では養育者のメンタルヘルス改善に寄与する可能性も示唆されている。小児期の睡眠障害の本態は、生体リズム機構の破綻を基礎として、社会・心理的問題のみならず、認知機能、脳血流、自律神経機能、内分泌機能、エネルギー代謝、免疫系に変調を認めることである。このように根が深い問題であるため、治療に苦慮することも少なくない。そのため、できる限り早期からの睡眠衛生教育(以下、眠育)が望ましい。本論説では、胎生期からの眠育を通じて、その後の大阪市母子保健衛生に大きく寄与しうる眠育の取り組みについて提案する。
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【調査研究】
福祉用具支援サービスの技術移転に関する新たな手法の開発~Web形式セミナーによる教育システム~(PDF形式, 874.89KB)
令和2年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、感染対策として大人数や濃厚接触の回避を図る必要性があり、従来の講義・演習方式の技術移転手法を用いることが困難となってきた。当研究室でも、これまで技術移転を目的としてすすめてきたバリアフリー・スキルアップセミナーなどの開催も中止となった。そこで、技術移転に関する新たな手法として、Web形式セミナーを開発し、試験的に実施することとした。そのために、まず、国内外におけるWeb形式セミナーを調査し、セミナーの内容・方法などについて情報収集を行った。我が国では、講師によりスライド資料・実演等で講義が行われ、受講者からの質問はチャット等で受付け、それに講師が回答・コメントするような方法が多かった。それに対し、欧米諸国では、講師からの講義は所要時間の半分程度で、それ以外の時間は、講師と受講者間で活発な討論が行われていた。前者では、セミナーの実施成果は確認できないが、後者では、セミナーを通じた支援技術・サービスの一定の方向性が見出され、講師と受講者間で共有したものが得られていた。当研究室では、教材(テキスト資料、レポート、演習用の教材、復習用のビデオ・コンテンツなど)を事前・事後に受講者に配布し、講師による実技・実演に対し、受講者自身も教材を使って模倣・再現できるようにした。また、オンデマンド形式の資料、ビデオ・コンテンツも提供し、セミナー前及び終了後に、受講者自身でも予習・復習できるようにした。さらに、実際の福祉用具の活用場面を利用者宅より実況中継するとともに、利用者からの支援者への要望などを聞く機会を設けた。セミナーは計2回実施し、その結果については、受講者へのアンケート調査を行った。それらの結果も踏まえて、今後の課題と方向性についても検討した。これらをまとめ報告する。
福祉用具支援サービスの利用効果を促進するための情報リソース~利用効果に影響を及ぼす要因分析と支援方法の再構築~(PDF形式, 1006.60KB)
福祉用具支援サービスを提供する中で、利用者ごとに、その使用状況及び利用効果に差異が認められる。そこで、それらの原因・影響因子を分析し、支援サービスの利用効果を促進するための方策として、今後取り組むべき課題についてまとめることとした。まず、国内外における福祉用具支援サービス及び利用効果測定手法に関する文献調査を行った。欧米諸国では、基本概念に基づいた福祉用具支援サービスのガイドラインがまとめられており、それを基盤に科学的根拠に基づいた支援技術サービスが提供されている。特に、支援技術の適合プロセスを重視しており、サービス利用への影響因子である人的・技術的・環境的要素が複雑に関係性を持って、利用効果が決定づけられるとしている。次に、これらのガイドラインを参考にしながら、大阪市援助技術研究室(以下、当研究室と称す)がこれまで福祉用具支援サービスを提供してきた対象者の使用状況及び利用効果について、適合プロセスの分析も含めたモニタリング評価を行った。その結果、大きく2つの活用状況と2つの目的志向に分かれていることが確認された。前者は利用者自身が参加型で、提供される支援技術サービスを有効に活用し、個々の生活目標の実現が図れた積極的活用事例群と、人的要素や環境要素による影響を強く受け、サービスを有効に活用するに至らなかった消極的活用事例群であった。また、それぞれに、目的志向が明確な群、不明確な群がみられ、計4つのグループに分類された。今後さらに利用効果を促進させるためにそれぞれのグループに応じた福祉用具支援サービスのあり方・すすめ方を再考し、新たな情報リソースをまとめたので報告する。
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【報告】
新しい社会生活力プログラムの取り組みについて(PDF形式, 596.76KB)
大阪市更生療育センターでは機能の回復だけではなく、機能面を含む生活全般を向上させる支援に取り組んでおり、長年に渡りグループ単位にて社会生活力プログラムを実施してきた。従来行っていた社会生活力プログラムの充実を図るべく、今年度は導入編では社会リハビリテーションの取り組みが始まることを強調し、チャレンジ編では退所後に目標とする生活に応じて2グループに分けて取り組むといった改良したプログラムを実践した。その実践した内容を報告すると共に新たに見えてきた課題についても報告する。
認知トレーニング(コグトレ)を取り入れて(PDF形式, 641.60KB)
認知機能(記憶、知覚、注意、言語理解、判断、推論といったいくつかの要素が含まれた知能機能)とは五感(見る・聞く・触れる・匂う・味わう)を通して外部環境から情報を得て整理(認知)しそれを元に計画を立てて実行して、さまざまな結果を作りだしていく過程で必要な能力だと知られている。 大阪市職業リハビリテーションセンター(以下、センターという)に通っている高等学校、支援学校を卒業した訓練生(療育手帳所持者)を見たとき、「見る」力、「聞く」力が弱く伝えたいことが伝わらないことや指示に対しての行動が違っていたり言語と行動が一致できていない状況が多く、また身体的不器用さ(身体や手先がうまく使えない)が目立った。 このことから、認知機能トレーニングと認知作業トレーニングを取り入れることにより認知機能や身体能力を高めて就労に繋げていく報告をする。
発達障がいのある方のリモートによる就労支援と能力開発(PDF形式, 863.43KB)
サテライト・オフィス平野(以下、「当事業所」という)は、発達障がいのある方を中心とした就労移行支援事業所として開始し、就労前準備から就職後の支援を行ってきた。令和2年4月に新型コロナウイルスの蔓延化に伴い、臨時的な在宅支援を開始。8月に利用者アンケートを行った結果、リモートによる就労支援は、声が聞き取りにくい等ハード面の不備が見られたものの、コミュニケーションが増えるきっかけになる等、発達障がいのある方が集団の訓練で感じていたハードルを下げる貴重なツールであることが明らかとなった。そこで、WEB会議システムだけで行うグループワーク(以下、GW)に着手するなど改善を行い、再度12月にアンケートを実施。本稿では、リモートによる就労支援を紹介するとともに、WEB会議システムに特化したGWのアンケート結果を検証し、通所や対面によらない能力開発について言及する。
職業能力開発訓練施設の修了生実態調査からの考察(PDF形式, 504.39KB)
NPO法人全国就業支援ネットワーク「能力開発施設連絡会」では、全国13ヵ所の職業能力開発施設(以下、能力開発施設)を修了後6ヵ月から3年が経過している修了生666名の実態調査を行った。その結果、職業訓練を受講した訓練生の修了直後の就職率は92.4%(就労継続支援A型事業所を除く就職率89.0%)、定着率は82.2%(A型事業所を除く定着率81.5%)であることが明らかになった。能力開発施設は、障がいのある方が職業訓練を受講することで知識・技能を身につけ就職をするだけではなく、働き続けることで生活が安定し、自分らしい人生を送ることができるようにと支援を続けている。現在、障がい福祉サービスでは就労定着支援事業が制度化され、障がいのある方の就労支援は様々な選択肢がある。そのような中で、本稿では、能力開発施設の実態調査結果より今後の能力開発施設の課題や展望を考察していきたい。
CC(クリエイティブコモンズ)ライセンス
におけるCC-BY4.0
で提供いたします。
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研究紀要(第34号) 令和2年8月発行
【調査研究】
- 知的障がい者における樹木画テストの特徴
~樹冠に対する幹の高さからの検討~ - 親子通園の保護者への支援と理解
~日常の療育場面を撮影し、映像を見ながら子どもとの関わり方を学ぶ~ - 大阪市援助技術方式Smart Seating Systems for PD
~パーキンソン病による姿勢・動作障がいに対するシーティングシステムの構築~ - 災害対策としての医療機器・福祉用具の非常用電源確保の提案
~自助の整備と共助へつなげる取り組み~
【報告】
- 福祉用具支援技術サービスに関する国際連携
~福祉用具研究開発における国際連携の意義と目的~ - 公務部門における障がい者雇用支援のあり方について
~より良い働き方や支援のあり方を探る~ - 「働くためのカラダづくり講座」における報告・今後の展開
~障がいがある方の就労支援について~ - ペアレント・トレーニングが発達障がい児を養育する親のレジリエンス向上に与える影響
~実践報告会の参加者体験談から~
研究紀要(第33号) 令和元年7月発行
【調査研究】
- パーキンソン病による姿勢・動作障がいへの椅子の研究開発
~Smart Seating Systems Ver.3 for Parkinson's disease~ - 支援技術間の相互連携による福祉用具(補装具)の利用効果促進
~医学的リハビリテーションと補装具との連携について~ - 重度障害者用意思伝達装置の支援サービスのあり方・すすめ方
~筋萎縮性側索硬化症のコミュニケーション障がいに対する総合的な支援~
【報告】
- 車いす体験講習会等を通じて貰った大切なこと
~障がいのある方への理解 「感じる」「気付く」そして「行動」へ~ - 大阪市更生療育センター(更生部門)の現状と課題について
~社会資源であり続け、活きる力を高めるために~ - 在宅就業支援体制構築モデル事業の取り組みについて
- 職業リハビリテーションセンター 余暇活動の取り組みについて
- 知的障がいのある方における介護員資格取得・就労支援事業
~3年の取り組みについて~ - 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業を活用した支援の報告
研究紀要(第32号) 平成30年6月発行
【論説】
- 判定はいかに裁かれるか
~障がい者福祉行政訴訟判例からの考察~
【調査研究】
- 療育手帳の取得による社会的包摂
~成人後に手帳取得した人たちの「その後」から~ - パーキンソン病への総合的福祉用具支援サービスの構築
- 補装具費支給制度における貸与方式導入に関する考察
~リハビリテーション・エンジニアリングサービスの必要性について~ - 筋萎縮性側索硬化症への総合的福祉用具支援サービス
【報告】
- 親子分離型通園の導入について
~療育内容や療育環境・保護者支援について考える~ - ナビゲーションシート作成にかかるグループワーク
~自閉症スペクトラムの青年たちとともに~ - 農園生活による個と集団の変容
~自然農と“基地”づくりを通して~
研究紀要(第31号) 平成29年7月発行
【調査研究】
- 更生医療による人工関節等置換術の現状と今後の課題
~最近4年間の経年変化と障がい認定基準改正を踏まえて~ - FIMから見た身体障がい者通所肢体訓練事業の事業効果
~生活期リハビリテーションを支えるために~
【報告】
- 大阪市更生療育センターにおける通所訓練事業について
- パーキンソン病に対する福祉用具支援サービスの構築
~姿勢制御障害及び二次的脊柱変形に対するシーティングアプローチ~ - 障害者支援機器活用センター(仮称:テクノエイドセンター)構想
~国の動静を含めた今後の適正な福祉用具支援サービスのあり方・すすめ方~ - 難病の人への福祉用具支援サービスの構築への取り組み
~アドバイザリーサービスによる普及の促進~ - 発達障がいのある人の職業能力開発訓練
~『ジョブ・コミュニケーション科』の開設~ - 大阪市職業指導センターにおける体験入校の取り組みについて
- フォークリフト運転技能準備講習の取り組みについて
研究紀要(第30号) 平成28年7月発行
【論説】
- 大阪市職業リハビリテーションセンターの就業支援を振り返る -創立30周年にあたって-
【調査研究】
- 聴覚障がい手帳診断における「非該当」事例の実態と課題
- 療育手帳判定における知的能力測定をどう考えるか
- パーキンソン病患者用シーティングユニットの研究開発 SMART-WCS for Parkinson's disease
- フィージビリティスタディ手法を用いた福祉用具適合支援サービス
~重度障がいのある人への福祉用具支援サービスの可能性と有効性について~
【報告】
- 利用者を中心とした福祉用具研究・開発のしくみづくり
~福祉用具シーズ・ニーズのマッチング~ - 福祉用具適合支援技術に関する技術移転
~職種別教育システムの再考について~ - 障がい者就職支援プログラムでの取り組みについて
- 学生インターンシップから見えてくること
~大阪障害者雇用支援ネットワークの取り組みから~ - グループワークによる感情のコントロールの取り組み(その2)
~自閉症スペクトラムの青年たちとともに~ - 自立訓練(生活訓練)の実践報告 発達段階に合わせた取り組みを目指して
- 医療型発達支援センターに在籍する児童へのグループ指導の取り組みについて
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このページの作成者・問合せ先
大阪市 福祉局心身障がい者リハビリテーションセンター管理課
住所:〒547-0026 大阪市平野区喜連西6丁目2番55号(3階)
電話:06-6797-6501
ファックス:06-6797-8222