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優秀賞「夏の思い出(発見!!!)」

2023年4月1日

ページ番号:516597

受賞者

今村 和也 様

エピソード

 私は、福祉職について22年が経ちます。18年間高齢系で、障がい系ではまだ4年程の経験です。
 障がい系に異動し、日々勉強の毎日を送っています。同じ福祉職でも、高齢系と障がい系で違いがあり、人と関わるのには変わりないのですが、関わり方、接し方も一人ひとり違います。寄り添いながら関わる方、少し距離を置いて関わる方、それぞれ違いますが、関わらないと解らないことだらけです。でもそこが面白い所でもあります。
 私が、その子(A君)に出会ったのは、4年前の秋でした。中学生で元気いっぱいの男の子。自閉症で声をかけると、その場から動けなくなり、数時間同じ場所にいることもありました。アルファベッドへのこだわりもあり、目に入ると立ち止まり、その場所から動けなくなることも度々・・・(タウンワークのロゴは鉄板でした((笑))。自宅から駅まで10分弱の道のりを2時間かけて電車に乗ったことも・・・。私が関わり始めの頃、目的地に辿り着けず、気が付けば和歌山県にいました。さあ今から帰ろうとした時間が、予定の終了時間になっていた事も・・・、別の日には、イオンモールの中で、20メートル先のお店(駄菓子屋さん)に、2~3時間かけて辿り着いたこともありました。

 今でも印象に残っている事があり、2回目のお出掛けで、電車に揺られながら目的地に向かっている時に、私の方をみて「いまむら先生」と名前を呼んでくれました(A君は、この頃大人の人を「先生」と呼ぶ事が多かったです)。感激でした。私の先入観から名前は覚えていないだろう・・・と決めつけていたんだと思います。急に名前を呼んでくれて、嬉しさのあまり、声をかけると、また固まってしまって・・・(笑)。今では「いまむらさん」と呼んでくれています。
 そんなA君が、昨年ごろより行きたい場所をお母様と決められているそうで、A君が決めた場所にはスムーズに行くことが出来る様になりました。こだわりもありますが、頭の中で、切り替えが出来るまでに時間がかかるだけで、A君は、A君なりに頑張って、次の行動に移そうとしているだけなのに、その際に、声をかけられると、誰でも嫌ですよね。それが、初めの頃には解らず、何度もタイミングを見計らい声かけしてしまって、パニックになっていました。大きい声を出して、その場で寝転んで泣いたり、逆に身体を使って全力で拒否したり、ホームのギリギリで寝転んで、電車が発車出来ず、駅員さんにホームの真ん中まで、連れて行かれ、輪をかけてパニックになったこともありました。
 そんなA君と、昨年の夏に和歌山県の海に行く機会がありました。海に入るまでの着替えに少し時間がかかりましたが、A君のペースで着替えを済ませ、さあー海に入ろうと、砂浜に向かおうとした時から、30分ほど動けなくなりました。A君が切り替えるまで、そばで見守る形で一緒にいました。30分後海にまっしぐら・・・ライフジャケットを着て浮かんだり、海の味を堪能(笑)したり、楽しんでいるように感じました。そこには、二人乗り用のカヌーと四人乗り用のボートがあり、声をかけると、乗りたかったのか、固まることもなくすんなり乗られました。まずは四人乗りから挑戦!!少し怖がっているようにも見えましたが、「漕いで!」のアピール。「一緒に漕ごうよ」と伝えると、少しだけ漕いでくれました。
 その次は二人乗りのカヌーへ。A君は前で、私は後ろで、出発!!四人乗りより怖がっていた様に感じましたが、周りの景色を見たりのんびり海の散歩を楽しまれていました。こちらも「漕いで!」とアピールがあり、4人乗りのボートより、一緒に漕ぐ時間が多かったです。でも漕ぐことより、自然を感じることが多かったように思いました。その後2人とも真っ赤に日焼けして帰宅。
 後日、お母様より、「カヌーが楽しかったようで、絵日記を一生懸命思い出しながら書いていました」と連絡を頂き、その絵日記を見せて頂くと、そこには、二人乗りカヌーに乗っている、A君と私が・・・。ちゃんとライフジャケットも書いてくれていて、カヌーの色も・・・。一番感動したのが、私のメガネまでしっかり書いてくれていました。
 A君は前に座っていたので、後ろの様子は見えていないはずなのに・・・。これまたビックリでした。
 「ヘルパーさんとカヌーをしました・・・楽しかったです」としっかり日記も記入されており、今まで何度も一緒にお出かけしているのにも関わらず、文字を書けることすら、把握できていませんでした。
 今回の事で、まだまだ知らない事が多いと、感じさせられました。
 お母様からは「よっぽど楽しかったんだとおもいます」とのお言葉も頂きました。ほんま感動しました!!
 高齢系にいた時は、看取りの経験もさせて頂きました。人生の最後に立ち会える事、それまでの利用者の方との関わり、家族の関わりの重要性等を学ばせて頂き、福祉職の素晴らしさを感じさせられました。高齢の方は、老いていくイメージがありますが、人生最後まで、一人の人として楽しむことが出来ます。障がいを持っている方も、私たち同様楽しむ権利があります。今回の様に、成長していく瞬間に立ち会える事って素晴らしいと思いませんか?人生の最後に立ち会える事ってすごいと思いませんか?福祉職ってしんどいイメージがありますが、確かにしんどい時もあります。でもそれ以上に、楽しいこと、感動する事がたくさんあります。障がいの有無に関わらず、その時その時間を一緒に過ごせる事の大切さを改めて実感させられた出来事でした。

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