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特別賞「エンジェルと歩んだ10年」

2022年1月5日

ページ番号:545667

受賞者

宮川 祐一 様

概要

 僕の福祉の初心には訪問介護とガイドヘルパーがあります。
 ガイドヘルパーとは移動支援という障がいのある方の外出をサポートする福祉サービスです。移動支援で御縁が生まれたのが、当時はまだ小学3年生でアンジェルマン症候群のS君でした。アンジェルマンの特性の1つに天真爛漫な笑顔があり、それゆえにエンジェルとも言われています。そのS君とのエピソードを伝えたいと思います。

エピソードを通じて伝えたい「福祉・介護の仕事」の魅力

 成長には様々な成長がある事を経験しました。身体の成長、心の成長、人間関係の成長、地域の成長…支援する側、支援される側を越えて、人と人との真摯な向き合いの中にこそ、あらゆる成長の種が輝きあるものだと思います。福祉の仕事が輝き始める時きっとこの種と出会い、育ち始めた時ではないかと思っています。

本文

 現在、18歳を越えたS君。
 振り返れば10年の歳月を経ていました。
 ガイドヘルパーの資格を取得して間もなく御縁になったのが、当時小学3年生のS君でした。歩く事は出来ますが、体幹が覚束無い為、車椅子に乗って外出していました。言葉を話す事は出来ませんが、身振り手振りでの意思表示はあり、周りの人が話す言葉の意味を日々理解を得ていたように思います。
 ガイドヘルパーとして、S君と関わり始めた当初、とりあえず商品が並ぶコンビニに入店してみると、手当たり次第のものを手で掴もうとS君の視線と左右の手が踊る踊る。「あかんやんあかんやん」と言う焦る僕の言葉と制止を試みる動作をすり抜け、バーンと勢い良く空けられたお菓子の袋と床に着地するチョコレート。呆気に取られた表情を浮かべる店員さんに「すいません」と言いながら買ったお菓子をS君に渡すと、いたずらな笑顔でお菓子を見つめる場合が今でも印象に残っています。
 冷や汗をかいた思い出はまだまだあります。バスに乗れば下車ボタンを連打、地下鉄に乗ってみては、非常用ボタンを人差し指でポチリ、多目的トイレに入れば非常用ボタンを隙をみて押し、エレベーターに乗っても非常用ボタンを先ず押している。そう非常用ボタンを押すと人が応答してくれる事に楽しさを感じていたのです。
 じっとしている事が難しく、油断できないS君の行動。でも子どもらしいと言えば子どもらしい行動だったのかもしれません。
 それにしても一体何度インターフォン越しに謝った事だろうか。
 毎月S君と出掛ける事でランチ巡りが、お互いの趣味になって、分かり合うようになりました。大阪でビュッフェにチャレンジしてみたり、奈良でゆっくりとしたランチに行ってみたり、京都で人気のあるランチに並んでみたり、神戸ではシャレたランチを体験してみたり。
 交通機関での移動も楽しみながら、色々な場所に行っては、買い物や食事などお互いに享受できるようになりました。
 そんなS君もやがて中学生になり、様々な言葉の理解や社会秩序などの理解も、ゆっくりではありますが着実に得るようになっていました。
 その背景には、障がいがあってもみんなと同じ時間を過ごして行くインクルーシブの方針をチャレンジされてきた、ご家族、学校の先生、クラスメイト、地域の人、S君に関わる全ての人の支えが大きかったのかもしれません。
 アンジェルマンは素敵な笑顔が特性の一つと言いましたが、きっとS君にとって、周囲の多くの人の温かな繋がりが、S君をより成長させ、その笑顔も育てたのだと思います。
 そして今では背丈も体重も僕より大きく成長し、お買い物の際は、欲しいものをしっかり選んでは、お金を払って交換する事を理解し、並ぶ必要がある時は、順番が来るまで落ち着いて一緒に並び、ランチを食べにお店に入れば、料理が出来るまでの過程を興味深く観ながら、ワクワクした気持ちで待つという楽しみ方も覚えました。
 言葉は以前と変わらず話せませんが、内面も大きく大きく成長しているんだなぁと感じさせられます。
 もちろん!?非常用ボタンももう押さなくなりましたよ。
 怪我に遭い辛い思いをさせた事、思いが汲み取れず共に悩んだ事もありました。
 それでもいつも最後は笑ってさよならし、また会って笑ってを繰り返しながら、外出の支援で繋がり続けたこの10年。
 そんなS君の成長を直に感じて来れた歩みは、間違いなく共にある素晴らしい経験で、自分一人では有り得なかったS君との沢山の時間は、失う事のない一生の宝ものになっています。
 そしてこのような経験を共にして行く事が、支援者にとっての成長なのだという事にも気付きました。
 S君との時間を振り返ってみて、共に成長してきた喜びが、胸の中で溢れるように満たされています。
 あらためて、ありがとう。

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