「大都市制度(特別区設置)協議会」だより(第3号)HTML版
2023年4月10日
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大都市制度(特別区設置)協議会だより
平成30(2018)年3月 第3号
発行・編集 大都市制度(特別区設置)協議会〈事務局〉副首都推進局内
〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 問い合わせ担当 電話番号06-6208-8989 FAX番号06-6202-9355
副首都・大阪にふさわしい新たな大都市制度の実現に向けて、議論を進めています
副首都大阪にふさわしい大都市制度として、現行法制度で実現可能な「特別区制度」と「総合区制度」の検討を進めています。
特別区制度については、大阪府知事、大阪市長、大阪府議会議員、大阪市会議員をメンバーとする「大都市制度(特別区設置)協議会(以下「協議会」と言います。)」において、「特別区」を設置するための具体的な制度設計を議論しています。
第6回(平成30年(2018年)1月16日)協議会では、特別区素案の質疑が行われ、あわせて総合区の財政シミュレーションが示されました
特別区の設置について
【素案のポイント】
都市機能の強化
広域機能を大阪府へ一元化し、都市機能の強化を迅速強力かつ効果的に推進していきます。
基礎自治機能の充実
地域のニーズに沿った身近なサービスを決定提供できる大阪独自の「特別区」を設置し、豊かな住民生活を実現していきます。
辻(淳)委員(維新)
Q 広域一元化に係る逸失効果や府市統合の効果を算出することは重要だと考えるが、具体的な経済効果の算出はどのように考えているのか。
A 具体的な算定手法は事業者から提案を求めることとしている。かつてインフラ整備などにおいて府市の連携不足があったという知事市長の指摘を踏まえ、様々な観点から検討していただきたいと考えている。
河崎委員(維新)
Q 特別区の検討において、大阪固有の都市の特徴や課題についての認識を伺う。
A 狭隘な大阪府域の中心に大阪市が存在するという地理的な特徴があり、人口や事業所など都市の集積が府域全域に広がる中で、かつては大阪市は市域内、大阪府は市域外という役割分担により相乗効果を発揮できず、大阪の強みを活かせなかった。また、大阪市は270万人の人口を抱え、カバーするサービスも幅広く住民との距離が遠くなる傾向があると認識。
Q 総合区が導入された場合、広域インフラの整備や戦略の一元化などの広域行政は、どのように推進されるのか。
A 総合区長は住民に身近なところで総合的かつ包括的に行政を実施し、市長は市全体の視点からの政策経営や重要な課題に注力するといった役割分担のもと、市長は、現在と同様、指定都市都道府県調整会議において知事と連携して広域行政を推進することになる。
Q現在は知事と市長の人間関係でうまくいっているが、総合区で広域行政が一元化される保証はあるのか。改革が元に戻る可能性もあると思うがどうか。
A総合区制度では、広域機能の一元化が制度的に担保されるわけではないが、指定都市都道府県調整会議において協議調整を行うことで、都市機能の強化や二重行政の抑止解消をめざすこととしている。
中村委員(公明)
Q 府市が連携して取り組むことでは対応できない、広域を一元化しないと都市機能の強化が実現できないような事業というのはあるのか。
A 現在は、知事と市長が連携し、方針を一致させることで大阪の成長発展に向けた取組みが行えている。今後も協議連携できれば、都市機能の強化は可能だが、持続的な発展には、中長期にわたる継続的な連携が必要。大阪の成長を将来にわたって確固たるものとするには、広域機能の一元化を制度的に担保する必要がある。山中委員(共産)
Q 特別区は、市町村の基幹税目である固定資産税や法人市民税が都税とされる上、基礎自治体としての全ての事務を処理できない半人前の自治体に過ぎない。東京の特別区は普通の市になることが一人前の自治体になることだ、という思いがあるがどうか。
A 平成12年の都区制度改革では、法律上、特別区を基礎的な地方公共団体と位置づけた。ただ、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性及び統一性の確保を図る観点から、都が一体的に処理する必要があると認められる市町村事務は、引き続き、都が処理するものとされている。
特別区の組織体制について
【素案のポイント】
特別区
地域ニーズに沿った身近なサービスを提供できる効果的効率的な組織体制をめざします。
大阪府
全国トップクラスのスリムな組織体制を維持しつつ、広域機能を強力に推進できる組織体制をめざします。
川嶋委員(自民)
Q サービス水準を維持すると約束する以上、特別区の全ての行政サービスを実施することを前提に、部門別の組織体制や人員配置について、多角的な角度から検証すべきと考えるがどうか。
A 特別区の職員数は、中核市並み権限を基本とすることから、人口規模や人口密度が高い近隣中核市を参考に、生活保護などの大阪市の特性や、児童相談所など近隣中核市では実施していない事務を加味した。算定された合計職員数は、大阪市の現員数を上回り、また大阪市の組織別現員数の構成割合に応じて配分することで、現在の大阪市のサービスを維持できると考えている。
特別区と大阪府及び各特別区間の財政調整について
【素案のポイント】
財政調整制度の構築
現在の住民サービスを適切に提供できるよう、特別区と大阪府の事務分担(案)に応じた財源配分を行い、特別区相互間の均衡化を図ります。
透明性の確保
大阪府に配分される財源は、現在大阪市が担っている広域的な事業に充当します。また、特別会計で管理します。
辻(淳)委員(維新)
Q 財政調整制度では、例えば敬老パスや幼児教育無償(むしょう)化かなど大阪市が実施している特色ある住民サービスについて、必要な財源が担保されているのか。
A 財政調整財源の配分割合は、事務分担(案)に基づき、特別区が実施する事務と大阪府が実施する事務別にそれぞれ積み上げることにより定めることとしている。敬老パスや幼児教育無償化などの特別区が分担する独自事業については、その財源を特別区分として積み上げられ、配分される。
河崎委員(維新)
Q 広域行政を大阪府に一元化しても、大阪府は財政状況が厳しく、ビッグプロジェクトを担える保証はないという意見があるが、財政調整制度の仕組みではどうなっているのか。
A 大阪府は成長の果実と配分される財源をマネジメントすることによって役割を果たしていくことが基本。なお、財政調整財源の配分割合は、特別区設置の日までの地方財政制度の動向などを踏まえ、必要に応じて知事と市長で調整し、特別区設置後も毎年度検証し、協議することになっている。今後事業が具体化することによって必要が生じた場合は、こうした枠組みの中で調整される。
川嶋委員(自民)
Q 大阪市がうめきたや淀川左岸線、なにわ筋線、万博、IRなどの事業費を負担しているのは、政令指定都市として広域機能を担うからであり、特別区になった場合は、広域機能を担う大阪府が本来の府税で全額負担すべきだがどうか。
A 特別区素案では、広域と基礎の役割を徹底することとし、特別区と大阪府それぞれの事務を適切に担えるよう、事務分担に応じて財政調整財源を配分することとしている。
特別区の財政推計シミュレーションについて
辻(淳)委員(維新)
Q 敬老パスや幼児教育無償化など大阪市が実施する特色ある住民サービスの財源は、財政シミュレーションでは織り込まれているのか。
A 財政シミュレーションのベースとなる大阪市の今後の財政収支概算(がいさん)では、平成29年度当初予算を基本に試算時点の制度内容や把握可能な数値をもとに、高齢化の見込みや過去の実績など、一定の条件を置いた上で試算されていることから、同様に織り込まれている。
花谷委員(自民)
Q 総合区の財政シミュレーションに盛り込まれている「改革効果額」は、現在のままでもでてくる効果ではないか。
A 改革効果額は、平成23年12月の大阪府市統合本部設置以降に取り組んできた改革により見込まれる効果を算定したものであり、必ずしも特別区制度や総合区制度への移行を前提として見込まれるものではない。なお、総合区においては、府市連携にかかる改革を今後とも継続的に進めていくため、これまでどおり、府市間の協議調整により、広域行政に係る方針を統一する必要がある。
Q 総合区の財政シミュレーションをベースに、現在の大阪市の財政推計を計算し、平成48年度の財源活用可能額を試算すると、総合区よりも77億程度上積みされたものとなるがどうか。
A 大都市制度(特別区設置)協議会は、特別区及び総合区の制度設計について協議いただく場であることから、大阪市の24行政区のままで一定の条件を置いての財政推計についてはお答えをしかねる。
中村委員(公明)
Q 府市が取り組む改革効果額について、総合区と特別区との効果額に違いはあるのか。
A 改革効果額は、平成23年12月の大阪府市統合本部設置以降に実施してきた改革により見込まれる効果のうち、現時点で算定可能なものについて算出しており、特別区総合区のいずれの改革効果額についても、447億円とした。
Q 総合区と特別区の設置コストや組織体制の整備にどれほどの違いがあるのか。
A 特別区の設置コストについては、イニシャルコストが高くなる庁舎建設案で推計しており、イニシャルコストが479から768億円、ランニングコストが年39から54億円。一方、総合区は、イニシャルコストが約63億円、ランニングコストが年約1億円となっている。特別区の組織体制については、4区案で210人、6区案で800人の採用増が必要と見込んでいるが、総合区の場合は概ね現行職員総数の範囲内で体制整備を行うこととしている。総合区の財政推計シミュレーション(参考)
第6回協議会(平成30年1月16日)では、上記の質疑に先立ち、総合区設置における財政シミュレーションの説明が行われました。
本シミュレーションは、第5回協議会(平成29年11月24日)において、特別区設置に係る協議を行うに当たり、総合区の財政推計シミュレーションが必要との質疑を踏まえ、事務局において作成したものです。
大阪市の財政に関する将来推計をもとに、一定の前提条件をおいたうえで作成した極めて粗い試算です。
上記を前提に、平成33年度(2021年度)を総合区設置の日と仮定して、平成48年度(2036年度)までの財政シミュレーションを作成しています。第7回(平成30年(2018年)1月30日)協議会では、各会派からの意見表明及び委員会協議が行われました
維新
辻(淳)委員
二重行政の解消を制度として担保することで大阪の成長を確実なものに
前回の住民投票を受けて、大きく改善された制度素案が提示された
特別区の設置で二重行政のロスは永遠に発生しない
要旨
大阪府市再編の大きな目的の一つが「広域行政の一元化」であり、西日本経済の中心地として、大阪の強い都市戦略が実現する。
現在、同一の会派から知事、市長が選出されるという「非常に稀」なケースのもと、ここ数年の大阪の成長は目覚ましいが、人間関係のみによる話し合いでは限界。二重行政の解消を制度として担保することで、大阪の成長を確実なものにする。
前回の住民投票を受けて、大きく改善された制度素案が提示された。
大阪の特別区は、住民に身近なサービスを総合的に担う、東京特別区より充実した基礎自治体とされた。
大阪市が実施している特色ある住民サービスは適正に承継された上で、地域の状況やニーズを踏まえながら内容や水準の維持に努めることが明記された。
サービス水準の維持は、財政調整制度で事務分担に応じた財源が保証されること、その財源は財政シミュレーションに織り込まれていることが確認できた。
地域コミュニティの維持や窓口サービスの継続のため、現在の区単位で地域自治区を設置するなど、住民自治にも十分配慮されている。
特別区の設置により、大阪市が提供している現行の基礎自治サービスはしっかりと確保された上で、より地域にあった行政が展開される。広域行政においては二重行政のロスは永遠に発生しない。
自民
花谷委員
前回の住民投票で否決された案と本質的に何も変わっていない
現在の住民サービスを低下させないとしているが、制度的に担保されていない
これ以上協議を進めても無駄、特別区の議論を終わらせるべき
要旨
特別区素案は、前回の住民投票で否決された案と本質的に何も変わっていない。前回、さまざまな指摘があった大きな一部事務組合が今回も設置される。
素案では、大阪府に配分された財源は、現在、大阪市が担っている広域的な役割を果たすための事業に充当するとしているが、それなら大阪市を存続させ、大都市行政を行うのが自然。
財政調整では、庁舎整備などの特別区設置に必要な経費が織り込まれておらず、万博、うめきた、淀川左岸線などの大型事業は、府と特別区の負担割合が決まっておらず、財政シミュレーションにも入っていない。
現在の住民サービスを低下させないとしているが、制度的に何ら担保されておらず、住民サービスが維持される保証はどこにもない。
前回、再編効果額と言っていたものは、大阪市のままでも発生する効果であることが明確になった。大都市制度の議論は必要ないことが明らか。
合区を前提とした総合区案についても、現状のままでよいという意見が多く、住民の理解が浸透しているとは思えない。
もはや各会派の考えは明らか。これ以上協議を進めても無駄ではないか。特別区の議論を終わらせるべき。
公明
八重樫委員
大阪市の独自サービスは、特別区となった場合、維持できるのか
制度的に広域機能一元化をしなければ生み出せない財政経済効果はあるのか
総合区制度が大阪のめざす自治体改革としてふさわしい姿要旨
大阪市は大きな財源をもって、大阪府からの制約を受けることなく、独自でサービスを実施してきた。その象徴が敬老パスや中学生への塾代助成、幼児教育の無償化、こども医療費の助成などであるが、特別区となった場合、果たして維持できるのか。
特別区素案において、住民サービスの内容や水準の維持に努めることが示されているが、何ら法的拘束力はないことが確認された。
また、独自の住民サービスを継続できる予算が確保されるのか、本当に財政調整交付金が十分に手当てされるのか、検証が必要。
大阪府と特別区の財源配分は、大阪府議会でも可決が必要。府議会議員88人のうち、大阪市内選出議員は27人。
敬老パスのような、他の市町村住民にはないサービスを特別区民だけに優遇する制度が大阪府議会で可決されるかは疑問である。
広域機能の一元化についても、この6年間で推進されてきた。一元化したことによる行政コストの縮減効果はどれほどあったのか、制度的に一元化しなければ、生み出せない財政経済効果はあるのか、今後、検証議論が必要。
政令指定都市である大阪市というスケールメリットを活かしつつ、また高度で専門的なサービスを残したまま、住民自治の拡充も図れる総合区制度が大阪のめざす自治体改革としてふさわしい姿。
共産
山中委員
大阪市を廃止し、半人前の特別区に分割するもので地方分権の流れに逆行
区政会議の発展など、大阪市の自治の仕組みづくりに全力を尽くすべき
大阪市の廃止、特別区への分割はまさに百害あって一利なし要旨
特別区素案の意味するものは、政令市大阪市を廃止し、市町村の責任である消防などの基礎自治体の役割を担う大大阪府を立ち上げる一方、権限も財源も一般市町村にも遠く及ばない半人前の自治体である特別区に分割するというもので、地方分権の流れに逆行する。
広域機能を一元化しても広域インフラが進むわけでも、大阪の成長が図られるものでもない。大阪の成長は政策の中身が問題。インバウンドなど外需頼みではなく、中小企業対策や社会保障の充実などで市民や働く人の懐を温めて、家計消費など内需を拡大する政策こそ必要。
1人の指揮官になれば何でもできると考えるのは間違いで、二元代表制のもと、議会の意思も当然ある。
ニアイズベターのためには、区政会議を地方自治法に基づくものに発展させるなど、住民の声が届き、住民が積極的に市政に参画できるよう、大都市における自治の仕組みづくりに全力を尽くすべき。
6区案では赤字続きで財政調整基金も遠からず底をつき、結局、住民施策に大鉈を振るわざるを得ない。4区A案では、第一区が85万人、第三区でも70万人と政令市並みで、いわゆるニアイズベターも看板倒れ。
大阪市の廃止、特別区への分割には道理もないばかりか、まさに百害あって一利なし。委員間協議での主な発言
広域機能(広域行政)の一元化/二重行政の解消について
松井委員(知事)
なにわ筋線も淀川左岸線(延伸部)も幻の広域インフラ整備と言われ続けてきた。
今は、僕と吉村市長とでできている。なぜ我々でなければできなかったのか。
横山委員(維新)
知事市長の話し合いで広域行政が解決できるという担保が無い。
総合区、行政区において、二重行政の解消を調整会議の話し合いで必ず解決できるのか。
府と市という巨大な自治体が2つあり、首長が2人いるのは非常に不幸なこと。
八重樫委員(公明)
調整会議は、二重行政の解消を目指し、話し合いで解決していく制度として地方自治法に明記。
制度をまずしっかり作り、その中で調整できるように話し合っていくというのが民主主義のあり方。
山中委員(共産)
知事と市長の意見が違っていたからではなく、経済の状況や民間事業者がその気にならなかったのが原因。
淀川左岸線延伸部については、地方負担を軽減するスキームができ、今、機が熟してきたことで話が進んできた。知事市長の考えがどうだったではなく、いわば国次第。
特別区の住民サービスについて
吉村委員(市長)
住民サービスが維持される保障や担保が無いというが、お金が減るわけではない。それなのに住民サービスが下がるというのは違う。
八重樫委員(公明)
特別区設置に必要なコストがある中で、大阪市の住民だけに優遇したサービスをし続けることができるのかは甚だ疑問。
特別区と大阪府及び特別区間の財政調整について
吉村委員(市長)
大阪市会での議論では、府に財源を吸い取られ、府が違うところに使うのではないかという議論があるが、府議会議員の考えは。
横山委員(維新)
財政調整はしっかりと担保されており、論理的に阻害されるような要因は一切発生しないと認識。
広域自治体において、特定の自治体の財源がすぐれているからといって、その自治体を抽出して何かするとか、何もしないとかというのはあり得ない。
辻(義)委員(公明)
淀川左岸線(延伸部)や万博、IRなどのビッグプロジェクトの今後の総事業費や負担などのシミュレーションを示さないと、特別区の不安感が拭えないのではないか。
特別区の設置を最終的に決定するのは住民の皆さまです
協議会でとりまとめられた協定書が大阪府大阪市の両議会で審議のうえ、承認されれば、特別区の設置の賛否について、大阪市民(有権者)を対象に住民投票が実施されることになります。
住民投票により、有効投票総数の過半数が賛成となれば、現在の大阪市を廃止し、公選区長と区議会を置く基礎自治体として複数の特別区が設置されます。
協議会の詳細な開催状況は、大阪府大阪市ホームページからご覧になれます。
引き続き、「協議会だより」でもお知らせしていきます。
特別区に関するお問い合わせ窓口副首都推進局問い合わせ担当電話番号06-6208-8989FAX番号06-6202-9355
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