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報道発表資料 帯水層蓄熱利用の普及に向けた国家戦略特区の更なる規制緩和提案の中間とりまとめ等を行いました

2024年3月28日

ページ番号:622775

問合せ先:環境局 環境施策部 環境施策課 エネルギー政策グループ(06-6630-3480)

令和6年3月28日 14時発表

 大阪市では、地下水の有効利用として、帯水層蓄熱システムの導入に向け取り組んでいます。

 このたび、国家戦略特区において認められている規制緩和について、「大阪市域における地盤環境に配慮した地下水の有効利用に関する検討結果」の第二次とりまとめに向け、中間案をとりまとめました。

 また、これまで産学官連携にて積み重ねた技術開発・実証事業の成果を基に導入手法をガイドラインにまとめました。

 今後、普及に向けて事例形成を促進しつつ、更なる規制緩和について国に提案していく予定です。

第二次中間とりまとめについて

 本中間とりまとめでは、規制緩和の要件の一つである、実証試験による地盤高等に著しい変化が認められないことの確認(後述の「規制緩和の要件 3」参照)に対し、シミュレーションによっても実証試験と同等の確認が可能ととりまとめています。

第二次中間とりまとめの要旨

  • 建築物用地下水の採取の規制に関する法律(ビル用水法)の規制緩和にかかる措置要件では、実証試験の結果が「地盤高等に著しい変化が認められないこと」とされているが、帯水層蓄熱システムによる応力変化の程度では、地盤工学的に著しい変化が生じる可能性は低い。
  • 地盤変動量に著しい変化が生じないことを現場試験から得られた範囲のパラメータを使用したシミュレーションにより確認できれば、実証試験と同等の確認ができたものとして、措置要件(実証試験による地盤高等への著しい変化が認められないこと)を満たしたと判断できる。
第二次中間とりまとめに向けたこれまでの経緯

 大阪市では、帯水層蓄熱システムの普及に向けて、大阪市内の帯水層蓄熱情報マップの作成や実証事業の実施、地盤環境に配慮した地下水の有効利用に関する検討などに取り組み、平成30年8月17日に内閣府に対して国家戦略特区における新たな特例措置に係る提案を行いました。

 この提案を受け、令和元年8月27日にビル用水法の規制緩和(技術的基準の緩和)が実現しました。

規制緩和の要件
  1. 事業を実施する場所は、連続する敷地で一体的に開発を行う区域とし、かつ、連続した地層構成及び同一の土質を有すること。
  2. 事業を実施する場所における土質に係る測定結果(揚水を行う帯水層に接する粘性土層の載荷に対する圧密量の測定結果を含む。)により、当該粘性土層が過圧密の状態にあり、かつ、揚水時の圧密圧力が圧密降伏応力に対して十分に小さいと認められること。
  3. 事業を実施する場所において、季節に応じた地下水や地盤への影響を把握するために十分な期間、当該事業と同程度の規模で被圧地下水を採取し、その全量を同一の帯水層へ還元する実証試験を実施した結果、当該場所及びその周辺において、地下水位、地盤高、地下水の水質及び間隙水圧に著しい変化が認められないこと。
  4. 前述の実証試験から得られる情報及び当該設備の運用時に想定される熱負荷に基づいて実施される地下水の温度変化に係るシミュレーション(実測値が再現できるものに限る。)により得られる情報から、地下水の温度に著しい変化が認められないと想定されること。
  5. 揚水設備の維持管理及び緊急時の対応に関する計画の策定、揚水設備の試運転の実施、事業の実施期間中におけるモニタリングの実施及び当該モニタリングから得られる情報の都道府県知事への報告、緊急時の都道府県知事への報告その他の地盤沈下の防止等の観点から必要な措置を講じられていること。

帯水層蓄熱システム熱源井構築ガイドラインについて

 帯水層蓄熱システムの導入に際し最も留意すべき点は、「大容量の全量還水(同時同量)を実現する熱源井の構築」ですが、まだ導入事例が少ないため、その技術的な基準が整備されていません。

 そこで、帯水層蓄熱システムの普及を目的に、これまでの技術開発・実証事業の成果等を基に、熱源井の構築等の手法についてとりまとめました。

ガイドラインの内容
  1. ガイドラインの目的
  2. 帯水層蓄熱システムの概要
  3. 帯水層蓄熱システムの導入計画
  4. 帯水層蓄熱システム導入の条件
  5. 熱源井の構築
  6. 熱源井の施工
  7. 維持管理

帯水層蓄熱システムの熱源井構築ガイドライン

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帯水層蓄熱技術について

 帯水層蓄熱技術は、地中熱利用の一つで、2本1対の井戸を用いて、地下水から熱エネルギーのみを採り出して、建物の冷房・暖房を効率的に行うもので、季節間で冷房と暖房が入れ替わることを活かし、汲み上げた地下水をもう片方の井戸に戻すことを前提に季節をまたいで地下に蓄熱することにより、省エネルギーを実現できます。

 空気熱利用と異なり大気中へ排熱しない特徴から、ヒートアイランド現象の緩和や地球温暖化対策への効果が期待されています。


帯水層蓄熱システムの仕組み

これまでの実証成果について

うめきた(平成27年度~平成30年度)

環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業(帯水層蓄熱利用のための低コスト高性能熱源井とヒートポンプのシステム化に関する技術開発)

  • 揚水流量1時間あたり100立方メートルでの全量還水を行うシステムを開発
  • 日本初の大容量(熱源井1対あたり床面積1万平方メートルクラスのビル空調を賄える容量)のエネルギー貯蔵システムを実現
  • 約2年の運用で地盤変位量は2ミリメートル、帯水層蓄熱システムによる地盤沈下は観測されず
  • 長期間安定して運用できる熱源井の構築技術の開発
  • 長期間運用継続できる蓄熱量・蓄熱水量のバランスを維持する運用方法を開発
舞洲(平成30年度~令和2年度)

環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業

  • 1本で上下2層の帯水層から揚水・還水可能な新型熱源井を開発し、蓄熱容量を2倍とする世界初のシステム(W-ATES)を構築
  • 「うめきた」よりも地盤の条件が厳しい埋立地においても、帯水層蓄熱システムによる地盤沈下は観測されず
  • 実証後は、アミティ舞洲にて実用運転

地盤環境に配慮した地下水の有効利用に関する検討について

 帯水層蓄熱システムの社会実装及び普及の促進に寄与することを目的として、これまでの実証試験で得られたデータを踏まえ、帯水層蓄熱システムを安全に利用するための設備、構造及び維持管理において配慮すべき事項などとともに、大阪市域における地下水の適正な有効利用のあり方を検討してきました。

 来年度を目途に、「規制緩和の要件 3」に対する更なる規制緩和をめざして、大阪市域における地盤環境に配慮した地下水の有効利用に関する検討結果の最終案(第二次とりまとめ)をとりまとめる予定です。

検討委員(令和6年3月28日時点、五十音順)
  • 大島 昭彦【座長代行】(大阪公立大学都市科学・防災研究センター 特任教授)
  • 北田 奈緒子(一般財団法人GRI財団 業務執行理事)
  • 杉田 文(千葉商科大学商経学部 経営学科 教授)
  • 大東 憲二(大同大学 特任教授)
  • 西垣 誠【座長】(岡山大学 名誉教授)

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