報道発表資料 ふぐによる食中毒の発生について(注意喚起)
2023年11月29日
ページ番号:612996
問合せ先:健康局 健康推進部 生活衛生課 (06-6208-9996)
令和5年11月29日 14時発表
令和5年11月24日(金曜日)9時30分頃、大阪市内の医療機関からふぐを食べたことによる食中毒が疑われる患者を診察したとの届出が大阪市保健所にありました。
調査したところ、患者は大阪市内に在住している夫婦(以下「当該患者」という。)で、夫が令和5年夏頃に福井県へ釣りに行った際、別の人が釣ったふぐを1匹譲り受け、自宅でさばいて冷凍保存し、11月23日(木曜日・祝日)18時頃に自宅で「ふぐ鍋」として二人で喫食したところ、同日19時40分頃に妻が両手と口の麻痺(まひ)及び嘔吐(おうと)の症状を呈したため、医療機関に救急搬送されました。その後、付き添っていた夫も口と四肢の麻痺を呈し、入院となりました。
本件については、「当該患者の症状がふぐ毒(テトロドトキシン)による食中毒の症状と一致していること」、「当該患者の血清及び尿からテトロドトキシンが検出されたこと」、「喫食物の残品から中毒症状を引き起こすに相当する量のテトロドトキシンが検出されたこと」、「11月29日(水曜日)の地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所による鑑別の結果、喫食物の残品がマフグであることが判明したこと」、「当該患者を診察した医師からふぐを喫食したことによる食中毒との届出があったこと」などから、ふぐによる食中毒と断定しました。
ふぐは体内にテトロドトキシンを持っており、これを含む部位(有毒部位)を食べたことを原因とする食中毒が、全国で毎年発生し、死者も出ています。ふぐによる食中毒の約8割以上は、家庭等で発生しており、その原因のほとんどは、釣ったり、もらったりしたふぐを素人調理したことによるものです。ふぐの素人調理は大変危険ですので、絶対に行わないでください。
調査概要
発症者の状況
発症者数:2名〔女性(70歳代)、男性(80歳代)〕
受診者数:2名〔うち1名は現在も入院中〕主症状
麻痺、嘔吐
病因物質
テトロドトキシン
原因食品
ふぐ(マフグ)
検体名 |
検査結果(テトロドトキシン) |
---|---|
患者血清(女性) |
陽性 |
患者尿(女性) |
陽性 |
患者尿(男性) |
陽性 |
残品:筋肉(加熱調理済み) |
14(マウスユニット/グラム) |
残品:肝(加熱調理済み) |
150(マウスユニット/グラム) |
残品:皮(加熱調理済み) |
23(マウスユニット/グラム) |
残品:筋肉(生の切り身) |
1.2(マウスユニット/グラム) |
(注)マウスユニット:毒量をあらわす単位で、体重20グラムのマウスを30分で死亡させる量が1マウスユニット。体重50キログラムの成人に対するふぐ毒の最小致死量は約10,000マウスユニット。組織1グラムあたり10マウスユニットを超えるものは食用不適。
問合せ先
本件に関する検査の技術的な事柄については、地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所までお問い合わせください。
担当:地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所 公衆衛生部健康危機管理課
電話:06-6972-1327
大阪市における食中毒発生状況
令和5年11月28日(火曜日)時点の食中毒:10件 (本件を含まず)
令和4年11月28日(月曜日)時点の食中毒:9件
(食中毒発生状況の年次集計は、毎年1月1日からの統計です)
(注)ふぐによる食中毒(過去5年間):1件
ふぐによる食中毒について
- ふぐ毒の主成分であるテトロドトキシンは熱に強いため通常の加熱では毒性はなくならず、毒性の強さは青酸カリの1,000倍以上ともいわれています。
- テトロドトキシンは神経を麻痺させる神経毒で、ふぐ中毒は食後20分から3時間程度の短時間で発症し、重症の場合は呼吸困難で死亡することがあります。また、発症してから死亡するまでの時間が短いのが特徴です。
- ふぐ中毒には確実な治療法はなく、対症療法しかありません。
- ふぐの毒化のメカニズムは現在においても解明されておらず、ふぐ毒の毒力や毒量には個体差があり、ふぐの種類や各種部位、雌雄などによっても異なります。また、漁獲海域や季節によっても差があるため、一度食べてふぐ中毒を発症しなかったからといって、この次も大丈夫だという保証はありません。
- 予防対策としては、釣ったり、もらったりしたふぐを素人調理せず、専門の知識を持った「ふぐ処理登録者」などによって確実に有毒部位が除去されたものを食べるようにしてください。
(参考:ふぐの素人調理は危険です!)
https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000004583.html
(参考:厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル)
自然毒のリスクプロファイル:魚類:フグ毒|厚生労働省 (mhlw.go.jp)