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帯水層蓄熱利用の普及に向けた取組み

2019年9月9日

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帯水層蓄熱利用は、地下水を多く含む地層(帯水層)から熱エネルギーを採り出して、建物の冷房・暖房を効率的に行う技術で、省エネルギー、CO2排出削減、ヒートアイランド現象の緩和策として期待されています。

大阪市は、熱需要の高い建物が集中し、地下は豊かな帯水層に恵まれていることから、地域特性に即した未利用エネルギーである帯水層蓄熱利用の普及に向けた取組みを行っています。

1.帯水層蓄熱利用とは

帯水層蓄熱利用は地中熱利用の一種です。

地中熱とは、浅い地盤中に存在する低温の熱エネルギーです。大気の温度に対して、地中の温度は地下10~15メートル以上の深さになると、年間を通して温度の変化が見られなくなります。そのため、夏場は外気温度よりも地中温度が低く、冬場は外気温度よりも地中温度が高いことから、この温度差を利用して効率的な冷暖房等を行います。

帯水層蓄熱利用は、地中熱利用の中でも特に地下水を多く含む地層を選択的に熱利用することで効率を高めています。

この技術は、海外においては導入が進んでおり、オランダでは1990年代から国策として普及し、2014年には累計3,000件超の導入実績があります。

安定した地中温度を利用するメリット

出典:環境省ホームページ

帯水層蓄熱利用のイメージ図

帯水層蓄熱利用イメージ図

2.大阪市内の帯水層蓄熱利用ポテンシャル

大阪市は、地上には熱需要の高い事業所が集中し、一方で地下の浅層には豊かな地下水が存在しています。市域を250メートルのメッシュで区切り、利用する帯水層毎に含まれる地下水の持つ熱エネルギーの分布図にしたものが帯水層蓄熱情報マップで、各メッシュにおける利用可能な熱エネルギーの目安を色で示しています。

高いポテンシャルは上町台地以西と南東部に分布しており、梅田・中之島地区など熱需要が高いと考えられる市内中心部が含まれていることがわかります。

大阪市では、市域の地中に大きな再生可能エネルギーが存在していることを広く認識いただき、このエネルギーの利活用の実現に向けた機運を高めるため、帯水層蓄熱情報マップを本市の地図情報サイト「マップナビおおさか」上で公開しています。

大阪市内の帯水層蓄熱情報マップ

大阪市帯水層蓄熱情報マップ

3.帯水層蓄熱利用技術の開発

大阪市は、環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業の採択を受け、産学官連携にて、帯水層蓄熱利用技術の実証事業を実施しています。

(1)うめきた2期暫定利用区域

実証事業概要

「帯水層蓄熱のための低コスト高性能熱源井とヒートポンプのシステム化に関する技術開発」(環境省 CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業)

  • 事業期間
    平成27年度~平成30年度
  • 実施者
    大阪市、大阪市立大学、岡山大学、関西電力、三菱重工業、ニュージェック、環境総合テクノス、森川鑿泉工業所
  • 開発目標
    日本初の大容量のエネルギー貯蔵システムを実現

実証の成果

業務用ビルの冷暖房用の熱源として、新たに開発した大容量熱源専用井戸(注)から熱のみを採り出し、夏期に冷水を作ると同時に生じる排熱は地下に蓄え、半年後の暖房用熱源として使います。同様に、冬期には暖房用温水を作るとともに冷房用の冷水を蓄えます。
こうした熱源井戸の季節間での切換え運転により、地下に蓄えた熱を有効に活用することで、地盤沈下などの周辺地盤環境への影響を生じることなく、従来システム比35パーセントの省エネルギー効果が確認されました。

(注)大容量熱源専用井戸

我が国における地中熱利用の事例は、現状その大半が小規模なものですが、2本1組の熱源井戸で大容量の地下水を揚水・還水することにより、熱のみを採り出し、約1万平方メートル以上のクラスのビル(本市の区役所庁舎に相当)の空調を賄うことができます。

帯水層蓄熱利用システム(仕組み)

帯水層蓄熱利用システムの仕組み

(2)舞洲障がい者スポーツセンター アミティ舞洲

実証事業概要

「複数帯水層を活用した密集市街地における業務用ビル空調向け新型熱源井の技術開発」
(環境省 CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業)

  • 事業期間
    平成30年度~令和2年度
  • 実施者
    大阪市、三菱重工サーマルシステムズ、森川鑿泉工業所、大阪市立大学、関西電力

4. 地下水の有効利用のあり方検討

大阪市域はかつて過剰な地下水の汲み上げによる地盤沈下を経験しましたが、昭和37年に施行された「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」等による地下水の採取規制により昭和40年代頃からは沈静化しています。

法による地下水の採取規制は現在もなお続いていますが、上記の技術開発・実証成果に見通しがついたことから、帯水層蓄熱利用の普及に向けた地下水の有効利用のあり方の検討を行っています。

(1)大阪市域における地盤環境に配慮した地下水の有効利用に関する検討会議

本検討会議は、「帯水層蓄熱のための低コスト高性能熱源井とヒートポンプのシステム化に関する技術開発」(環境省CO2排出削減強化誘導型技術開発・実証事業)の成果等をもとに、大阪市域における地下水の適正な有効利用のあり方について検討することにより、同技術の速やかな社会実装及び普及の促進に寄与することを目的として、平成28年度に設置されました。

委員名簿

学識経験者(50音順)
  • 大島  昭彦(大阪市立大学大学院工学研究科 都市系専攻(土木工学) 教授)
  • 北田 奈緒子(一般財団法人地域地盤環境研究所 研究開発部門長 主席研究員)
  • 杉田 文(千葉商科大学商経学部 経営学科 教授)
  • 田中 正【座長代行】(筑波大学 名誉教授)
  • 西垣  誠【座長】(岡山大学大学院 環境生命科学研究科 特任教授)
環境省
  • 水・大気環境局 土壌環境課 地下水・地盤環境室
  • 地球環境局 地球温暖化対策課 地球温暖化対策事業室 

事務局

大阪市環境局

(2)第一次取りまとめ報告

平成31年2月12日(火曜日)に、環境省に対して、うめきた2期暫定利用区域での実証事業の成果をもとにした大阪市域における地盤環境に配慮した地下水の有効利用に関する検討結果を報告しました。

報告の概要

  1. うめきた地区で実施した実証実験の結果、帯水層蓄熱利用システムは、汲み上げた地下水から熱のみを採りだした後、全量を元の地層に還元するため、長期間の連続運転においても地盤沈下は生じなかった。
  2. 大阪市域の規制地域内は一定の弾性があり、帯水層蓄熱が地盤に与える力は、これに比べて十分に小さいことから、建物の空調用に利用する限り、帯水層蓄熱システムは、大阪市の地下水採取規制区域の全域で、地盤沈下を生じることなく利用できる。今後、立証に向けたさらなる検討が必要。
  3. 技術開発・実証事業の成果に基づき、帯水層蓄熱利用システムを適正に利用するために必要となる設備・構造に係る要求事項や設計上の留意事項及びシステムの運用中のモニタリングについてとりまとめた。
(1)帯水層蓄熱利用システムの設備・構造に係る要求事項等
  • 地盤沈下の防止のため、熱源井による地下水の汲み上げと還元を行う地層は、同一の帯水層とすること等により、当該地域の平均的な地下水位を維持すること
  • 地下水の水質変化を防止するため、大気の接触を避け気密を維持する等の構造とすること
(2)同システムの維持管理に係る要求事項
  • CO2排出量削減効果等を把握するため、地下水から採り出した熱量及びシステム自身が消費するエネルギーを監視すること
  • 地下水・地盤環境に与える負荷や影響を把握するため、地下水を汲み上げ、地下に還元した量、地下水の水位、水質、地盤の高さを監視すること

大阪市域における地盤環境に配慮した地下水の有効利用に関する検討結果

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5.地下水採取規制の規制緩和に向けた取組み

(1)国家戦略特区の規制緩和提案

大阪市は、平成30年8月17日(金曜日)に国家戦略特区における新たな特例措置として、建築物の冷暖房を目的とした地下水の熱利用の際、汲み上げた地下水を全量還元する場合に限り、建築物用地下水の採取の規制に関する法律第4条の規定に基づき許可できる特例措置を定めることを提案しました。

国家戦略特区提案の概要

大阪市域は、戦前及び戦後の高度経済成長期に地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下を生じ、沈静化した今もなお、地下水の採取規制が敷かれている。

この度、産学官連携により持続可能な地下水利用技術として帯水層蓄熱利用技術が開発され、大阪市域において実証を行い、省エネルギー、省CO2効果等と地盤沈下防止効果が確認されたことから、当該技術を許可できる特例措置を求める。

(2)国家戦略特区における新たな特例措置案(共同命令案)

上記の提案に対し、内閣府は、令和元年5月24日(金曜日)から6月23日(日曜日)まで、新たな特例措置案(共同命令案)のパブリックコメントを実施しました。

共同命令案の概要

二以上の揚水設備を用いて帯水層にある被圧地下水の揚水及び還水を一体的に行うことを通じて当該地下水を冷暖房の用に供する事業(採取した地下水の全量を外気に接することなく同一の帯水層へ還元するものに限る )について、次の要件を満たす場合に地下水の採取に係る特例措置を適用する。(事業で用いるストレーナー位置、ポンプの吐出口断面積は、実証試験の範囲内とする)

  • 事業実施場所は、連続した敷地で一体的に開発を行う区域で、連続した地層構成及び同一の地質を有すること。
  • 事業実施場所が、土質測定の結果から、過圧密の状態にあり、揚水時の圧密圧力が圧密降伏応力に対して十分に小さいと認められること。
  • 事業実施場所において、事業と同規模の実証試験を行い、地下水位、地盤高、地下水の水質及び間隙水圧に著しい変化が認められないこと。
  • シミュレーションにより地下水の温度に著しい変化が認められないと想定されること。
  • 実施期間中のモニタリングの実施及び報告等の必要な措置を講ずること。

(3)国家戦略特区における新たな特例措置(共同命令)の公布・施行

 令和元年8月27日(火曜日)、「環境省関係国家戦略特別区域法第二十六条に規定する政令等規制事業に係る省令の特例に関する措置を定める命令の一部を改正する命令」が公布・施行されました。

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大阪市 環境局環境施策部環境施策課エネルギー政策グループ(エネルギー政策室)

住所:〒545-8550 大阪市阿倍野区阿倍野筋1丁目5番1号(あべのルシアス13階)

電話:06-6630-3483

ファックス:06-6630-3580

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