炭疽(たんそ)等
2025年2月10日
ページ番号:5702
炭疽とは、次のような感染症です。「炭疽菌等の汚染の恐れのある不審物」に対する適切な対応をお願いします。

■炭疽菌による感染症
元来、草食動物の感染症ですが、ヒトにも感染します。感染部位により皮膚炭疽、腸炭疽、肺炭疽の3種類に分けられます。
通常90%以上が皮膚炭疽であり、これは皮膚に付着した菌が皮膚の傷から侵入して起こります。
菌が皮膚の傷口から入ると2~3日で発症し、皮膚に10~30mm程度の痂皮(炭様)を形成し、その周縁部に水疱を認めます。領域リンパ節の腫脹に引き続いて高熱を呈し、適切な治療が行われないと死に至ります。(致死率20~30%)
腸炭疽は、感染した動物の肉を十分に調理せずに接触した場合に発生しますが、稀です。
肺炭疽は芽胞を吸入した場合に起こります。これもヒトでは稀ですが、先日、米国フロリダ州で死亡した患者は肺炭疽でした。多くは1~7日程度の潜伏期の後、感冒様症状で発病しますが、数日後、突然症状が悪化し、呼吸困難、チアノーゼ、痙攣が起こり、発症後の治療で救命することは極めて困難だとされ、大部分は2~3日で死に至ります。(無治療では90%以上の致死率)

■治療等
ヒトからヒトへの感染はないため、二次感染の危険はなく感染者の隔離の必要はありません。感染後、抗生物質により治療が可能な疾患です。ペニシリンG、シプロフロキサシン、ドキシサイクリン、アモキシシリン等の抗生物質が有効ですが、早期に対応することが重要です。さらに暴露された後、無症状の時点から予防的に治療することも可能です。しかし、むやみに服用してしまうと、抗生物質が効かない耐性菌が蔓延してしまうという大きな弊害をもたらす危険があることや、副作用もあることから、不必要な段階からの予防的投与は控えるべきです。

■疑わしい封筒又は小包を受け取ったとき
- 疑わしい封筒又は小包を振ったり、においを嗅いだり、中身を空けないでください。
- その封筒又は小包は、中身が漏れないように、ビニール袋か他の種類の容器に入れましょう。
- もし容器が手近になければ、その封筒又は小包を、衣服、紙、ゴミ箱など何でもかまいませんので何かで覆い、その覆いをはずさないようにしましょう。
- その場所にある扇風機や換気ユニットのスイッチを切りましょう。
- その部屋を離れ、ドアを閉めるか、あるいはその区域に他の人が立ち入らないようにしましょう。
- すぐに手を石鹸と水で洗いましょう。その際、家庭用漂白剤や他の消毒剤を使用してはいけません。
- このことを直ちに地元の警察に通報し、その後の指示を受けてください。
- 疑わしい封筒又は小包が認められた際にその部屋にいた人全てをリストにしましょう。

■医療機関の先生方へ
炭疽は感染症法において4類感染症(全数把握)となっておりますが、米国での状況等も踏まえ、感染者(疑われる感染者を含む)を診察した場合は、直ちに最寄りの保健福祉センター保健業務担当に届け出を行っていただくと同時に国立感染症研究所(電話:03-5285-1111(代表))にご相談、情報提供をお願いします。同様に、その他異常な感染症の発生を疑う場合につきましても、保健福祉センター及び国立感染症研究所にご相談、情報をご提供ください。

■炭疽等の情報が掲載されているホームページ
「感染症の診断・治療ガイドライン」
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このページの作成者・問合せ先
大阪市 健康局大阪市保健所感染症対策課感染症グループ
住所:〒545-0051 大阪市阿倍野区旭町1丁目2番7-1000号(あべのメディックス11階)
電話:06-6647-0656
ファックス:06-6647-1029