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大阪市平野下水処理場脱水分離液処理施設~アナモックス反応を利用した窒素除去法~

2023年11月28日

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はじめに


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 下水処理場では、水質汚濁防止法により放流水質に規制が設けられており、富栄養化の原因の一つである窒素は規制対象(25ミリグラム/リットル)となっています。

 大阪市では、下水汚泥を効率的に処理するため、濃縮・消化・脱水により汚泥の減量化を行っておりますが、汚泥の分解を促進する消化過程において、高濃度のアンモニア態窒素が生成されます。後段の脱水過程では、排水として高濃度のアンモニア態窒素(1,000ミリグラム/リットル)を含んだ、脱水分離液が発生します。

 そのため、この脱水分離液中のアンモニア態窒素を除去することが必要となります。

アナモックス細菌を利用した窒素除去施設の導入~平野下水処理場脱水分離液処理施設~

 大阪市平野下水処理場(大阪市平野区加美北2-6-69)では、脱水分離液中のアンモニア態窒素を除去するため「アナモックス細菌を利用した脱水分離液の処理施設」を導入し、平成31年4月より本格的に稼働を開始しています。

 アナモックス細菌を利用することで、省エネルギーかつ低コストで窒素除去を行うことが可能となります。アナモックス細菌による窒素除去反応は1990年代に見いだされた新しい反応で、本施設はこの反応を利用しており、下水道分野では国内で初の施設となります。

受賞


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 本施設は下水道の新たな価値の創造に貢献する取組として認められ、国土交通大臣賞(循環のみち下水道賞)を受賞しました。

 循環のみち下水道賞は平成20年に創設された国土交通大臣表彰で、健全な水環境、資源・エネルギー循環を生み出す21世紀の下水道のコンセプト「循環のみち下水道」に基づく優れた取組に対し表彰されるものです。


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 また、品質及び性能が優秀であり、環境保全及び環境装置産業の振興への貢献を認められ、経済産業省 産業技術環境局長賞(優秀環境装置表彰)を受賞しました。

 優秀環境装置表彰は、一般社団法人日本産業機械工業会が1974(昭和49)年度より経済産業省の後援を得て実施している表彰事業で、環境保全技術の研究・開発、並びに優秀な環境装置(システム)の普及の促進を図ることを目的とし、全国から応募のあった環境装置について、独創性・性能・経済性・将来性等の観点から表彰されるものです。

脱水分離液処理施設の導入背景

 大阪市では12か所の下水処理場で下水を処理していますが、処理に伴って発生した汚泥は平野下水処理場と舞洲スラッジセンターの2か所に集約し、脱水した後、溶融炉または炭化炉で処理をしています。この2拠点では、多量の脱水分離液が発生するため、高濃度のアンモニア態窒素を集中的に除去するための施設である脱水分離液処理施設の整備を進めてきました。

 舞洲スラッジセンターでは、平成16年より化学的処理を用いたアンモニアストリッピング法を採用した施設が稼働しております。省スペースで窒素除去が行えることが特徴的です。

 今回、平野下水処理場では汚泥の消化処理が開始されるため、新たに脱水分離液処理施設が必要となり、施設のスペースや処理コストを検討した結果、生物学的処理によるアナモックス細菌を利用した窒素除去法を導入することとしました。

 この方式は、一般的な窒素除去法である硝化脱窒法と比べ、電力費や薬品費の削減が図れるなど、効率よく窒素除去が行える点が特徴です。

 なお、脱水分離液処理施設の整備により、脱水分離液中のアンモニア態窒素を集中的に処理することで下水処理施設への負荷を低減できるため、本市の下水の高度処理を補完する事業として位置付けています。

 (注)アンモニアストリッピング法・・・脱水分離液に高温の蒸気を吹き込み気相にアンモニアを放散する処理方法。


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アナモックス反応について

 アナモックス反応とは、嫌気性(酸素のない状態)独立栄養細菌(増殖するのに有機物を必要としない菌)であるアナモックス細菌の働きにより、アンモニア態窒素(NH4+)と亜硝酸態窒素(NO2-)を直接窒素ガス(N2)に変換する反応で、1990年代にDelft(デルフト)工科大学の研究グループにより見いだされた比較的新しい生物学的窒素変換反応です。


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アナモックス法導入によるコスト削減効果(硝化脱窒法との比較)

 従来の硝化脱窒法と比べ、(1)必要な酸素量が小さくブロワなどの設備や使用するエネルギーが少ない、(2)反応に有機物を必要としないため有機物の薬剤添加が不要、(3)余剰汚泥(発生汚泥量)が少ない、といった特徴があり、本市では企業との公募型共同研究を行い、本市下水処理場への適用性を検証しました。


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流入水量3,000立方メートル/日、流入水質をT-N1,000ミリグラム/リットル、水温30度とした場合の試算結果による。
(注)参考文献「高温高濃度消化汚泥の脱水分離液から窒素を除去する技術に関する共同研究 報告書」(平成20年3月31日 大阪市建設局、株式会社NGK水環境システムズ)資-19 7.実施設容量計算より

処理施設フロー図


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(注1) UASB:上向流式嫌気性汚泥床
(注2) アナモックスグラニュール:アナモックス菌が自己造粒して形成された菌の凝集体

事業概要

概要
 事業対象施設脱水分離液処理施設
 事業内容脱水分離液処理施設の設計・建設業務および運転管理業務
 施設能力処理水量    1,350立方メートル/日
窒素除去能力 80パーセント以上(全窒素1,000ミリグラム/リットル→200ミリグラム/リットル)
 事業期間設   計 平成26年3月19日~平成26年10月31日
建   設 平成26年11月1日~平成29年3月31日
運転管理 平成29年4月1日~平成31年3月31日(性能評価期間)
 処理方式アナモックス細菌を利用した窒素除去法
 施工業者名メタウォーター株式会社
 施設所在地大阪市平野区加美北2-6-69(平野下水処理場敷地内)

施設見学に関する問い合わせ

大阪市建設局平野下水処理場
 住所:〒547-0001 大阪市平野区加美北2-6-69
 電話:06-6757-3309
 ファックス:06-6757-8631
 平野下水処理場ホームページ

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住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北2丁目1番10号 ATCビルITM棟6階

電話:06‐6615-7895

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