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深江の菅細工

2019年1月9日

ページ番号:9011

深江の菅細工

ふかえのすげざいく

分野/部門

無形文化財/工芸技術

保持団体

所在地

大阪市東成区深江南3

紹介

深江の菅細工製作の様子 写真

 深江の地には、大和の古代氏族である笠縫氏が移り住んだとの伝承があり、昭和38年(1963)に大阪市顕彰史跡となり、同47年には「摂津笠縫邑跡」として大阪府の史跡に指定されている。また『延喜式』には「菅並骨料材従摂津国笠縫氏参来造」とあり、また『万葉集』には「難波菅笠」の名もみられる。付近は低湿地で菅が生い茂っていたことから、「菅の里」とも呼ばれた。江戸時代には『摂津名所図会』の「名産深江菅笠」の項に「深江村及び隣村に多く莎草をもってこれを造る。只深江笠と稱して名産とす」と記され、加賀や近江と並ぶ菅笠の一大産地となった。製品の笠には男物・女物・伊勢参宮用・旅行用・大名行列や婚礼用など各種あったが、この地が奈良街道沿いに位置することもあって伊勢参宮用がもっとも多くつくられたという。
 近代には帽子の普及とともに菅笠づくりは廃れてしまい、明治・大正期には皿敷をはじめ各種の菅細工生産に転じて輸出もしたが、あまり長続きしなかった。

 なお伊勢神宮の式年遷宮や天皇即位後の大嘗祭には、今も深江の菅笠・菅翳が調進されている。

 このような菅細工は、深江菅細工保存会によって地元で継承されてきたが、伝統技術を保存し、将来に伝えることが課題となっている。

用語解説

大阪市顕彰史跡(おおさかしけんしょうしせき) 大阪市政70周年を記念して、歴史・文化のゆかりの地に顕彰碑・パネルを設けたもの

⇒大阪市顕彰史跡の一覧は「大阪市顕彰史跡」でご覧いただけます


延喜式(えんぎしき) 律令の施行細則を集大成した法典で、延長5年(927)に奏進された

式年遷宮(しきねんせんぐう) 一定の年数を定めて神殿を造営し、御神体をそこに遷すこと。伊勢神宮では当初、式年遷宮の年から20年目に次期の遷宮が行われていたが、1343年から21年目ごとに行われている

大嘗祭(だいじょうさい) 天皇即位後、最初に行う新嘗祭。新穀などの収穫祭であり、天皇が新穀を神に供する儀式などが行われる

 

参考文献

鳥越憲三郎「摂津深江の菅笠の研究」(『大阪府文化財調査報告書』第4集 1956年)

 

⇒「大阪市指定文化財(平成11年度)」にもどる

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