堂島の近世窯関係資料 一括(285点)
2019年1月9日
ページ番号:9200
堂島の近世窯関係資料
どうじまのきんせいようかんけいしりょう
分野/部門
所有者
大阪市
出土地
大阪市福島区福島1(福島1丁目所在遺跡)
紹介
福島1丁目で発見された江戸時代の窯と陶器である。
この地は元禄元年(1688)に成立した堂島新地にあたり、宝永4年(1707)の絵図によって大村藩(長崎県)蔵屋敷がおかれたことが判明している地点である。
窯はこの蔵屋敷跡の下層から3基発見され、1基が連房式登り窯、2基が「桶窯」と呼ばれる小型の窯である。
3基の窯のうち「桶窯」1基を切り取り保存している。
生産された製品には、硬質の施釉陶器(せゆうとうき)・軟質施釉陶器・人形・擂鉢(すりばち)がある。
硬質の施釉陶器は呉須(ごす)や鉄釉(てつゆう)の文様がある京焼系陶器で、擂鉢は「堺擂鉢」と共通する焼締陶器(やきしめとうき)である。
軟質施釉陶器は褐色に発色する単色の焼物である。
硬質の施釉陶器、擂鉢が連房式登り窯で焼かれ、軟質施釉陶器や施釉陶器の生地が桶窯で焼かれたと考えられている。堂島の窯は、材料や技術の異なる焼物を同じ窯で焼いていることや、立地条件が悪い低地に窯を構築していることなど、従来の陶器生産とは異なる特徴をもっている。
生産性よりも流通を重視して成立した窯といえ、近世陶器生産の新しい姿を示す意味で重要である。
用語解説
釉(ゆう) 陶磁器や琺瑯の素地の表面に施すガラス質の溶液。焼成すると薄い層を成し、吸水を防ぎ、光沢を帯びて装飾を兼ねる。主成分は珪酸(けいさん)化合物。金属含有物によって、さまざまな色を呈する。釉薬(ゆうやく)
呉須(ごす) 磁器の染め付けに用いる鉱物質の顔料。酸化コバルトを主成分として鉄・マンガン・ニッケルなどを含み、還元炎により藍青色ないし紫青色に発色する
鉄釉(てつゆう) 鉄(酸化鉄)を呈色剤(ていしょくざい)とする釉の総称。黒く独特の艶のある色彩が特徴