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令和7年度 市政運営の基本的な考え方

2024年9月10日

ページ番号:634912

令和6年9月9日付で、「令和7年度 市政運営の基本的な考え方」を策定しました。

(目次)


1 本市を取り巻く状況

2 基本認識、めざす姿、これまでの取組

3 具体的な取組

(1)取組の視点

(2)市民サービスの充実

  1 子育て・教育環境の充実

  2 暮らしを守る福祉等の向上

  3 各区の特色ある施策の展開

  4 行政サービスにおけるDXの推進

(3)府市一体による大阪の成長の実現

  1 経済成長に向けた戦略の実行

  2 都市インフラの充実

  3 防災力の強化

(4)新たな自治の仕組みの構築

  1 副首都・大阪の実現に向けた取組の推進

  2 地方分権改革の推進

(5)未来へつなぐ市政改革

  1 DXの推進

  2 官民連携の推進

  3 業務改革の推進

  4 働き方改革

  5 ニア・イズ・ベターの徹底

  6 持続可能な行財政基盤の構築


4 令和7年度予算編成

1 本市を取り巻く状況

[人口減少時代の到来]

  • わが国では、少子高齢化が進行し、平成20年をピークに人口が減少しており、生産年齢人口の減少による経済成長の制約などが懸念されている。本市においては、他都市からの転入超過や外国人住民の増により、平成12年以降、人口増加傾向にあるが、将来的に人口は減少に転じるものと見込まれる。

[社会経済状況の変化]

  • 少子高齢化は人口構造の変化をもたらし、本市では、1990年に現役世代(15~64歳)6.2人で高齢者(65歳以上)1人を支えていたものが、2023年には2.6人で1人となっており、さらに2045年には1.8人で1人を支える状況になると推計され、今後、現役世代の負担がさらに大きくなると予想される。
  • 高齢化の進展により医療と介護ニーズを併せ持つ高齢者やひとり暮らしの高齢者等の増加が見込まれる一方で、65歳以上の就業者等は増加しており、年齢に関わらず、それぞれの希望に応じて活躍し続けられる社会を構築することの重要性がますます高まっている。
  • 近年の大阪経済は緩やかに持ち直し回復傾向にあるが、長期的には産業構造の転換の遅れや企業の流出等により、域内総生産(GRP)の全国シェアの低落傾向が続いており、大阪市民の世帯所得についても、依然として低所得者層が多い状況となっている。
  • また、子どもの貧困率についても、わが国の子どもの貧困率は改善が見られるものの、本市は全国平均に比して貧困率が高く、令和5年の調査では、5歳児、小5、中2のいる世帯において概ね6人に1人が相対的貧困に陥っている。
  • 様々な社会経済状況の変化に対応するため、デジタル技術やデータの活用により社会システムの変革をもたらすことが、昨今の潮流となっている。

[地域コミュニティの現況]

  • 少人数世帯・高齢単身世帯の増加や、マンションなど共同住宅の増加といった地域コミュニティを取り巻く社会環境の変化に加え、個人の生活様式や価値観の多様化が進展したことにより、人と人とのつながりの希薄化が進んでいる。
  • こうしたことから、地域社会が抱える課題はより多様化・複雑化しており、これまで自助・共助の機能を担ってきた地域コミュニティの組織基盤を強化する必要性が顕在化している。

[財政状況]

  • 本市財政は、税収が令和5年度決算において2年連続で過去最高を更新しているものの、生活保護費等の扶助費や市債の償還のための公債費などの義務的な経費は、依然として高い水準で推移している。
  • 近年においては、職員数の削減及び市債残高の縮減などの市政改革の取組成果や、税収の堅調な推移もあり、財政健全化が進んでいるが、今後とも扶助費が高水準で推移することが見込まれることに加え、物価高騰や金利上昇への備えなど、急激な環境変化にも対応できるよう、持続可能な財政構造を構築していく必要がある。

(本市を取り巻く状況に関するデータについては参考資料参照)

2 基本認識、めざす姿、これまでの取組

[基本認識]

  • 急速な少子高齢化の進行は、経済、市民生活、医療・福祉、まちづくりの各分野に大きな影響を及ぼし、社会全体の活力低下を招くことが懸念される。こうした状況のもと、将来にわたり大阪が発展していくためには、大阪の未来を担う子どもや子育て世帯を社会全体で支え、将来に明るい希望を持てるまちとしていかなければならない。
  • また、子育て世代への重点投資により現役世代の活力を生み出し、その活力を高齢者にも還元する流れを作るとともに、真に支援を必要とする方へのサポートも充実させるなど、子どもや子育て世帯だけでなく、誰もがいつまでも住みたい、住み続けたいまちを実現する必要がある。
  • あわせて、地域課題に関わる様々な活動主体の自律的な取組を支援し、市民生活の安全・安心を支える地域コミュニティの組織基盤を強化し、自助・共助の力を取り戻さなければならない。
  • さらに、データやデジタル技術の活用を前提に、利用者目線で行政サービスそのものやその提供スタイルを進化させ、一人ひとりが多様な幸せ(ウェルビーイング)を実感できる都市へと発展するよう、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく必要がある。
  • その上で、大阪が将来にわたりにぎやかで活気あふれるまちであるためには、引き続き市政改革に取り組むとともに、都市の成長を実現することで、財源を生み出していくことが必要であり、そのためには府市一体で成長戦略を着実に実行し、大阪の成長を加速させていかなければならない。
  • そして、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする2025年日本国際博覧会が開催されるこの機を逃さず、「SDGs先進都市」の実現に向けた取組を強力に推し進める必要がある。

[めざす姿]

 一人ひとりが多様な幸せ(ウェルビーイング)を実感でき、誰もが安心していつまでも住み続けたいと思う「にぎやかで活気あふれるまち大阪」の実現をめざす。

  • 日本一の子育て・教育サービスを実現し、子育て世代に選ばれるまちをめざす。そして「重大な児童虐待ゼロ」はもとより、すべての子どもの安全・安心が守られ、また、どのような家庭環境、経済状況であっても、子どもたちが分け隔てなく大切にされ、夢を追い求めることができる社会を築き、国が掲げる「こどもまんなか社会」の実現につなげていく。
  • 地域において、多様な活動主体が「自らの地域のことは自らの地域が決める」という意識のもと、相互に理解し信頼し合いながら協働して豊かなコミュニティが形成されること、さらにこれらの活動主体と行政とが協働して「公共」を担う、活力ある地域社会を実現する。
  • 万博を成功に導き、府市一体で万博後も見据えた成長戦略の取組を加速させて大阪の成長・発展を確たるものにするとともに、日本経済の成長に着実に結び付けていく。
  • 東西二極の一極として、平時の日本の成長、非常時の首都機能のバックアップを担う「副首都・大阪」を実現する。
  • 本市を取り巻く状況や社会経済情勢の変化に対応した、持続可能な行財政基盤を構築する。

[これまでの取組]

  • 本市ではこれまでも、子どもの教育を未来への投資と捉え、3~5歳児の幼児教育の無償化を国に先駆けて実施し、すべての子どもが等しく教育を受けられる環境づくりを進めてきた。さらに、第2子の保育料無償化や待機児童対策、小中学校等における教育環境の充実や学校給食費の無償化、習い事・塾代助成にかかる所得制限の撤廃、放課後等における児童の安全・安心な居場所の提供など、子育て・教育施策に重点を置いて取り組んできた。
  • 不妊治療費等助成や妊婦健康診査公費負担の拡充、こども医療費助成、児童虐待防止対策、こどもの貧困対策、ヤングケアラーの支援など、妊娠から出産、子育てまで切れ目のない支援の取組を進めてきた。
  • 市民の暮らしを守るため、福祉施策を充実するとともに、高齢者や障がい者、若者、女性、外国人、性的マイノリティなど多様な方々が活躍できる環境整備を行ってきた。
  • 府市一体で成長戦略を策定し、国内外の観光需要の取り込みのほか、スタートアップやイノベーションの創出、成長を支える都市インフラの整備、脱炭素化の推進、経済と暮らしを支える安全・安心の基盤整備に取り組んできた。
  • 風水害や地震等から住民等の生命・財産を守るため、危険なブロック塀の撤去促進や避難所となる中学校の体育館への空調機整備、市街地の不燃化の促進、建築物や堤防等の耐震化など、防災・減災対策を進めてきた。
  • 行政手続きのオンライン化やスマート申請による区役所での手続きの利便性向上など、DXの取組を進めてきた。また、府市で策定した「大阪スマートシティ戦略」を踏まえ、府・市・経済界などが連携し、スーパーシティ構想を進めてきた。
  • 都市公園や客船ターミナル、下水道設備など公的施設の管理・運営等にPFIや指定管理の手法を活用するなど、民間の力をより一層活用するための取組を進めてきた。
  • 多様な活動主体が参加して地域課題に取り組む地域活動協議会の組織運営や財政面での支援に加え、制度改正により運営にかかる負担軽減に取り組むとともに、市民に身近なところで自律的な基礎自治行政を行うため、区長に対し権限と財源の大幅な移譲を行い、区の特性を活かしたまちづくりを進めてきた。
  • 国際情勢の変化等による物価高騰への対策として、低所得者向けの給付金支給のほか、プレミアム付商品券事業や上下水道料金の減額、社会福祉施設等に対する支援金の給付など、市民や事業者に対する支援を実施してきた。

3 具体的な取組

(1)取組の視点

  本市施策の推進にあたっては、「大阪市未来都市創生総合戦略」に基づき、子育てや教育環境の整備、誰もが健康で安心して暮らし続けられる地域づくりなどにおいて市民サービスの拡充を追求していくほか、府市で成長に向けた戦略を共有し大阪経済の成長・発展を確かなものとするとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成へとつなげていく。
 また、「Re-Designおおさか~大阪市DX戦略~」に基づく、サービス、都市・まち、行政の3つの視点からのDXの推進に加えて、データを活用した政策立案(EBPM)の推進により、各々の施策の有効性を高め、市民の生活の質(QoL)の向上と都市力の向上をめざす。
 さらに、オール大阪の指針である「副首都ビジョン」をもとに、若者や女性のチャレンジにあふれたワクワクする副首都・大阪の実現に向け、都市機能の充実や行政体制の整備、経済政策を進める。
 そして、政策推進の礎となる行財政運営において、「新・市政改革プラン」に基づく市政全般にわたる改革に着実に取り組む。

(2) 市民サービスの充実

1 子育て・教育環境の充実

  • 将来世代への投資として、「子育て・教育の無償化」に最優先で取り組む。
  • 0~2歳児の保育無償化をめざして、第2子の保育料無償化の実施とともに、待機児童対策を強力に進める。また、こども誰でも通園制度をはじめとした在宅等育児への支援も充実させるなど、どのような家庭状況であっても、等しく、子育てができる環境の整備を推進する。
  • また、習い事・塾代助成について、すべての小学5・6年生と中学生を対象とすることで、子育て世帯の経済的負担を軽減するとともに、子どもたちの学力や個性・才能を伸ばす機会を提供する。
  • すべての子どもが自分の可能性を追求できるよう、いじめや不登校への対応、自他を尊重し思いやる豊かな心の育成など、安全・安心な教育を推進する。また、AI(人工知能)時代やグローバル社会に必要となる読解力、数理能力、英語力等の育成に向けた取組を強化するなど、誰一人取り残さない学力の向上をめざすとともに、健康で活力のある生活を送るための基礎となる体力の向上を図る。あわせて、教育DXの推進や教員の確保・育成に向けた取組、教職員の働き方改革など、子どもの学びを支える教育環境の充実を図る。
  • 子どもの成長を社会全体で支えるため、NPOや市民・地域団体など多様な主体と連携するとともに、子どもの現在と将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう貧困を解消し、貧困の連鎖を断ち切るため、こどもの貧困対策に取り組む。また、ヤングケアラーの支援に向けて、家事・育児等の支援や子どもたちが相談しやすい環境の整備を進める。
  • 二度と悲惨な虐待事案が発生することのないよう、虐待通告や相談に対して、リスクレベルに応じた継続的、かつ、きめ細やかな支援を関係機関と連携して進めるとともに、引き続き各区の実情に応じた対策に取り組むほか、こども相談センターの専門性の向上や4か所体制に向けた環境整備など児童虐待防止体制をより一層強化する。あわせて、社会的養護のもとで暮らす子どもが家庭的な環境で育まれる取組を推進し、子どものケアを十分に実施できる体制を構築する。
  • 安心して子どもを生み育て、働くことができるよう、妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない伴走型支援の取組や18歳までの医療費の無償化、医療的ケア児を含む障がい児保育や安全・安心な保育環境の充実、小学生が放課後に安全に活動できる健全育成の場の提供など、全ての妊産婦等・子育て世帯・子どもへの包括的な支援を推進する。

2 暮らしを守る福祉等の向上

  • 市民の暮らしを守り、住民福祉のさらなる向上に注力するため、特別養護老人ホームの計画的な整備や施設の長寿命化に向けた大規模修繕、認知症施策等の推進により、ひとり暮らし高齢者や重度障がい者など、真に支援が必要な方にしっかりとサービスが届くよう取り組む。
  • 住吉市民病院跡地に弘済院の認知症医療・介護機能を継承・発展させる新施設を整備し、大阪公立大学のもとで先進的な認知症研究の取組や認知症患者の身体合併症医療の充実を図る。
  • 今後起こりうる新たな大規模感染症の発生も見据えた保健所体制と施設の整備を進める。
  • 安心して生涯を過ごせる健康長寿都市の実現をめざし、健康寿命の延伸を図るため、各種検診の受診率向上や生活習慣病予防などの健康づくりの取組を進めるとともに、高齢者の外出機会の創出、社会参加の後押しなどの介護予防の取組を進める。
  • 大阪を支える人材力の強化のため、就業支援を通じた自立支援やセーフティネットの構築、さらなる女性の活躍の促進など、若者、子育て世代、女性、高齢者、障がい者、外国人等、意欲のあるすべての人が能力を発揮できる環境を整備する。
  • 多文化共生社会の実現に向け、外国人住民等が、教育、子育て、防災など様々な生活の分野において行政サービスを着実に受けられるとともに、地域社会の一員として安心して暮らし、社会参加できるよう取り組む。
  • 地域や府警とも連携しながら、地域の状況を踏まえた防犯対策に引き続き取り組み、街頭犯罪などの発生件数等の減少をめざす。また、犯罪被害者等の支援のため、相談対応や日常生活支援などに取り組む。さらに、地域に影響を及ぼす空家等に対し、総合的な対策を推進する。

3 各区の特色ある施策の展開

  • 市民ニーズにきめ細かく応えられるよう、市民にもっとも身近な区政については、ニア・イズ・ベターを徹底し、区長の責任と権限のもと、地域の実情に即した特色ある施策を展開する。
  • 多くの行政課題を抱える西成区の現状を打ち破るための「西成特区構想」のもと、魅力ある子育て・教育環境の創出や、天下茶屋駅周辺のまちづくりなどの取組を進めるとともに、引き続き、府や府警とも連携し、あいりん地域を中心とする環境整備等の取組を推進する。

4 行政サービスにおけるDXの推進

  • 行政と市民等とのあらゆる接点においてデジタル化を拡大し、行かない・書かない・待たないことによる、ストレスを感じない窓口サービスを実現するなど、利用者目線でデザインされた、便利で快適な行政サービスをスピーディーに提供していく。

(3)府市一体による大阪の成長の実現

1 経済成長に向けた戦略の実行

  • 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催される万博を誰もが安心して楽しめるよう、(公社)2025年日本国際博覧会協会と連携して、万博の円滑な運営に取り組む。また、地元自治体として、来阪者等がスムーズに移動し大阪のまちを満喫できるよう、ライドシェアの利用推進やホスピタリティの向上などに取り組むとともに、国内外への情報発信やプロモーション活動により、万博のみならず大阪の魅力を全世界に発信していく。さらに、万博のインパクトを活かし、さらなる国際交流の促進や未来へつながるイノベーションが次々と生み出される社会の実現に向けて取り組み、大阪・関西ひいては日本の持続的な成長への道筋を確かなものとする。
  • 新たな国際観光拠点をめざす夢洲において、大阪・関西の持続的な経済成長のエンジンとなる世界最高水準の成長型IR(統合型リゾート)の開業に向けた取組を推進する。
  • 世界におけるスマートシティの先進的地位をめざして府市で策定した「大阪スマートシティ戦略」を踏まえ、官民一体となって夢洲やうめきた2期におけるスーパーシティ構想を推進することにより、住民の生活の質(QoL)の向上や都市競争力の強化を図る。
  • G20大阪サミットで確認された地球規模の環境課題を踏まえ、循環共生型社会の構築に取り組み、環境と成長の好循環を推進する。特に2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロをめざす「ゼロカーボン おおさか」の実現に向け、再生可能エネルギーの普及拡大・エネルギー消費の抑制等の気候変動対策に取り組む。
  • 国家戦略特区・総合特区などの国の政策と連動しながら、地方税ゼロによる法人実効税率の軽減など大阪の国際競争力強化に向けた環境整備を進める。
  • 大阪独自の個性と機能を持った国際金融都市の実現に向け、金融・資産運用特区に選定されたことも活かしながら、官民一体となってさらなる取組を推進する。
  • 先端技術の社会実装の推進を含めたイノベーションを生み出すビジネス環境づくりや生産性の向上に取り組むとともに、スタートアップの創出・成長のための支援や海外を含めた支援機関等との連携を強化し、世界に伍するスタートアップ・エコシステムの構築に取り組む。
  • 中小企業支援施策・事業の執行を担う(公財)大阪産業局を中心に、DX・GX(グリーントランスフォーメーション)の推進、国際ビジネス交流の創出による販路開拓などの支援を強化し、中小企業の変革や健全な発展を図り、新たな活力を創出する。
  • 大阪の都市魅力創造のため、水辺の魅力向上や舟運の活性化、御堂筋の空間再編・魅力創出をはじめとした観光振興、MICE誘致、文化・スポーツ振興及び国際化などの取組を推進する。

2 都市インフラの充実

  • 大阪のめざすべき都市像やまちづくりの方向性などを示す「大阪のまちづくりグランドデザイン」に基づき、本市をはじめ、行政や民間など多様な主体が一体となって、大阪のまちづくりを推進する。
  • キタ、ミナミに、ニシ、ヒガシを加えた様々なエリアで、多くの人が集まり、活気にあふれ、魅力ある拠点を形成する。
  • うめきた2期区域の全体まちびらきに向けた取組や、なんば駅周辺における人中心の空間への再編と民間開発の誘導を進める。また、新大阪駅周辺地域では今後の北陸新幹線の新駅整備等を踏まえたまちづくりに取り組むとともに、夢洲地域においては万博のインパクトを活かしたまちづくりを進めていく。加えて、京橋地区のまちづくりや、「知の拠点」をめざし新たに森之宮キャンパスを開設する大阪公立大学を先導役として大阪城東部地区のまちづくりを推進する。
  • 国内外の幅広い活力を引き出しながら、関西経済をけん引できるよう、広域的な観点に立ち、リニア中央新幹線や北陸新幹線の大阪までの開業、なにわ筋線や淀川左岸線(2期)及び延伸部の整備など、都市インフラの整備を着実に進める。
  • 都市景観の形成の観点に加え、市民生活における身近なみどりの環境整備の観点から、樹木が本来持つ機能や効用を最大限発揮させるよう、計画的な樹木の維持管理を行うなど、豊かで潤いのある質の高いみどりのまちづくりを進める。
  • 便利で安全・安心に暮らせるまち、魅力と活力のあるまちの実現に向け、デジタル技術やデータ等を活用し、公共施設の機能維持・向上を図るとともに、都市機能の高度化を推進する。

3 防災力の強化

  • 南海トラフ巨大地震や気候変動の影響などによる大規模災害に備え、首都機能のバックアップも見据えつつ、防潮堤の耐震補強・嵩上げや地下空間の防災・減災対策、密集住宅市街地整備等の推進、災害救助用備蓄物資の充実、避難所の環境改善、避難行動要支援者の個別避難計画の作成、帰宅困難者対策の推進など、ソフト・ハード両面を組み合わせた防災力の強化を図る。
  • 近年の気象災害や大規模地震に加え、特殊なビル火災などを教訓として、訓練の充実により市民・職員の災害対応能力の向上や、既存建築物の安全対策促進を図るとともに、デジタル技術を活用した情報発信・収集等災害対応能力の向上に取り組む。

(4)新たな自治の仕組みの構築

1 副首都・大阪の実現に向けた取組の推進

  • 副首都・大阪の実現に向け、世界標準の都市機能の充実やチャレンジを促す経済政策を進めるとともに、府市一体を核にした行政体制の整備を進める。
  • 「大阪市及び大阪府における一体的な行政運営の推進に関する条例」に基づき、府市間で統合した機関等の機能強化や府市一体の政策強化により、大阪の成長・発展に向けた取組を進める。
  • 首都機能バックアップの取組や副首都化に向けた仕組みづくりの検討を進める。
  • 東京一極集中から複数の都市が成長をけん引する国の形への転換に向けた働きかけを行う。

2 地方分権改革の推進

  • 関西広域連合の一員として、国の出先機関を関西広域連合へ「丸ごと」移管するよう国に求める。
  • また、補完性の原則に基づく事務・権限、財源の国から地方への移譲の徹底を国に求め、地方分権型道州制の実現をめざす。

(5)未来へつなぐ市政改革

1 DXの推進

  • 限られた行政資源の中で、社会環境の変化に柔軟に対応し、かつ、新たな行政ニーズにも的確に対応できるよう、効果的・効率的な行財政運営を追求するため、DXを推進していく。

2 官民連携の推進

  • 官民の最適な役割分担のもと、官が担っている事業を民間が担うことにより、コスト削減やサービス向上が期待できるものは、積極的に民間活力の活用を推進する。特に、公共施設等の整備・運営等におけるPPP/PFI手法等の活用のほか、より質の高い公共サービスの実現に向けた新たな事業手法の検討についても積極的に進める。

3 業務改革の推進

  • 将来的に労働力不足が見込まれる中においても、市民サービスの向上を図るため、業務の効率化と質の向上や、多様化・複雑化する行政課題に対応できる専門性・行動力のある職員の育成・支援、行政区域を越えた効率的な業務執行体制のあり方検討などに取り組む。

4 働き方改革

  • 職員一人ひとりが安心して働くことのできる魅力ある職場を実現し、ひいては優秀な人材の確保や市民サービスの向上につなげていくため、ワーク・ライフ・バランスの推進や多様な働き方ができる勤務環境の構築などに取り組む。

5 ニア・イズ・ベターの徹底

  • 多様化・複雑化する市民ニーズにきめ細かく対応するとともに、地域コミュニティの組織基盤を強化し、活力ある地域社会づくりを進めるため、引き続きニア・イズ・ベターを徹底する。

6 持続可能な行財政基盤の構築

  • 急激な社会環境の変化にも対応できるよう、「持続可能な行財政基盤の構築」をめざし、施設マネジメントの推進や、未利用地の有効活用などに取り組む。

4 令和7年度予算編成

 本格的な少子高齢・人口減少社会が到来し、生産年齢人口の減少による経済成長の制約や社会全体の活力低下が懸念される中、多様化する市民ニーズへの対応や大阪の成長の実現のため、市民の安全・安心を支える安定した財政基盤の構築に向け、たゆみなく市政改革に取り組む必要がある。

 引き続き、収入の範囲内で予算を組むことを原則とするなど、将来世代に負担を先送りすることのないよう財政健全化への取組を進めるとともに、限られた財源のもとでの一層の選択と集中を全市的に進める。

  • 市民サービスの充実、大阪の成長の実現に向けた取組など、必要となる予算を編成する。
  • 予算編成を通じ、引き続き市政改革に取り組むとともに、府・市間の取組の推進にあたっては、住民の視点等を踏まえ、府・市の役割分担に応じた負担となるよう取り組む。
  • 区長・局長マネジメントのもと、PDCAサイクルを徹底し、選択と集中・スクラップアンドビルドを進め、歳出・歳入両面にわたって更なる自律的な改革に取り組む。
  • 自律した自治体型の区政運営の推進に向け、基礎自治行政に関しては、区長自らの努力で歳入を確保する場合の財源も活用しながら、区長が区の特性や地域の実情に即した施策を展開・充実できるよう、その決定権に基づき、局予算も含め予算を編成する。
  • 公共事業の選択と集中を引き続き進めるとともに、その財源となる市債発行についても、将来世代の負担を勘案し、予算編成を通じ精査する。
  • 財政運営の透明性や財政規律を一層確保する観点から、予算編成過程を公表するとともに、令和7年度当初予算の公表にあわせて、今後の財政収支概算を改訂する。


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