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情報公開推進のための指針 -事例から学ぶ公開のためのチェックポイント- 令和3年11月 総務局

2016年5月16日

ページ番号:199697

目次

1 条例第2条第2項(公文書)について

 (1) 趣旨

 (2) チェックポイント

 (3) その他

2 条例第7条(公文書の公開義務)について

 第7条の解釈にあたって

3 条例第7条第1号(個人情報)を理由とする非公開について

 (1) 第1号の解釈にあたって

 (2) チェックポイント

 (3) 事例

 [Point2関連(「特定の個人を識別することができるもの」に該当するか?)]

  ○ 「児童記録」の被虐待児童に関する情報 事例1-1

  ○ 「児童虐待に関する報告書」の被虐待児童に関する情報  

  [Point3関連(「特定の個人を識別できないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するか?)]

  ○ 特定の小学校における特定年度の卒業生の児童指導要録中の「総合所見」欄 事例1-2

  ○ 事故報告書及び示談書に記載されている傷病名、負傷状況 事例1-3

  ○ カルテ、反省文など個人の人格と密接に関わる情報 他   事例1-4

 [Point4関連(法律、政令、省令若しくは条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されていないか?)]

  ○ 病院等の院内に掲示されている、管理者及び診療に従事する医師等の氏名 事例1-5

  ○ 土地開発公社が個人地権者から買収した土地の買収価格、所在、地番及び地積並びに当該個人地権者の住所及び氏名 事例1-6

  ○ 土地区画整理境界明示書に記載されている申請者の氏名、住所、申請地及び隣接地の地番 事例1-7

  ○ 事業者が不特定多数の者に発行している領収書に押印された担当者の印影 事例1-8

  ○ 市(区)交際費の支出に係る交際の相手方氏名 事例1-9

  ○ 職務遂行に係る情報に含まれる職員の氏名 事例1-10

  ○ 教育長の給料(基本月額) 事例1-11

  ○ 医療過誤訴訟記録中の患者の氏名、生年月日等 事例1-12

 [Point6関連(公務員等が、行政機関の一員として、その担任する職務を遂行する場合における当該職務遂行に関する情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分に該当しないか?)]

  ○ 出勤簿に記録されている職員の勤務状況に関する情報 事例1-13

  ○ 公務員等の休暇の原因ないし内容及び休職の理由に関する情報 事例1-14 他

 (4) その他

  ○ 学校支援(法律相談)事業相談個票の「事案の概要」欄、「相談(質問)事項」欄、「回答」欄

4 条例第7条第2号(法人等情報)を理由とする非公開について

 (1) 第2号の解釈にあたって

 (2) チェックポイント

 (3) 事例

 [Point1関連(「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当するか?)]

 ア 法人その他の団体に関する情報か?

  ○ 市有地賃貸借契約書にある連帯保証人の法人等の名称及び代表者名 事例2-1

 イ 法人等の代表者や従業員等の行為に関する情報のうち、法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報か?

  ○ 「老人憩の家」の整備補助金交付申請書の申請書欄に記載されている老人憩の家建設委員会委員長の氏名 事例2-2

  ○ 見積書及び支払い証明書に記載されている旅行業者の支店長氏名 事例2-3

 [Point2関連(「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか?)]

 イ 法人等の事業者が保有する生産技術上又は販売上の情報であって、公開することにより、当該法人等の事業者の営業活動が損なわれるおそれがある情報か?

  ○ 補助事業に関して本市に提出された実績報告書に添付されている納品明細書のメーカー名の記載がない備品に係る単価及び金額 事例2-4

  ○ 指定管理者に選定された団体からの運営計画、振興事業の提案文書 事例2-5

  ○ 見積り合せ業者、プロポーザル参加業者等の契約者以外の事業者の名称及び住所並びに当該事業者の推認情報 事例2-6

  ○ 本市の病院内の倫理委員会議事録に記載された治験薬に関する申請課題及び議事内容の部分等 事例2-7

 イ 法人等の事業者が保有する生産技術上又は販売上の情報であって、公開することにより、当該法人等の事業者の営業活動が損なわれるおそれがある情報か?

 ウ 経営方針、経理、人事等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、公開することにより、法人等の事業者の事業運営が損なわれるおそれがある情報か?

  ○ 本市が法人に貸与している普通財産である土地の貸付料の単価、月額、年額及び全額、減額率並びに契約保証金 事例2-8

  ○ 本市が法人から土地を購入した場合の売買価格 事例2-9

  ○ 土地開発公社が法人等である地権者から買収した土地の買収価格、所在、地番及び地積並びに公社が法人等の地権者に支払った建物等の補償価格 事例2-10

  ○ 本市の出資等法人から第三者割増増資を受けた法人の名称 事例2-11

  ○ 事業請負見積書に押印された印刷業者の印影 他 事例2-12

  ○ 飲食代金の請求書に記載された口座番号等及び印影 事例2-13

  ○ 事業者の納入先又は仕入先に関する情報 事例2-14

  ○ 産業廃棄物管理票(建設系廃棄物マニフェスト)に記載された事業者の委託先等の取引に関する情報 事例2-15

 エ その他公開することにより、法人等の事業者の名誉、社会的評価、社会的活動の自由等が損なわれるおそれがある情報か?

  ○ 消防署立入検査報告書 事例2-16

  ○ 補助金を不正に受給していた事業者の名称 事例2-17

  ○ 違法な活動を行っていると地域住民が指摘する事業者等の名称 事例2-18

5 条例第7条第3号(任意提供情報)を理由とする非公開について

 (1) 第3号の解釈にあたって

 (2) チェックポイント

 (3) 事例

 [Point2関連(公にしないとの条件を付することが当該情報の性質、提供された当時の状況等に照らして合理的であると認められるか?)]

  ○ 事業者と連合振興町会との協議で用いられた資料のうち、以後の協議により内容が変更される可能性がある未確定な情報が含まれていないもの 事例3-1

6 条例第7条第4号(審議・検討・協議情報)を理由とする非公開について

 (1) 第4号の解釈にあたって

 (2) チェックポイント

 (3) 事例

 [Point2・3関連(公にすることにより、率直な意見の交換等不当に損なわれるおそれがあるか?未成熟な情報が公開されること等により、混乱を生じさせるおそれがあるか?)]

  ○ 公正取引委員会議事録 事例4-1

7 条例第7条第5号(事務事業遂行情報)を理由とする非公開について

 (1) 第5号の解釈にあたって

 (2) チェックポイント

 (3) 事例

 [Point3関連(事務又は事業に関する情報を公開することによる利益と支障を比較衡量した上で、公開することの公益性を考慮しても、なお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過し得ない程度のものであり、かつ当該支障を及ぼすおそれの程度について、抽象的・確率的な可能性ではなく、具体的な支障が生じる相当の蓋然性が認められるか?)]

  ○ コピー用紙の購入契約の入札予定価格 事例5-1

  ○ 監査結果復命書 事例5-2

  ○ 土地開発公社が個人又は法人等である地権者から買収した土地の買収価格、所在、地番及び地積並びに公社が法人等の地権者に支払った建物等の補償価格 事例5-3

  ○ 教員採用選考テストにおける試験官(市職員)の氏名・役職 事例5-4

  ○ 図書館司書採用試験の問題と正答表 事例5-5

  ○ 消防署立入検査報告書に記載されている検査対象物の不備欠陥事項に関する情報 事例5-6

  ○ 廃棄物処理業者等の行政処分等に関する審査委員会資料綴りに含まれている聴聞調書に記録された当時者等の発言内容、事情聴取記録に記録された事情聴取の内容及び関係者等から任意に提出された資料、議事録中の検査及び取締りの手法並びに検査体制等に関する記載内容 事例5-7

8 条例第7条第6号(公共の安全・秩序維持情報)を理由とする非公開について

 (1) 第6号の解釈にあたって

 (2) チェックポイント

 (3) 事例

 [Point2関連(「犯罪の予防、犯罪の捜査に支障が生じる情報」に該当するか?)]

  ○ 本市の監理団体がその運営事業を受託している施設の一部にかかる鍵引渡書に記載された鍵メーカー及び鍵番号 事例6-1

9 条例第7条第7号(法令秘情報)を理由とする非公開について

 (1) 第7号の解釈にあたって

 (2) チェックポイント

 (3) 事例

 [Point1関連(法令又は条例の明文の規定により公開が禁止され、他の目的への使用が禁止され、又は具体的な守秘義務が課されている情報か?)]

  ○ 印鑑登録申請書 他

 [Point2関連(法令又は条例に公開を禁止する明文の規定はないが、当該法令又は条例の趣旨、目的に照らしてその規定するところを解釈した場合に、公にすることができないと認められる情報か?)]

  ○ 行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定により非公開とされる情報と同一の情報 他

  ○ 民生委員推薦委員会議事録 事例7-1

10 条例第6条が規定する公開請求の要件について

(1) 趣旨

(2) チェックポイント

11 その他

  ○ 公開請求に係る公文書に請求者が公開を求めた事項以外の情報が記録されている部分がある場合の取扱いについて

  ○ 理由付記について

  ○ 署名及び印影の黒塗りについて

 

【判例・答申】

キーワード検索

公文書   録音記録   メール

職員に関する情報

  ○ 職務遂行に係る情報に含まれる職員の氏名 事例1-10

  ○ 教育長の給料(基本月額) 事例1-11

  ○ 出勤簿に記録されている職員の勤務状況に関する情報、公務員等の休暇の原因ないし内容及び休職の理由に関する情報 他 事例1-13

  ○ 教員採用選考テストにおける試験官(市職員)の氏名・役職 事例5-4

土地に関する情報

  ○ 土地開発公社が個人地権者から買収した土地の買収価格、所在、地番及び地積並びに当該個人地権者の住所及び氏名 事例1-6

  ○ 土地区画整理境界明示書に記載されている申請者の氏名、住所、申請地及び隣接地の地番 事例1-7

  ○ 市有賃貸借契約書にある連帯保証人の法人等の名称及び代表者名 事例2-1

  ○ 法人に貸与している普通財産である土地の貸付料の単価、月額、年額及び全額、減額率並びに契約保証金 事例2-8

  ○ 本市が法人から土地を購入した場合の売買価格 事例2-9

  ○ 土地開発公社が法人等である地権者から買収した土地の買収価格、所在、地番及び地積並びに公社が法人等の地権者に支払った建物等の補償価格 事例2-10

  ○ 土地開発公社が個人又は法人等である地権者から買収した土地の買収価格、所在、地番及び地積並びに公社が法人等の地権者に支払った建物等の補償価格 事例5-3

印影

  ○ 事業者が不特定多数の者に発行している領収書に押印された担当者の印影 事例1-8

  ○ 事業請負見積書に押印された印刷業者の印影 他 事例2-12

  ○ 飲食代金の請求書に記載された口座番号等及び印影 事例2-13

議事録

  ○ 本市の病院内の倫理委員会議事録に記載された治験薬に関する申請課題及び議事内容の部分等 事例2-7

  ○   公正取引委員会議事録 事例4-1

  ○ 廃棄物処理業者等の行政処分等に関する審査委員会資料綴りに含まれている聴聞調書に記録された当時者等の発言内容、事情聴取記録に記録された事情聴取の内容及び関係者等から任意に提出された資料、議事録中の検査及び取締りの手法並びに検査態勢等に関する記載内容 事例5-7

  ○   民生委員推薦委員会議事録 事例7-1

文書による検索

文書による検索

対象文書

情報

争点

参照

市長メール

メール

条例2条2項

答申1

不適正資金事情聴取記録

メモ(電磁的記録)

答申2

警察署協議会代表者会議

録音情報

答申3

支出決議書(食料費)

(事業者)相手方氏名、役職名

条例7条1号

判例4

児童記録票

虐待児童に関する情報

事例1-1

生徒事故報告書

生徒に関する情報

答申5

児童指導要録(総合所見欄)

活動歴、経験等

事例1-2

事故報告書・示談書

傷病名、負傷状況

事例1-3

個人のカルテ、反省文

 

事例1-4

行政処分に係わる聴聞調書

謝罪文、誓約書

答申7

医療監視関係書類

医師の氏名

事例1-5

派遣、出張命令、経費支出関係文書

旅行業務取扱主任者氏名

事例1-5

地権者と公社との売買契約書等

土地の買収価格、所在、地番、地籍
個人地権者の住所、氏名

事例1-6

土地区画整理境界明示書

申請者氏名、住所、申請地、隣接地地番

事例1-7

事業者の発行した領収書

担当者の印影

事例1-8

支出決議書

市(区)交際費相手方氏名

事例1-9

給与支給調書

教育長の基本月額

事例1-11

非常勤嘱託職員要綱

報酬月額

事例1-11

医療過誤訴訟関係書類

患者の氏名、生年月日

事例1-12

出勤簿

出勤状況、組合専従、遅参

事例1-13

出勤簿

休暇の原因、勤務評定

事例1-14

学校支援(法律相談)事業相談個票

事案の概要、相談(質問)事項欄、回答欄

条例8条

答申13

市有地貸借契約書

連帯保証人である法人名称、代表者名

条例7条2号

事例2-1

老人憩いの家の整備補助金交付申請書

建設委員会委員長氏名

事例2-2

見積書、支払い証明書

旅行業者の支店長名

事例2-3

社会福祉施設整備事業の実績報告書

備品に係る物品明細書の単価、金額

事例2-4

選定された指定管理者の運営計画書、事業提案書

運営内容など

事例2-5

首都機能移転誘致事業に係る委託契約書、契約仕様書、見積書

事業者(債権者、プロポーザル参加業者、プロポーザル指名業者、見積もり合わせ業者)の名称、住所、事業者推認情報

事例2-6

倫理委員会議事録

治験薬に関する情報

事例2-7

土地貸付状況報告書

土地の貸付量の単価、月額、年額、全額、減額率、

事例2-8

市事業用地に係る土地売買契約書

売買価格(市が購入)

事例2-9

売買契約書、土地取得調書等

土地の買収価格、所在、地番、地籍、法人に支払った建物等の補償価格

事例2-10

特定鉄道株式会社の新株式募集要項

株主法人名称

事例2-11

事業請負見積書

業者の印影

事例2-12

土地信託契約書

受託銀行の印影

条例7条2号

事例2-12

産業廃棄物管理表(建設系廃棄物マニフェスト)

事業者の委託先等の取引に関する情報

事例2-15

立入検査報告書(大規模集客施設)

印影以外の情報(通知書交付関係者、検査実施者、不備欠陥事項、対象物所在地等

事例2-16

支援費制度指定事業者、施設指導監査関係書類

法人の事業者名

事例2-17

ゴルフ場開発関係書類

地域住民が違法な活動を行っていると指摘している事業者等の名称

事例2-18

環境調査、交通量調査、協議資料等

未確定名情報が含まれていない部分

条例7条3号

事例3-1

公正取引委員会議事録(再販売価格維持行為に係る部分)、関係資料

開催年月日、出席委員の氏名及び議題、議事の内容に関する事項等

条例7条4号

事例4-1

入札関係書類

コピー用紙の購入契約の入札予定価格

条例7条5号

事例5-1

監査結果復命書

 

事例5-2

契約書、依頼文、売買契約等関係書類

土地買収価格、所在、地番、地籍、法人等地権者への建物補償価格

事例5-3

大阪市公立学校教員採用選考テスト関係書類

試験官氏名、役職

事例5-4

図書館司書採用試験の問題、正答表

問題、正答

事例5-5

立入検査報告書(大規模集客施設)

印影以外の情報(通知書交付関係者、検査実施者、不備欠陥事項、対象物所在地等

事例5-6

行政処分に係わる聴聞調書、事情聴取記録、審査会議事録

聞き取り内容、相手方提出資料

事例5-7

鍵引渡書

鍵メーカー、鍵番号

条例7条6号

事例6-1

民生委員推薦委員会議事録

発言者氏名、議事内容、発言内容

条例7条7号

事例7-1

1 条例第2条第2項(公文書)

 2 この条例において「公文書」とは、実施機関の職員(本市が設立した地方独立行政法人及び住宅供給公社等(以下「本市が設立した地方独立行政法人等」という。)の役員を含む。以下同じ。)が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、官報、公報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数のものに販売することを目的として発行されるものを除く。

 (1) 趣旨

 本項は、公開請求等の対象となる公文書の概念を明らかにし、その範囲を定めたものである。

 公開請求等の対象となる公文書については、本市の説明責任が全うされるようにするという本市条例の目的に照らして必要十分なものとするため、施行前に作成し、又は取得した文書を含め、決裁、供覧等の手続きを要件とせず、業務上の必要性に基づき保有している文書であるかどうかの実質的な要件(「当該実施機関の職員が組織的に用いるもの」)で規定している。

 (2) チェックポイント

 Point1  「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書」に該当するか?

 実施機関の職員が当該職員に割り当てられた仕事を遂行する立場で、作成し、又は取得したことをいい、作成したこと及び取得したことについて、文書管理のための帳簿に記載すること、収受印があること等の手続的な用件を満たすことを要するものではない。

 Point2  「当該実施機関の職員が組織的に用いるもの」に該当するか?

 「組織的に用いる」とは、作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において、業務上必要なものとして、利用又は保存されている状態のものを意味する。

 【組織的に用いるものには該当しない例】

  ・   職員が単独で作成し、又は取得した文書であって、専ら自己の職務の遂行の便宜のためにのみ利用し、組織としての利用を予定していないもの(自己研鑽のための研究資料、備忘録等)

  ・   職員が自己の職務の遂行の便宜のために利用する正式文書と重複する当該文書の写し

  ・   職員の個人的な検討段階に留まるもの

 【組織共用性の判断基準】

  ・   文書の作成又は取得の状況(職員個人の便宜のためにのみ作成又は取得するものであるかどうか、直接的又は間接的に当該実施機関の長等の管理監督者の指示等の関与があったかどうか)

  ・   当該文書の利用状況(業務上必要として他の職員又は部外に配布されたものであるかどうか)

  ・   保存又は廃棄の状況(専ら当該職員の判断で処理できる性質の文書であるかどうか、組織として管理している職員共用の保存場所で保存されているものであるか)

 〇 メールの公文書該当性

 〔考え方〕

  業務と密接に関連し継続利用が見込まれる情報の伝達に一対一メールが利用された場合には、送受信者は、当該電子メールを個人用メールボックスに長期間にわたって保有し、必要に応じてコピーファイルを貸与された公用PC内の記録媒体に記録したり、プリントアウトしたものを保有したりするなどして、他の職員への配布や、後任者への引継ぎに備えて当該電子メールを保存することも十二分に想定される。

 そうすると、被告が的確な反証を行わない本件においては、本件文書の中には、職務上の指示、報告等に利用されたものがあると認めるのが相当であり、これらの電子メールは、その作成、利用及び保存の状況に照らし、業務上必要なものとして、利用又は保存されている状態にあるべきであるから、「組織的に用いるもの」に該当すると解すべきである。

 ※平成29年9月22日大阪高裁判決(【判例・答申】1)参照

 「大阪市公文書管理条例解釈・運用の手引」
 第2条 定義 第3項 公文書 [運用] 電子メールの取り扱いについて

 〇 メモ(電磁的記録)の公文書該当性

 〔考え方〕

 実施機関の説明によれば、当該電磁的記録はメモであって公文書ではない旨を主張するが、電磁的記録についても、紙文書と同様に、公文書の定義に照らして、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した電磁的記録に該当するか否か、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものに該当するか否かを、実質的に判断することになる。

 具体的には、その内容や記述の様態といった観点や、特に電磁的記録の場合は保管場所として、共用フォルダ内にあるか否かといった観点も踏まえて、判断することとなる。

 ※平成22年1月22日大阪市答申第261号(【判例・答申】2)参照

公開度UPに向けて

 公開請求の対象となっている文書が公文書に該当するか否かの判断にあたっては、その内容や整理の状態などの要素のほか、電磁的記録の場合は共用の保管場所に保管されているかどうかといった組織共用しているかどうかの実態に加え、市の説明責任の観点も考慮した上で、総合的に公文書該当性を判断する。

 〇 録音記録(テープやICレコーダーの記録)の公文書該当性

 〔考え方〕

 録音記録についても、紙文書と同様に、公文書の定義に照らして、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した電磁的記録に該当するか否か、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものに該当するか否かを、実質的に判断することになる。

 (参考)

  公文書に該当する録音記録の例(警察署協議会代表者会議の録音テープ)

 (判断の主旨)

  ・会議終了後に行う必要な事務処理への準備を行っていたものであると認められる。

  ・録音していることは、実施機関の組織内において少なくとも暗黙の了解があったといえる。

  ・本件録音テープは、実施機関が主張する個人的な検討段階の資料にとどまるものとはいえない。

  ・この本部長が発言したコメントは、当該事務担当者のみならず、発言者本人や警察本部職員を含む会議参加者が同時に聴取していることを考えると、本件録音テープは、録音が終了した時点で、組織共用性の実態を備えた公文書であると考えることができる。

 ※平成17年6月16日埼玉県情報公開審査会答申(【判例・答申】3)参照

 (3)その他

 情報公開請求に対してなされた不存在による非公開決定の中には、請求対象となる公文書が存在しないことが理由となっている場合が散見される。

 平成13年度から平成16年度までの情報公開請求2,778件に対して、539件の不存在による非公開決定がなされているが、総務局の分析によると、不存在事例の8割以上(465件/539件)が、当然不存在となる事例(本市の所掌外の事務に関する公開請求等)であるが、残る74件の一部には、本来作成すべき公文書が作成されていなかったり、公文書として適正に保存管理されていなかったため不存在とされた事例が見受けられたとのことである。

 今後、「説明責任を果たすための公文書作成指針」を参考に、適正な公文書管理及び情報公開制度の円滑で適正な運用に努める必要がある。

ア 不存在の場合の文書の作成
  公開請求の対象となる文書が存在しない場合は、条例第32条第2項の規定に基づき、不存在による非公開決定を行うだけでなく、公開請求の趣旨に照らして、その時点で保有している資料、メモ、記憶等を基に、新たに文書を作成(場合によっては取得)する方法により、必要と認められる情報の提供に努めなければならない。

イ 不存在理由の明確化
  公文書の不存在を理由とした非公開決定を行う際には、説明責任を果たす観点から、「当該公文書をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しない場合」、「当該公文書は存在したが、保有年限が経過したために廃棄した場合」、「文書等は存在するが、組織的に用いていない」などの理由だけではなく、「なぜ作成(取得)していない」のかということについても、明確にしなければならない。

 「説明責任を果たすための公文書作成指針」

2 条例第7条(公文書の公開義務)について

 実施機関は、公開請求があったときは、公開請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、公開請求者に対し、当該公文書を公開しなければならない。

 第7条の解釈にあたって

 第7条は、「非公開情報のいずれかが記録されている場合を除き、・・・公開しなければならない」という文言からも明らかなように、あくまでも公開を原則として、実施機関に対し非公開情報に該当しない情報の公開義務を課したものである。また、第7条各号に該当する情報については、公開義務を免除しているにすぎず、公開することを禁止する趣旨のものではない。

 第7条の解釈にあたっては、以上の趣旨を踏まえ、「市政運営についての説明責務」「市政に対する市民の理解と信頼の確保」といった本条例の目的を逸脱して不当に非公開となる範囲が広くなりすぎないように、公開することの利益と、公開されないことの利益との調整を個々の案件ごとに図る必要がある。

 特に、個人に関する情報については、本条例では、特定の個人を識別することができるものについて公開義務を免除する方法を採用していることから、公開しても個人のプライバシーを侵害するおそれのない情報や、社会通念上受忍すべき範囲内にとどまると考えられる情報などが、特定の個人を識別することができることを理由として安易に非公開とすることがないように十分留意する必要がある。

 以上のことから、第7条各号(第7号を除く。)に該当する情報であっても、本条例が目的とする「市政運営についての説明責務」「市政に対する市民の理解と信頼の確保」といった観点から、今一度、本当に非公開とすべき情報なのかを十分に検討し、公益上必要があると認められるときは、積極的に公開していくことが必要である。

* 非公開情報であっても関連情報を提供!

 非公開とすべき情報であっても、当該情報そのものを公開しなくても、関連のある情報を利用、加工するなどして資料等を作成し、提供することにより、請求者が必要とする情報を提供することができる場合があり、また、事件や事故の再発防止といった公益上の観点からも、こうした方法を積極的に活用することが必要である。

3 条例第7条第1号(個人情報)を理由とする非公開について

 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

 ア 法令若しくは条例(以下「法令等」という。)の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報

 イ 人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報

 ウ 当該個人が公務員等(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)第5条第1号ハに規定する公務員等並びに住宅供給公社等の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分

 (1) 第1号の解釈にあたって

 第1号は、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものについて公開義務を免除している。この方法は、情報の内容にまで踏み込んだ判断をしないため、これに該当するものをすべて非公開とすると、非公開範囲が広くなりすぎるおそれがある。

 公開を原則とする本条例のもとでは、公開しても個人のプライバシーを侵害するおそれのないものや、おそれがあるとしても社会通念上受忍すべき範囲内にとどまると考えられるものは、改めて「特定の個人の識別性がある情報」に該当するかどうかの判断を慎重に行い、安易に全体が個人情報であるとして非公開とすることのないよう留意するとともに、逆に、氏名、住所等個人識別性のある情報を除くことにより非公開とすべき個人情報に該当しなくなる部分を作り出することができないか検討するよう努めることが必要である。(部分公開の考え方についてはP17(4)へ)

 (2) チェックポイント

 Point1  「事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当しないか?

 ア 事業を営む個人の情報のうち、当該事業に関するものではない情報か?

 → 当該事業に関する情報である場合は第2号該当性の判断(P21)へ

 イ 法人等の代表者や従業員等の行為に関する情報のうち、法人等の行為そのものと評価される行為に関するものではない情報か?(具体的な判断基準については第2号チェックポイント参照)(P19へ)

 → 法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報である場合は第2号該当性の判断へ

 【解釈・運用】

 * 法人等の代表者やこれに準ずる者が当該法人等の職務として行う行為やその他の者が権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報は、法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報であり、第1号本文には該当しない。

 ※平成15年11月11日最高裁第三小法廷判決(【判例・答申】4)参照

 Point2  「特定の個人を識別することができるもの」に該当するか?

 ア 当該情報に含まれる氏名、住所、生年月日その他の記述等により、他の者と区別された特定の個人が明らかに識別され、又は識別される可能性があるか?

 イ 他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるか?

 【解釈・運用】

 * 照合の対象となる「他の情報」とは、一般には、新聞や出版物など通常容易に知り得る情報をいう。 「一般人」が現に容易に入手できる情報をいう。

 ⇒ 「一般人基準」 

   (例) 新聞、出版物、不特定多数に配布しているリーフレット、情報公開請求、情報提供により入手できる情報、法務局、図書館等の公共施設で誰もが入手できる情報、その他公知の情報など 

 なお、照合のため、現に保有していない資料を新たに費用負担のうえ入手することやその確認調査に著しく労力を要することは、「通常容易に知り得る情報」ではない。

 *  一方、犯罪やセクシャル・ハラスメント等の被害者に関する情報など、その内容や性質から特段の配慮を要するものについては、公文書の公開によって得られた情報がインターネット等の普及により、公開請求者以外の不特定多数の者に瞬時かつ容易に見られるようになった現状を踏まえ、親族、友人、同僚、関係者等が知り得る情報も「他の情報」に含める。

 ⇒ 「特定人基準」

  特段の配慮を要する情報には、照合の対象に関係者を含めて識別性を判断することにより、保護すべき必要性の高い個人情報の範囲を「一般人基準」で判断するよりも広く捉える。

  ※生徒(幼児・児童)事故報告書の生徒に関する情報に係る平成18年11月8日大阪市答申第191号(【判例・答申】5)参照

  ※教職員事故報告書の体罰・セクハラ事案の被害児童生徒等に関する情報に係る平成19年3月30日大阪市答申第200号

 Point3  「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するか?

 Point4  法律、政令、省令若しくは条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されていないか?

 【解釈・運用】

 * 「慣行として」とは、事実として定例若しくは反復的に行われてきていることをいう。

 * 「公にされ・・・ている情報」とは、現に何人も容易に知り得る状態に置かれている情報をいう。過去に新聞等で報道された事実であっても、現在は限られた者しか知らない事実は「公にされている情報」に該当しない。

 * 公務員の職務遂行に関する情報のうち、公務員等の氏名は、市政運営の透明性を高めるため、特段の支障がない限り、公開しなければならない。

 * 医療法(昭和23年法律第205号)第14条の2の規定による病院等の管理者、医師等の氏名の掲示、旅行業法(昭和27年法律第239号)第12条の9の規定による旅行業務取扱主任者の氏名の掲示など、個々の法令により公にすることとされている場合があるので、判断にあたっては、関係法令を十分に精査することが必要である。

 Point5  人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報に該当しないか?

 【解釈・運用】

 * 特定の個人を識別することができる個人情報や公にすることにより個人の権利利益を害するおそれがある個人情報であっても、当該情報を公開することにより得られる人の生命、身体、健康、生活又は財産の保護という公益が優越する場合には、公開しなければならない。

 Point6  公務員等が、行政機関の一員として、その担任する職務を遂行する場合における当該職務遂行に関する情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分に該当しないか?

 Point7  「市政運営についての説明責務」「市政に対する市民の理解と信頼の確保」といった観点から見て、公開すべき情報に該当しないか?

 (3) 事例

 Point2の視点  「特定の個人を識別することができるもの」に該当するか?

  イ 他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるか?

≪非公開≫ 事例1-1

 ○   「児童記録」の被虐待児童に関する情報(平成19年3月30日大阪市答申第203号)

 ○   「児童虐待に関する報告書」の被虐待児童に関する情報(平成19年3月30日大阪市答申第204号) 

 〔理 由〕

 本件文書は特定の大阪市立小学校に在籍する児童についての虐待事例に関するものであり、児童虐待という事例の性質を考慮すれば本件文書に記載の情報は特段の配慮を要する情報であると言え、被虐待児童の識別性について慎重に検討するとともに、当該被虐待児童が識別されなくとも、公にすることによりなお当該被虐待児童の権利利益を害するおそれがあるかどうかについても、慎重に検討する必要がある。

 当該被虐待児童の識別性を検討するに当たっては、照合の対象となる「他の情報」として、公知の情報や、図書館等の公共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手し得る情報だけでなく、何人も公開請求できることから、仮に当該被虐待児童の居住する地域の住民等(以下「地域住民等」という。)であれば保有している情報又は入手可能であると通常考えられる情報も含まれると解すべきである。

 これら各情報は、教職員や保護者など関係者が保有している情報又は入手可能であると通常考えられる情報と照合することにより、当該児童を識別することができる情報であると認められる。

 〔同種の情報〕

 ・生徒(幼児・児童)事故報告書の生徒に関する情報

  平成18年11月8日大阪市答申第191号(【判例・答申】5)参照

 ・教職員事故報告書の体罰・セクハラ事案の被害児童生徒等に関する情報

  平成19年3月30日大阪市答申第200号

 Point3の視点  「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するか?

 ○ 特定の小学校における特定年度の卒業生の児童指導要録中の「総合所見」欄

≪公 開≫ 事例1-2

 〔理 由〕

 児童会での活動歴、委員会での活動歴、学級代表委員等の経歴等のような個人を識別できる当該児童に固有の個人情報を除けば、転校生以外の児童に係る「総合所見」欄に記載された情報については、仮に当該児童の近親者、地域住民等であれば保有している情報又は通常入手可能であると考えられる情報と照合することにより、特定の児童を識別することができるとは認められない。

 また、当該「総合所見」欄に含まれる情報そのもの又は他の情報との照合により特定の個人が識別できる情報が含まれていない「総合所見」欄についても、個人の成績等の優劣や能力の程度について批評するなどの記載は認められず、みだりに他人に知られたくない個人の機微にわたる情報が記載されているとは認められないことから、特定の個人を識別することができるものではなく、かつ、個人の権利利益を害するおそれがあるものとは認められない。

 ※平成17年10月14日大阪市答申第151号(【判例・答申】6)参照

公開度UPに向けて

 「総合所見」のような児童の人物評価に関する情報であっても、一律に非公開とするのではなく、個人の権利利益を害するおそれがないと認められる場合は、公開する。

 ○ 事故報告書及び示談書に記載されている傷病名、負傷状況 ≪公 開≫ 事例1-3

 〔理 由(考え方)〕

 事故報告書及び示談書に記載されている傷病名、負傷状況などについては、示談内容の正当性を明らかにして説明責任を果たすために、当事者の疾病・障害など心身に関する具体的な状況を明らかにしてしまう情報を除き、公開すべきである。

公開度UPに向けて

 個人の心身に関する情報であっても、一般的な傷病名や負傷状況は、個人の権利利益を害するおそれがあるとはいえないので、特定の個人を識別することができる場合を除き、公開する。

≪非公開≫ 事例1-4

 ○   カルテ、反省文など個人の人格と密接に関わる情報

 ○   未発表の研究論文等の著作物

 ○   廃棄物処理業者等の行政処分等に関する審査委員会資料綴りに含まれている謝罪文及び誓約書(平成14年7月24日大阪市答申第123号)(【判例・答申】7)参照

 ○  生徒(幼児・児童)事故報告書の生徒に関する情報(平成18年11月8日大阪市答申第191号)(【判例・答申】5)参照

 ○   教職員事故報告書の体罰・セクハラ事案の被害児童生徒等に関する情報(平成19年3月30日大阪市答申第200号)

 〔理 由〕

 これらの情報は、当該情報そのものにより特定の個人が識別されない場合であっても、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものに該当すると認められる。

 しかしながら、事件又は事故の再発防止といった観点からは、個人のプライバシーに最大限の配慮をしながら、関連する情報を積極的に提供していくことが必要である。

 Point4の視点  法律、政令、省令若しくは条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されていないか?

 〇 病院等の院内に掲示されている、管理者及び診療に従事する医師等の氏名(医療法(昭和23年法律第205号)第14条の2)  ≪公 開≫ 事例1-5

 〔理 由〕

 医療法(昭和23年法律第205号)第14条の2第1項は、病院等の管理者は、管理者の氏名、診療に従事する医師又は歯科医師の氏名、診療日及び診療時間並びに建物の内部に関する案内について、病院内に見やすいよう掲示しなければならない旨規定している。

 これは、医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係の確保に資するため、患者に対する適切な医療情報の提供を行う観点から、一般人であれば当然保護されるべき氏名等の情報に関して、病院等の管理者及び診療に従事する医師の職務の公益性とそれらの者のプライバシー保護の必要性とを比較衡量した結果、氏名等の情報については、院内掲示を義務付けたものと解され、「公表を目的とするもの」であると解される。

 ※平成10年4月15日大阪市答申第75号、第76号

 〔同種の事例〕

 旅行業法(昭和27年法律第239号)第12条の9の規定により旅行業者の営業所において掲示が義務付けられている旅行業務取扱主任者の氏名についても、「法令等により公にされている情報」に該当するとされている。

 ※平成14年12月20日大阪市答申第125号

公開度UPに向けて

 個人に関する情報であっても、法令等により掲示等が義務付けられている場合は公開する。

 〇 土地開発公社が個人地権者から買収した土地の買収価格、所在、地番及び地積並びに当該個人地権者の住所及び氏名  ≪公 開≫ 事例1-6

 〔理 由〕

 公社が土地又は建物を買い取ったことに係る所有権の移転、当該土地の所在、地番及び地積並びに売主である個人地権者の住所及び氏名は、一般に不動産登記簿に登記されて公示されるものであることから、「法令等の規定により何人でも閲覧することができる情報」に当たり、非開示情報に該当しないというべきである。

 公社が個人地権者から買収した土地の買収価格については、当該土地が都市計画区域内に所在するときは、標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因について比較して、標準地の公示価格と当該土地の買収価格との間に均衡を保たせるように算定した価格としなければならず、当該土地が都市計画区域以外に所在するときは、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した当該土地の相当な価格としなければならないとされていることから、いずれも売買の当事者間の自由な交渉の結果が買収価格に反映することは比較的少ない。そして、一般人であればおおよその見当をつけることができるものということができることから、公表することがもともと予定されているものということができ、非開示情報に該当しない。

 ※平成17年10月11日最高裁第三小法廷判決(【判例・答申】8)参照

公開度UPに向けて

 公社が個人から取得した土地の買収価格については、公表することがもともと予定されているものということができることから、公開する。また、当該個人地権者の住所、氏名等についても、原則として、公開する。

 〇 土地区画整理境界明示書に記載されている申請者の氏名、住所、申請地及び隣接地の地番 ≪公 開≫ 事例1-7

 〔理 由(考え方)〕

 土地区画整理境界明示書に記載されている申請者の氏名、住所、申請地の地番において、建築計画概要書に記載され、誰でも閲覧できる状態になっている場合、また、境界明示図に記載されている申請地及び隣接地の地番については、法務局備え付けの公図に各土地の位置関係が表示されている場合には、法令に基づいて公開されている情報であることから、公開する。

公開度UPに向けて

 公開・非公開の判断にあたっては、関係法令等を十分に精査し、請求の対象となっている情報と同じ情報が、法令等に基づき公開されているような場合には、すでに公開された情報として公開する。

 〇 事業者が不特定多数の者に発行している領収書に押印された担当者の印影 ≪公 開≫ 事例1-8

 〔理 由〕

 当該業者の業務態様、領収書の内容等から見て、当該情報は不特定多数の者に広く知られる状態に置かれていると認められることから、慣行として公にされている情報に該当すると解されるので、公開する。

 ※平成14年9月12日最高裁第一小法廷判決(【判例・答申】9)参照

公開度UPに向けて

 個人に関する情報であっても、不特定多数の者に広く知られる状態に置かれている場合は公開する。

 〇 市(区)交際費の支出に係る交際の相手方氏名(平成17年度執行分以降) ≪公 開≫ 事例1-9

 〔理 由(考え方)〕

 市政運営の透明性をより一層高めることを目的に、平成17年度執行分以降の支出状況が公表されることとなったことから、相手方氏名は慣行として公にすることが予定されている情報に該当するので、公開する。

公開度UPに向けて

 市(区)交際費の支出に係る交際の相手方氏名に限らず、これまで非公開とされてきた個人に関する情報であっても、市政運営の透明性の向上、税金の使途についての説明責任といった観点から、より積極的に公開するという「慣行」を作っていく。

 〇 職務遂行に係る情報に含まれる職員の氏名 ≪公 開≫ 事例1-10

 〔理 由(考え方)〕

 公務員の氏名については、行政情報であると同時に個人情報でもあることから、「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」であるかどうかにより公開・非公開を判断している。本市職員の職務遂行に係る情報に含まれる当該職員の氏名については、職員録等に記載されており、慣行として公にされていることから、特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き、公開する。

 また、情報公開条例の趣旨を徹底し、本市の市政運営の透明性をより一層高めるために、職員録等に氏名が記載されていない場合であっても、非常勤以外の職員に加え、意思形成過程に影響を及ぼした弁護士や有識者等の非常勤職員の氏名についても、特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き、公開する。

公開度UPに向けて

 職務遂行に係る情報に含まれる職員(補助的業務に従事する非常勤職員を除く。)の氏名については、特段の支障がない限り、公開する。

 ※平成17年11月29日大阪市答申第160号【判例・答申】10参照

 ※各行政機関における公務員の氏名の取扱いについて(国・情報公開に関する連絡会議申合せ)(巻末別紙参照)

 ○ 教育長の給料(基本月額) ≪公 開≫ 事例1-11

 〔理 由〕

 大阪市の教育長については、定額で給料基本月額を定めるのではなく、個人の学歴及び勤務成績等に応じて決定されているため、一般的には、非公開の情報であると認められる。

 しかしながら、教育長の給料(基本月額)は、総務省ホームページで各政令指定都市の教育長の給料基本月額を含む地方公務員給与実態調査の結果が公表されていることから、その給料基本月額は、法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報であるとして、本号ただし書アに該当すると認められ、公開すべきである。

 ※平成19年3月30日大阪市答申第205号(【判例・答申】11)参照

 〔公表の実態があると認めた同種の情報〕

  ・各要綱に記載された非常勤嘱託職員の報酬月額

   平成17年11月29日大阪市答申第160号・第161号(【判例・答申】10)参照

公開度UPに向けて

 一般的に非公開とされている給料(基本月額)等個人に関する情報であっても、ホームページ等で常時掲載されているなど、現に何人も知り得る状態に置かれている場合には、公開する。

 ただし、児童虐待事件に係る情報のように、過去に新聞等で報道された事実であっても、現在は限られた者しか知らない事実は、「公にされている情報」には該当しないという点に留意する。

 ○ 医療過誤訴訟記録中の患者の氏名、生年月日等 ≪非公開≫ 事例1-12

 〔理 由〕

 裁判所での訴訟記録の閲覧については、閲覧を希望する事件の事件番号や当事者名で特定していない場合、又は閲覧請求権の濫用と認められる場合には閲覧を拒否されることなどからすれば、医療過誤訴訟記録中の患者の氏名、生年月日等の情報は、「法令等の規定により何人も閲覧できるとされている情報」に該当しない。

 ※平成18年4月24日高松高裁判決(【判例・答申】12)参照

 Point6の視点  公務員等が、行政機関の一員として、その担任する職務を遂行する場合における当該職務遂行に関する情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分に該当しないか?

 〇 出勤簿に記録されている職員の勤務状況に関する次の情報 ≪公 開≫ 事例1-13

  ・出勤・出張・派遣の別

  ・組合専従

  ・事故欠勤・無届欠勤

  ・遅参・早退

 

 〔理 由(考え方)〕

 これらの情報は、職員が公務に従事したこと又は従事しなかったこと事実を示すものであり、公務遂行に関する情報であると考えられ、かつ、私事に関する情報に該当せず、個人の権利利益を害するおそれがあるとは認められないので、公開する。

 なお、休暇等の理由は、私事に関する情報であり非公開とする。

公開度UPに向けて

 職員の勤務状況に関する情報は、休暇の原因等、当該職員個人の私事に関する情報を除き、公務遂行の内容に関する情報として公開する。

≪非公開≫ 事例1-14

 ○   公務員等の休暇の原因ないし内容及び休職の理由に関する情報 

 ○   公務員等が受ける勤務評定及び懲戒処分等に関する情報

 〔理 由(考え方)〕

 公務員等が公務に従事しているか、していないかは、公務員等の職務遂行の内容に関する情報であり、公開されるべき情報であるが、公務に従事していない理由が私事にわたるものである場合や、公務員個人の評価に関する情報は、職務遂行そのものに関する情報ではなく、また、法令若しくは条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報にも該当しないと認められ、非公開となっている。

 なお、同様に、職員の処分に関する情報は、懲戒処分等を受けること自体は職務の遂行そのものではなく、ポイント4の「慣行として公にされている情報」に該当するかどうか判断を行うこととなるが、その公表制度や新聞記事は永続的なものではなくただし書アにも該当しないと認められ、非公開となっている。

 (4) その他

【部分公開について(条例第8条参照)】

 ○ 学校支援(法律相談)事業相談個票の「事案の概要」欄、「相談(質問)事項」欄、「回答」欄  ≪公 開≫

 〔理 由〕

 当該各欄から「事故児童等の氏名」等事故児童等を識別することができる部分を容易に区分して除くことができ、かつ当該非公開情報を除いた部分には、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるとも認められない。

 また、当該非公開情報を除いた部分を公開することにより、学校内外で発生した事故又は事件への学校側の対応や、事後の対応を行う際の学校支援(法律相談)事業の利用状況を相当程度把握することができ、当該対応が適切であったか否か、又は当該事業が有効に活用されているか否かを吟味することができる。

 ※平成18年3月29日大阪市答申第173号(【判例・答申】13)参照

公開度UPに向けて

 個人情報が含まれる文書であっても、本市の説明責任を果たすために、個人情報を区分し、それらを取り除いた部分を、可能な限り公開する。

4 条例第7条第2号(法人等情報)を理由とする非公開について

 法人その他の団体(国、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)、地方公共団体、地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)及び住宅供給公社等を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。ただし、人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。

 (1) 第2号の解釈にあたって

 法人等の事業者の活動は、社会的に尊重されるべきであり、法人等の事業者の経営上又は技術上の情報には、自由で公正な競争秩序の維持や経済の健全な発展のために保護されるべきものがあるので、法人等の事業者に関する情報で、公にすることにより当該法人等の事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものについて公開義務を免除したものである。

 「害するおそれ」があるかどうかの判断にあたっては、法人等の事業者自体の性格(公益法人か営利法人かなど)、事業の内容(行政とのかかわりなど)や、権利利益の内容、性質等に応じ、適切に判断する必要があるが、「害するおそれ」は、単なる抽象的な可能性では足りず、法的保護に値する程度の蓋然性が認められなければならない。

 (2) チェックポイント

 Point1  「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当するか?

 ア 法人その他の団体に関する情報か?

 イ 法人等の代表者や従業員等の行為に関する情報のうち、法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報か?

 【解釈・運用】

 * 法人等の代表者やこれに準ずる者が当該法人等の職務として行う行為やその他の者が権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報は、法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報であり、「法人その他の団体に関する情報」に該当する。

 ※平成15年11月11日最高裁第三小法廷判決(第1号関係【判例・答申】4)参照

  (a) 法人等を代表する者若しくはこれに準ずる地位にある者が当該法人等の職務として行う行為に関する情報か?

  (b) 法人等を代表する者若しくはこれに準ずる地位にある者以外の者が権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報か?

 ウ 事業を営む個人(地方税法(昭和25年法律第226号)第72条の2第7項から第9項までに掲げる事業を営む個人のほか、農業、林業等を営む個人)の当該事業に関する情報か?

 Point2  「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか?

 【解釈・運用】

 * 公にすることにより、法人等の正当な利益を害するおそれがある情報であっても、当該情報が法律、政令、省令若しくは条例の規定により又は慣行として不特定多数の者に広く知られる状態に置かれていると認められる情報は、非公開情報に該当しない。

 ※平成14年9月12日最高裁第一小法廷判決(第1号関係【判例・答申】8)参照

 ア 法律、政令、省令若しくは条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されていないか?

 【解釈・運用】

  * 「慣行として」とは、事実として定例若しくは反復的に行われてきていることをいう。

  * 「公にされ・・・ている情報」とは、現に何人も容易に知り得る状態に置かれている情報をいう。過去に新聞等で報道された事実であっても、現在は限られた者しか知らない事実は「公にされている情報」に該当しない。

 イ 法人等の事業者が保有する生産技術上又は販売上の情報であって、公開することにより、当該法人等の事業者の営業活動が損なわれるおそれがある情報か?

 ウ 経営方針、経理、人事等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、公開することにより、法人等の事業者の事業運営が損なわれるおそれがある情報か?

 【解釈・運用】

  * 事業者が内部限りにおいて管理して開示すべき相手方を限定する利益を有する情報であっても、当該情報を不特定多数の者に広く知られる状態に置いているなど、事業者がそのような管理をしていないと認められる情報は、これを公開しても、法人等の事業者の事業運営が損なわれるおそれがあるものとはいえない。

 ※平成14年9月12日最高裁第一小法廷判決(第1号関係【判例・答申】8)参照

 エ その他公開することにより、法人等の事業者の名誉、社会的評価、社会的活動の自由等が損なわれるおそれがある情報か?

 Point3  人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報に該当しないか?

 【解釈・運用】

  *  法人等の事業者に関する情報で、公にすることにより、その正当な利益を害するおそれがある情報であっても、当該情報を公開することにより得られる人の生命、身体、健康、生活又は財産の保護という公益が優越する場合には、公開しなければならない。

 Point4  「市政運営についての説明責務」「市政に対する市民の理解と信頼の確保」といった観点から見て、公開すべき情報に該当しないか?

 (3) 事例

 Point1の視点  「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当するか?

  ア 法人その他の団体に関する情報か?

 事例2-1

 〇 市有地賃貸借契約書にある連帯保証人の法人等の名称及び代表者名 ≪公 開≫

 〔理 由(考え方)〕

 公開することで賃貸人と保証人との間に特別な関係があることが推測されることとなるが、本市と直接に保証契約を締結した法人等に関する情報であり、保証債務は、本市と保証人との間の直接的法律関係であって賃借人たる法人等の内部情報ではないと解されるので、公開する。

公開度UPに向けて

 本市との賃貸借契約における連帯保証人である法人等の名称及び代表者名については、当該賃借人の情報ではなく、本市における保証人の情報であるとして、特別の事情がない限り、公開する。

 Point1の視点  「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当するか?

  イ 法人等の代表者や従業員等の行為に関する情報のうち、法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報か?

   (a) 法人等を代表する者若しくはこれに準ずる地位にある者が当該法人等の職務として行う行為に関する情報か?

 〇 「老人憩の家」の整備補助金交付申請書の申請書欄に記載されている老人憩の家建設委員会委員長の氏名 ≪公 開≫ 事例2-2

 〔理 由〕

 建設委員会委員長の氏名は、同委員会の代表者として記載されていると解されることから、法人等を代表する者が当該法人等の職務として行う行為に関する情報であると認められる。したがって、条例第7条第1号に規定する「個人に関する情報」ではなく、同条第2号に規定する「法人等に関する情報」であり、これを公にしても、当該法人等の事業活動が損なわれるおそれがあるものとはいえない。

 ※平成16年9月3日大阪市答申第139号(【判例・答申】14)参照

 ※平成15年11月11日最高裁第三小法廷判決(【判例・答申】4)参照

公開度UPに向けて

 個人の氏名であっても、法人等の代表者が法人等の職務として行う行為に関する情報は個人情報ではなく、法人等情報として判断し、公開する。

 Point1の視点  「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当するか?

  イ 法人等の代表者や従業員等の行為に関する情報のうち、法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報か?

  (b) 法人等を代表する者若しくはこれに準ずる地位にある者以外の者が権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報か?

 事例2-3

 〇 見積書及び支払い証明書に記載されている旅行業者の支店長氏名 ≪公 開≫

 〔理 由〕

 支店長の氏名については、職員の海外出張関係に係る決裁文書に添付されている「見積書」及び「支払い証明書」に、当該各文書を作成した旅行会社の支店の長として記載されており、権限に基づいて当該法人等のために見積書の作成や出張旅費の収受等を行っていることからすると、当該法人等の行為に関する情報と考えられる。したがって、条例第7条第1号に規定する「個人に関する情報」ではなく、同条第2号に規定する「法人等に関する情報」であり、これを公にしても、当該法人等の事業活動が損なわれるおそれがあるものとはいえない。

 ※平成16年9月3日大阪市答申第138号(【判例・答申】15)参照

 ※平成15年11月11日最高裁第三小法廷判決(【判例・答申】4)参照

公開度UPに向けて

 法人等の代表者等ではない個人の氏名であっても、権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報は個人情報ではなく、法人等情報として判断し、公開する

 Point2の視点  「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか?

  イ 法人等の事業者が保有する生産技術上又は販売上の情報であって、公開することにより、当該法人等の事業者の営業活動が損なわれるおそれがある情報か?

 ○ 補助事業に関して本市に提出された実績報告書に添付されている納品明細書の、メーカー名の記載がない備品に係る単価及び金額 ≪公 開≫ 事例2-4

 〔非公開とした情報の内容〕

 特別養護老人ホームの設置法人が、本市より補助金を受けて実施した社会福祉施設等整備事業について、その事業の実績を明らかにするために実施機関に提出した報告書のうち、設置法人と納入業者との間の納品明細書に記載された備品の単価及び金額

 〔理 由〕

 設置法人が社会福祉施設等設備整備費補助金を受けて行った事業について、実施機関が当該法人に対して、売買契約書、納品明細書等その支出金額を証明する附属資料を添付の上、その事業実績を報告するよう求めている趣旨は、当該支出金額が国や本市が定める補助基準に基づく補助金の算定の基礎となることから、これらの資料を提出させることにより、設置法人に交付した補助金が適正に執行されているか否かを確認するためのものであると考えられる。

 したがって、設置法人と納入業者の間の売買契約は、純粋な民間法人同士の取引と同視することはできず、補助金の適正な執行の確保という観点から、その売買金額を公開する必要性が高いというべきである。

 ※平成12年12月27日大阪市答申第105号(【判例・答申】16)参照

公開度UPに向けて

 民間法人同士の取引に関する情報であっても、補助金等の適正な執行を確保するため本市が取得した情報については、「法人等の権利利益を害するおそれ」の判断はより厳格に行う必要がある。

 事例2-5

 〇 指定管理者に選定された団体からの運営計画、振興事業の提案文書 ≪公 開≫

 〔理 由(考え方)〕

 事業者のノウハウに属するものであっても、選定された事業者が提案した計画や提供するとしたサービスの内容など、利用する市民に直接の影響のある部分については、選定の透明性、公正さを確保するため、選定作業終了後は、公開する。

公開度UPに向けて

 事業者からの市民利用施設の管理運営にかかる提案のうち、選定された事業者の提案については、事業者のノウハウに属するものであっても、利用する市民に直接の影響のある部分については、行政運営の透明性の向上といった観点から、選定作業終了後には、公開する。

 なお、提案文書に添付した決算書、従業員に対する指導ノウハウ等、市民に直接影響のある情報でなく、明らかに内部管理に属する事項に関する情報であって、公開することにより、法人等の事業者の事業運営が損なわれるおそれがある場合には、第7条第2号に該当する情報として取り扱う。

 ○ 見積り合せ業者、プロポーザル参加業者等の契約者以外の事業者の名称及び住所並びに当該事業者の推認情報 ≪公 開≫ 事例2-6

 〔理 由〕

 各委託契約においては、見積書を作成した事業者の名称及び住所並びに当該事業者の推認情報は非公開とされているが、県と実際に契約を締結した事業者(債権者)、見積り合せ業者、プロポーザル参加業者の見積書が公開されていることが認められる。

 確かに、上記各見積書に記載されている前記内容は、当該事業者が有している営業上、技術上の秘密やノウハウを適用した結果算定されているものであり、同業者その他の当該事業者の事業に通じている者がこれらの情報を入手すると、当該事業者が有する営業上、技術上の秘密やノウハウ、営業上の得手不得手を推知する端緒となる可能性があり得る。

 しかし、被告は、上記各見積書に記載されているどの情報から、どのような営業上、技術上の秘密等やノウハウ、得手不得手が判明するのか具体的に主張立証していない。それは被告にとっても不明であるため、抽象的にしか主張し得ないものと解される。したがって、上記各見積書に記載されている情報から当該事業者の事業活動が具体的にどの程度損われるかは不分明であるといわざるを得ない。

 上記のように公開すべきか非公開にすべきか不分明の場合においては、被告としては公開、非公開の決定をする前に、上記各見積書を提出した各事業者の意見を聴取すべきであった(なお、上記各見積書を提出した各事業者の意見を聴取することによって、当該事業者の競争上の地位その他正当な利益が客観的かつ現実的に損なわれる具体的な事情を把握することが可能であり、このようにして公開すべきか非公開にすべきかを決定することが予定されているというべきである。すると、上記各見積書から事業活動情報が自ずと分かり、その競争上の地位が阻害されるという控訴人の主張は、当該事業者の競争上の地位その他正当な利益が損なわれるおそれについて、相当程度具体性を有する客観的かつ現実的な事情を主張したものとはいえず、このような控訴人の主張を採用することはできない。

 ※平成15年5月29日名古屋高裁判決(【判例・答申】17)参照

公開度UPに向けて

 法人等のノウハウであっても、全て非公開となるのではなく、当該法人の競争上の地位その他正当な利益が客観的かつ現実的に損なわれる具体的な事情を把握してはじめて主張できるものであり、具体的にどの程度損なわれるかが不明な場合は、当該法人に意見聴取するなどによって、その事情を把握し、客観的かつ具体的に競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがないと認められる場合は、公開する。

 ○   本市の病院内の倫理委員会議事録に記載された治験薬に関する申請課題及び議事内容の部分等(平成11年9月21日大阪市答申第90号)(【判例・答申】18)参照 ≪非公開≫ 事例2-7

 〔理 由〕

 これらの情報は、製薬会社の新薬製造に係る情報で、公開すると、他社が類似の新薬を開発することが容易となることから、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。

 Point2の視点  「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか?

  イ 法人等の事業者が保有する生産技術上又は販売上の情報であって、公開することにより、当該法人等の事業者の営業活動が損なわれるおそれがある情報か?

  ウ 経営方針、経理、人事等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、公開することにより、法人等の事業者の事業運営が損なわれるおそれがある情報か?

 ○ 本市が法人に貸与している普通財産である土地の貸付料の単価、月額、年額及び全額、減額率並びに契約保証金 ≪公 開≫ 事例2-8

 〔理 由〕

 一般に土地賃借等の貸付料及び契約保証金については相手方法人の経営上の情報ではあるが、商品の原価等とは違って、特段の事情のない限りこれを知られたとしても、競争上の地位やその他正当な利益を害するおそれは少ないものと考えられ、本件においては現在のところ非公開とする特段の事情は見受けられない。

 減額率については、財産条例において貸付料の全部又は一部を免除する場合の要件を定めており、この根拠に基づき減額を行っているのであるから、特段の事情がない限り、非公開とする必要性は認められない。また、契約相手方法人にとっても、条例に基づいて正当に減額措置を受けていること及びその率が明らかになっただけで、その権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。

 ※平成13年11月2日大阪市答申第118号、第119号(【判例・答申】19)参照

公開度UPに向けて

 法人等の内部管理情報であっても、「市政運営についての説明責務」「市政に対する市民の理解と信頼の確保」といった観点も併せて、本市に納付している土地の賃借料のように、法人等の正当な利益を害するおそれがないものについては、公開する。

 ○ 本市が法人から土地を購入した場合の売買価格 ≪公 開≫ 事例2-9

 〔理 由〕

 相手方法人にとって、その所有していた土地の売買価格に関する情報は、内部管理に属する事項であるが、本件売買価格に関しては、合理的な理由に基づく非公開とする特約はなく、また、相手方が法人の場合、例えば切迫した資金需要のため主たる資産を低価格で売り急いだといった特段の事情のない限り、当該法人の経営状況等の詳細や特殊性が推測されることは考えにくいと認められるところ、当該法人において本件売買価格の非公開を必要とする特段の事情は見出しがたく、これを公開しても、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。

 ※平成13年3月30日大阪市答申第108号(【判例・答申】20)参照

公開度UPに向けて

 法人等の内部管理情報であっても、「市政運営についての説明責務」「市政に対する市民の理解と信頼の確保」といった観点も併せて、本市が法人から土地を購入した場合の売買価格のように、法人等の正当な利益を害するおそれがないものについては、公開する。

 事例2-10

 〇 土地開発公社が法人等である地権者から買収した土地の買収価格、所在、地番及び地積並びに公社が法人等の地権者に支払った建物等の補償価格 ≪公 開≫ 

 〔理 由〕

 当該土地が公社に買収されたことは不動産登記簿に登記されて公示されるものであり、その買収価格は公有地の拡大の推進に関する法律の適用がある適正な価格であるから、上記買収価格をもって公社に土地を買収されたことを開示することによって、当該法人地権者の競争上又は事業運営上の地位、社会的信用その他正当な利益が損なわれるとは認め難い。また、建物等の補償価格は当該法人地権者の資産の全容を示すものではなく、県において定められた損失補償基準に従って算出された補償価格が当該法人地権者に支払われたことに関する情報が開示されても、直ちにその競争上又は事業運営上の地位、社会的信用その他正当な利益が損なわれるとはいい難い。

 ※平成17年10月11日最高裁第三小法廷判決(【判例・答申】21)参照

公開度UPに向けて

 公社が法人等から取得した土地の買収価格及び補償価格等については、当該法人地権者の競争上又は事業運営上の地位、社会的信用その他正当な利益が損なわれるとは認め難いことから、公開する。ただし、買収活動を行っている途中段階であるなど、これを公開することにより、本市事務事業の適正な遂行に支障がでるおそれがある場合については、第7条第5号に該当する情報(P40へ)として取り扱う。

 ○ 本市の出資等法人から第三者割当増資を受けた法人の名称 ≪公 開≫ 事例2-11

 〔理 由〕

 当該出資等法人が行っている事業そのものの公共的な性質や、大阪市から出資を行っている状況等を踏まえると、法人の内部管理情報といえども通常の法人に比して一定の説明責任が認められることから、第三者割当増資を受けた法人名を公開しても、当該出資等法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。

 ※平成17年10月14日大阪市答申第153号(【判例・答申】22)参照

公開度UPに向けて

 法人等が自ら公表している以外の、財務情報をはじめとする内部管理情報については、みだりに外部に公開されない法的利益を有するが、一般法人に比して一定の説明責任が認められる本市と密接な関係を有する法人の場合は、「当該法人等の正当な利益を害するおそれ」の判断をより厳格に行う。

≪非公開≫ 事例2-12

 ○ 事業請負見積書に押印された印刷業者の印影(平成15年3月28日大阪市答申第128号)(【判例・答申】23)参照

 ○   土地信託契約書に押印された受託銀行の印影(平成15年12月19日大阪市答申第131号)(【判例・答申】24)参照

 〔理 由〕

 一般に、法人等の事業者がその事業活動に使用する印影は、事業活動を行う上での内部管理に属する情報であり、また、その偽造等の危険性を考慮すると、その印影を公開することにより、法人等の事業者の事業運営を損ない、その正当な利益を害するおそれがあると認められる。

 また、契約書や印刷業者が作成する事業請負見積書に押印された印影は、契約関係にある者や、取引関係が生じ、又は生じる可能性のある特定の者に対して、その印章を押なつした契約書や見積書等を交付するのであり、取引関係等のない不特定多数の者にまで広く知られる状態に置いているとは認められない。

 したがって、これを公開すると、条例第7条第2号に規定する「当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害する」相当の蓋然性があると認められる。

 ※平成11年1月21日大阪高裁判決 (【判例・答申】25)参照

 ○ 飲食代金の請求書に記載された口座番号等及び印影 ≪公 開≫ 事例2-13

 〔理 由〕

 元来は事業者が内部限りにおいて管理して開示すべき相手方を限定する利益を有する情報であっても、事業者がそのような管理をしていないと認められる場合には、これが開示されることにより正当な利益等が損なわれると認められることにはならないものというべきである。

 本件非開示情報のうち口座番号等は、飲食代金の請求書に飲食業者である債権者が記載したものであり、代金の振込送金先を指定する趣旨のものであると認められる。そして、一般的な飲食業者の業務態様をみれば、不特定多数の者が新規にその顧客となり得るのが通例であり、代金の請求書に口座番号等を記載して顧客に交付している飲食業者にあっては、口座番号等を内部限りにおいて管理することよりも、決済の便宜に資することを優先させているものと考えられ、請求書に記載して顧客に交付することにより、口座番号等が多数の顧客に広く知れ渡ることを容認し、当該顧客を介してこれが更に広く知られ得る状態に置いているものということができる。このような情報の管理の実態にかんがみれば、顧客が奈良県であるからこそ債権者が特別に口座番号等を開示したなど特段の事情がない限り、本件非開示情報のうち口座番号は、これを開示しても債権者の正当な利益等が損なわれると認められるものには当たらないというべきである。

 本件非開示情報のうち印影は、債権者の請求書に押なつされているものであり、通常は銀行取引に使用することはないと考えられる。口座番号等について述べたことからすれば、請求書に押なつされている飲食業者の印影は、これを開示しても債権者の正当な利益等が損なわれると認められるものには当たらないことが明らかである。

 ※平成14年9月12日最高裁第一小法廷判決 第1号関係(【判例・答申】9)参照

公開度UPに向けて

 元来は事業者が内部限りにおいて管理し、開示すべき相手方を限定する利益を有する情報であっても、事業者が不特定多数の者に開示しているなど、現実にそのような管理をしていないと認められる場合には、慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報として、公開する。

 〇 事業者の納入先又は仕入先に関する情報 ≪公 開≫ 事例2-14

 〔非公開とした情報の内容〕

 食品のリコール事案における、当該食品の製造業者に食品添加物を納入した事業者の取引先に関する情報

 〔理 由〕

 本件において、事業者の取引先に関する情報は、一覧性・検索性のある顧客名簿等とは認められず、また、当該事業者の業態及び取り扱う商品の種類等の事情から特に内部限りにおいて秘匿されるものと認めるべき特段の事情もなく、公開されても当該事業者の競争上の地位等の正当な利益が害される蓋然性があるとは認められない。

 ※平成16年5月27日大阪地裁判決(【判例・答申】26)参照

公開度UPに向けて

 公益上の必要性を踏まえ、法人等の個々の取引における取引先に関する情報であっても、内部限りにおいて秘匿されるものと認めるべき特段の事情がない限り、公開する。

 ○ 産業廃棄物管理票(建設系廃棄物マニフェスト)に記載された事業者の委託先等の取引に関する情報 ≪公 開≫ 事例2-15

 〔理 由(考え方)〕

 産業廃棄物管理票(建設系廃棄物マニフェスト)は、廃棄物処理法に基づき排出事業者が廃棄物の収集運搬、処分を委託する場合に必要事項を記載し、処理業者に交付し、処理業者は収集運搬や処分がなされた時点で、管理票の写しを排出事業者に送付しなければならない等とされているものであり、適正な廃棄物処理を確保するため、市が事業者に提出させたものである。こうした情報は、純粋な民間事業者同士の取引に関する情報と同視することはできず、公益上の観点から公開する必要が高い。

公開度UPに向けて

 民間事業者同士の取引に関する情報であっても、適正な事業運営の確保などの必要性があって本市が取得した情報については、「法人等の正当な権利利益を害するおそれ」の判断はより厳格に行う必要がある。

 Point2の視点  「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか?

  エ その他公開することにより、法人等の事業者の名誉、社会的評価、社会的活動の自由等が損なわれるおそれがある情報か?

 ○ 消防署立入検査報告書 ≪公 開≫ 事例2-16

 〔理 由〕

 消防法等の遵守という公法上の義務を履行してない事実が明らかになる点では不利益があるともいえるが、大規模集客施設という本件防火対象物の性質並びに本件立入検査の趣旨及び目的等に照らせば、火災発生により重大な被害が生じるおそれのある当該防火対象物を所有ないし管理する以上、消防法等を遵守すべき義務は重いと考えるべきであり、仮に、義務違反の事実を公にすることにより当該法人の社会的評価等が損なわれることがあるとしても、それは当該法人において受忍せざるを得ない。

 ※平成18年3月29日大阪市答申第171号(【判例・答申】27)参照

 ※(参考判例)平成15年11月27日東京高裁判決

 

○ 補助金を不正に受給していた事業者の名称 ≪公 開≫ 事例2-17

〔理 由(考え方)〕

社会福祉施設が補助金の不正な受給に関わったという事実は、当該事業者に競争上の不利益を与えるおそれがある情報であるが、一方で、施設を利用する市民にとっては、事業者の選択に当たって知りたい情報であり、公表することに公益上の意義がある。したがって、当該事業者名については、これらの均衡を図り、悪意の有無・不正の程度等を考慮して、一定の基準に従って公表すべきである。

公開度UPに向けて

 事業者の法令違反に関する情報については、事業者の社会的評価等を損なうことがありうる情報でもあるが、違反の重大性等を考慮し、公益上、その不利益を事業者等が受忍すべきであると認められる場合には、事業者の「正当な利益」を害するとはいえないことから、公開する。ただし、法令違反の調査段階にあるなど、これを公開することにより、本市事務事業の適正な遂行に支障がでるおそれがある場合については、第7条第5号に該当する情報(P40へ)として取り扱う。

 事例2-18

 ○ 違法な活動を行っていると地域住民が指摘する事業者等の名称 ≪公 開≫

 〔理 由〕

 このような情報は内容次第では公開により事業者の社会的評価や信用を損なうことがありうるが、単に地域住民などの第三者から県に対しそのような情報が寄せられたというに止まり、行政機関として当該事実関係を真実と認めたものでなければ、その公開により当該事業者の社会的評価や信用が損なわれるおそれの程度は低く、その事業活動が損なわれるおそれがあるとただちに認めるには足りない。また、同情報が真実であれば公開により損なわれる事業者の利益は正当なものとはいえない。

 ※平成17年3月25日名古屋高裁判決(【判例・答申】28)参照

公開度UPに向けて

 事業者等が違法な活動を行っているとする第三者からの情報については、単にそのような情報が行政機関に寄せられたというだけであれば、通常は、公開により当該事業者の事業活動等が損なわれるおそれは認められないことから、具体的な支障が生じる相当の蓋然性が認められない限り、公開する。

5 条例第7条第3号(任意提供情報)を理由とする非公開について

 実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で個人又は法人等から任意に提供された情報であって、当該個人又は当該法人等における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの。ただし、人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。

 (1) 第3号の解釈にあたって

 第3号の保護法益は、情報提供者の非公開取扱いに対する正当な期待と信頼であることからすれば、当該情報提供者から公開についての同意を得ることができれば、公開が可能となるので、原則公開を基本とするこの条例の趣旨にかんがみ、当該情報提供者の理解と同意が得られるように努めるものとする。

 (2) チェックポイント

 Point1 「 実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で個人又は法人等から任意に提供された情報」に該当するか?

 ア 個人又は法人等の側から、自己に有利な政策決定を求めて自ら実施機関に情報を提供したのではなく、文書、口頭を問わず、実施機関から当該情報を提供してほしい旨の依頼があったか?

 イ 契約書、要綱、調査票等の書面中に「他の目的に使用しない」、「秘密を厳守する」、「公開しない」等の記載があるなど、「公にしないとの条件」が明示されており、情報提供者が形式的に又は一方的に条件を付しただけではなく、実施機関が当該条件を了承しているか?

 ウ 法令等により提出義務があるなど法令等の根拠に基づくものではなく、相手方の協力等により提供された情報か?

 Point2  公にしないとの条件を付することが当該情報の性質、提供された当時の状況等に照らして合理的であると認められるか?

 Point3  人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報に該当しないか?

 【解釈・運用】

 * 非公開とすべき任意提供情報であっても、当該情報を公開することにより得られる人の生命、身体、健康、生活又は財産の保護という公益が優越する場合には、公開しなければならない。

 Point4  「市政運営についての説明責務」「市政に対する市民の理解と信頼の確保」といった観点から見て、公開すべき情報に該当しないか?

 (3) 事例

 Point2の視点  公にしないとの条件を付することが当該情報の性質、提供された当時の状況等に照らして合理的であると認められるか?

 事例3-1

 ○ 事業者と連合振興町会との協議で用いられた資料のうち、以後の協議により内容が変更される可能性がある未確定な情報が含まれていないもの ≪公 開≫

 〔理 由〕

 本件各文書については、実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で連合振興町会から任意に提供されたものであるが、事業者と連合振興町会との協議により変更される可能性がある情報が含まれているとは認められないので、公開しても連合振興町会内に混乱を生じさせるおそれはなく、公にしないという条件を付す理由に乏しい。

 ※平成20年3月28日大阪市答申第212号(【判例・答申】29)参照

公開度UPに向けて

 公にしないとの条件を付して提供された情報であっても、当該情報の性質、当時の状況等に照らして、こうした条件を付すことが合理的とは認められない場合は、公開する。「当時の状況等に照らして」とは、必要に応じて、その後の期間の経過や状況の変化を考慮することとする。

6 条例第7条第4号(審議・検討・協議情報)を理由とする非公開について

 本市の機関及び国等(国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人及び住宅供給公社等をいう。以下同じ。)の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの

 (1) 第4号の解釈にあたって

 市民の市政参加の推進に向けて、市政運営の透明性を向上し、市民との情報共有を図っていくためには、意思決定後の情報を公開するだけでは不十分であり、また、本市としての説明責務を果たす観点からも、可能な限り、市政に関する意思決定のプロセスに関する情報、つまり、最終決定に至る前の中間段階の情報についても、公開していくことが必要である。

 したがって、第4号の安易な運用によってこの趣旨を損なうことのないよう、第4号の適用に際しては、「不当に」という要件について厳格かつ慎重な比較衡量を行わなければならない。

 (2) チェックポイント

 Point1  行政等の内部又は相互間における審議、検討又は協議(これらの審議、検討又は協議を行うために必要な調査研究、企画、調整等を含む。)に関する情報であるか?

 Point2  公にすることにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることとなり、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるか?

 【解釈・運用】

 * 「不当に」とは、審議、検討又は協議に関する情報の内容、性質に照らし、検討段階にある情報を公開することによる利益と支障を比較衡量した上で、原則公開の趣旨を踏まえ、公開することの公益性を考慮しても、なお、行政の適正な意思決定に対する支障が看過し得ない程度のものであることをいう。

 * 審査会、審議会等の合議制機関の審議等に関する情報について

  ・    会議が公開されている場合の議事録等は原則として公開される。

 会議自体が非公開とされていても、その議事録等が当然非公開となるわけではない。事後的に議事録等を公開するかどうかは、その記載内容や審議事項に照らし、個別具体的に、率直な意見の交換等を「不当に」損なうおそれの有無を判断すべきである。

 Point3  未成熟な情報が公開されたり、特定の情報が尚早な時期に公開されることにより、誤解や憶測に基づき市民等の間に混乱を生じさせるおそれがあるか?

 Point4  未成熟な情報が公開されたり、特定の情報が尚早な時期に公開されることにより、投機を助長するなどして特定の者に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるか?

 Point5  「市政運営についての説明責務」「市政に対する市民の理解と信頼の確保」といった観点から見て、公開すべき情報に該当しないか?

 (3) 事例

 Point2の視点  公にすることにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることとなり、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるか?

 Point3の視点  未成熟な情報が公開されたり、特定の情報が尚早な時期に公開されることにより、誤解や憶測に基づき市民等の間に混乱を生じさせるおそれがあるか?

 ○ 議事録のうち、委員長・委員の率直かつ忌たんのない意見や考え方が示されている部分 を除く部分 ≪公 開≫ 事例4-1

 〔理 由〕

 公正取引委員会の会議のすべてにおいて、意思決定のための審議・検討が行われているとは認められず、また、そのような審議・検討が行われた場合の議事録であっても、開示請求の時点では既に意思決定がなされ問題が決着し、以降の審議・検討等に影響を及ぼすおそれがあるとは認められないものもあると考えられるため、委員会議事録は、一律に法5条5号に該当し開示できないとする諮問庁の主張は認められない。

 ①公正取引委員会の委員長・委員がどのような意見を持っていたのかが明らかとなれば、今後,委員会における発言が関係業界における反応も意識したものにならざるを得ず、率直かつ自由な意見交換が妨げられ、当該議題の結論の公正さ、中立性を確保することが困難となり、②特に、本件については、制度の廃止に対する関係業界の反対運動が強力に行われていたことを踏まえると、議論途上の特定の意見や発言の言葉尻のみを公正取引委員会の意見・見解として一方的に取り上げた批判が行われる可能性もあり、今後の自由な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれは大きいものと考えられるとの説明は首肯できるものである。
 以上のことから、議事録のうち、委員長・委員の率直かつ忌たんのない意見や考えが示されている部分は、情報公開法5条5号に該当し不開示とすべきであると思料する。

 ※平成19年3月22日(平成18年度(行情)答申第454号・455号)(【判例・答申】30)参照

公開度UPに向けて

 公にすることにより外部からの圧力等を受けるなど、率直な意見の交換等が不当に損なわれるおそれがある場合でも、対象文書(議事録)の全てを非公開とせず、公開することができない部分を除いて公開する。

 また、審議の途中段階にあり、一旦第7条第4号に該当するため非公開の判断がされた文書や情報であっても、意思決定がなされた審議終了後においては状況の変化が認められる場合には、改めて同号に該当する情報か否か判断する。

7 条例第7条第5号(事務事業遂行情報)を理由とする非公開について

 本市の機関又は国等が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの

 ア  監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ

 イ  契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、本市又は国等の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ

 ウ  調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ

 エ  人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ

 オ  本市が経営する企業に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

 (1) 第5号の解釈にあたって

 市政運営に関する説明責務を果たすとともに、市民の市政参加を推進し、市政に対する市民の理解と信頼の確保を図ることを目的とする本市の情報公開条例のもとでは、本市や本市と関係する国等の事務又は事業に関する情報はすべて公開することが原則であり、第5号は、その例外として非公開とすることができる場合を定めたものであるから、あくまでも限定的に解釈されなければならない。

 したがって、第5号の「支障を及ぼすおそれ」の判断にあたっては、単なる抽象的な可能性ではなく、原則公開の例外とすべき程度の具体的な支障が生じる相当の蓋然性が求められるのであって、「おそれ」を不当に拡大して解釈することのないようにしなければならない。

 (2) チェックポイント

 Point1  「本市の機関又は国等が行う事務又は事業に関する情報」に該当するか?

 Point2  当該事務又は事業が本来有する性質、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法等に照らして、保護に値する情報であるといえるか?

 Point3  事務又は事業に関する情報を公開することによる利益と支障を比較衡量した上で、公開することの公益性を考慮しても、なお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過し得ない程度のものであり、かつ当該支障を及ぼすおそれの程度について、抽象的・確率的な可能性ではなく、具体的な支障が生じる相当の蓋然性が認められるか?

 Point4  「市政運営についての説明責務」「市政に対する市民の理解と信頼の確保」といった観点から見て、公開すべき情報に該当しないか?

 (3) 事例

 Point3の視点  事務又は事業に関する情報を公開することによる利益と支障を比較衡量した上で、公開することの公益性を考慮しても、なお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過し得ない程度のものであり、かつ当該支障を及ぼすおそれの程度について、抽象的・確率的な可能性ではなく、具体的な支障が生じる相当の蓋然性が認められるか?

 〇 コピー用紙の購入契約の入札予定価格  ≪公 開≫ 事例5-1

 〔理 由(考え方)〕

 入札制度の透明性をより一層高めるため、また、公開しても具体的な支障が生じていないことにかんがみ、公開する。

 〇 監査結果復命書 ≪公 開≫ 事例5-2

 〔理 由(考え方)〕

 監査委員会議に提出した監査結果復命書については、監査の過程の透明性を高めるため、また、公開しても将来における監査事務に具体的な支障が生じるとは認められないことから、監査結果の公表後には、公開する。

公開度UPに向けて

 事務事業遂行情報については、原則公開の例外とすべき程度の具体的な支障が生じる相当の蓋然性が認められない限り公開する。

 〇 土地開発公社が個人又は法人等である地権者から買収した土地の買収価格、所在、地番及び地積並びに公社が法人等の地権者に支払った建物等の補償価格 ≪公 開≫ 事例5-3

 〔理 由〕

 上記の情報の開示によって、今後の県の用地買収事務の円滑な執行に支障が生じるおそれは、現段階では、多分に抽象的なものであるといわざるをえない。そして、将来の用地買収事務の円滑な執行が阻害される抽象的なおそれがあるというだけでは、いまだ、事務事業の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生じるおそれがある情報と認めることができない。

 ※平成15年7月17日大阪高裁判決(【判例・答申】31)参照

公開度UPに向けて

 公社が個人又は法人等から取得した土地の買収価格及び法人等に支払った補償価格等については、通常、公にすることにより、用地買収事務の執行に支障が生じるおそれがあるとは認められないことから、公開する。

 ○ 教員採用選考テストにおける試験官(市職員)の氏名・役職 ≪公 開≫ 事例5-4

 〔理 由(考え方)〕

 市職員の試験官の氏名・役職については、次回以降の試験においても試験官となる可能性が高いとしても、将来の試験業務の適正な執行を害するほどの具体的な支障が生じるおそれがあるとは言えないことから、試験が終了した時点以降は公開すべきである。

公開度UPに向けて

 試験官としての市職員の氏名等については、試験終了後であれば、事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められないことから、公開する。

 ○ 図書館司書採用試験の問題と正答表 ≪公 開≫ 事例5-5

 〔理 由〕

 受験生が過去の問題等を分析して自己の不足している知識等を補足することは当然であり、本件文書の公開の結果、過去の問題の分析が可能となり、受験生が過度の受験対策を講じることとなったとしても、そういった受験対策によって直ちに受験生の能力実証ができなくなるとは認められず、実施機関が創意工夫を凝らす問題作成の余地は残されており、直ちに受験者の能力を適切に評価することが困難になるとは認められない。また、本件文書の公開によって、問題作成により多くの労力がかかるとしても、今後の試験問題の作成が困難となり、試験事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼす蓋然性が高いとは認められない。

 ※平成18年3月29日大阪市答申第170号(【判例・答申】32)参照

公開度UPに向けて

 採用試験の問題と正答表については、原則公開の例外とすべき程度の具体的な支障が生じる相当の蓋然性が認められない限り、公開する。

 ○ 消防署立入検査報告書に記載されている検査対象物の不備欠陥事項に関する情報 ≪公 開≫ 事例5-6

 〔理 由〕

 立入検査が消防法第44条第2号に規定する罰則によって間接的に強制力を有するという性質を考慮すると、一般に、防火対象物を所有ないし管理する法人が立入検査を拒むなどした場合には、そのことにより当該法人の社会的信用が大きく失墜することが容易に予想でき、また、罰則の適用の危険を顧みず、あくまで立入検査を拒むものが現れるということは直ちに想定し難く、こうした例外的な事例の発生の可能性をもって、当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められない。

 ※平成18年3月29日大阪市答申第171号(【判例・答申】33) 参照(当該情報の2号該当性については、【判例・答申27】参照。)。

公開度UPに向けて

 罰則等により法的な強制力を有する検査の報告については、罰則等の適用の危険を顧みず、あくまで当該検査を拒むものが現れるということは直ちに想定し難く、公開しても当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められないことから、公開する。

 ○ 廃棄物処理業者等の行政処分等に関する審査委員会資料綴りに含まれている聴聞調書に記録された当事者等の発言内容、事情聴取記録に記録された事情聴取の内容及び関係者等から任意に提出された資料、議事録中の検査及び取締りの手法並びに検査体制等に関する記載内容 ≪非公開≫ 事例5-7

 〔理 由〕

 聴聞調書に記載されている当事者等の発言内容を、事後的にであっても公開が前提となると、今後、聴聞の当事者等は、率直に発言できなくなるといったおそれがあり、また、事情聴取については、任意に行われるものであり、公開が前提となると、事情聴取を回避され、正確で詳細な供述を得ることが困難となり、さらに、関係者等の協力を得て任意に提出を受けた資料については、これを一方的に公開すると、関係者等との信頼関係を損ない、調査への協力を拒まれるなどして、必要な資料を収集することが困難となるなど、今後、公正な行政処分を行うという事務事業の適正な遂行に支障が生ずるおそれがあると認められる。

 また、指示事項違反業者に対する行政処分等を検討する審査委員会の議事録が公開され、許可業者の知り得るところとなれば、実施機関が行う検査・取締りの抑止的効果が失われ、今後、検査・取締りに係る事務に関し、違反行為を容易にし、若しくは、その発見を困難にするなどの支障が生じるおそれがあり、条例第7条第5号アに該当すると認められる。

 ※平成14年7月24日大阪市答申第123号(【判例・答申】7)参照

8 条例第7条第6号(公共の安全・秩序維持情報)を理由とする非公開について

 公にすることにより、人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生じると認められる情報

 (1) 第6号の解釈にあたって

 第6号は、公共の安全と秩序の維持といった公益の重要性にかんがみ、原則公開の例外として非公開とすることができる場合を定めたものであるから、あくまでも限定的に解釈されなければならない。

 したがって、第6号の適用に際しては、公共の安全と秩序の維持をいう概念を不当に拡大解釈しないように、公にすることにより生じる支障の内容や程度を具体的かつ客観的に判断した上で、慎重な運用に努めなければならない。

 (2) チェックポイント

 Point1  「人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護・・・に支障が生じると認められる情報」に該当するか?

 ア  公にすることにより、犯罪の被疑者、参考人、情報提供者等が特定され、その結果これらの人の生命若しくは身体に危害が加えられ、又はその財産若しくは社会的な地位が脅かされるおそれがあると認められる情報か?

 イ  公にすることにより、特定の個人の行動予定、家屋の構造等が明らかになり、その結果、これらの人が犯罪の被害を受けるおそれがあると認められる情報か?

 Point2  「犯罪の予防、犯罪の捜査・・・に支障が生じる情報」に該当するか?

 【解釈・運用】

  * 「犯罪の予防」とは

   刑事犯、行政犯であるとを問わず、犯罪行為をあらかじめ防止することをいい、犯罪を誘発・助長するおそれがあると認められる情報を含む。

  * 「犯罪の捜査」とは

   被疑者等の捜索、身柄の確保、証拠の収集、保全等の活動をいい、内偵活動等を含む。

 Point3  安全で平穏な市民生活、善良な風俗など「公共の安全と秩序の維持に支障が生じると認められる情報」に該当するか?

 Point4  「市政運営についての説明責務」「市政に対する市民の理解と信頼の確保」といった観点から見て、公開すべき情報に該当しないか?

 (3) 事例

 Point2の視点  「犯罪の予防、犯罪の捜査・・・に支障が生じる情報」に該当するか?

 ○ 本市の監理団体がその運営事業を受託している施設の一部にかかる鍵引渡書に記載された鍵メーカー及び鍵番号 《非公開》 事例6-1

 〔理 由〕

 これらの情報が公開されると、当該建物の部屋ごとに記載されてある鍵が特定され、同型の合鍵の作成が容易になり、その結果、建造物侵入その他の犯罪の被害を受けるおそれがあると認められる。

 ※平成11年12月21日答申第92号(【判例・答申】34)参照

9 第7条第7号(法令秘情報)を理由とする非公開について

 前各号に掲げるもののほか、法令等の規定の定めるところにより公開しないこととされ、若しくは公にすることができないと認められる情報又は法律若しくはこれに基づく政令の規定による明示の指示等により公にすることができないと認められる情報

 (1) 第7号の解釈にあたって

 第7号は、本市の保有する情報について、法令等において閲覧等の禁止や範囲の制限をするなど独自の制度を設けている場合があることから、この条例と当該法令等との調整を図る趣旨で設けられたものである。

 第7号の適用にあたっては、原則公開の趣旨を踏まえ、法令等において閲覧等の禁止や範囲の制限等がされている趣旨を十分に検討しながらも、本市の保有する情報が法令等の趣旨を超えて非公開とすることのないよう留意する必要がある。

 (2) チェックポイント

 Point1  法令(法律及び政令、府令、省令その他の国の機関が定めた命令)又は条例の明文の規定により、公開が禁止され、他の目的への使用が禁止され、又は具体的な守秘義務が課されている情報か?

 Point2  法令又は条例に公開を禁止する明文の規定はないが、当該法令又は条例の趣旨、目的に照らしてその規定するところを解釈した場合に、公にすることができないと認められる情報か?

 Point3  法律の規定又は法律に基づく政令の規定を根拠として発せられた公開してはならない旨の明示の指示、勧告、助言等で、当該指示等の法的根拠と形式、指示等の発信者、指示等の内容及び具体的表現、指示等に示された理由の合理性等を総合的に考慮すると、当該指示等は実施機関が従うべき法的拘束力を有するものと認められるか?

 【解釈・運用】

  *「明示の指示等」に該当しない例

  ・ 電話照会その他の口頭によるもの

  ・ 一般的な問答集

  ・ 文書によるものではあっても、「公開については慎重に取り扱うこととされたい」といった抽象的な内容のもの

  ・ その根拠が不明な通達類

  ・ 法律に基づく政令の規定を根拠として発せられた通達類であっても、単に解釈の基準を示したに過ぎないものなど、法的な拘束力を有しないもの

 (3) 事例

 Point1の視点  法令(法律及び政令、府令、省令その他の国の機関が定めた命令)又は条例の明文の規定により、公開が禁止され、他の目的への使用が禁止され、又は具体的な守秘義務が課されている情報か?

《非公開》

 ○ 印鑑登録申請書(大阪市印鑑条例(昭和49年大阪市条例第82号)第17条)

 ○ 市府民税申告書(地方税法(昭和25年7月31日法律第226号)第22条)

 ○ 児童に関する相談、調査、判定記録(児童福祉法(昭和22年12月12日法律第164号)第61条)

 ○ (事件の処理終了前)公益通報の有無及び内容(職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例(平成18年3月31日条例第16号)第17条第1項)

 ○ (事件の処理終了の前後を問わず)公益通報者等の氏名など当該公益通報者等の氏名など公益通報者等が識別できる情報(職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例(平成18年3月31日条例第16号)第17条第3項)

 Point2の視点  法令又は条例に公開を禁止する明文の規定はないが、当該法令又は条例の趣旨、目的に照らしてその規定するところを解釈した場合に、公にすることができないと認められる情報か?

《非公開》 

 ○ 行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定により非公開とされる情報と同一の情報

 ○大阪市会情報公開条例の規定により非公開とされる情報と同一の情報

 ○ 民生委員推薦委員会議事録 《公開》 事例7-1

 〔理 由〕

 本件厚生労働省通知及び本件要綱は、法令等に該当しないことは明らかである。さらに「会議は必ず非公開とし、…議事に関しては秘密を厳守させること」という国の通知は、会議運営上必要と考えられる技術的助言であり、かつ、当該会議が非公開であっても、その議事内容全てが非公開と取り扱われるべき情報で構成されているとは認められないことから、議事録を非公開と取り扱うことを求めた「明示の指示等」に該当しない。

 ※平成17年11月8日大阪市答申第193号・194号(【判例・答申】35)参照

10 条例第6条が規定する公開請求の要件について

(公開請求の手続)

 第6条  前条の規定による公開の請求(以下「公開請求」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「公開請求書」という。)を実施機関に提出する方法(これに準ずるものとして市長が定める方法を含む。)により行わなければならない。

  (1) 公開請求をするものの氏名又は名称及び住所、居所又は事務所若しくは事業所の所在地並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名

  (2) 公文書の名称その他の公開請求に係る公文書を特定するに足りる事項

  (3) 前2号に掲げるもののほか、市長が定める事項

 2  実施機関は、公開請求書(前項の市長が定める方法により公開請求をする場合にあっては、公開請求書に代わるものとして市長が定めるもの)に形式上の不備があると認めるときは、公開請求をしたもの(以下「公開請求者」という。)に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。

   この場合において、実施機関は、公開請求者に対し、補正の参考となる情報

(1) 趣旨

本条は、公開請求は所定の事項を記載した書面により行うべきことを定めるとともに、公開請求書に形式上の不備がある場合の補正の手続について定めるものである。

(2) チェックポイント

Point1  公開請求書の必要的記載事項である、本条第1項各号に掲げる事項や請求者の連絡先、公開の実施方法の区分、請求先である実施機関の名称が当該請求書に記載されているか?

【解釈・運用】

  •  公開請求書の必要的記載事項とは、次の5項目を指す。

ア 氏名及び住所(住所がない場合は居所)・・・公開請求者が個人の場合

  (公開請求者が法人その他の団体の場合は、名称、所在地及び代表者の氏名)

イ 公文書の名称(又は公文書を特定するに足りる事項)

ウ 請求者の連絡先(法人その他の団体の場合は、公開請求の担当者の氏名及び連絡先)

エ 公開の実施方法の区分(閲覧又は写しの交付の別 など)

オ 請求先である実施機関の名称

  •   公開請求書に上記アからオまでに掲げる必要的記載事項の記載が欠けている場合には、不適法な公開請求となり条例第10条第2項による公開をしない旨の決定(この場合は、公開請求却下決定)を行うこととなるが、通常は、公開請求者に対し、欠けている事項について本条第2項の規定に基づき補正を求めることとなる。

 

  事例8-1

  • 不適法な公開請求に対する却下

〔理 由〕

   (1) 公開条例第6条第1項では、「前条の規定による公開の請求(以下「公開請求」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「公開請求書」という。)を実施機関に提出する方法…により行わなければならない。」と定め、「次に掲げる事項」として同項第2号で「公文書の名称その他の公開請求に係る公文書を特定するに足りる事項」と規定しており、同条第2項では、「実施機関は、公開請求書…に形式上の不備があると認めるときは、公開請求をしたもの…に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。」と規定している。

さらに、公開条例第10条第2項では、「実施機関は、公開請求に係る公文書の全部を公開しないとき…は、公開をしない旨の決定をし…なければならない。」と規定しており、この「公開をしない旨の決定」には、対象文書を特定していない、不適法な公開請求に対する却下決定も含まれると解される。

(2) ここで、当審査会において…本件各請求の内容及び…補正依頼に対する回答内容を見分したところ、いずれも公開条例第6条第1項第2号が規定する「公文書の名称その他の公開請求に係る公文書を特定するに足りる事項」であるとは到底認められないものであった。

したがって、本件各請求は不適法なものであると認められる。

※平成26年5月23日大阪市答申第367号(【判例・答申】36)参照

Point2 公開請求書に公文書を特定することができる程度の事項が記載されているか?

【解釈・運用】

  •  「公文書を特定」する方法については、公文書の名称、公文書の様式の名称、標題、記録されている情報の概要、作成(取得)年月日等を適宜組み合わせることによって行うこととなる。
  •   公文書の特定は、各実施機関の長が個別に判断することとなる。

例えば、「○○に関する資料」のように記載された公開請求については、「○○」という事柄の具体性の程度にもよるが、一般的には、関連性の程度にはいろいろなものが想定され、どの範囲まで含むかは、記載からは明らかでないため、特定が不十分であると考えられる。

また、「○○(実施機関又はその下部組織)の保有する公文書」のように記載された公開請求についても、公文書の範囲は形式的、外形的には一応明確ではあるものの、一般に、行政組織の活動は多種多様であってその全てに係る公文書を請求しているとは考え難く、また、保有する公文書の量等に照らして、本条例の公開請求権制度上は、特定が不十分であると考えられる。

 

  事例8-2

  • 不適法な公開請求に対する却下

〔理 由〕

…開示請求書の「開示請求に係る行政文書の名称又は内容」欄には、「庶務課の保有する経理に関するすべての書類」と記載されていることが認められる。開示請求書に開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項が記載されているか否かは、「経理に関する…書類」との記載によって、…庶務課が保有する行政文書の中から対象行政文書を特定できるかという観点から検討すべきと解されるところ、その記載を素直に読めば、「経理」という分野に係る行政文書のすべてについて開示を求めるような包括的な開示請求であると認められるが、「経理に関する…書類」といっても、予算要求から決算に至る一連の事務に関して様々な種類の行政文書が存在しており、その中のいずれの種類の行政文書の開示を求めているのか明らかでない。

したがって、…開示請求書の「開示請求に係る行政文書の名称又は内容」欄の記載からは、開示請求に係る行政文書の範囲を具体的に特定することはできないものといわざるを得ない。

※平成22年2月5日横浜市答申第762号(【判例・答申】37)参照

11 その他

 〇 公開請求に係る公文書に請求者が公開を求めた事項以外の情報が記録されている部分がある場合の取扱いについて 《公 開》

 〔理 由〕

 本件条例に基づく公開請求の対象は、「情報」ではなく「公文書」としていることから、当該公文書のうち請求に係る情報が記録されている部分のみが公開の対象となるのではなく、当該公文書全体がその対象となるというべきである。

 ※平成17年6月14日最高裁第三小法廷判決(【判例・答申】36)参照

公開度UPに向けて

 公開請求の対象となる公文書に、請求の対象外となる情報が記録されている場合であっても、公開請求は公文書を対象とするものであるから、請求対象外の情報についても、公開請求の対象として公開・非公開の判断をする。

 ○ 理由付記について

 本件決定通知書に付すべき理由は、公開請求者において、条例第7条各号所定の非公開事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならない。

 〔理 由〕

 公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開しないときの理由の提示について、条例第10条第3項は、「公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が、当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。」と規定しているが、本条文は、実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保し、その恣意を抑制するとともに、公開しない理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える趣旨であると認められる。

 ※平成21年2月16日大阪市答申第234号参照(【判例・答申】37)参照

 ○ 署名及び印影の黒塗り方法について

 印影は、氏名等の文字情報と形状情報を保有することを踏まえ判断すること

 〔方 法〕

 1 署名及び押印された個人の氏名又は法人その他団体等の名称が明らかにできないことを理由に非公開(黒塗り)とする場合(文字情報及び形状情報のどちらも公開できない)

 → 署名及び印影全体を黒塗りにする。 

   

 2 署名及び押印された個人の氏名又は法人その他団体等の名称が明らかであるが、署名及び印影の偽造防止を理由に非公開(黒塗り)とする場合(文字情報は公開できるが、形状情報としては印影であることのみを明らかにする)

 → 署名及び印影全体の3/4のみ黒塗りにする。

  (1)  署名の場合

    署名全体の上部1/4を公開し、残り部分3/4のみ黒塗りにする。

  (2)  印影の場合

     印影全体の左上部分1/4を公開し、残り部分3/4のみ黒塗りにする。

     なお、公開すべき情報に印影がかかる場合は、印影を黒塗りしない場所を考慮し、印影全体の3/4のみ黒塗りにする。

     ただし、印影全体が公開すべき情報と重なっているなど、印影の3/4を黒塗りすることが現実に困難な場合は、公開すべき情報も含み印影の3/4を黒塗りした上で、黒塗り処理により認識できない公開すべき情報を別途の方法により請求者に提供する。

 〔理 由〕

 署名は、本人が手書きで自己の氏名を記したに止まらず、その形状には特定の個人を識別することができる情報が含まれていることが認められること、また、社会経済活動上署名が個人の認証機能として果たしている役割を考慮すると、自署による署名は公にすることにより偽造等により、当該個人の権利利益を害するおそれがあると認められる。

 また、印影は、署名と同様、氏名のみに止まらず、その形状には特定の個人を識別することができる情報が含まれ、公にすると偽造等により、当該個人の権利利益、当該法人等の財産その他正当な権利利益を害するおそれがあると認められる。

 署名及び印影を非公開とする趣旨が、主として公開された署名及び印影の偽造により当該個人の権利利益、当該法人等の財産その他正当な権利利益が損なわれることを防止する点にあることを考慮すれば、必ずしもその全部を非公開とする必要はないと認められる。

 上記趣旨を考慮し、署名及び印影の一部を公開するなど、偽造防止に配慮しつつ署名及び印影が記録されていることがわかる措置をとるとともに、署名に記された氏名情報を別途の方法により請求者に提供する取扱いとする。

 ※平成18年11月8日大阪市答申第193・194号(【判例・答申】38)参照

 ※平成14年12月20日大阪市答申第124号(【判例・答申】39)参照

 ※平成22 年11 月15 日大阪市答申第280 号(【判例・答申】40)参照

【判例・答申】

 1 判例 平成29年9月22日大阪高裁判決

 本件文書は、大阪市長が職員との間で庁内メールを利用して送受信した一対一メールから、公用PCの共有フォルダに保有しているもの、プリントアウトしたものを他の職員が保有しているもの及び他の公用PC(すなわち他の個人用アドレス)に転送されたものを除いたもの、つまり、上記一対一メールのうち、プリントアウトしたものを含め送受信者以外の職員に保有されていないものということになる。

 このような本件文書の保存状況からは、本件文書が専ら個人の便宜のために作成、利用されていることがうかがわれるうえ、一対一メールは、性質上、会議日程等の通知や調整といった、業務との関わりに乏しい事務的、単発的な事項の伝達に利用されることが少なくないものと思われる。以上のような作成、利用及び保存の状況にある電子メールは、業務上必要なものとして、利用又は保存されている状態には至っていないというべきであるから、本件文書には「組織的に用いるもの」に該当しない一対一メールが相当数含まれるものと考えられる。

 しかしながら、(1)本件文書の送受信者の一方は、被告の業務を統括する大阪市長であるところ、大阪市長は、その職責に鑑み、職務命令を含む職務上の指示、意見表明をしたり、逆に職務上の報告を受けたりするなど(以下、これらの職務上の指示、意見表明、報告等の職務上の情報のやり取りを「職務上の指示、報告等」という。)、職員との間で、被告の業務と密接に関連し継続利用が予定される情報を頻回にやり取りすることが見込まれること、また、(2)被告の業務の中には緊急性及び迅速性が要請されるものがあり、そのような場合には、書面の受け渡しに代えて電子メールの送受信により情報伝達を行うことも多いと考えられること、一方で、(3)上記(1)の情報は、その性質に照らし、口頭のみでやり取りされることが考え難いこと等の事情を併せ考えれば、本件文書が送信された平成24年11月17日から同年12月17日までの1か月間に、大阪市長が一対一メールを利用する形で職員との間で職務上の指示、報告等を送受信したことがあったものと推認される。そして、このような業務と密接に関連し継続利用が見込まれる情報の伝達に一対一メールが利用された場合には、送受信者は、当該電子メールを個人用メールボックスに長期間にわたって保有し、必要に応じてコピーファイルを貸与された公用PC内の記録媒体に記録したり、プリントアウトしたものを保有したりするなどして、他の職員への配布や、後任者への引継ぎに備えて当該電子メールを保存することも十二分に想定される。

 そうすると、被告が的確な反証を行わない本件においては、本件文書の中には、職務上の指示、報告等に利用されたものがあると認めるのが相当であり、これらの電子メールは、その作成、利用及び保存の状況に照らし、業務上必要なものとして、利用又は保存されている状態にあるべきであるから、「組織的に用いるもの」に該当すると解すべきである。

 2 答申 平成22年1月22日大阪市情報公開審査会答申第261号(不適正資金事情聴取記録)

 当該電磁的記録が不適正資金等の調査に係る意思形成過程において実施機関の職員が職務上作成した本件請求に係る文書に該当することは、その内容や整理された記述の様態からも明らかであり、職員個人の便宜のためにのみ作成したものとは認めがたく、また、共用の保管場所に存在していたことからも当該電磁的記録は組織的に用いるものとして保有されていたと認めざるを得ない。加えて、公文書の適正な作成、管理に向け定めた指針である「説明責任を果たすための公文書作成指針」にも、「意思形成過程の文書についても、確実に作成されるようにすること」とあるとおり、大阪市の説明責任の観点からも、公文書としての適正な管理が求められるものであることは論をまたず、当該電磁的記録は組織的に用いていないとして公文書に該当しないとする考えは認めることはできない。

 3 答申 平成17年6月16日埼玉県情報公開審査会答申第46号(警察署協議会代表者会議における本部長コメントの録音テープ)

 まず、事務担当者が別室において会議の進行をモニターしていたこと及び本部長コメントの部分について録音を行ったことは、事務担当者が、その職務として、会議の経過を確認しつつ、突発の指示や照会に対応するものであるとともに、会議終了後に行う必要な事務処理への準備を行っていたものであると認めることができる。

 このような会議の際のモニター及び録音機器の使用による録音や会議室の使用は、同種又は異種の会議にかかわらず、会議の開催に当たり、これまでも行われてきた担当者の職務であって、個別明示の職務命令の有無にかかわらず、この会議の事務担当者として、その必要性を認識して行ったものと思料する。

 このような、事務担当者の職務として録音された本件録音テープの内容は、当該会議において、当時現に発せられた本部長のコメントであり、このコメントを情報として、現に録音を行っている事務担当者の主観や意図が本件録音テープの中に入り込む余地は全くなく、コメントの総てをありのままに記録しているものである。

 また、このような形で本件録音テープを録音していることは、実施機関の組織内において少なくとも暗黙の了解があったといえる。

 このようなことからすると、本件録音テープは、実施機関が主張する個人的な検討段階の資料にとどまるものとはいえない。

 そして、この本部長の発言したコメントは、当該事務担当者のみならず、発言者本人や警察本部職員を含む会議参加者が同時に聴取していることを考えると、本件録音テープは、録音が終了した時点で、組織共用性の実態を備えた状態の公文書であると考えることができる。

 4 判例 平成15年11月11日最高裁第三小法廷判決

 「もっとも、同条は、2号において「個人に関する情報」から「事業を営む個人の当該事業に関する情報」を除外した上で、3号において「法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報」と定めて、個人に関する情報と法人等に関する情報とをそれぞれ異なる類型の情報として非公開事由を規定している。これらの規定に照らせば、本件条例においては、法人等を代表する者が職務として行う行為等当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報については、専ら法人等に関する情報としての非公開事由が規定されているものと解するのが相当である。したがって、法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は、同条2号の非公開情報に当たらないと解すべきである。そして、このような情報には、法人等の代表者又はこれに準ずる地位にある者が当該法人等の職務として行う行為に関する情報のほか、その他の者の行為に関する情報であっても、権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報が含まれると解するのが相当である。」

 5 答申 平成18年11月8日大阪市情報公開審査会答申第191号(生徒(幼児・児童)事故報告書、教職員事故報告書)

 ここで、照合の対象となる「他の情報」としては、公知の情報や、図書館等の公共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手し得る情報のほか、何人も公開請求できることから、仮に当該個人の近親者、地域住民等であれば保有している情報又は入手可能であると通常考えられる情報も含まれると解される。

 この点、異議申立人は、「関係者が保有する情報」と「入手可能であると通常考えられる情報」とを照合の対象となる「他の情報」とするならばすべての情報を秘匿することになると主張するが、本件文書は心身の発育や人格形成の途上にある生徒の「問題行動の事故」についての報告書であり、事故生徒の補導、逮捕及び処分に関する情報が記載されているところ、 これらは、その内容や性質からして特段の配慮を要するものと言え、当該事故生徒の近親者、 地域住民等により公開請求がなされ、当該近親者、地域住民等が保有する情報又は当該近親者、地域住民等であれば入手可能であると通常考えられる情報と照合した場合において、当該事故生徒を識別することができる可能性が十分にあり得ることから、異議申立人が上記において主張する当該各情報についても「他の情報」に含まれると解すべきである。

     (中 略)

 なお、上記各情報のうち「事故生徒の処分措置に関する内容」には、事故生徒の処分措置に関連する各種手続等への対応に伴い関係教諭等の関係者が訪問等した関係機関の名称や当該関係教諭等の関係者の行動が含まれている。これらは、関係教諭等事故等の対応に公務として従事した者の行動に関する情報であるとともに、本件各事故の概要や事故生徒の状況等に関する情報にも該当することから、当該各事故のあった学校の教職員や保護者などの関係者が保有している情報若しくは入手可能であると通常考えられる情報と照合することにより、当該各事故が特定される可能性を否定できず、結果として、当該事故生徒を識別することができる情報であると認められる。

 6 答申 平成17年10月14日大阪市情報公開審査会答申第151号

 「本件各文書のうち転校生以外の児童等に関する様式2の「総合所見」欄(以下「本件「総合所見」欄」という。)に記載された情報について検討する。

  ア 本件「総合所見」欄が含まれる様式2は、各児童等についてそれぞれ1枚で、各学年次の欄のすべてに記載がある。これらの記載の中には、下記のような識別できる当該児童等に固有の個人情報(以下「下記の情報」という。)が含まれているものもあり、こういった情報が含まれている本件「総合所見」欄については、本件各文書が上記(2)で述べたとおり限られた児童等に関するものであることからすれば、仮に当該児童等の近親者、地域住民等であれば保有している情報又は通常入手可能であると考えられる情報と照合することにより特定の個人を識別することができるものと認められる。

 かつ、下記の情報が含まれている本件「総合所見」欄については、その性質上条例第7条第1号ただし書アからウまでのいずれにも該当しない。

 したがって、下記の情報が含まれている本件「総合所見」欄については、条例第7条第1号に該当すると認められる。

  イ 次に、特定の個人が識別できる情報が含まれていない「総合所見」欄について、当該「総合所見」欄に含まれる情報そのもの又は他の情報との照合により特定の個人を識別することはできなくても、なお個人の権利利益を害するおそれがあるかどうかについて検討する。

 下記の情報が含まれていない本件「総合所見」欄について、本審査会において見分したところ、個人の成績等の優劣や能力の程度について批評するなどの記載は認められず、みだりに他人に知られたくない個人の機微にわたる情報が記載されているとは認められない。

 したがって、下記の情報が記載されていない本件「総合所見」欄については、条例第7条第1号に該当するとは認められない。」

 7 答申 平成14年7月24日大阪市情報公開審査会答申第123号

 「聴聞調書に記載されている当事者等の意見陳述・質問等の発言内容を、事後的にであっても公開が前提となると、今後、聴聞の当事者等は、プライバシーをはじめとする人格権の侵害、取引関係等の業務内容の詳細が公になることによる営業活動上の支障等を回避するために聴聞の機会を放棄したり、あるいは、率直に発言できなくなるといったおそれがあり、ひいては、当事者等の権利利益保護手続としての聴聞の機能を低下させ、公正な行政処分を行うという事務事業の適正な遂行に支障が生ずるおそれがあると認められる。」

 「聴聞に先立って行われることのある事情聴取については、事件の全容を正確に把握し、公正な行政処分の賦課及び今後の適正な指導業務に資するため、違反事実の確認や事件の背景について、当事者や関係者から率直な供述を得ることを目的として任意に行われるものであり、公開が前提となると、事情聴取を回避され、また、正確で詳細な供述を得ることが困難となるなど、今後、公正な行政処分を行うという事務事業の適正な遂行に支障が生じるおそれがあると認められる。

 また、違反事実の有無や当事者の発言の真偽等を調査するため、関係者等の協力を得て任意に提出を受けた資料については、これを一方的に公開すると、関係者等との信頼関係を損い、調査への協力を拒まれるなどして、必要な資料を収集することが困難となり、今後、公正な行政処分を行うという事務事業の適正な遂行に支障が生じるおそれがあると認められる。」

 「指示事項違反業者に対する行政処分等を検討する審査委員会の議事録には、本市担当部長、課長による非公開審議ということもあり、しばしばこのような検査・取締りについて、その時期、回数、配置人員、実施方法などのほか、検査手法の不備な点や今後の改善策など、検査・取締りを実施する者にしか知りえない内実やいわゆる「手の内」が記載されている。

 これらの情報が公開され、許可業者の知り得るところとなれば、実施機関が行う検査・取締りの抑止的効果が失われ、今後、検査・取締りに係る事務に関し、違反行為を容易にし、若しくは、その発見を困難にするなどの支障が生じるおそれがあり、条例第7条第5号アに規定する「監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」があると認められる。」

 8 判例 平成17年10月11日 最高裁第三小法廷判決

 「公社が土地又は建物を買い取ったことに係る所有権の移転、当該土地の所在、地番及び地積、当該建物の所在地及び面積並びに売主である個人地権者の住所及び氏名は、一般に不動産登記簿に登記されて公示されるものである。そして、これらの事項が登記されていないことについて特段の主張、立証のない本件においては、1及び4の記載部分に関する情報は、本件条例10条2号アにいう「法令等の規定により何人でも閲覧することができる情報」に当たり、同号所定の非開示情報に該当しないというべきである。」

 「公社が個人地権者から買収した土地の買収価格に関する情報であって、当該個人地権者が識別され得るというのであるから、5の記載部分に関する情報は、個人に関する情報であって特定の個人が識別され得るものということができる。」

 「当該土地が公社に買い取られた事実については不動産登記簿に登記されて公示されるものである上に、当該土地の価格に影響する諸要因、例えば、駅や商店街への接近の程度、周辺の環境、前面道路の状況、公法上の規制、当該土地の形状、地積等については、一般に周知されている事項か、容易に調査することができる事項であるから、これらの価格要因に基づいて公示価格を規準として算定した価格又は近傍類地の取引価格等を考慮して算定した相当な価格は、当該土地の客観的性状から推認し得る一定の範囲内の価格であって、一般人であればおおよその見当をつけることができるものということができる。そうすると、5の記載部分に関する情報は、性質上その内容が不特定の者に知られ得る状態にあるものとして、公表することがもともと予定されているものということができるから、本件条例10条2号イの「公表することを目的として実施機関が作成し、又は取得した情報」に当たり、同号所定の非開示情報に該当しないというべきである。」

 9 判例 平成14年9月12日最高裁第一小法廷判決

 「元来は事業者が内部限りにおいて管理して開示すべき相手方を限定する利益を有する情報であっても、事業者がそのような管理をしていないと認められる場合には、これが開示されることにより正当な利益等が損なわれると認められることにはならないものというべきである。」

 「本件非開示情報のうち口座番号等は、飲食代金の請求書に飲食業者である債権者が記載したものであり、代金の振込送金先を指定する趣旨のものであると認められる。そして、一般的な飲食業者の業務態様をみれば、不特定多数の者が新規にその顧客となり得るのが通例であり、代金の請求書に口座番号等を記載して顧客に交付している飲食業者にあっては、口座番号等を内部限りにおいて管理することよりも、決済の便宜に資することを優先させているものと考えられ、請求書に記載して顧客に交付することにより、口座番号等が多数の顧客に広く知れ渡ることを容認し、当該顧客を介してこれが更に広く知られ得る状態に置いているものということができる。このような情報の管理の実態にかんがみれば、顧客が奈良県であるからこそ債権者が特別に口座番号等を開示したなど特段の事情がない限り、本件非開示情報のうち口座番号等は、これを開示しても債権者の正当な利益等が損なわれると認められるものには当たらないというべきである。」

 「本件非開示情報のうち印影は、債権者の請求書に押なつされているものであり、通常は銀行取引に使用する印章を請求書に押なつすることはないと考えられるから、原審が前記判断の前提としてこれを銀行印の印影であるとしていることには、誤りがあるといわざるを得ない。」そして、口座番号等について述べたところからすれば、「請求書に押なつされている飲食業者の印影は、これを開示しても債権者の正当な利益等が損なわれると認められるものには当たらないことが明らかである。」

 10 答申 平成17年11月29日大阪市情報公開審査会答申第160号

 本市では、本市において任用されている非常勤嘱託職員の、職務遂行に係る情報に含まれる当該職員の氏名については、行政が判断を行うにあたり、重要な役割を担う非常勤嘱託職員の場合、例えば意思形成過程に影響を及ぼす有識者等の場合においては、公開によって特段の支障の生ずるおそれがないかぎり、求められれば公にすることが予定されていることから、当該氏名は通常入手しうる「他の情報」であると解される。また、その他の場合であっても、当該氏名について名札や掲示等により示されている場合においては、当該氏名についても通常入手しうる「他の情報」であると解される。

 11 答申 平成19年3月30日大阪市情報公開審査会答申第205号

 (イ) 教育長の給料基本月額の具体的な決定方法については、職員の給与に関する事務を所管している大阪市総務局によると、職員給与条例及び同条例に規定する給料表の適用を受ける職員の給料の決定の際に用いている「職員の初任給及び昇給等の基準に関する規則」(昭和59年大阪市規則第15号。以下「初任給等規則」という。)を準用して、本市の局長級の職員と同様に、個人の学歴、外部経歴、免許等の資格及び勤務成績に応じて決定されるとのことである。

 (ウ) このような個人の経歴に関する情報等が反映されている給料基本月額は、一般的には、法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報とはいえず、また、公務員等の職又は職務遂行の内容に係る情報ではないことから、同号ただし書ア及びウに該当するとは認められず、かつ、その性質上同号ただし書イに該当しないことから、非公開の情報であるといえる。

 (エ) しかしながら、・・・(中略)・・・総務省のホームページを確認すると、平成17年4月1日現在で行われた地方公務員給与実態調査の結果の一項目として、各都道府県及び各市町村の教育長の給料基本月額が当該ホームページ上で公表されていることが認められた。この地方公務員給与実態調査(以下「調査」という。)は、総務省が地方公務員の給与実態を明らかにするため、昭和30年から統計法(昭和22年法律第18号)第2条に規定する指定統計として開始し、地方公務員給与実態調査規則(昭和33年総理府令第57号)に基づき実施しているものである。同規則第4条によると「調査は、昭和43年以降5年ごと」に行い、同規則第11条によると「調査の結果は、集計後すみやかに公表する」ものとしている。また、総務省によると、上記調査が行われていない年については、補充調査が実施されており、補充調査の結果は公表されているとのことである。

     (中略)

 (オ) 上記から教育長の給料基本月額は、法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報であるとして、本号ただし書アに該当すると認められる。

 12 判例 平成18年4月24日高松高裁判決

 (ウ)  しかも、訴訟記録の閲覧について、平成9年8月20日付け最高裁総三第97号総務局長通達「事件記録等の閲覧等に関する事務の取扱いについて」によれば、訴訟記録の閲覧を希望する者は、できる限り、裁判所に備え付けられている民事事件記録等閲覧・謄写票(別紙3参照)に基づき申請しなければならない、とされている。

 そして、民事事件記録等閲覧・謄写票によると、訴訟記録の閲覧を希望する者は、① 訴訟記録の事件番号、当事者氏名で閲覧を希望する訴訟記録を特定しなければならない、② 更に、申請人資格(当事者・代理人・利害関係人・その他)、閲覧等の目的(訴訟準備等・その他)を明らかにしなければならない。

 したがって,被控訴人が,高知県知事に対し本件開示請求をした際のように,高知地方裁判所及び高松高等裁判所(本件医療過誤訴訟が係属していた裁判所)に対し,「高知県又は高知県知事を当事者とし,現在係属中の民事訴訟事件,行政訴訟事件」という特定のみで,その訴訟記録の閲覧を申請をしても,閲覧を希望する訴訟記録がいまだ特定していないとの理由で,閲覧が拒否されるものと思われる。

 しかも、裁判所書記官は、民事事件記録等閲覧・謄写票に記載された申請人資格、閲覧等の目的から判断して、明らかに閲覧請求権の濫用と認められる場合には、民訴法91条1項の解釈としても、閲覧を拒否することも可能である。

 (エ)  このように、裁判所での訴訟記録の閲覧については、閲覧を希望する事件の事件番号や当事者名で特定していなければ、閲覧を拒否されるし、また、場合によれば、裁判所での訴訟記録の閲覧が、閲覧請求権の濫用として拒否される場合があるのだから、本件患者の氏名等が記載された訴訟記録(本件医療過誤訴訟3件の訴訟記録)は、本件条例6条1項2号ただし書アの「法令等の規定により何人も閲覧できるとされている情報」には該当しないものといわなければならない。

 13 答申 平成18年3月29日大阪市情報公開審査会答申第173号

 本審査会が見分したところ、「事案の概要」欄には、本件各事案 発生から相談時点までの事実の経過が、個票1及び3を除いて、おおむね、簡潔に順を追って記入されており、「相談(質問)事項」欄及び「回答」欄には、法的な論点及びこれに対する解釈等を中心に、簡潔に箇条書きで記入されていることが認められる。

 当該各欄について、上記4(4)で述べた点を踏まえて、部分公開の可否を検討すると、個票1及び3の「事案の概要」欄を除いて、当該各欄から「事故児童等の氏名」「学校名」「事故児童の学年・組」「発生日時・曜日」「発生場所」「児童の行動・診断・病状・事後の状況」「関係者の様子・行動・事後の状況」「事故又は事件に関わった関係機関の名称」「関係者の意見」等事故児童等を識別することができる部分を容易に区分して除くことができると考えられ、かつ別表に掲げる当該非公開情報を除いた部分には、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるとも認められない。また、別表に掲げる当該非公開情報を除いた部分には、本件各事案の対応に公務として従事した教諭等の行動や学校のとった措置、これらを踏まえて行った法的な観点からの相談や回答の要旨が、特定の個人を識別できない形で簡潔に記載されており、当該部分を公開することにより、学校内外で発生した事故又は事件への学校側の対応や、事後の対応を行う際の学校支援(法律相談)事業の利用状況を相当程度把握することができ、当該対応が適切であったか否か、又は当該事業が有効に活用されているか否かを吟味することができる。以上の点から、分離後の部分には、請求の趣旨にかなう有意の情報が記録されていると認められることから、これらの情報は公開すべきである。

 一方、個票1及び3の「事案の概要」欄については、もっぱら関係者の行動、意見及び事故児童の行動、病状を中心に、事故児童等の個人情報が、全文脈を通して、詳細かつ相互に密接に関連づけられながら記載されているため、特定の個人を識別することができる部分を分離した場合、分離後の部分は、断片的な情報のみとなり、十分文意を把握することができず、請求の趣旨にかなう有意の情報が残らないと認められる。

 14 答申 平成16年9月3日大阪市情報公開審査会答申第139号

 まず条例第7条第1号本文該当性を検討するに、○○老人憩の家建設委員会(以下「当該老人憩の家建設委員会」という。)は法人ではないが代表者の定めがあることから同条第2号の「その他の団体」に当たると解されるところ・・・当該老人憩の家建設委員会委員長の氏名は、整備補助金の交付申請書の申請者欄に同委員会の代表者として記載されているなど、その全てが法人等を代表する者が当該法人等の職務として行う行為等当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報であると認められるので、同号に規定する「個人に関する情報」には該当しない。なお、当該老人憩の家建設委員会の名簿に記載されている個人の氏名は、本来は個人の戸籍的事項に関する情報であるが、当該名簿に記載されている個人の氏名のうち委員長の氏名については、当該名簿が整備補助金の交付申請書の添付書類として当該申請書と一体のものであると認められること、前述したように当該申請書の申請者欄に同委員会の代表者として記載されていることから、法人等を代表する者が当該法人等の職務として行う行為に関する情報に含まれ、「個人に関する情報」には該当しないと解すべきである。よって当該老人憩の家建設委員会委員長の氏名は、法人等に関する情報として、非公開情報に該当するか否かの判断を行うことが相当である。

 15 答申 平成16年9月3日大阪市情報公開審査会答申第138号

 「条例第7条第1号本文該当性を検討するに、旅行業者の支店長氏名については、本件各文書に添付されている「見積書」及び「支払い証明書」に、当該各文書を作成した旅行会社の支店の長として記載されているが、当該氏名は、法人等を代表する者若しくはこれに準じる地位にある者が当該法人等の職務として行う行為に関する情報又はその他の者が権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報など、当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報であると認められるので、同号に規定する「個人に関する情報」には該当しないと解すべきである。したがって、本件各文書に記載された支店長氏名を非公開とした実施機関の判断は妥当ではない。」

 「ところで、当該支店長は、上記のとおり法人の代表又はその他の者が権限に基づいて当該法人等のために見積書の作成や出張旅費の収受等を行うことから、その氏名については当該法人等の行為そのものと評価される情報と考えられるため、「法人等に関する情報」に該当すると解し、非公開情報に該当するか否かの判断を行うことが相当である。」

 「条例第7条第2号は、法人等の事業者の事業活動や正当な競争は社会的に尊重されるべきであるとの理念のもとに、「法人等…に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」は、原則として公開しないことができると規定している。」

 「そして、この「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」とは、①法人等の事業者が保有する生産技術上又は販売上の情報であって、公開することにより、当該法人等の事業者の事業活動が損なわれるおそれがあるもの、②経営方針、経理、人事等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、公開することにより、法人等の事業者の事業運営が損なわれるおそれがあるもの、③その他公開することにより、法人等の事業者の名誉、社会的評価、社会的活動の自由等が損なわれるおそれがあるものがこれに当たると解される。」

 「当該支店長氏名について検討すると、法人等の事業者が保有する生産技術上又は販売上の情報や、経営方針、経理、人事等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項には該当しないことは明らかであり、また公開することにより当該法人の事業者の名誉、社会的評価、社会的活動の自由が損なわれるおそれがあるものとはいえないと判断するのが妥当である。」

 「以上により、本件各文書に記載された支店長氏名は、条例第7条第2号に該当しないと判断される。」

 16 答申 平成12年12月27日大阪市情報公開審査会答申第105号

 また、実施機関は、本件文書に係る契約が、設置法人と納入業者との間で交わされた民間法人同士の取引きであることを主張しているが、備品の購入者である設置法人が支払った代金の相当部分が本市からの補助金でまかなわれている点を看過することは適当でない。

 すなわち、設置法人が社会福祉施設等設備整備費補助金を受けて行った事業について、実施機関が当該法人に対して、売買契約書、納品明細書等その支出金額を証明する附属資料を添付の上、その事業実績を報告するよう求めている趣旨は、当該支出金額が国や本市が定める補助基準に基づく補助金の算定の基礎となることから、これらの資料を提出させることにより、設置法人に交付した補助金が適正に執行されているか否かを確認するためのものであると考えられる。

 したがって、設置法人と納入業者の間の売買契約は、純粋な民間法人同士の取引と同視することはできず、補助金の適正な執行の確保という観点から、その売買金額を公開する必要性が高いというべきである。

 17 判例 平成15年5月29日名古屋高裁判決

 「上記各委託契約においては、見積書を作成した事業者の名称及び住所並びに当該事業者の推認情報は非公開とされているが、県と実際に契約を締結した事業者(債権者)、見積り合せ業者(前記<A>類型の場合)、プロポーザル参加業者(前記<B>類型の場合)の見積書が公開されていることが認められる。」

 「被告は、上記各見積書から当該事業者の事業上、技術上のノウハウ、営業上の得手不得手等の事業活動情報が自ずと分かり、その競争上の地位が阻害されると主張する。

 確かに、上記各見積書に記載されている前記内容は、当該事業者が有している営業上、技術上の秘密やノウハウを適用した結果算定されているものであり、同業者その他の当該事業者の事業に通じている者がこれらの情報を入手すると、当該事業者が有する営業上、技術上の秘密やノウハウ、営業上の得手不得手を推知する端緒となる可能性があり得る。

 しかし、被告は、上記各見積書に記載されているどの情報から、どのような営業上、技術上の秘密等やノウハウ、得手不得手が判明するのか具体的に主張立証していない。それは被告にとっても不明であるため、抽象的にしか主張し得ないものと解される。したがって、上記各見積書に記載されている情報から当該事業者の事業活動が具体的にどの程度損われるかは不分明であるといわざるを得ない。

 ところで、本件条例10条5項は、実施機関は、県以外の者に関する情報が記載されている公文書について、当該情報が記録されている部分を公開しなければならないことが明らかなときや、当該処分を公開しないことができることが明らかなときを除き、あらかじめ当該県以外の者の意見を聴かなければならない旨を定めているから、上記のように公開すべきか非公開にすべきか不分明の場合においては、被告としては公開、非公開の決定をする前に、上記各見積書を提出した各事業者の意見を聴取すべきであった(なお、上記各見積書を提出した各事業者の意見を聴取することによって、当該事業者の競争上の地位その他正当な利益が客観的かつ現実的に損なわれる具体的な事情を把握することが可能であり、このようにして公開すべきか非公開にすべきかを決定することが予定されているというべきである。すると、上記各見積書から事業活動情報が自ずと分かり、その競争上の地位が阻害されるという控訴人の主張は、当該事業者の競争上の地位その他正当な利益が損なわれるおそれについて、相当程度具体性を有する客観的かつ現実的な事情を主張したものとはいえず、このような控訴人の主張を採用することはできない。)」

 18 答申 平成11年9月21日大阪市情報公開審査会答申第90号

 本件文書1のうち上記Ⅱ④の文書に含まれる議事録のうち、治験薬に関する申請課題及び議事内容の部分、審査申請書と審査結果通知書のうち、課題名、実施場所及び研究等の概要の部分、並びに治験の再開に関する資料には、審査の対象となる治験薬の名称、治験の再開に至る経緯、これまでの治験成績などの当該薬品に固有の情報が記載されている。

 本件情報は、当該製薬企業にとって、新薬製造に係る生産技術上又は販売上の情報であって、これを公開すると、他社が類似の新薬を開発することが容易となることから、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められ、条例第6条第3号に該当する。

 19 答申 平成13年11月2日大阪市情報公開審査会答申第118号

 (2) 本件各文書のうち、本号該当性が問題になる情報は、①普通財産である土地の貸付料(賃貸料及び使用料を含む。以下「貸付料」という。)の単価、月額、年額及び全額、②備考欄に記載された減額率、③契約保証金、④連帯保証人となっている法人の名称、住所、電話番号である。

 (3) まず、①の貸付料について本号該当性を判断する。

 地方公共団体の所有に属する不動産等の公有財産は、公用又は公共用に供し、又は供することと決定した行政財産と、これ以外の普通財産に区分される(地方自治法(昭和22年法律第67号)第238条)。このうち、本件で対象となっている普通財産は、原則として一般私法の適用を受けて管理処分される性質を有し、貸付け(賃貸借及び使用貸借を含む趣旨である。以下同じ。)、交換、売り払い等の目的とし、又はこれに私権を設定することができる(地方自治法第238法の5)。

      (中 略)

 貸付料金額については、貸し付け当初においては上記定めに従った貸付料となっているが、長期継続する場合においては、途中順次貸付料改定を行っており、改定金額については借地借家法(平成3年法律第90号)等の適用を受けることから、原則として相手方との合意を要するので、貸付先の状況によっては、改定額に種々個別的な差が生じる。

 したがって、近傍であっても、貸付料が異なっている場合も生じていることが認められる。

 ところで、一般に土地貸借等の貸付料も相手方法人の経営上の情報ではあるが、商品の原価等とは違って、特段の事情のない限りこれを知られたとしても、競争上の地位やその他正当な利益を害するおそれは少ないものと考えられる。

 そして本件においては現在のところ特段の事情に当たるものを見受けることができない。

 したがって、これを公開しても当該法人の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するとまでは認められない。

 以上により、①普通財産である土地の貸付料の単価、月額、年額及び全額は、条例第7条第2号に該当しない。

 (4) 次に、②備考欄に記載された減額率について、本号該当性を判断する。

 財産上例題10条第2項で準用する第7条第3項は、貸付料の全部又は一部を免除する場合の要件を定めており、この根拠に基づき減額を行っているのであるから、特段の事情がない限り、非公開とする必要性は認められない。また、契約相手方法人にとっても、条例に基づいて正当に減額措置を受けていること及びその率が明らかになっただけで、その権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。

 よって、②備考欄に記載された減額率は、条例第7条第2号に該当しない。

 (5) 次に、③契約保証金について、本号該当性を判断する。

 不動産の賃貸借契約にあっては、貸付料について述べたと同様の趣旨で、これを知られたとしても特段の事情がない限り、当該法人の競争上の地位やその他正当な利益を害するおそれは少ないものと考えられる。そして、本件においては、特段の事情に当たるものが見受けられない。したがって、契約保証金を非公開とする理由はない。

 よって、③契約保証金は、条例第7条第2号に該当しない。

 20 答申 平成13年3月30日大阪市情報公開審査会答申第108号

 「相手方法人にとって、その所有していた土地の売買価格に関する情報は、保有する資産の変動や売却収入といった財務管理上の経理情報であり、相手方法人の内部管理に属する事項であることは、実施機関の主張するとおりである。

 ただし、内部管理に属する事項に関する情報であるだけでは、本号に該当するということはできず、さらに進んで、当該情報を公開することにより、相手方法人の事業活動が損なわれるなど、競争上の地位その他正当な利益を害すると認められなければならない。」

 「本件売買価格に関しては、合理的な理由に基づく非公開とする特約はなく、また当該法人においても本件売買価格の非公開を必要とする特段の事情も見出しがたいので、本件売買価格を公開しても、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとまでは認められない。

 また、本件土地の売買価格は、相手方法人が行った一取引についてのものである。相手方が個人であれば、このような一取引といえども、当該個人の財産に関する情報としてプライバシー性を有するが、相手方が法人の場合、例えば切迫した資金需要のため主たる資産を低価格で売り急いだといった特段の事情のない限り、当該法人の経営状況等の詳細や特殊性が推測されることは考えにくい。」

 21 判例 平成17年10月11日 最高裁第三小法廷判決

 「6の記載部分に関する情報は、公社が法人地権者から買収した土地の所在、地番、地積及びその買収価格に関する情報並びに公社が法人地権者に支払った補償価格及びその補償の対象となった建物、工作物等を特定することができる情報であるというのである。当該土地が公社に買収されたことは不動産登記簿に登記されて公示されるものであり、その買収価格は公拡法7条の適用がある適正な価格であるから、上記買収価格をもって公社に土地を買収されたことを開示することによって、当該法人地権者の競争上又は事業運営上の地位、社会的信用その他正当な利益が損なわれるとは認め難い。また、上記補償価格は当該法人地権者の資産の全容を示すものではなく、県において定められた損失補償基準に従って算出された補償価格が当該法人地権者に支払われたことに関する情報が開示されても、直ちにその競争上又は事業運営上の地位、社会的信用その他正当な利益が損なわれるとはいい難い。したがって、6の記載部分に関する情報は、本件条例10条3号所定の非開示情報に該当しないというべきである。」

 22 答申 平成17年10月14日大阪市情報公開審査会答申第153号

 「異議申立人が公開すべきであると主張している情報は、第三者割当て先全22法人(大阪市を含む。)のうち、条例第34条の規定等により西大阪高速鉄道株式会社の株主である旨を公開している8法人を除く14法人の名称である。実施機関の説明によると、本件文書は、第三者割当増資について株主以外の第三者又は特定の既存株主に対して送付された文書であり、第三者割当増資とは、株式の持分比率の変動を伴うものであって、通常関係者以外に知られることのない情報であるとのことである。したがって、西大阪高速鉄道株式会社の事業活動における内部管理に属する事項に関する情報であると認められる。

 しかしながら、この西大阪高速鉄道株式会社は、地下鉄中央線をはじめとする既存鉄道とネットワークを構成し、大阪都心南部で進行している大規模開発プロジェクト地域へのアクセス機能を強化するものとして、阪神西九条駅と近鉄難波駅とを結ぶ建設延長3.4kmの路線を整備する事業を行っており、こういった実施事業そのものの公共的な性質や、大阪市から出資を行っている状況等を踏まえると、法人の内部管理情報といえども通常の法人に比して一定の説明責任が認められる。また、第三者割増増資を受けた法人名を公開しても、西大阪高速鉄道株式会社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。」

 23 答申 平成15年3月28日大阪市情報公開審査会答申第128号

 「一般に、法人等の事業者がその事業活動に使用する印影は、事業活動を行う上での内部管理に属する情報であり、また、その偽造等の危険性を考慮すると、その印影を公開することにより、法人等の事業者の事業運営を損い、その正当な利益を害するおそれがあると認められ、このことは、本件文書のうち「事業請負見積書」に記録されている印刷業者の印影についても妥当する。

 ところで、法人等の事業者が内部限りにおいて管理して開示すべき相手方を限定する利益を有する情報であっても、当該情報を不特定多数の者に広く知られる状態に置いているなど、法人等の事業者がそのような管理をしていないと認められる場合には、これを公開しても当該法人等の事業者の正当な利益を害することにはならないと解されるが、本件のように印刷業者が作成する見積書等についていえば、一般に印刷業者は、取引関係が生じ、又は生じる可能性のある特定の者に対して、その印章を押なつした見積書等を交付するのであり、不特定多数の者にこれを交付することはないと考えられる。

 さらに、本件文書のうち「事業請負見積書」に記録されている印刷業者の印影は、実施機関が指定した様式である「事業請負見積書」に押なつされた印影であり、当該見積書は、指名競争入札及び随意契約において契約金額が1,000,000円以下で契約書の作成を省略した場合に、これをもって契約書に代用するものとされている(大阪市契約規則(昭和39年大阪市規則第18号)第34条第2項)。また、当該見積書には、見積者側の契約履行の意思表示の文言及び契約条項が記載されているとともに、収入印紙の貼付欄があり、「契約の相手方となった者は貼付を要する」と明記されている。よって、印刷業者は当該見積書が本市との契約書に代用される可能性があることを前提に押印していると解するのが妥当である。

 これらのことからすれば、印刷業者が上記印影を自らと取引関係等のない不特定多数の者にまで広く知られる状態に置いているとは認められない。」

 24 答申 平成15年12月19日大阪市情報公開審査会答申第131号

 「本件文書に記録された法人の印影は、土地信託契約書等に押印された印影であるから、法人の経理面において、専ら当該団体の内部管理に属する事項に関する情報に該当する。

 なお、事業者が内部限りにおいて管理して開示すべき相手方を限定する利益を有する情報であっても、当該情報が不特定多数の者に広く知られる状態に置いているなど、事業者がそのような管理をしていないと認められる場合には、これを公開しても当該事業者の正当な利益を害することにはならないと解されるが、本件文書に記録された印影は、契約関係にない者にまで広く公開することを予定しているとはいえないので、不特定多数の者に広く知られる状態に置いているとは認められない。」

 25 判例 平成11年1月21日大阪高裁判決

 「事業者が取引する銀行口座やそれに使用する印章・印影については、一般的には、いわゆる内部管理情報として秘密にしておくことが是認され、これらの内部管理情報につき、事業者は、開示の可否及びその範囲を自ら決定できる権利ないしはそれを自己の意思によらないでみだりに他に開示、公表されない利益を有しているというべきである。したがって、事業者の意思によらないでその内部管理情報が公表されることは、事業者の正当な意思、期待に反するというべきであるから、本件非開示部分を開示することにより、同条同号本文の正当な利益が損なわれるとみるのが相当である。」

 「本件非開示部分である内部管理情報について、事業者がその意思によらないで公表されることのない期待等は十分尊重されるべきであるから、やはり正当な利益にあたるというべきである。また、〔証拠略〕によると、預金口座や印章等を悪用して実際に犯罪が行われたり、行われるおそれのあることや顧客情報及び消費者金融の個人情報が盗用されたり、流出している事例がかなり発生していることが認められる。右認定及び顕著な事実によると、預金口座をはじめ、営業上又は販売上のノウハウに関する情報は、悪用されるおそれが多分にあるというべきであり、この点からいっても、右情報は十分に保護されるべきである。」

 26 判例 平成16年5月27日大阪地裁判決

 「納入先及び仕入先を特定し得る情報が公開されれば、当該事業者は、競争相手の事業者にも納入先及び仕入先を知られることにもなり得るが、販売金額等の取引内容に関する情報そのものとは異なり、このような情報が断片的に明らかになることによってにわかに当該事業者の競争上の地位が害される事態が生じるものとは想定し難く、納入先及び仕入先の事業者の情報が当該事業者内部において秘密として厳重に管理されているかどうかは、当該情報の内容・性質、当該事業者の業態や取り扱う商品の種類等によっても異なるものと考えられる。そうすると、事業者の納入先及び仕入先の事業者が特定される情報は、例えばそれが一覧性・検索性のある顧客名簿等であったり、広く知られていない仕入価格の特別低い仕入先であるなど、当該事業者の内部限りにおいて秘匿されるものと認めるべき特段の事情がない限り、当該事業者において開示すべき相手方を限定する利益を有する情報には当たらず、これが公開されることにより当該事業者の競争上の地位等の正当な利益が害される蓋然性があるとは認められないものと解すべきである。」

 27 答申 平成18年3月29日大阪市情報公開審査会答申第171号

 「本件文書のうち不備欠陥事項のなかったものについては、そもそも本件各情報2(※)が記載されておらず、不備欠陥事項を認めなかった旨が記載されているのみであり、これを公にすることに何らの不利益もないと認められる。また、本件文書のうち本件各情報2が記載されているものについても、当該各情報により消防法等の遵守という公法上の義務を履行してない事実が明らかになる点では不利益があるともいえるが、大規模集客施設という本件防火対象物の性質並びに本件立入検査の趣旨及び目的等に照らせば、火災発生により重大な被害が生じるおそれのある当該防火対象物を所有ないし管理する以上、消防法等を遵守すべき義務は重いと考えるべきであり、仮に、義務違反の事実を公にすることにより当該法人の社会的評価等が損なわれることがあるとしても、それは当該法人において受忍せざるを得ないものと解される。

 よって、本件各情報2を公開しないことにより保護される法人の利益は、条例第7条第2号に規定する「法人の…正当な利益」であるとは認められず、本件各情報2は、同号に該当しない。」

 ※「本件各情報2」・・・不備欠陥事項がある旨を示す前文、交付枚数、不備欠陥事項及び摘要の各情報

 28 判例 平成17年3月25日名古屋高裁判決

 「地域住民が違法な活動を行っていると指摘する当該事業者等の名称に関する情報がこれに該当するかを検討するに、このような情報は内容次第では公開により事業者の社会的評価や信用を損うことがありうるが、単に地域住民などの第3者から県に対しそのような情報が寄せられたというに止まり、行政機関として当該事実関係を真実と認めたものでなければ、その公開により当該事業者の社会的評価や信用が損なわれるおそれの程度は低く、その事業活動が損なわれるおそれがあるとただちに認めるには足りない。また、同情報が真実であれば公開により損なわれる事業者の利益は正当なものとはいえない。」

 「なお、控訴人は、地域住民等からの事実確認ができない情報を県という公的な機関が公開すれば客観的な事実であると受け入れられる可能性が高く、事業者の正当な利益を損なうことは明らかであるなどと主張するが、単にそのような情報が寄せられたというに止まるものであれば、一般にその公開により当該事業者の社会的評価等が損なわれるおそれの程度は低いものと考えられることは上記説示のとおりである上、場合によっては公開に際し、県としては事実関係を確認していない旨の意見を付することにより、そのような可能性についての危惧を排除する方法なども考えられるから、上記主張は採用できない。」

 29 答申 平成20年3月28日大阪市情報公開審査会答申第212号

 この点について当審査会が確認したところ、実施機関には当該各文書の提出を求める権限はなく、また、各連合振興町会から実施機関に、公にしないとの条件で当該各文書を提供する旨の文書が提出されていた。したがって、当該各文書は、実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で各連合振興町会から任意に提供されたものであると認められる。

 しかしながら、条例第7条第3号の規定によると、実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で個人又は法人等から任意に提供された情報であっても、当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるものであることが求められる。以下では、下記の分類ごとに当該条件を付すことの合理性について検討する。

      (中 略)

 当該各文書には、当該移転事業に関する今後の予定や予測に基づく情報等が含まれているものの、機構等と各連合振興町会との協議により変更される可能性がある情報が含まれているとは認められない。したがって、当該各文書については、各文書に係る非公開決定の時点において、未確定の情報が含まれていると認められず、公開しても、各連合振興町会内に混乱を招くおそれがあるとまではいえないことから、公にしないという条件を付す理由に乏しい。

 30 答申 平成19年3月22日内閣府情報公開・個人情報保護審査会(平成18年度(行情)答申第454号・455号)

 各回の議事録の表紙中の①開催日時,②委員及び事務局職員の氏名(印影),③当日の議題(項目),④配布資料一覧等及び議事録本文中の①具体的な議事が進行する前の冒頭部分(事務局が当日の検討すべき議題等の説明を行う部分)や②当日の議題項目等が示されたタイトル部分は,委員長・委員の率直かつ忌たんのない意見や考えが示されているものではないので,法5条5号に該当するものとは認められない。また,添付資料のうち月例事務報告会に係る資料の一部,その他の添付資料のうち既に当該資料そのものが対外的に明らかにされていると認められるもの,一定の事実関係を整理したもの(部分)と認められるもの等については,これらを開示したとしても,秘匿すべき委員長・委員の率直かつ忌たんのない意見や考えが判明するものではないので,法5条5号に該当するものとは認められず、開示すべきである。

 【委員会議事録の法5条6号該当性について】諮問庁は,公正取引委員会の議事録を開示すると,合議制の根幹である自由かつ率直な意見の交換を損ねる結果となり,法5条6号の「公にすることにより,当該事務の性質上,当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があるとするが、それは,「公正取引委員会の委員長・委員の自由かつ率直な意見交換の内容」が明らかになることを前提としての説明であり,少なくとも,上記で開示すべきとした部分については,上記で述べたとおり,これを開示しても,そもそも「委員長・委員の率直かつ忌たんのない意見や考え」が判明するものではないのであるから,法5条6号の不開示情報に該当しないことは明らかである。

 31 判例 平成15年7月17日 大阪高裁判決

 甲第8号証の1によれば、鎌倉市土地開発公社は、平成6年4月ごろから平成10年6月までの間、任意の情報提供として、その保有する土地の所在地と取得価格の情報を、誰でも自由に閲覧できる状態にしていたが、平成10年6月時点で、その情報公開によって用地買収事務に支障が生じていないことが認められるし、甲第8号証の4によれば、川崎市は、公有地の所在地及び取得価格を一覧できる文書を作成しており、平成9年2月以降これを開示しているが、この情報公開後平成10年7月の時点までに、川崎市において用地買収交渉がとん挫するなどの事例が生じていないことも認められるから、上記陳述書や証言から、④⑤⑥情報が開示され得る状況下では、県の用地買収事務の円滑な執行に深刻な障害が発生するとまでいうことは困難である。

 以上のとおり、④⑤⑥情報の開示によって、今後の県の用地買収事務の円滑な執行に支障が生じるおそれは、現段階では、多分に抽象的なものであるといわざるをえない。そして、将来の用地買収事務の円滑な執行が阻害される抽象的なおそれがあるというだけでは、いまだ、④⑤⑥情報が8号第4段に該当する非開示情報であると認めることはできない。

 32 答申 平成18年3月29日大阪市情報公開審査会答申第170号

 「実施機関は、本件請求が多年度における試験問題等の公開を求めるものであることから、本件文書の公開によって出題傾向が明らかとなり、解法を記憶し反射的に回答できるような受験対策に終始した者が高得点を獲得することとなるため、結果的に本来採用すべき潜在能力の高い人材の採用が困難になる旨主張している。

 しかしながら、受験生が過去の問題等の分析を通じて自己の不足している知識等を補足するために学習することは当然のことであり、それ自体は必ずしも弊害のあるものであるとはいえない。

 しかし、仮に本件文書の公開の結果、過去の問題の収集と分析が可能となるため、受験生が過度の受験対策を講じることとなったとしても、そういった受験対策によって、直ちに受験生の能力実証ができなくなるとは認められず、設問における出題の視点を変えるなど、実施機関が創意工夫を凝らす問題作成の余地は残されていると認められることから、本件文書の公開により直ちに受験者の能力を適切に評価することが困難になるとは認められない。

 実施機関が主張するとおり、本件文書の公開によって問題作成が困難となることは否定できないものの、公開・非公開の別にかかわらず、類似の問題等を考慮し適正な問題を作成することは、問題作成者としては当然行うべきものであって、これまでの試験問題作成においても当然なされてきたものであると認められる。また、本件文書の公開によって、問題作成により多くの労力がかかることは認められるとしても、そのことのみをもって今後の試験問題の作成が困難となり、試験事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼす蓋然性が高いとは認められない。

 33 答申 平成18年3月29日大阪市情報公開審査会答申第171号

 実施機関は、本件各情報2(※)を公開することにより、本件防火対象物の関係者との信頼関係が損なわれ、不備欠陥事項の隠ぺいや正確な実態把握、さらには消防法令違反を発見するのを困難にするおそれがあると主張しているが、上記5(3)で述べたとおり、本件立入検査は、火災発生により重大な被害が生じるおそれの ある消防法第17条に規定する防火対象物に対するものであり、消防法第44条第2号に規定する罰則によって間接的に強制力を有するものである。

 実施機関が立入検査の実施に際して、行政指導的な手法を駆使しつつ当該検査の円滑な実施に努めている現状を否定するものではないが、本件立入検査の上記性質を考慮すると、一般に、防火対象物を所有ないし管理する法人が立入検査を拒むなどした場合には、そのこと自体によって、当該法人の社会的信用が大きく失墜することは、容易に予想することができるであろうし、上記の罰則が適用される危険すら顧みず、あくまで立入検査を拒むものが現れるということは、直ちには想定し難いといえ、かかる例外的な事例の発生の可能性をもって、当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められない。

 ※「本件各情報2」・・・不備欠陥事項がある旨を示す前文、交付枚数、不備欠陥事項及び摘要の各情報

 34 答申 平成11年12月21日大阪市情報公開審査会答申第92号

 人の生命、身体、財産等の保護」に支障が生じる場合とは、①犯罪、違法行為、不正行為等の通報者が特定され、その結果これらの人が危害を加えられるおそれがある場合、②特定の個人の行動予定、家屋構造等が明らかになり、その結果これらの人が犯罪の被害を受けるおそれがある場合などがこれに当たると解される。

 鍵引渡書等に記載された鍵メーカー及び鍵番号については、これらの情報が公開されると、当該建物の部屋ごとに記載されてさる鍵が特定され、同型の合鍵の作成が容易になり、その結果、建造物侵入その他の犯罪の被害を受けるおそれがあると認められる。

 35 答申 平成17年11月8日大阪市情報公開審査会第193号・194号

 実施機関は、本件通知及び本市要綱が、本号に定める「法令等」に該当すると主張するが、当該通知等はいずれも法律若しくは政令、府令、省令その他の国の機関が定めた命令又は条例に該当しないことは明らかである。また、本件通知の根拠法令である民生委員法及び同施行令において、会議の非公開及び議事録の取扱いを定めた規定は存在せず、同法等の趣旨、目的に照らしその規定するところを解釈しても、民生委員推薦会の運営にあたっての公正性を確保するために、本件各情報が公にすることができないと認められる情報であると求めているとまでいえない。

 よって、本件各情報は「法令等の規定の定めるところにより公開しないこととされ、若しくは公にすることができないと認められる情報」には該当しない。

 さらに、本件通知は地方公共団体の自治事務に対する、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく助言に当たるものであるが、「会議は必ず非公開とし、・・・議事に関しては秘密を厳守させること」という当該要領の定めは、議事録の取扱いを規定するものではなく、会議運営上必要と考えられる技術的助言であり、かつ、当該会議が非公開であっても、その議事内容全てが非公開と取り扱われるべき情報により構成されているとは認められないことから、本件通知が、一律にその議事録を非公開と取扱うことを求めた「明示の指示等」に該当するとする実施機関の主張は、認められない。したがって、本件各情報は「法律若しくはこれに基づく政令の規定による明示の指示等により公にすることができないと認められる情報」には該当しない。

36 答申 平成26年5月23日 大阪市情報公開審査会答申第367号

(1) 公開条例第6条第1項では、「前条の規定による公開の請求(以下「公開請求」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「公開請求書」という。)を実施機関に提出する方法…により行わなければならない。」と定め、「次に掲げる事項」として同項第2号で「公文書の名称その他の公開請求に係る公文書を特定するに足りる事項」と規定しており、同条第2項では、「実施機関は、公開請求書…に形式上の不備があると認めるときは、公開請求をしたもの…に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。」と規定している。

さらに、公開条例第10 条第2項では、「実施機関は、公開請求に係る公文書の全部を公開しないとき…は、公開をしない旨の決定をし…なければならない。」と規定しており、この「公開をしない旨の決定」には、対象文書を特定していない、不適法な公開請求に対する却下決定も含まれると解される。

(2) ここで、当審査会において別表の(え)欄に記載の本件各請求の内容及び別表の(き)欄に記載の補正依頼に対する回答内容を見分したところ、いずれも公開条例第6条第1項第2号が規定する「公文書の名称その他の公開請求に係る公文書を特定するに足りる事項」であるとは到底認められないものであった。

したがって、本件各請求は不適法なものであると認められる。

37 答申 平成22年2月5日 横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申第762号

文書2に係る開示請求書の「開示請求に係る行政文書の名称又は内容」欄には、「庶務課の保有する経理に関するすべての書類」と記載されていることが認められる。開示請求書に開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項が記載されているか否かは、「経理に関する・・・書類」との記載によって、市会事務局庶務課が保有する行政文書の中から対象行政文書を特定できるかという観点から検討すべきと解されるところ、その記載を素直に読めば、「経理」という分野に係る行政文書のすべてについて開示を求めるような包括的な開示請求であると認められるが、「経理に関する・・・書類」といっても、予算要求から決算に至る一連の事務に関して様々な種類の行政文書が存在しており、その中のいずれの種類の行政文書の開示を求めているのか明らかでない。

したがって、文書2に係る開示請求書の「開示請求に係る行政文書の名称又は内容」欄の記載からは、開示請求に係る行政文書の範囲を具体的に特定することはできないものといわざるを得ない。

また、文書3に係る開示請求書の「開示請求に係る行政文書の名称又は内容」 欄には、「庶務課が保有する経理等に関する書類」と記載されていることが認められるが、同様に、その記載からは、開示請求に係る行政文書の範囲を具体的に特定することはできない。 以上によれば、文書2及び文書3に係る開示請求書に条例第6条第1項第2号にいう開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項の記載があったということはできない。

 38 判例 平成17年6月14日 最高裁第三小法廷判決

 本件条例2条2項、3項及び5条の規定によれば、本件条例が、本件条例に基づく公開の請求の対象を「情報」ではなく「公文書」としていることは明らかである。したがって、本件条例に基づき公文書の公開を請求する者が、例えば、「大垣土木事務所の県営渡船越立業務に関する情報が記録されている公文書」というように、記録されている情報の面から公開を請求する公文書を特定した場合であっても、当該公文書のうちその情報が記録されている部分のみが公開の請求の対象となるものではなく、当該公文書全体がその対象となるものというべきである。本件条例の下において、実施機関が、公開の請求に係る公文書に請求の対象外となる情報等が記録されている部分があるとし、公開すると、そのすべてが公開の請求に係る事項に関するものであると混同されるおそれがあるとの理由で、上記部分を公開しないことは許されないというべきである。

 40 答申 平成21年2月16日大阪市情報公開審査会答申第234号

 異議申立人は、決定書に記載されている処分の理由は処分の根拠法条のみであり、本件決定の理由付記はきわめて不十分であるため、処分は形式的に不当であると述べている。

 公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開しないときの理由の提示について、条例第10条第3項は、「公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が、当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。」と規定しているが、本条文は、実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保し、その恣意を抑制するとともに、公開しない理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える趣旨であると認められる。

 このような理由付記制度の趣旨にかんがみれば、本件決定通知書に付すべき理由は、公開請求者において、条例第7条各号所定の非公開事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならない。

 41 答申 平成18年11月8日大阪市情報公開審査会答申第193・194号

 印影及び署名を非公開とする趣旨が、主として公開された署名及び印影の偽造により個人の権利利益が損なわれることを防止する点にあることを考慮すれば、必ずしもその全部を非公開とする必要はないと認められる。

 したがって、今後、実施機関においてこれらの印影及び署名を非公開とする場合であっても、署名及び印影の一部を公開するなど、偽造防止に配慮しつつ署名及び印影が記録されていることがわかる措置をとるとともに、署名に記された氏名情報を別途の方法により請求者に提供する取扱いを徹底するよう要請する。

 42 答申 平成14年12月20日大阪市情報公開審査会答申第124号

 本件見積書等に記録された印刷会社の代表取締役の印影等を非公開とした実施機関の判断は、条例第7条第2号に照らし妥当であるが、本件において、異議申立人は、印影の部分と思われる部分をベタ塗りに黒く塗りつぶしての非公開では、印影の存否さえ不明であり、実際は押印のない文書とも考えられると主張している。

 本件見積書等に印刷会社の代表取締役の印影等が記録されていることは当審査会において確認しているところであるが、異議申立人がこうした疑念を抱くのは印影の全部が非公開とされていることによるものであると考えられる。

 そもそも法人等の印影を非公開とする趣旨は、主として、公開された印影の偽造等により法人の財産その他正当な権利利益が損なわれることを防止する点にあることを考慮すれば、必ずしもその全部を非公開とする必要はないと考える。

 したがって、今後、実施機関において印影を非公開とする場合であっても、法人の名称やその代表者の氏名など公開すべき情報が印影と重なって記録されている場合には、実施機関において既に実施されていることが認められているところではあるが、公開情報を優先させ、公開情報が判読できる形で印影の一部を公開する取扱いを徹底するよう要請する。

 また、印影が公開情報と重ならずに記録されている場合であっても、公開請求者が前述のような疑念を抱くことを避けるため、印影の一部を公開するなど、偽造防止に配慮しつつ印影が記録されていることがわかる措置をとることを併せて要請する。

 43 答申 平成22年11月15日大阪市情報公開審査会答申第280号

 偽造防止の観点から印影を非公開とする場合は、当該印影の4分の3を黒塗りにするとしているが、印影の大部分が公開すべき情報と重なっている場合など、公開すべき情報を残した上で印影の4分の3を黒塗りすることが極めて困難な場合もあると認められる。

 公開情報を優先できる場合は、従前の対応が望ましいが、印影全体が公開すべき情報と重なっているなど、印影の4分の3を黒塗りすることが現実に困難な場合は、偽造防止の観点から非公開とした趣旨を没却することのないよう、被覆部分も含み4分の3を黒塗りした上で、当該黒塗り処理により被覆された公開すべき情報の部分を別途の方法により請求者に提供する等、適宜適切に、対象文書の状況に応じた対応がなされるよう実施機関に要望する。

別紙 各行政機関における公務員の氏名の取扱いについて(平成17年8月3日 情報公開に関する連絡会議申合せ)

 各行政機関における公務員の氏名については、情報公開法の適正かつ円滑な運用を図る観点から、下記の統一方針にのっとって取り扱うものとする。

                          記

  各行政機関は、その所属する職員(補助的業務に従事する非常勤職員を除く。)の職務遂行に係る情報に含まれる当該職員の氏名については、特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き、公にするものとする。なお、特段の支障の生ずるおそれがある場合とは、以下の場合をいう。


 1) 氏名を公にすることにより、情報公開法第5条第2号から第6号までに掲げる不開示情報を公にすることとなるような場合
 2) 氏名を公にすることにより、個人の権利利益を害することとなるような場合

 (説明)
   「公にする」とは、職務遂行に係る公務員の氏名を求められれば応じるとの趣旨であり、対外的に積極的に周知することまで義務付けるものではない。
   また、上記取扱方針に基づき行政機関が公にするものとした職務遂行に係る公務員の氏名については、今後は、情報公開法に基づく開示請求がなされた場合には、「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」(第5条第1号ただし書イ)に該当することとなり、開示されることとなる。

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