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大阪市における法的リスク審査に関するガイドライン

2024年4月15日

ページ番号:331553

第1 背景

・これまで法的リスク審査が十分に行われなかったことに起因して大きな損害が発生する、法的リスクを認識したにもかかわらず法律相談における論点整理が甘く法的リスクを潜在化させた結果、訴訟等の法的紛争が発生し問題が顕在化するといった事態が少なからず生じている。

・平成25年度監査委員監査総括報告書において、契約内容のリーガルチェックを一元的に行う部署とプロセスがないことなどが原因で、経済的でない契約が行われ、また契約上の諸権利が十分に保護されず、本市が契約履行上で損害を被るリスクがある旨を指摘されている。

・このような状況が生じている原因は、各所属総務担当の事務分担において法務業務が他の業務と兼務になっており法務業務に専念できる体制がないこと、法務業務と契約・管財業務が分離していることから事業を所管する課で法的リスクの検討が不十分なまま業務を進めている可能性があること、支援・統制すべき各所属の総務部門、さらには全市的な観点で支援・統制できる総務局においても、日々発生する多様な法的リスクに関する相談に適切に対応できる体制を有してしないことにある。

・そこで、平成26年11月19日の副市長会議において、企業管理者や行政委員会を含めた全庁的な法的リスク審査のルール化に取り組むことを決定し、実施するものである。

 

第2 目的

・このガイドラインは、大阪市の業務執行における法的リスク管理を確実に行い法的問題に起因する損害の発生を抑制するため、法的リスク審査の実施において必要な事項を定めることを目的とする。

 

第3 法的リスク審査

1 法的リスク審査とは

・法的リスク審査とは、法的な責任や不利益、紛争事案などの発生を予防または抑制(法的リスク管理)するために、事務事業上の法的リスクを発見・分析・評価することである。

・法的リスクについては、事務事業の施行決定等を行う所属(以下「所属」という。)が主体的に把握して対応するべきものであり、総務局は、各所属における法的リスクの発見や解決について、積極的に支援していくものである。

・法的リスク審査は、他の執行機関や公営企業においても実施するものとする。

2 法的リスク審査チームの設置

・各所属における法的リスク管理の積極的な支援を進めていくため、法曹資格を有する職員(以下「法務職員」という。)を複数雇用する。

・各所属への支援を有効に行うため、行政実務に精通し現場を熟知した係長級以上の職員と係員の法務職員がペアを組んで、法的リスク審査を行う。

・総務局は、行政部行政課において、法的リスク審査を行うチーム(以下「審査チーム」という。)を設置し、審査チームを軸にして法的リスク審査を実施する。

3 法的リスクへの対応にかかる所属と総務局の役割

(1)所属

・事務分掌条例及び同規則において、各所属が分掌する事務を規定しているところ、第1で述べたとおり、各所属がその所管する業務の執行上の法的リスクを把握することが重要になっている。

・所属は、所管する業務上の法的リスクについて主体的に管理したうえで、自己の権限と責任で事務事業の施行決定等を行う。

(2)総務局

・総務局は、所属が法的リスク管理を的確に行った上で事務事業の施行決定等を行うことができるよう、積極的に支援を行う。

 

第4 法的リスク審査の実施方法

1 ながれ

・所属は、法的リスク審査の対象とする事項に係る事務事業の施行決定等を行う場合は、次のとおり行うものとする。

①事案等を整理し総務局に法的リスク審査を依頼する。

②法的リスク審査を受ける。

③対応方針に沿って対応(契約書等の修正、法律相談の実施等)する。

④法的リスクを把握したうえで意思決定を行う。

・法的リスク審査は、事務事業の施行決定等を行う前に実施することが効果的であるため、所属は、可能な限り事前に、総務局に依頼することが望ましい。

・所属は、事務事業の施行決定等を行った後でも、法的リスク審査の対象とする事項に該当し、法的リスク審査を受ける必要があると判断する場合は、速やかに、総務局に依頼するものとする。

・所属は、法的リスク審査自体に要する期間(正式な依頼のあった日から原則として10開庁日が標準処理期間である。)や、法的リスク審査の結果を踏まえて契約書等を修正したり法律相談を実施したりするのに要する期間を十分考慮して、総務局に依頼するものとする。

2 総務局への報告

(1)方法

①審査案件票の作成

・法的リスク審査の対象事項となる事務事業を所管する所属の課の職員(以下「所管課職員」という。)は、効率的な法的リスク審査を受けることができるよう、あらかじめ法的リスク審査に係る事案及び法的事項を整理して、別紙様式1の審査案件票を作成する。

・法的リスク審査を受けようとする案件が、過去の法的リスク審査案件又はリーガルサポーターズ制度によって法律相談を実施した案件と関連するものである場合には、当該法的リスク審査等の案件番号を、審査案件票に明記する。

②審査案件票の所属内確認

・所管課職員は、所属の法務を所管する課(以下「所属法務担当課」という。)に、審査案件票及び事前に添付可能な資料(以下「審査案件票等」という。)を合わせて送付する。ただし、所管課職員が課長代理級以下の職員であるときは、上司である課長級職員の承認を得た審査案件票等であることとする。

・資料については、大阪市情報公開条例(平成13年大阪市条例第3号)第7条第1号及び第2号(個人情報及び法人等情報)に該当する情報を黒塗りするものとする。

・所属法務担当課職員は、所管課職員から送付された審査案件票の内容に、誤解や記載不足などの問題がないか、希望回答日の設定は適切か、上記非公開情報の黒塗りが漏れていないかといった形式的な点を確認するとともに、法的リスクや法的事項にかかる検討や整理が十分になされているかを確認し、所属法務担当課の課長級職員の承認を得るものとする。

③審査案件票の送付

・所属法務担当課職員は、総務局に、所属法務担当課の課長級職員の承認を得た審査案件票等を送付する。

(2)その他

・所属法務担当課職員は、法的リスク審査を依頼するにあたり、法的論点の整理や法的課題の抽出等で迷うことがある場合は、事前に総務局に相談することができる。

・所属は、事務事業の規模が大きく特定の段階で法的リスク審査を実施する必要があると判断した場合は、その時点で総務局に相談して、法的リスク審査を受けることができる。

・所属は、特定の段階で相談して法的リスク審査を受けた場合、下記第5-2に記載する対象外事項に該当しない限り、当該特定の段階の方針をふまえて最終的に法的リスク審査を受けるものとする。

・所属は、法的リスク審査を受けた後で、当該審査の対象となった契約書等について、当該審査の対応方針では対応できないような変更が生じた場合(前提となる法律関係の変更、新たな法的論点の発生等)、あらためて総務局に依頼して、法的リスク審査を受けるものとする。その際は、審査案件票の適宜の欄に前回の案件番号を明記する等して、関連性が分かる状態で依頼するものとする。

3 法的リスク審査の実施

(1)方法

・総務局は、審査チームを複数の班に分け、班ごとに特定の所属を担当させる。ただし、特定の班に審査案件が集中した場合はこの限りでない。

・総務局は、正確に事案や事実関係の把握を行う必要があることから、面談のうえ所属の説明を聞くこととする。ただし、審査案件票等の情報のみで対応方針が回答できる事案については、この限りでない。

・面談実施日時・場所等については、当該事案の内容や緊急性・重要性、審査チームや各所属における業務の繁忙状況等を考慮して、審査チームと所属法務担当課との間で調整のうえ決定する。

・所属及び総務局は、対応方針の回答期限を適切に把握したうえで複数の案件を一度に面談するなど、効率的な面談の実施に努めるものとする。

(2)対応方針の回答

・総務局は、所属から依頼を受けて把握した内容に応じて、法的リスクの有無や法的リスクがある場合には法的な論点の整理を行い、対応方針を回答する。

・総務局は、今後の対応方針について、①特段の法的課題なし、②課題があるため内容等を再検討するべき、③課題があるため弁護士相談を実施すべき、という方針を基本に整理して、別紙様式2の対応方針により回答する。

4 法律相談

・所属は、外部弁護士に法律相談が必要である旨の対応方針の回答を受けた場合は、リーガルサポーターズ制度その他の外部弁護士に相談できる手段を利用して、法律相談を行うものとする。

・所属は、総務局に送付した審査案件票と総務局が法的論点を整理して回答した対応方針を用いて、法律相談を行う。

・所属は、法律相談の結果を的確に整理のうえ記録して、保存する。

・所属は、法律相談の内容及び結果の要旨に関して、リーガルサポーターズ制度を利用した場合はその制度に則り、それ以外の場合には当該相談の際に作成した相談内容及び結果の分かる資料等により総務局に報告する。

 

第5 法的リスク審査の対象とする事項

 これまで、区長・局長等専決事項の中で、法的な問題に対する検討が不十分であったことから、本市に大きな影響を与える事案が発生した。これを踏まえて、法的リスク審査の対象は、区長・局長等専決以上の事項とし、法的リスク審査の実施を義務とするものである。

 法的リスク審査の対象とする事項は次の第1項から第4項までに記載のとおりである。特に、第2項については、法的リスク審査の対象とする事項についての基本的な考え方を示している。所属は、必ずこれらを確認のうえ、総務局に依頼又は相談するものとする。 

1 市議会の議決が必要な事項及び市長・副市長専決事項に関する取り扱い

・「戦略会議・副市長会議への付議を要する損害賠償事案等」のほか別に定める場合を除いて、下記2に掲げる事項の趣旨に沿って対応する。

2 区長・局長等の共通専決事項に関する取り扱い

(1)法的リスク審査必要事項

・次の事項は、下記対象外事項を除いて、法的リスク審査の実施を義務とする。

ⅰ 大阪市事務専決規程第23条に規定する「区長専決事項」

第12号

財産売却代その他これに準ずるものの収入

第13号

配当及び配付予算の範囲内における経費の支出を伴う事務事業の施行決定

第14号

行政財産の目的外使用の許可

第15号

地域福祉施設(他の所管に属するものを除く。)に係る不動産の借入れ及び私権の設定の決定

第17号

災害弔慰金の支給並びに災害援護資金の貸付け及び回収

第19号

国民健康保険被保険者の資格に関すること

第20号

国民健康保険の保険料その他の徴収金の賦課及び徴収

第21号

国民健康保険の保険給付に関すること

第21号の2

後期高齢者医療の保険料その他の徴収金の徴収

第22号

国民年金法(昭和34年法律第141号)第12条及び国民年金法施行令(昭和34年政令第184号)第1条の2の規定に基づく事務

第23号

健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)第7条の規定による改正前の老人保健法(昭和57年法律第80号)に基づく医療に係る医療費の支給

第24号

区役所附設会館の使用許可、使用料の徴収、減免、還付並びに休館日及び供用時間の変更

第25号の4

事務事業における業務の委託決定

第26号

大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例第6条から第10条までの規定に基づく事務

第27号

空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第9条から第15条まで及び第22条の規定に基づく事務(区長の専決できるものに限る。)

第28号

災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第49条の4から第49条の7までの規定に基づく事務(区長の専決できるものに限る。)

第29号

その他事務事業の施行決定又は事務の執行

ⅱ 大阪市事務専決規程第3条に規定する「局長等共通専決事項」

第11号  

定例でない、または1件500万円を超え6億円以下の工事の施行決定

第12号  

定例でない、または1件500万円を超え7000万円未満の物件(不動産及び統括用品を除く)の調達決定

第13号  

不動産の借入れ及び私権の設定の決定

第14号  

不動産以外の物件の借入れ(定例でない、または500万円を超えるもの)及び貸付けの決定

第15号  

1件500万円以下の損害賠償金その他これに準ずる支出金の額の決定

第16号  

移転補償、立退補償その他損失補償の額の決定

第17号  

定例でない、または500万円を超える配当及び配付予算の範囲内における経費の支出を伴う事務事業の施行決定

第22号  

行政財産の目的外使用の許可

第23号

軽易又は定例でない収入金の徴収

第24号

法令、条例、規則等の規定に基づいて行う裁量権の行使に係る軽易又は定例の処分その他権限の行使を除く権限の行使

第30号  

定例でない、または500万円を超える事務事業における業務の委託決定

第31号

軽易なものを除く既決の事務事業の変更

第32号

その他定例でない事務事業の施行決定又は事務の執行

ー 記(対象外事項)ー(※)

ア 他の方法によって法的リスク審査と同等の審査が既になされているもの

(該当例)

・審議会などで全体的に法的リスクの有無を含むチェックが既に行われているもの

・以下(1)(2)の総務局長が定めるものを除き、契約管財局が定めた標準契約書等の法的リスク審査を経た契約書等を使用するもの。ただし、当該契約書等に添付する仕様書や物件調書等に、当該契約書等の契約条項と異なる法的権利義務関係が規定されているものを除く。

 (1) 借地借家法に基づき定期借地権設定契約又は定期建物賃貸借契約を締結するもの(賃貸借期間を延長するものや原契約の趣旨・内容を変更せずに再度契約を締結する場合を含む。)

 (2) 公募型プロポーザル方式によって契約相手方を選定する業務委託契約のうち、契約上限額が30,000,000 円(税込)を超えるもの

・法的リスク審査を経た様式等(契約管財局が定めた行政財産の使用許可書等)を使用して行われる行政処分

・外部弁護士への法律相談において、個別の条項全体についてリーガルチェックを受けた契約書等を使用するもの

・これまでに実施した法的リスク審査案件の対応方針で対応できるもの

・本市と被害者との間に保険会社が入り、本市の法的リスクを最小化する観点から損害賠償額の査定がなされていると認められる損害賠償案件

イ 法的リスクがないと明確に判断できるもの(ウからオまでに該当する場合を除く。)

(該当例)

・特定の事業について、本市と民間企業が連携して取り組んでいくことを宣言する協定書・覚書等であって、法的な権利義務について定めのないもの

ウ 本市の複数所属が共同で事業を実施する場合等において、それぞれの役割分担・費用負担を定めた協定書・覚書等

(該当例)

・本市A局と本市B局とで共同で事業を行うにあたり、その役割分担を定める覚書等

エ 本市内部の事務取扱を規定するのみの要綱・要領・細目等。なお、第三者との法的権利義務関係を定める内容があるものは、これにあたらない。

(該当例)

・本市内部の審査会・委員会等の設置要綱、本市メンター制度要綱、比較見積に関する事務を定める要綱等

オ 各法令を所管する機関から得た公式の法的見解(法令・通達等)の範囲内であると明確に判断できるもの

(該当例)

・法令の制定又は改廃や通達等の内容に従うと当然必要となる規定の整理等を行うもの

カ 事項の性質上法的リスク審査の実施になじまないもの

(該当例)

・区内循環バスの路線決定など極めて政策的なもの

・市設建築物に係る設計など高度の専門性を要するもの

キ やむを得ない理由によって生じた時間的制約などの観点から、外部弁護士によるリーガルチェックを受ける前に法的リスク審査を実施することが適当でないもの

(該当例)

・事項の性質上外部弁護士によるリーガルチェックを受ける必要があると考えられるもので、やむを得ない理由により当該リーガルチェックを受ける前に法的リスク審査を実施する時間的余裕がないもの

(※) 上記イ、カ、キに該当することにより法的リスク審査を実施しないと判断する場合は、事前に審査チームに相談しなければならない(なお、それ以外の場合であっても、所属法務担当課職員において判断に迷う場合には、総務局への相談を妨げない。)。

(2)法的リスク審査任意事項

・次の事項は、内部業務であり費用対効果を考慮して、法的リスク審査の実施を義務としない。ただし、所属において法的リスク審査が現実的に必要であると判断するなど希望するものについては、法的リスク審査を実施するものとする。

ⅰ 大阪市事務専決規程第2条の3に規定する「区シティマネージャーの専決事項」

第1号

事務事業の施行に関する方針又は計画の策定

第2号~第5号

人事に関する事項

ⅱ 大阪市事務専決規程第23条に規定する「区長専決事項」

第1号~第9号

人事に関する事項

第10号・第13号の2

予算の節及び細節流用、不用品の処分

第25号

負担条件の伴わない寄附収受

第25号の2・第25号の3

儀式行事等に関する事項

ⅲ 大阪市事務専決規程第3条に規定する「局長等共通専決事項」

第1号~第10号

人事に関する事項

第18号~第21号

予算の節及び細節流用、不用品の処分

第25号

訴訟等の代理人等の選任

第26号

負担条件の伴わない寄附収受

第27号~第29号

儀式行事等に関する事項

3 総務局長専決事項など各局長等個別専決事項(大阪市事務専決規程第3条の2から第17条まで)に関する取り扱い

・各局長等の所掌事務にかかる個別的な専決事項については、上記2で対象とする事項の趣旨に沿って、各局長等が法的リスク審査の要否を判断する。

4 部長・課長等共通専決事項(大阪市事務専決規程第17条の2から第22条まで・市役所課長等専決規程)に関する取り扱い

・部長または課長共通専決事項については、各所属長のマネジメントにより、上記2で対象とする事項の趣旨を踏まえて、各所属が法的リスク審査の要否を判断する。

・法的リスク審査を希望する場合は、総務局と調整のうえ取り扱うものとする。

大阪市における法的リスク審査に関するガイドライン【内容現在令和6年4月1日】

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このページの作成者・問合せ先

大阪市 総務局行政部行政課法務グループ

住所:〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所4階)

電話:06-6208-7442

ファックス:06-6229-1260

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