ページの先頭です

答申書(平成30年度答申第18号)

2023年2月17日

ページ番号:456650

諮問番号:平成30年度諮問第15号
答申番号:平成30年度答申第18号

答申書

第1 審査会の結論
 本件審査請求については、棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 審査請求人は、平成30年5月6日、平成30年度市民税の均等割申告書及び法人市民税減免申請書を処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)あて提出した。
2 処分庁は、大阪市市税条例(以下「市税条例」という。)第60条第1項第6号アに規定する申請期限を過ぎて減免申請書が提出されたことを理由として、平成30年5月18日付けで、法人市民税減免不承認処分(以下「本件処分」という。)を行った。
3 審査請求人は、平成30年6月13日、大阪市長に対し、本件処分を不服として審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨 
1 審査請求人の主張
(1) 法人市民税の書類が届いたのは5月2日であった。明らかな遅配であり、審査請求人に責任は全くない。郵便局に問い合わせたところ、普通郵便なので遅配の証明はできないと言われた。前年度の減免申請期限が5月31日であったので、今年度も同じ頃を想定しており、送付が遅ければ問合せをしたはずである。当方にとっては不可抗力による結果であるので、減免を認めていただきたい。
(2) 処分庁は、「そもそも申告は、納税義務者が自らの判断と責任においてなすべきものであり、本市からの申告・納付依頼状等の送達の有無にかかわらず行うべきものである」と弁明しているが、当該弁明はあくまでも建前であり、納税義務者としては、処分庁からの通知を待つしか方法はないのではないか。郵便の遅配はしばしば起こることなので、処分庁は遅配等の起こらないような通知方法をとるべきである。現に、府税事務所からの通知は届いており期限内に届出を済ませている。処分庁は、納税義務者、免除申請者に対して期限内に間違いなく通知し、われわれが気持ちよく納税、あるいは申請できるように努めていただくのが義務であり、サービスであると考える。
2 処分庁の主張
(1) 審査請求人から提出された履歴事項全部証明書によると、審査請求人はNPO法人であり、平成29年2月1日に設立されており、市税条例第60条第1項第6号に規定する「初めて市内に事務所、事業所又は寮等(以下「事務所等」という。)を有することとなったもの」には該当しないことから、審査請求人が平成29年4月1日から平成30年3月31日までの期間に係る法人市民税の免除を受けようとする場合は、当該期間に係る申告期限である平成30年5月1日(同年4月30日が休日のためその翌日(地方税法(以下「法」という。)第20条の5第2項))までに法人市民税の申告書と減免申請書を提出しなければならないが、当該期限を徒過して提出されたため、減免申請を不承認とした。
(2) 大阪市では、市税条例第58条各号に規定する大阪市内で事務所を有している法人に対して、法人市民税の申告についてのお知らせ(申告・納付依頼状)、法人市民税の均等割申告書及び減免申請書等の書類(以下「申告・納付依頼状等」という。)を毎年3月下旬に一斉に発送している。平成30年度申告・納付依頼状等については平成30年3月30日に発送しており、審査請求人に対する申告・納付依頼状等は、発送済みとして記録されている。
(3) そもそも申告は、納税義務者が自らの判断と責任においてなすべきものであり、大阪市からの申告・納付依頼状等の送付の有無にかかわらず行うべきものであるところ、前記のとおり、平成30年3月30日に申告・納付依頼状等を発送しているが、仮に郵便事故等で申告・納付依頼状等が申告期限内に到達していなかったとしても、審査請求人は前記のとおり平成30年5月1日までに法人市民税の申告書及び減免申請書を提出しなければならず、法人市民税に係る減免申請は申請期限を徒過してなされていることから減免は認められない。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
(1) 本件処分の適法性及び妥当性について
ア 審査請求書に添付された履歴事項全部証明書によると、審査請求人について法人の設立年月日が平成29年2月1日であることが確認できる。
イ 次に、審査請求人は、減免事由について市税条例第58条第3号に該当するとして、平成30年5月6日付けで法人市民税減免申請書を提出していることが確認できる。
ウ 審査請求人は、市税条例第60条第1項第6号イに規定する「初めて市内に事務所等を有することとなったもの(初めて市内に事業所等を有することとなった日の属する年度の翌年度において申告納付すべき法人の市民税に係る免除の申請をする場合に限る。)」に該当しないことから、市税条例第58条第3号に規定する市民税の免除を受けようとする場合は、当該市民税の納期限である平成30年5月1日(同年4月30日は、民法第142条に規定する休日等に該当することから、その翌日である同年5月1日をその期限とみなす。)までに減免申請書を提出しなければならないところ、市税条例第60条第1項第6号アに規定する申請期限を過ぎて減免申請書を提出しており、当該申請期限を過ぎたことを理由として処分庁が本件処分を行ったことは適法である。
(2) 郵送の遅配について
 審査請求人は、申告・納付依頼状等の郵送の遅配を理由に減免を認めるよう主張している。しかしながら、申告・納付依頼状等の送付は法令に定められたものではなく、市税条例第58条に規定する免除に係る減免申請書の提出期限は、市税条例第60条第1項に規定されていることから、申告・納付依頼状等の郵送の遅延の有無に関わらず、当該期限までに提出する必要がある。したがって、審査請求人の主張は採用することができない。
(3) その他の審査請求人の主張ついて
 審査請求人は、大阪市においても大阪府と同様の制度を導入してほしい旨及び納税義務者等に対して期限内に間違いなく通知し、気持ちよく申請等できるように努めていただくのが義務であり、サービスである旨を主張しているが、これらの主張は、本件処分に対する違法又は不当を主張するものではないため、審査請求人の主張は採用することができない。
(4) 前記以外の違法性又は不当性についての検討
 他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  平成30年10月26日       諮問書の受理
  平成30年10月31日       調査審議
  平成30年11月15日       調査審議
  平成30年11月29日       調査審議

第6 審査会の判断
1 関係法令等の定め
(1) 法人市民税の納税義務者等について
 市町村民税は、市町村内に事務所又は事業所を有する法人に対しては、均等割額及び法人税割額の合算額によって課する(法第294条第1項第3号)。
(2) 特定非営利活動法人に係る法人市民税の申告納付について
 特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人(以下「特定非営利活動法人」という。)で均等割のみを課されるものは、毎年4月30日までに、均等割額を記載した申告書を、前年4月1日から3月31日までの期間中において有する事務所等所在地の市町村長に提出し、及びその申告した均等割額を納付しなければならない(法第294条第7項、第312条第3項第4号及び第321条の8第19項)。
(3) 特定非営利活動法人に係る法人市民税の減免について
ア 特定非営利活動法人で収益事業を行わないものに対しては、申請に基づき市民税を免除する(市税条例第58条第3号)。
イ 当該市民税の免除を受けようとする者のうち初めて市内に事務所等を有することとなったもの以外のものは、当該市民税の納期限までにその理由等を記載した申請書にその証拠となる書類を添付して、市長に提出しなければならない(市税条例第60条第1項本文、同項第6号ア及び同条第2項)。
 初めて市内に事務所等を有することとなったものについては、初めて市内に事務所等を有することとなった日の属する年度の翌年度において申告納付すべき法人の市民税に係る免除の申請をする場合に限り、5月31日までに申請しなければならない(市税条例第60条第1項第6号イ)。
(4) 期限の特例について
 法又はこれに基づく条例の規定により定められている期限が、民法第142条に規定する休日等に該当するときは、法又は当該条例の規定にかかわらず、これらの日の翌日をその期限とみなす(法第20条の5第2項)。
2 争点等について
(1) 期限後に提出された減免申請について
 法人市民税に関する法令は、上記のとおり、審査請求人のように特定非営利活動法人で収益事業を行わないものについても一般的に法人市民税を申告納付する義務を課した上で、法令所定の期限までに法令所定の申請を行い、当該申請に基づき処分庁が収益事業を行っていないとの要件に該当すると判断した場合にのみ初めて法人市民税の免除を認める定めとなっている。
 これを本件においてみると、審査請求人は減免申請期限(平成30年5月1日)後の平成30年5月6日に減免申請書を提出しており、処分庁が当該申請期限を徒過したことを理由として減免を不承認とした本件処分については適法であると認められる。
(2) 申告・納付依頼状等の郵送の遅延について
 審査請求人は、減免申請が不承認とされたのは処分庁から発送された法人市民税に関する書類が届いたのが平成30年5月2日で明らかに遅配があった結果であり、審査請求人にとっては不可抗力であるため、減免を認めてもらいたい旨及び処分庁は納税義務者等に対して期限内に間違いなく通知しなければならない旨主張している。
 しかしながら、処分庁からの申告・納付依頼状等の送付は法令上義務付けられているものではなく、また、上記のとおり、申告納税制度及び申請による減免制度の下で減免を受けようとする場合には、審査請求人自らが法令所定の期限までに法令所定の申告及び減免申請を行わなければならないことから、審査請求人の主張する処分庁からの申告・納付依頼状等の遅配の有無やその理由の如何が減免の承認の可否に影響を及ぼすものとまではいえない。
(3) その他の審査請求人の主張について
 審査請求人は、前年度の申請期限が5月31日であったので、今年度も同じ頃を想定しており、送付が遅ければ問合せをしたはずである旨主張しているが、上記のとおり、平成30年度以降の審査請求人に係る減免の申請期限は4月30日(同日が民法第142条に規定する休日等に該当する場合にはその翌日)であるものの、当該減免申請の前提となる法人市民税均等割の平成30年度以降の申告納付期限については平成29年度と同様に4月30日(同日が民法第142条に規定する休日等に該当する場合にはその翌日)であって、審査請求人が昨年度と同様の申請期限を想定していたとしても、当該想定については審査請求人の税法の不知又は誤解に基づくものであり、やはりそれが減免の承認の可否に影響を及ぼすものとまではいえない。
3 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
4 結論
 よって、本件審査請求に理由がないものと認められるので、当審査会は、第1記載のとおり答申する。

第7 付言
 本件処分に対する当審査会の判断については、上記のとおりであるが、公益社団法人等に係る法人市民税均等割の申告及び免除申請に関して、納税者の円滑な申告・申請手続の履行及び当該納税者の利便性にも鑑み、申告・申請期限等に関する法令及び当該申告等に係る手続の周知方法等について、改めて確認ないし検討するよう努められたい。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第1部会
 委員(部会長)佐藤善恵、委員 津留真弓、委員 下尾裕

答申書(平成30年度答申第18号)

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

SNSリンクは別ウィンドウで開きます

  • Facebookでシェア
  • Xでポストする
  • LINEで送る

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市総務局行政部行政課法務グループ
住所: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所4階)
電話: 06-6208-7443 ファックス: 06-6229-1260

メール送信フォーム

このページへの別ルート

表示