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答申書(平成30年度答申第19号)

2023年2月17日

ページ番号:459430

諮問番号:平成30年度諮問第17号
答申番号:平成30年度答申第19号

答申書

第1 審査会の結論
 別紙1記載1から6の各審査請求人(以下「本件各審査請求人」という。)に係る各審査請求(以下「本件各審査請求」という。)のうち、別紙1記載2から6の各審査請求人に係る各審査請求については却下し、別紙1記載1の審査請求人に係る審査請求については棄却するのが相当である。

第2 本件各審査請求に至る経過
1 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、別紙2物件目録記載の各土地(以下「本件各土地」という。)について、別紙1記載1の審査請求人に対して、平成30年4月2日付けで平成30年度固定資産税及び都市計画税賦課決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。
 処分庁は、別紙1記載1の審査請求人に対し、同日付けで、別紙1記載1の審査請求人外5名を名あて人として、本件処分に係る通知を行った。
2 本件各審査請求人は、平成30年6月28日、大阪市長に対し審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 本件各審査請求人の主張
(1) 本件各土地の固定資産税の評価・価格・賦課につき、変更・訂正を求める。
(2) 本件各土地は、本件各審査請求人の祖父母や義父母が同地に建物と土地を取得して宅地として使用していたが、建物が老朽化したため取り壊したものである。
 ところが、本件各土地の前面道路に至る通路の幅員が建築基準法等の基準に達しないため、建築確認が認められず、新築することができないものであり、宅地としては使用不可能な土地である。
(3) 処分庁は、本件各土地の評価は近隣と比して高いのか安いのかの資料を示しておらず、処分庁の主張には合理性がない。また、処分庁は評点減価をしている旨主張しているが、建築不可の土地に通常の減価を施しても意味がない。
 本件各土地のように使用不可能な土地に対して通常基準の課税をするのは不当である。
(4) 本件各審査請求は、評価の不服の申出と共に課税額の不服の申出をしているため、不服の理由の除外事由とはならないものであり、処分庁は自己都合の計算を前提に、結論を出して、弁明や反論をするのみであるので、受け入れ難いものである。
2 処分庁の主張
(1) 土地に対して課する固定資産税の課税標準は、固定資産課税台帳に登録された価格とされ、都市計画税の課税標準は、当該土地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格をいうとされている(地方税法(以下「法」という。)第349条及び第702条第2項)。そして、土地に係る固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の課税標準については、税負担の調整措置(法附則第18条及び第25条。以下「負担調整措置」という。)等を適用して算出することとされている。
(2) 本件各土地は建物が取り壊され更地となっていることから、商業地等に該当する。
 また、本件各土地の負担水準は、いずれも60パーセント以上70パーセント以下のものに該当するので、前年度分の固定資産税等の課税標準額が当年度分の固定資産税等の課税標準額となる。
 したがって、平成29年度分の固定資産税等の課税標準額を平成30年度分の固定資産税等の課税標準額とし、税率をそれぞれに乗じ、100円未満の端数を切り捨てて算出した本件処分に係る固定資産税等の税額は適正である。
(3) なお、法第432条第1項において、固定資産課税台帳に登録された価格についての不服は、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができると規定されており、同条第3項において、固定資産税の賦課についての審査請求においては、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができる事項についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができないと規定されている。
 よって、本件各審査請求人が主張する建築基準法上建築不可能な土地であることについては、本件各土地の平成30年度の価格を決定する際に考慮される事項であり、固定資産課税台帳に登録された価格についての不服となるため、本件処分についての不服の理由とすることはできない。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件各審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
(1) 本件処分の適法性及び妥当性について
 土地に係る固定資産税等の課税標準については土地課税台帳又は土地補充課税台帳(以下「土地課税台帳等」という。)に登録された価格を固定資産税等の課税標準とすることとされている一方で、土地に係る固定資産税等については住宅用地に対する固定資産税等の課税標準の特例が設けられており、さらに負担調整措置が設けられている。
 まず、住宅用地に対する固定資産税等の課税標準の特例については、住宅用地として使用されている場合に適用されるものであり、本件各土地については、本件各審査請求人も建物を取り壊したと主張しているとおり、住宅用地には該当せず、当該特例の適用対象外となる。
 次に、本件各土地は農地以外の土地である宅地等であり、商業地等に該当するため、別紙2物件目録記載1の土地の平成30年度の負担水準は○.○○○○((平成29年度課税標準額)○,○○○,○○○円÷(平成30年度の固定資産税等の課税標準となるべき価格)○,○○○,○○○円)であり、平成29年度課税標準額である○,○○○,○○○円を平成30年度分の課税標準とし、別紙2物件目録記載2の土地の平成30年度の負担水準は○.○○○○((平成29年度課税標準額)○,○○○,○○○円÷(平成30年度の固定資産税等の課税標準となるべき価格)○,○○○,○○○円)であり、平成29年度課税標準額である○,○○○,○○○円を平成30年度分の課税標準として、それぞれ固定資産税等の税額が算出されている。
 また、固定資産税等の課税において、建築基準法上建築不可能な土地に対して適用すべき課税標準の特例等に係る法令等の定めはない。
 なお、宅地として実際使用できるかどうかは、土地の評価に関する事項であり、固定資産課税台帳に登録された価格に対するものと解するのが妥当であることから、本件各審査請求において判断すべき事項ではない。
 以上のとおり、本件処分は適正になされている。
(2) その他の本件各審査請求人の主張について
 本件各審査請求人は、処分庁が本件各土地の評価は近隣と比して高いのか安いのかの資料を示していないこと、また、評価の不服と共に課税額の不服の申出をしているため、不服の理由の除外事由とはならないことも主張しているが、当該主張は固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる事項であり、審査請求の不服の理由とすることができないことから、本件各審査請求人のその他の主張には理由がない。
(3) 上記以外の違法性又は不当性について
 他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件各審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  平成30年12月4日  諮問書の受理
  平成30年12月7日  調査審議
  平成30年12月17日  調査審議

第6 審査会の判断
1 関係法令等の定め
(1) 固定資産税等の課税標準について
ア 基準年度に係る賦課期日に所在する土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は、当該土地の基準年度に係る賦課期日現在における価格で土地課税台帳等に登録されたものとする(法第349条第1項)。
イ 都市計画税の課税標準は、当該土地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格をいう(法第702条)。
(2) 住宅用地に対する固定資産税等の課税標準の特例について
ア 専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの(以下「住宅用地」という。)に対して課する固定資産税の課税標準は、法第349条及び第349条の3第12項の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1(法第349条の3の2第2項に該当する住宅用地(以下「小規模住宅用地」という。)にあっては6分の1)の額とする(法第349条の3の2)。
イ 法第349条の3の2第1項の規定の適用を受ける土地に係る都市計画税の課税標準は、法第702条第1項の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る都市計画税の課税標準となるべき価格の3分の2(小規模住宅用地にあっては3分の1)の額とする(法第702条の3)。
(3) 土地の固定資産税等に係る税負担の調整措置について
ア 商業地等とは、農地以外の土地である宅地等のうち住宅用地以外の宅地及び宅地比準土地(宅地以外の土地で当該土地に対して課する当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格が、当該土地とその状況が類似する宅地の固定資産税の課税標準とされる価格に比準する価格により決定されたものをいう。)をいう(法附則第17条第第2号、第3号及び第4号)。
イ 前年度課税標準額とは、当該年度の前年度に係る賦課期日において所在する土地で当該年度の前年度分の固定資産税等について、法附則第18条及び第25条の規定の適用を受ける土地にあっては、当該規定に規定する当該年度の前年度分の固定資産税等の課税標準となるべき額をいう(法附則第17条第6号)。
ウ 負担水準とは、土地に係る固定資産税等に係る前年度課税標準額を、当該土地に係る当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき価格で除して得た数値をいう(法附則第17条第8号)。
エ 商業地等のうち当該商業地等の当該年度の負担水準が0.6以上0.7以下のものに係る平成30年度から平成32年度までの各年度分の固定資産税等の額は、当該商業地等の当該年度分の固定資産税等に係る前年度分の固定資産税等の課税標準額を当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき額とした場合における固定資産税等の額とする(法附則第18条4項及び第25条第4項)。
 前年度分の固定資産税等の課税標準額とは、平成29年度に係る固定資産税の賦課期日に所在する宅地等については、当該宅地等の当該年度における前年度課税標準額をいう(法附則第18条第6項及び第25条第6項)。
(4) 固定資産税等の税率について
ア 固定資産税の税率は、100分の1.4とする(法第350条及び市税条例第83条)。
イ 都市計画税の税率は、100分の0.3とする(法第702条の4及び市税条例第157条)。
(5) 価格に対する不服の申立てについて
 固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合には、法第411条第2項の規定による公示の日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの間において、文書をもって、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる(法第432条第1項)。
 固定資産税の賦課についての審査請求においては、法第432条第1項の規定により審査を申し出ることができる事項についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができない(同条第3項)。
2 審理の対象について
 行政不服審査法第2条において、行政庁の処分に不服がある者は、同法第4条及び第5条第2項の定めるところにより、審査請求をすることができるとされているが、本件各審査請求人のうち、別紙1記載2から6の各審査請求人に対しては、当該各審査請求人に係る各審査請求の前提となる平成30年度固定資産税等の賦課決定処分が行われた事実は認められない。
 したがって、別紙1記載2から6の各審査請求人に係る各審査請求については審査請求の対象となる処分の存在を欠く不適法なものであり、却下されるべきであるから、当審査会は、別紙1記載1の審査請求人に係る審査請求について以下審理を行うものとする。
3 争点等について
(1) 固定資産税等の税額について
 審査請求人は、本件各土地は従前の建物を取り壊して以降、建築確認が認められず、宅地としては使用不可能な土地であるため、通常基準の課税を行うことは不当である旨主張している。
 しかしながら、本件各土地については、上記1(2)のとおり、住宅用地に対する固定資産税等の課税標準の特例を適用することはできず、また、当該課税標準の特例以外にも、法令上、本件各土地に適用すべき非課税措置や課税標準の特例措置等は見当たらない。
 したがって、上記1(3)の税負担の調整措置を適用して算定された平成30年度分の固定資産税等の課税標準額に税率を乗じることにより算定された本件処分に係る固定資産税等の税額について、特段違法又は不当な点は認められない。
(2) 固定資産課税台帳に登録された価格についての不服について
 審査請求人は、評価の不服の申出とともに、課税額の不服を申し出ているので、不服の理由の除外事由にはならない旨主張している。
 しかしながら、上記1(5)のとおり、固定資産税の賦課についての審査請求においては、固定資産課税台帳に登録された価格についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができないことから、審査請求人の上記主張は、採用することができない。
4 本件各審査請求に係る審理手続について
 本件各審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
5 結論
 よって、別紙1記載2から6の各審査請求人に係る各審査請求については不適法であり、別紙1記載1の審査請求人に係る審査請求については理由がないため、当審査会は、第1記載のとおり答申する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第部会
 委員(部会長)岸本佳浩、委員 鹿田良美、委員 瀬川昇

別紙1及び別紙2 省略

答申書(平成30年度答申第19号)

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