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平成31年1月4日付け裁決(答申第17号)

2023年2月17日

ページ番号:463567

裁決書

審査請求人 ○○○○             
処分庁 大阪市長              

 審査請求人が平成30年5月29日付けでした、処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による平成30年5月28日付け法人市民税減免不承認処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(平成30年度財第7号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 審査請求人は、平成30年5月15日付けで平成30年度市民税の均等割申告書及び法人市民税減免申請書を処分庁あて提出しました。
2 処分庁は、大阪市市税条例(以下「条例」という。)第60条第1項第6号に規定する申請期限を過ぎて減免申請書が提出されたことを理由として、平成30年5月28日付けで本件処分を行いました。
3 審査請求人は、平成30年5月29日付けで大阪市長に対し、本件処分の取消しを求めて本件審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 当法人は内閣府に3年前に認可された公益事業のみを行う公益社団法人である。
 処分庁から普通郵便によって送付された法人市民税減免申請書等の書類が届かず、結果的に期日までに処理できなかった。
 税の減免については、3月初めころに電話にて処分庁に確認したところ、関係する郵便物を待って対応するようにとの指示を受けていた(前年度は5月中に処理)。ところが、5月の連休明けになっても郵便物が届いていないため、当法人の関係者に3月末以降から5月14日までに当該郵便物が届いていたかについて確認調査したところ未着であることが明確になった。処分庁から当法人への発送が確実であれば、郵便事故によるものとしか考えられない。
 本件について、処分庁に対しても何度も連絡するとともに、5月15日には直接面談をして、今回の事情を丁寧に説明するも、期日までに処理しないほうが悪く、一切受け付けられないとのことであった。
 職員の対応上の問題について、処分庁の責任を不問にして、救済に応じないのは、身内に甘い不当処分である。
(2) 大阪府では、本年から公益事業のみを行う公益法人に対しては、みなし減免措置を導入し、双方の負担軽減を図っており、大阪府下の他市でも既にみなし減免を実施しているところがある。他の公益法人からもみなし減免の要望があると聞いている。
 また、税務署や府税事務所にこのような郵便事故等による期限内未処理について問い合わせたところ、個別案件として相談に応じ減免措置をしているとのことであった。
(3) 弁明書によれば、平成30年3月30日に法人市民税の申告についてのお知らせ(申告・納付依頼状)、法人市民税の均等割申告書及び減免申請書等の書類(以下「申告・納付依頼状等」という。)を当法人あてに発送した記録があるとされているが、発送リスト帳票を作成したことをもって、実際に郵便物を作成し、それを郵便局に渡したことにはならない。この帳票には、郵便物を宛先毎に作成したという照合確認も無ければ、それを確実に郵便局に出したという証拠(郵便局担当者が確かに受け取ったという確認)も無い。大量の書類を一斉に発送しているので、職員のミス等により当法人への発送がなされていない可能性がある。
(4) 郵便局が調査した結果、平成30年6月1日付けで当該郵便物を発見できず原因も不明との回答があったとのことである。その後、郵便局に当法人から問い合わせたところ、普通郵便物についてはその追跡や保証はできないので重要書類は配達記録等が残るもので対応してほしいことや郵便事故は千件にいくつか起こっているとのことであった。処分庁は、このような背景を踏まえた上で、当該書類を普通郵便で出すことや郵便事故についてどのように認識し対応しているのか。処分庁から送付する重要な書類やそれを受けての減免申請を提出する重要書類については配達確認ができるものにすべきである。郵便事故に対する救済措置が全くないのも他と比べバランスを欠いた行政サービスである。
 なお、3月に当法人から処分庁に問い合わせた折には当該書類の発送日(3月30日発送)について言及はなく、書類の到達を待って処理するようにとの回答であった。発送日の通知があれば4月中に問い合わせている。
(5) 減免が定められた書類によってのみ申請できることは理解できるが、当該書類はインターネット上でダウンロードできない仕組みになっているので、当法人はこの書類の到着を待ってしか対応できない状況であった。申請期限等が法令に定めているといっても、法には具体的には書いていないと思う。期限も含めて全て処分庁から送付される書類に書いており、それを見て処理をするようにと言われていたため、それを待っていた。
 処分庁は減免申請書の入手を困難にしているにもかかわらず、そもそも論として当該書類が到着しなかったとしても期限までに申請しなければならず、郵便事故等は関係ないと主張しているが、確実に当該書類を入手できるようにする義務があり、行政手続の仕組みやその周知に問題がある。不測の場合等に救済措置をとるのは適切な法令運用であり、それによって行政手続の不備を補完すべきである。当該書類を普通郵便で送付するのであれば、郵便局側も認めているように、普通郵便の事故(紛失、誤配等)は起こり得るものであるので、郵便事故に対する救済措置が必要である。
(6) いずれも当法人の責務や瑕疵に相当しないため、個別案件としての救済を求める。
2 処分庁の主張
(1) 審査請求人から提出された履歴事項全部証明書によると、審査請求人は公益社団法人であり、平成27年4月1日に設立されており、条例第60条第1項第6号に規定する、初めて市内に事務所、事業所又は寮等(以下「事務所等」という。)を有することとなったものには該当しないことから、審査請求人が平成29年4月1日から平成30年3月31日までの期間に係る法人市民税の免除を受けようとする場合は、当該期間に係る申告期限である平成30年5月1日(同年4月30日が休日のためその翌日(地方税法(以下「法」という。)第20条の5第2項))までに法人市民税の申告書と減免申請書を提出しなければならないが、当該期限を徒過して提出されたため、本件処分を行った。
(2) 大阪市では条例第58条各号に規定する大阪市内で事務所を有している法人に対して、申告・納付依頼状等を毎年3月下旬に一斉に発送している。平成30年度申告・納付依頼状等については、法人市民税申告・納付依頼状発送整理簿のとおり平成30年3月30日に発送しており、発送日について問合せがあった場合には上記発送日を案内していたところである。
 平成30年5月9日に審査請求人より電話にて申告・納付依頼状等の未着について調査依頼があり、日本郵便株式会社に対して郵便事故調査依頼を行ったところ、平成30年6月1日付けで郵送物を発見することはできず原因も不明であるという回答があった。また、審査請求人に対する申告・納付依頼状等は、発送済みとして記録されており、その後返戻された記録もないので送達されているものと認識している。
 そもそも申告は、納税義務者が自らの判断と責任においてなすべきものであり、申告・納付依頼状等の送達の有無にかかわらず行うべきものであるところ、仮に郵便事故等で申告・納付依頼状等が送達されていなかったとしても、審査請求人は前記のとおり平成30年5月1日までに法人市民税の申告書及び減免申請書を提出しなければならず、法人市民税に係る減免申請は当該申請期限を徒過してなされていることから減免は認められない。
(3) 申告・納付依頼状等は、法令で送付することが定められた書類ではなく、また、多数の納税者に対し送付するものであり、書留、配達証明等の特殊取扱を義務付ける規定はない。
 なお、法令の規定に基づく地方団体の徴収金の賦課徴収又は還付に関する書類の送付であっても、同様の趣旨から、書留、配達証明等の特殊取扱による送付を義務付けられていないところである(法第20条参照)。
 また、郵便物について返戻があった場合は、税端末上に返戻記録を行い、電話調査等により再送付先を特定し再発送を行っているところである。審査請求人に対する送付については発送記録が残されており、返戻の記録がなされていないことから送達されたものと認識している。
 審査請求人は、税務署や府税事務所では「このような事案は個別案件として」「救済している」との主張をしているが、大阪市における対応については、法令等により判断されるものであって、他の課税団体の対応状況等をもって直ちに影響されるものではない。
(4) 審査請求人が主張する処分庁の指示について、受電記録を調査したところ、同様の問合せが複数あったが、審査請求人のものと特定できる受電記録はなく、当該指示については把握していない。
 審査請求人は、昨年度は5月中旬に処理したと主張しているが、審査請求人は平成29年度法人市民税均等割申告書及び平成29年度法人市民税減免申請書を平成29年4月13日付けで提出しており、処分庁より減免を承認する旨の通知書を平成29年5月12日付けで発送している。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 法人市民税の納税義務者等について
 市町村民税は、市町村内に事務所又は事業所を有する法人に対しては、均等割額及び法人税割額の合算額によって課するとされています(法第294条第1項第3号)。
(2) 公益社団法人に係る法人市民税の申告納付について
 公益社団法人で均等割のみを課されるものは、毎年4月30日までに、均等割額を記載した申告書を、前年4月1日から3月31日までの期間中において有する事務所等所在地の市町村長に提出し、及びその申告した均等割額を納付しなければならないとされています(法第294条第7項、第312条第3項第4号、第321条の8第19項及び法人税法第2条第6号)。
(3) 公益社団法人に係る法人市民税の減免について
ア 公益社団法人で収益事業を行わないものに対しては、申請に基づき市民税を免除することとしています(条例第58条第1号)。
イ 当該市民税の免除を受けようとする者のうち初めて市内に事務所等を有することとなったもの以外のものは、当該市民税の納期限までに、申請書にその証拠となる書類を添付して、市長に提出しなければならないとしています(条例第60条第1項柱書及び同項第6号ア)。
 また、初めて市内に事務所等を有することとなったものについては、初めて市内に事務所等を有することとなった日の属する年度の翌年度において申告納付すべき法人の市民税に係る免除の申請をする場合に限り、5月31日までに申請しなければならないとしています(条例第60条第1項第6号イ)。
ウ 当該申請書には、納税者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び住所(法人にあっては、主たる事務所の所在地)、減免を受けようとする理由並びにその他市長が必要と認める事項を記載しなければならないとしています(条例第60条第2項)。
(4) 期限の特例について
 法又はこれに基づく条例の規定により定められている期限が、民法第142条に規定する休日等に該当するときは、法又は条例の規定にかかわらず、これらの日の翌日をその期限とみなすとされています(法第20条の5第2項)。
2 本件処分の適法性及び妥当性について
(1) 期限後になされた減免申請について
 法人市民税に関する法令は、前記1(2)のとおり、審査請求人のように公益社団法人で収益事業を行わないものについても一般的に法人市民税を申告納付する義務を課した上で、法令所定の期限までに法令所定の申請を行い、当該申請に基づき処分庁が収益事業を行っていないとの要件に該当すると判断した場合にのみ初めて法人市民税の免除を認める定めとなっています。
 これを本件においてみると、審査請求人は減免申請期限(平成30年5月1日)後の平成30年5月15日に減免申請書を提出しており、処分庁が当該申請期限を徒過したことを理由として減免を不承認とした本件処分については適法であると判断します。
(2) 申告・納付依頼状等の不着について
 審査請求人は、処分庁から申告・納付依頼状等が送付されてから対応するようにとの指示を受けたが、郵便事故により当該書類が不着となり、期限内に減免申請を行うことができなかった旨主張しています。
 しかしながら、処分庁からの申告・納付依頼状等の送付は法令上義務付けられているものではなく、また、前記1(2)及び(3)のとおり、申告納税制度及び申請による減免制度の下で減免を受けようとする場合には、審査請求人自らが法令所定の期限までに法令所定の申告及び減免申請を行わなければならないことから、仮に審査請求人の主張するような処分庁からの指示や書類の不着等、審査請求人が主張する本件処分に至るまでの経緯があったとしても、当該経緯の如何が減免の承認の可否に影響を及ぼすものとまではいえません。
 また、審査請求人は、減免は定められた書類によってのみ申請できるものであり、減免申請書がインターネットを通じて入手できず、送付される書類でしか処理できないことから、当該書類を普通郵便で送付するなら、郵便事故に対する救済措置を講じる必要がある旨も主張していますが、減免申請にあたっては、処分庁から送付される減免申請書の様式を使用して提出することは要件とされておらず、法令所定の事項を記載すれば、減免申請を行うことができるものであり、審査請求人が主張する諸事情を勘案したとしても、やはりそれが減免の承認の可否に影響を及ぼすものとまではいえません。
(3) その他の審査請求人の主張について
 審査請求人は、税務署や府税事務所ではこのような事案については個別案件として相談に応じて減免措置をしている旨主張していますが、その主張の如何にかかわらず、本市における減免については、法令等の定めにしたがい判断されるものであって、他の課税団体の減免制度や減免申請に係る対応状況等をもって直ちに当該減免についての判断に影響を及ぼすものとはいえません。
3 結論
 以上のとおり、本件処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

平成31年1月4日
大阪市長 吉村 洋文

裁決書(平成30年度答申第17号)

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