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平成31年1月7日付け裁決(答申第18号)

2023年2月17日

ページ番号:463568

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁  大阪市長

 審査請求人が平成30年6月13日付けでした、処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による平成30年5月18日付け法人市民税減免不承認処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(平成30年度財第9号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 審査請求人は、平成30年5月6日、平成30年度市民税の均等割申告書及び法人市民税減免申請書を処分庁あて提出しました。
2 処分庁は、大阪市市税条例(以下「条例」という。)第60条第1項第6号に規定する申請期限を過ぎて減免申請書が提出されたことを理由として、平成30年5月18日付けで、本件処分を行いました。
3 審査請求人は、平成30年6月13日付けで大阪市長に対し、本件処分を不服として本件審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 法人市民税の書類が届いたのは5月2日であった。明らかな遅配であり、審査請求人に責任は全くない。郵便局に問い合わせたところ、普通郵便なので遅配の証明はできないと言われた。前年度の減免申請期限が5月31日であったので、今年度も同じ頃を想定しており、送付が遅ければ問合せをしたはずである。当方にとっては不可抗力による結果であるので、減免を認めていただきたい。
(2) 処分庁は、「そもそも申告は、納税義務者が自らの判断と責任においてなすべきものであり、本市からの申告・納付依頼状等の送達の有無にかかわらず行うべきものである」と弁明しているが、当該弁明はあくまでも建前であり、納税義務者としては、処分庁からの通知を待つしか方法はないのではないか。郵便の遅配はしばしば起こることなので、処分庁は遅配等の起こらないような通知方法をとるべきである。現に、府税事務所からの通知は届いており期限内に届出を済ませている。処分庁は、納税義務者、免除申請者に対して期限内に間違いなく通知し、われわれが気持ちよく納税、あるいは申請できるように努めていただくのが義務であり、サービスであると考える。
2 処分庁の主張
(1) 審査請求人から提出された履歴事項全部証明書によると、審査請求人はNPO法人であり、平成29年2月1日に設立されており、条例第60条第1項第6号に規定する、初めて市内に事務所、事業所又は寮等(以下「事務所等」という。)を有することとなったものには該当しないことから、審査請求人が平成29年4月1日から平成30年3月31日までの期間に係る法人市民税の免除を受けようとする場合は、当該期間に係る申告期限である平成30年5月1日(同年4月30日が休日のためその翌日(地方税法(以下「法」という。)第20条の5第2項))までに法人市民税の申告書と減免申請書を提出しなければならないが、当該期限を徒過して提出されたため、減免申請を不承認とした。
(2) 大阪市では、条例第58条各号に規定する大阪市内で事務所を有している法人に対して、法人市民税の申告についてのお知らせ(申告・納付依頼状)、法人市民税の均等割申告書及び減免申請書等の書類(以下「申告・納付依頼状等」という。)を毎年3月下旬に一斉に発送している。平成30年度申告・納付依頼状等については平成30年3月30日に発送しており、審査請求人に対する申告・納付依頼状等は、発送済みとして記録されている。
(3) そもそも申告は、納税義務者が自らの判断と責任においてなすべきものであり、大阪市からの申告・納付依頼状等の送付の有無にかかわらず行うべきものであるところ、前記(2)のとおり、平成30年3月30日に申告・納付依頼状等を発送しているが、仮に郵便事故等で申告・納付依頼状等が申告期限内に到達していなかったとしても、審査請求人は前記(1)のとおり平成30年5月1日までに法人市民税の申告書及び減免申請書を提出しなければならず、法人市民税に係る減免申請は申請期限を徒過してなされていることから減免は認められない。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 法人市民税の納税義務者等について
 市町村民税は、市町村内に事務所又は事業所を有する法人に対しては、均等割額及び法人税割額の合算額によって課することとされています(法第294条第1項第3号)。
(2) 特定非営利活動法人に係る法人市民税の申告納付について
 特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人(以下「特定非営利活動法人」という。)で均等割のみを課されるものは、毎年4月30日までに、均等割額を記載した申告書を、前年4月1日から3月31日までの期間中において有する事務所等所在地の市町村長に提出し、及びその申告した均等割額を納付しなければならないとされています(法第294条第7項、第312条第3項第4号及び第321条の8第19項)。
(3) 特定非営利活動法人に係る法人市民税の減免について
ア 特定非営利活動法人で収益事業を行わないものに対しては、申請に基づき市民税を免除することとしています(条例第58条第3号)。
イ 当該市民税の免除を受けようとする者のうち初めて市内に事務所等を有することとなったもの以外のものは、当該市民税の納期限までにその理由等を記載した申請書にその証拠となる書類を添付して、市長に提出しなければならないとしています(条例第60条第1項柱書及び同項第6号ア並びに同条第2項)。
 また、初めて市内に事務所等を有することとなったものについては、初めて市内に事務所等を有することとなった日の属する年度の翌年度において申告納付すべき法人の市民税に係る免除の申請をする場合に限り、5月31日までに申請しなければならないとしています(条例第60条第1項第6号イ)。
(4) 期限の特例について
 法又はこれに基づく条例の規定により定められている期限が、民法第142条に規定する休日等に該当するときは、法又は条例の規定にかかわらず、これらの日の翌日をその期限とみなすこととされています(法第20条の5第2項)。
2 本件各処分の適法性及び妥当性について
(1) 期限後になされた減免申請について
 法人市民税に関する法令は、前記1のとおり、審査請求人のように特定非営利活動法人で収益事業を行わないものについても一般的に法人市民税を申告納付する義務を課した上で、法令所定の期限までに法令所定の申請を行い、当該申請に基づき処分庁が収益事業を行っていないとの要件に該当すると判断した場合にのみ初めて法人市民税の免除を認める定めとなっています。
 これを本件においてみると、審査請求人は減免申請期限(平成30年5月1日)後の平成30年5月6日に減免申請書を提出しており、処分庁が当該申請期限を徒過したことを理由として減免を不承認とした本件処分については適法であると判断します。
(2) 申告・納付依頼状等の郵送の遅延について
 審査請求人は、減免申請が不承認とされたのは処分庁から発送された法人市民税に関する書類が届いたのが平成30年5月2日で明らかに遅配があった結果であり、審査請求人にとっては不可抗力であるため、減免を認めてもらいたい旨及び処分庁は納税義務者等に対して期限内に間違いなく通知しなければならない旨主張しています。
 しかしながら、処分庁からの申告・納付依頼状等の送付は法令上義務付けられているものではなく、また、前記1(2)及び(3)のとおり、申告納税制度及び申請による減免制度の下で減免を受けようとする場合には、審査請求人自らが法令所定の期限までに法令所定の申告及び減免申請を行わなければならないことから、審査請求人の主張する処分庁からの申告・納付依頼状等の遅配の有無やその理由の如何が減免の承認の可否に影響を及ぼすものとまではいえません。
(3) その他の審査請求人の主張について
 審査請求人は、前年度の申請期限が5月31日であったので、今年度も同じ頃を想定しており、送付が遅ければ問合せをしたはずである旨主張しています。
 しかしながら、前記1(2)及び(3)イのとおり、平成30年度以降の審査請求人に係る減免の申請期限は4月30日(同日が民法第142条に規定する休日等に該当する場合にはその翌日)であるものの、当該減免申請の前提となる法人市民税均等割の平成30年度以降の申告納付期限については、平成29年度と同様に4月30日(同日が民法第142条に規定する休日等に該当する場合にはその翌日)であって、審査請求人が前年度と同様の申請期限を想定していたとしても、当該想定については審査請求人の税法の不知又は誤解に基づくものであり、やはりそれが減免の承認の可否に影響を及ぼすものとまではいえません。
3 結論
 以上のとおり、本件各処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

平成31年1月7日
大阪市長 吉村 洋文

裁決書(平成30年度答申第18号)

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