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平成31年1月22日付け裁決(答申第19号)

2023年2月17日

ページ番号:463571

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長          

 別紙1記載1から6の各審査請求人(以下「本件各審査請求人」という。)が平成30年6月28日付けでした、処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による平成30年度固定資産税及び都市計画税賦課決定処分(以下「本件処分」という。)に係る各審査請求(平成30年度財第12号から第17号。以下「本件各審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件各審査請求のうち、別紙1記載2から6の各審査請求人に係る各審査請求については却下し、別紙1記載1の審査請求人に係る審査請求については棄却します。

事案の概要
1 処分庁は、別紙2物件目録記載の各土地(以下「本件各土地」という。)について、別紙1記載1の審査請求人に対して、平成30年4月2日付けで本件処分を行いました。
 処分庁は、別紙1記載1の審査請求人に対し、同日付けで、別紙1記載1の審査請求人を名あて人として、本件処分に係る通知を行いました。
2 本件各審査請求人は、平成30年6月28日付けで大阪市長に対し、本件各審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 本件各審査請求人の主張
(1) 本件各土地の固定資産税の評価・価格・賦課につき、変更・訂正を求める。
(2) 本件各土地は、本件各審査請求人の祖父母や義父母が同地に建物と土地を取得して宅地として使用していたが、建物が老朽化したため取り壊したものである。
 ところが、本件各土地の前面道路に至る通路の幅員が基準に達しないため、建築確認が認められず、新築することができないものであり、宅地としては使用不可能な土地である。
(3) 処分庁は、本件各土地の評価は近隣と比して高いのか安いのかの資料を示しておらず、処分庁の主張には合理性がない。また、処分庁は評点減価をしている旨主張しているが、建築不可能の土地に通常の減価を施しても意味がない。
 本件各土地のように使用不可能な土地に対して通常基準の課税をするのは不当である。
(4) 本件各審査請求は、評価の不服の申出と共に課税額の不服の申出をしているため、不服の理由の除外事由とはならないものであり、処分庁は自己都合の計算を前提に、結論を出して、弁明や反論をするのみであるので、受け入れ難いものである。
2 処分庁の主張
(1) 土地に対して課する固定資産税の課税標準は、固定資産課税台帳に登録された価格とされ、都市計画税の課税標準は、当該土地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格をいうとされている(地方税法(以下「法」という。)第349条及び第702条第2項)。そして、土地に係る固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の課税標準については、税負担の調整措置(法附則第18条及び第25条。以下「負担調整措置」という。)等を適用して算出することとされている。
(2) 本件各土地は建物が取り壊され更地となっていることから、商業地等に該当する。
 また、本件各土地の負担水準は、いずれも60パーセント以上70パーセント以下のものに該当するので、前年度分の固定資産税等の課税標準額が当年度分の固定資産税等の課税標準額となる。
 したがって、平成29年度分の固定資産税等の課税標準額を平成30年度分の固定資産税等の課税標準額とし、税率をそれぞれに乗じ、100円未満の端数を切り捨てて算出した本件処分に係る固定資産税等の税額は適正である。
(3) なお、法第432条第1項において、固定資産課税台帳に登録された価格についての不服は、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができると規定されており、同条第3項において、固定資産税の賦課についての審査請求においては、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができる事項についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができないと規定されている。
 よって、本件各審査請求人が主張する建築基準法上建築不可能な土地であることについては、本件各土地の平成30年度の価格を決定する際に考慮される事項であり、固定資産課税台帳に登録された価格についての不服となるため、本件処分についての不服の理由とすることはできない。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 固定資産税等の課税標準について
ア 基準年度に係る賦課期日に所在する土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は、当該土地の基準年度に係る賦課期日現在における価格で土地課税台帳等に登録されたものとするとされています(法第349条第1項)。
イ 都市計画税の課税標準は、当該土地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格をいうとされています(法第702条)。
(2) 住宅用地に対する固定資産税等の課税標準の特例について
ア 専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの(以下「住宅用地」という。)に対して課する固定資産税の課税標準は、法第349条及び第349条の3第12項の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1(法第349条の3の2第2項に該当する住宅用地(以下「小規模住宅用地」という。)にあっては6分の1)の額とするとされています(法第349条の3の2)。
イ 法第349条の3の2第1項の規定の適用を受ける土地に係る都市計画税の課税標準は、法第702条第1項の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る都市計画税の課税標準となるべき価格の3分の2(小規模住宅用地にあっては3分の1)の額とするとされています(法第702条の3)。
(3) 土地の固定資産税等に係る税負担の調整措置について
ア 商業地等とは、農地以外の土地である宅地等のうち住宅用地以外の宅地及び宅地比準土地(宅地以外の土地で当該土地に対して課する当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格が、当該土地とその状況が類似する宅地の固定資産税の課税標準とされる価格に比準する価格により決定されたものをいう。)をいうとされています(法附則第17条第2号、第3号及び第4号)。
イ 前年度課税標準額とは、当該年度の前年度に係る賦課期日において所在する土地で当該年度の前年度分の固定資産税等について、法附則第18条及び第25条の規定の適用を受ける土地にあっては、当該規定に規定する当該年度の前年度分の固定資産税等の課税標準となるべき額をいうとされています(法附則第17条第6号)。
ウ 負担水準とは、土地に係る固定資産税等に係る前年度課税標準額を、当該土地に係る当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき価格で除して得た数値をいうとされています(法附則第17条第8号)。
エ 商業地等のうち当該商業地等の当該年度の負担水準が0.6以上0.7以下のものに係る平成30年度から平成32年度までの各年度分の固定資産税等の額は、当該商業地等の当該年度分の固定資産税等に係る前年度分の固定資産税等の課税標準額を当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき額とした場合における固定資産税等の額とするとされています(法附則第18条第4項及び第25条第4項)。
 前年度分の固定資産税等の課税標準額とは、平成29年度に係る固定資産税の賦課期日に所在する宅地等については、当該宅地等の当該年度における前年度課税標準額をいうとされています(法附則第18条第6項及び第25条第6項)。
(4) 固定資産税等の税率について
ア 固定資産税の税率は、100分の1.4としています(法第350条及び大阪市市税条例第83条)。
イ 都市計画税の税率は、100分の0.3としています(法第702条の4及び大阪市市税条例第157条)。
(5) 価格に対する不服の申立てについて
 固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合には、法第411条第2項の規定による公示の日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの間において、文書をもって、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができるとされています(法第432条第1項)。
 固定資産税の賦課についての審査請求においては、法第432条第1項の規定により審査を申し出ることができる事項についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることはできないとされています(同条第3項)。
2 審理の対象について
 行政不服審査法第2条において、行政庁の処分に不服がある者は、同法第4条及び第5条第2項の定めるところにより、審査請求をすることができるとされていますが、本件各審査請求人のうち、別紙1記載2から6の各審査請求人に対しては、当該各審査請求人に係る各審査請求の前提となる平成30年度固定資産税等の賦課決定処分が行われた事実は認められません。
 したがって、別紙1記載2から6の各審査請求人に係る各審査請求については審査請求の対象となる処分の存在を欠く不適法なものであり、却下すべきものと判断し、以下別紙1記載1の審査請求人に係る審査請求について判断します。
3 本件処分の適法性及び妥当性について
(1) 固定資産税等の税額について
 審査請求人は、本件各土地は従前の建物を取り壊して以降、建築確認が認められず、宅地としては使用不可能な土地であるため、通常基準の課税を行うことは不当である旨主張しています。
 しかしながら、本件各土地については、前記1(2)のとおり、住宅用地に対する固定資産税等の課税標準の特例を適用することはできず、また、当該課税標準の特例以外にも、法令上、本件各土地に適用すべき非課税措置や課税標準の特例措置等は見当たりません。
 したがって、前記1(3)の税負担の調整措置を適用して算定された平成30年度分の固定資産税等の課税標準額に税率を乗じることにより算定された本件処分に係る固定資産税等の税額について、違法又は不当な点は認められません。
(2) 固定資産課税台帳に登録された価格についての不服について
 審査請求人は、評価の不服の申出とともに、課税額の不服を申し出ているので、不服の理由の除外事由にはならない旨主張しています。
 しかしながら、前記1(5)のとおり、固定資産税の賦課についての審査請求においては、固定資産課税台帳に登録された価格についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができないことから、審査請求人の上記主張は、採用することができません。
4 結論
 以上のとおり、別紙1記載2から6の各審査請求人に係る各審査請求については不適法であるため、行政不服審査法第45条第1項の規定により、また、別紙1記載1の審査請求人に係る審査請求については理由がないため、同条第2項の規定により、それぞれ主文のとおり裁決します。

平成31年1月22日
大阪市長 吉村 洋文

別紙1及び別紙2 省略

裁決書(平成30年度答申第19号)

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