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答申書(平成30年度答申第23号)

2023年2月17日

ページ番号:467219

諮問番号:平成30年度諮問第21号
答申番号:平成30年度答申第23号

答申書

第1 審査会の結論
 本件審査請求については、棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、平成30年5月22日、審査請求人に対して、地方税法(以下「法」という。)第321の8条第19項の規定に基づく申告書(以下「均等割申告書」という。)に係る慫慂(しょうよう)文書「法人市民税の申告書の提出及び納付について」を送付したところ、審査請求人から平成30年4月10日に当該均等割申告書及び減免申請書(以下「均等割申告書等」という。)を併せて船場法人市税事務所分室に提出した旨、申出があった。
2 処分庁は、平成30年10月15日時点で審査請求人から均等割申告書等の提出の事実がないこと及び平成29年4月1日から平成30年3月31日までの期間(以下「本件期間」という。)において審査請求人が納税義務を有することを確認のうえ、平成30年10月15日付けで、本件期間に係る法人市民税の決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。
3 審査請求人は、平成30年11月1日、大阪市長に対し、本件処分の取消しを求めて審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 我々は、現在、別にもう一つ特定非営利活動法人(以下「請求外法人」という。)をもっている。過去10年以上にわたって、毎年一緒に減免申請を行っており、今回2法人のうち当法人だけ減免処理がされていない。船場法人市税事務所側は、減免を申請しているにもかかわらず、受け取っていないということで、話合い中にもかかわらず、決定通知をしてきた。当法人だけを減免申請しないという事は過去10年以上一度もない。
2 処分庁の主張
(1) 法第312条第3項第4号の規定により、特定非営利活動法人で収益事業を行わないものは公共法人等に該当する。
 公共法人等は、法第321の8条第19項の規定により、総務省令で定める様式によって、毎年4月30日までに、前年4月1日から3月31日までの期間中の事実に基づいて算定した均等割額を記載した申告書を、当該期間中において有する事務所、事業所又は寮等(以下「事務所等」という。)所在地の市町村長に提出し、及びその申告した均等割額を納付しなければならないものとされており、当該申告書の提出がない場合には、法第321条の11第2項の規定により、市町村長が均等割額を決定するものとされている。
 本件処分は、審査請求人より均等割申告書の提出がなかったため上記規定により行ったものであり、また、本件処分は法第17条の5に規定する法定納期限の翌日から起算して5年を経過する日までに行われていることから適法である。
(2) 大阪市市税条例(以下「条例」という。)第58条第3号の規定においては、特定非営利活動法人で収益事業を行わないものに対してはその者の申請に基づき市民税を免除すると定めており、市税の減免を受けようとする者は、条例第60条第1項第6号の規定により、初めて市内に事務所等を有することとなったものの減免申請書の提出期限については5月31日、それ以外のものについては当該市民税の納期限までに減免申請書を提出しなければならないこととされている。
 審査請求人から提出された履歴事項全部証明書によると、審査請求人は平成19年9月14日に設立された特定非営利活動法人であり、同号に規定する初めて市内に事務所等を有することとなったものには該当しないことから、審査請求人が本件期間に係る法人市民税の免除を受けようとする場合は、平成30年5月1日まで(同年4月30日が休日のためその翌日(法第20条の5第2項))に均等割申告書等を提出しなければならない。
(3) 船場法人市税事務所分室で受け付けた資料は、その翌日に「資料授受票」により課税資料入力等業務の受託業者へ引き渡されるため、平成30年4月11日付けの「資料授受票」により同年4月10日の受付の状況を確認したところ、均等割申告書は13件(うち減免申請書を併せて提出したものは請求外法人を含む8件)であった。
 しかしながら、そのいずれについても審査請求人から提出されたものではないことから、審査請求人による減免申請書の提出の事実は認められず、過去の提出状況に基づき減免申請書を提出したものとみなす旨の規定もないことから、減免を適用することはできない。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
(1) 本件処分の適法性及び妥当性について
 処分庁から提出された法人市民税決定決議書の添付資料である経過記録や弁明書によると、審査請求人の主張は、請求外法人の均等割申告書等を船場法人市税事務所分室に提出した平成30年4月10日に、審査請求人の均等割申告書等を併せて提出し、当該状況は過去10年以上にわたって同様である旨主張しているものと解することができる。
 しかしながら、処分庁は審査請求人の均等割申告書は平成30年4月10日を含めて平成30年5月1日までに提出された事実はない旨主張している。
 この点、審理員が処分庁に書類の提出要求をしたところ、平成30年4月10日に船場法人市税事務所分室で受け付けた均等割申告書等を記録した同日付けの受付簿等はないものの、平成30年4月11日付けの「資料授受票」及び平成30年4月10日受付の均等割申告書からは、処分庁の主張のとおり審査請求人からの均等割申告書の提出の事実は確認できなかった。
 当該均等割申告書の提出の事実が確認できず、審査請求人からも、提出したとする均等割申告書の控え等の提出もない以上、処分庁の主張のとおり、審査請求人から平成30年5月1日までに均等割申告書の提出はなかったと考えるのが合理的で、過去の申告状況や請求外法人の申告状況に基づき均等割申告書を提出したものとみなす旨の規定もないことから、審査請求人の主張は採用できない。
 また、均等割額の決定は、法定納期限の翌日から起算して5年を経過した日以降においてはすることができないとされているところ、本件処分は、法定納期限の平成30年5月1日の翌日から起算して5年以内である平成30年10月15日になされており、適正である。
 以上により、本件処分は適正である。
(2) 減免について
 審査請求人は、減免申請しているにもかかわらず、減免処理がなされていない旨主張している。
 しかしながら、本件処分は、前記のとおり、審査請求人から平成30年5月1日までに本件期間に係る均等割申告書の提出がなかったことを理由になされたものであり、当該主張は本件処分への違法性又は不当性に対する主張ではないため採用することはできない。
 なお、審査請求人が法人市民税の減免を受けようとする場合は、その納期限である平成30年5月1日(同年4月30日は、民法第142条に規定する休日等に該当することから、その翌日である同年5月1日をその期限とみなす。)までに減免申請書を提出しなければならないが、前記(1)で述べた均等割申告書と同様に、当該減免申請書の提出の事実は確認できず、審査請求人からも提出したとする減免申請書の控え等の提出もないことからも、審査請求人から平成30年5月1日までに減免申請書の提出はなかったと考えるのが合理的である。
(3) 上記以外の違法性又は不当性についての検討
 他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  平成31年1月30日 諮問書の受理
  平成31年2月5日 調査審議
  平成31年2月22日 調査審議

第6 審査会の判断
1 関係法令等の定め
(1) 法人市民税の納税義務者等について
 市町村民税は、市町村内に事務所又は事業所を有する法人に対しては、均等割額及び法人税割額の合算額によって課する(法第294条第1項第3号)。
(2) 特定非営利活動法人に係る法人市民税の申告納付について
 特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人(以下「特定非営利活動法人」という。)で均等割のみを課されるものは、毎年4月30日までに、均等割額を記載した申告書を、前年4月1日から3月31日までの期間中において有する事務所等所在地の市町村長に提出し、及びその申告した均等割額を納付しなければならない(法第294条第7項、第312条第3項第4号、第321条の8第19項及び条例第55条第1項)。
(3) 法人市民税の決定について
 市町村長は、納税者が法人市民税に係る申告書を提出しなかった場合においては、その調査によって、申告すべき法人市民税額等を決定する(法第321条の11第2項)。
(4) 更正又は決定の期間制限について
 更正又は決定は、法定納期限の翌日から起算して5年を経過した日以後においては、することができない(法第17条の5第1項)。
(5) 特定非営利活動法人に係る法人市民税の減免について
ア 特定非営利活動法人で収益事業を行わないものに対しては、申請に基づき市民税を免除する(条例第58条第3号)。
イ 当該市民税の免除を受けようとする者のうち初めて市内に事務所等を有することとなったもの以外のものは、当該市民税の納期限までにその理由等を記載した申請書にその証拠となる書類を添付して、市長に提出しなければならない(条例第60条第1項本文、同項第6号ア及び同条第2項)。
 初めて市内に事務所等を有することとなったものについては、初めて市内に事務所等を有することとなった日の属する年度の翌年度において申告納付すべき法人の市民税に係る免除の申請をする場合に限り、5月31日までに申請しなければならない(条例第60条第1項第6号イ)。
2 争点等について
 審査請求人は、減免を申請しているにもかかわらず、船場法人市税事務所が受け取っていないということで、話合い中にもかかわらず、法人市民税の決定処分を行った旨主張している。
 しかしながら、処分庁において作成された平成30年4月11日付けの「資料授受票」に記載されている均等割申告書等の受理件数と平成30年4月10日に処分庁が船場法人市税事務所分室で受け付けた均等割申告書等の数は一致しており、かつ、当該資料からは、請求外法人の均等割申告書等の提出は確認できるものの、審査請求人が均等割申告書等を提出している事実は確認できず、また、処分庁からの審査請求人への均等割申告書等の控えやそれに類する書類等、均等割申告書等の提出を証する資料の提出の求めに対して、審査請求人からは当該資料は示されていない。
 これらの状況からすると、平成30年4月10日に審査請求人から均等割申告書が提出されたとの事実を認定することはできない。また、その後においても審査請求人から均等割申告書の提出がなかったことから、これらを理由として、処分庁において法第321条の11第2項の規定に基づき行った本件処分に違法又は不当な点は認められない。
 また、審査請求人が均等割申告書と同時に提出したと主張する減免申請書についても、上記の状況からして、処分庁に提出されたとの事実を認定することはできないため、審査請求人に係る法人市民税を減免せずに本件処分を行った点においても、本件処分に違法又は不当な点は認められない。
 なお、本件処分については、平成30年10月15日付けで行われており、法第17条の5第1項に規定する決定処分の期間制限の点からしても、適正である。
3 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
4 結論
 よって、本件審査請求に理由がないものと認められるので、当審査会は第1記載のとおり答申する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第1部会
 委員(部会長)佐藤善恵、委員 津留真弓、委員 下尾裕

答申書(平成30年度答申第23号)

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