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答申書(令和元年度答申第5号)

2023年2月17日

ページ番号:481417

諮問番号:令和元年度諮問第2号
答申番号:令和元年度答申第5号

答申書

第1 審査会の結論
 本件審査請求については、棄却すべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、平成30年9月18日付けで更正額を○,○○○,○○○円とする審査請求人の平成29年6月1日から平成30年5月31日までの事業年度に係る事業所税の更正処分(以下「本件更正処分」という。)をした。
2 処分庁は、平成30年11月5日付けで加算金の額を○○,○○○円とする事業所税の過少申告加算金の決定処分(以下「本件処分」という。)をした。
3 審査請求人は、平成31年1月18日、大阪市長に対し、本件処分の取消しを求めて、審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 別紙審理員意見書(写し)第3、1記載のとおりであるから、これを引用する。
2 処分庁の主張
 別紙審理員意見書(写し)第3、2記載のとおりであるから、これを引用する。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
(1) 本件処分の適法性及び妥当性について
 別紙審理員意見書(写し)第4、2記載のとおりであるから、これを引用する。
(2) その他の審査請求人の主張について
 別紙審理員意見書(写し)第4、3記載のとおりであるから、これを引用する。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  令和元年6月12日 諮問書の受理
  令和元年6月18日 調査審議
  令和元年7月2日 調査審議

第6 審査会の判断
1 関係法令等の定め
(1) 事業所税の更正について
 地方税法(以下「法」という。)第701条の31第1項第1号に規定する指定都市等(以下「指定都市等」という。)の長は、法第701条の46の規定による申告書の提出があった場合において、当該申告書に係る課税標準額又は税額がその調査したところと異なるときは、これを更正する(法第701条の58第1項)。
 指定都市等の長は、更正した場合には、遅滞なく、これを納税者に通知しなければならない(法第701条の58第4項)。
(2) 事業所税の過少申告加算金について
 申告書の提出期限までにその提出があった場合において、第701条の58第1項の規定による更正があったときは、指定都市等の長は、当該更正前の申告に係る税額に誤りがあったことについて正当な理由があると認める場合を除き、当該更正による不足税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算金額を徴収しなければならない(法第701条の61第1項)。
2 争点等について
(1) 本件処分について
 本件処分については、本件処分に先行して行われた本件更正処分を受けて、法第701条の61第1項の規定に基づき、本件更正処分による不足税額に100分の10の割合を乗じて加算金の額を○○,○○○円と算定しており、適正であると認められる。
(2) 審査請求人の主張について
 審査請求人は、現在の簡易宿所の利用状況について、ホテル営業と何ら変わらない利用がなされており、現行の法令においても総合的に考えると、簡易宿所に法第701条の41第1項の表第9号に規定する課税標準の特例の適用が可能という拡大的な解釈ができること等主張しているが、当該主張は先行処分である本件更正処分固有の違法事由に関する主張であると認められる。
 しかしながら、先行処分である本件更正処分については適法に確定していることが認められ、また、当該処分と本件処分とは、別個独立した処分であるから、本件処分の取消しを求める審査請求においてその取消理由として先行処分固有の違法事由を主張することはできず、本件審査請求において、審査請求人が主張することができるのは、本件処分に固有の違法事由に限られる。
 したがって、審査請求人の先行処分に関する主張は本件処分固有の違法事由には当たらないため、採用することができない。
3 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
4 結論
 よって、本件審査請求に理由がないものと認められるので、当審査会は第1記載のとおり答申する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第2部会
 委員(部会長)岸本佳浩、委員 鹿田良美、委員 野村宏子

審理員意見書(写し)

令和元年6月7日
大阪市長 松井 一郎様

審理員 ○○○○  

 行政不服審査法(以下「行審法」という。)第42条第2項の規定に基づき、審査請求人 ○○○○が平成31年1月18日に行った、処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による平成30年11月5日付け事業所税過少申告加算金決定処分(以下「本件加算金決定処分」という。)についての審査請求(平成30年度財第30号)(以下「本件審査請求」という。)の裁決に関する意見を次のとおり提出します。

第1 裁決に関する意見
 本件審査請求は棄却するのが相当です。

第2 事案の概要
1 審査請求人は、平成30年7月20日付けで、処分庁に対して平成29年6月1日から平成30年5月31日までの事業年度に係る事業所税の確定申告書(以下「本件申告書」という。)を提出しました。
2 処分庁は、平成30年9月18日付け及び平成30年11月5日付けで、それぞれ事業所税更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び本件加算金決定処分を行いました。
3 審査請求人は、平成31年1月18日付けで、本件審査請求を提起しました。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 審査請求書における主張
 ホテル業及び旅館業免許を取得した場合、事業所税の1/2減免の制度が存在する。
 現在当社が経営する簡易宿所もインバウンドを中心客とし、他のホテル業者と運営集客に関しほとんど変わりは無い。なぜ、簡易宿泊業には減免が無いのか。
 以前は住宅としての側面が強かったこともあり3/4減免の時代もあった。しかし、今の客層は他のホテル業を営む事業者と変わらず減免額が1/2に変更されるなら理解できる。
 なぜ、簡易宿泊業免許だけ減免が無いのか。この質問に関して明確な回答も今だにうけたことは無い。明らかに特定の業種だけに対しての不平等な税制では無いのか。
 法律で決まっているからの一言で全て棄却されているが、この考え方について市長の意見を是非お伺いしたい。
(2) 反論書における主張
 現在の簡易宿所における利用状況が、かつてのように、専ら日雇い労働者のための宿泊ではなく、ホテル営業と何ら変わらない利用がなされている。簡易宿所は、ホテルや旅館と違って、リーズナブルな価格で宿泊利用したいという人のニーズに答えるものとして、その利用価値があり、外国人観光者等の利用にも貢献している。大阪府における宿泊税においては、ホテル営業や旅館営業と同様に、簡易宿所営業もその対象となっている。現行の法律上、ホテル特例の対象から簡易宿所営業が除かれていることは知っているが、上記のことを鑑みると、なぜ、事業所税のホテル特例が簡易宿所にも適用されないのか。税制上何の違いがあるのか甚だ疑問を感じる。このような取扱いがされているのは、様々な税金の中でも事業所税のみであり、これは明らかに法律の不備であると思っている。
 上記のことから、ホテル特例が簡易宿所営業についても適用できるよう法律改正すべきと考えるが、法律の改正には時間がかかると思うので、せめて、それまでの間、大阪市独自で、簡易宿所に対する事業所税において、ホテル特例と同様の1/2を減免する制度を策定すべきである。減免申請しているのも、その観点で認めてもらえるはずだと考えているからである。
 法律というのは様々な解釈が可能であり、現行の法令上でも総合的に考えたら、適用が可能という拡大的な解釈ができるのではないかと思っている。よって、正しくない申告とは思っていない。例えば、担当者が変われば、解釈も変わり、適用してもらえることがあるのではと思っている。
 これは余談になるが、民泊に対して適正な課税ができていないのではないか。きちんと旅館業の許可を受けた事業者だけが厳しい課税を言われるのは不公平である。民泊に対しても、もっと厳格に課税を行っていくべきである。
2 処分庁の主張
(1) 事実の経緯
 審査請求人より提出された本件申告書において、審査請求人が事業を行っている「○○○○」と称する施設(以下「本件施設」という。)について、地方税法(以下「法」という。)第701条の41第1項第9号(ホテル・旅館用施設)に規定する課税標準の特例(以下「ホテル特例」という。)を適用し、算定期間を通じて使用された事業所床面積から、当該事業所床面積に2分の1を乗じて得た面積を控除して算出した事業所税資産割の課税標準が記載されていた。
 本件施設について、本市保健所における旅館営業許可を確認したところ、簡易宿所として営業許可がされていること、及び本市船場法人市税事務所課税担当(法人市民税・事業所税グループ)の担当職員による外観調査により、当該施設が現在も営業されていることの確認を行った。
 以上の状況を踏まえ、本件施設は簡易宿所であり、ホテル特例の適用がないことから、本件更正処分を行い、本件更正処分により増額した事業所税額に係る本件加算金決定処分を行った。
(2) 審査請求人の主張に対する弁明について
 審査請求人が事業を行っている本件施設は簡易宿所であり、本件申告書に係るホテル特例措置の適用はないことから、本件申告書に係るホテル特例措置の適用を否認し、法第701条の58第1項の規定に基づき本件更正処分を行ったものであり、本件加算金決定処分については、本件更正処分を行ったことにより、法第701条の61第1項の規定により増加した事業所税額を基にした過少申告加算金の基礎となる税額に過少申告加算金課率を乗じて算出し、行ったものであるため、適法である。
 なお、大阪市市税条例及び大阪市市税条例施行規則において、平成29年6月1日から平成30年5月31日までの事業年度に対する事業所税の減免措置の規定はない。
 以上より、審査請求人の主張は認められない。

第4 理由
1 本件に係る法令等の規定について
(1) 事業所税の課税標準について
 事業所税の課税標準は、資産割にあっては、課税標準の算定期間の末日現在における事業所床面積とされています(法第701条の40第1項)。
(2) 事業所税の課税標準の特例について
 旅館業法の一部を改正する法律(平成29年12月15日法律第84号)による改正前(以下「改正前」という。)の旅館業法第2条第2項に規定するホテル営業又は同条第3項に規定する旅館営業の用に供する施設で政令で定める施設に係る事業所等において行う事業に対して課する資産割の課税標準となるべき事業所床面積の算定については、当該施設に係る事業所等に係る事業所床面積(法第701条の34の規定の適用を受けるものを除く。)から当該施設に係る事業所床面積に2分の1を乗じて得た面積を控除するものとするとされており(改正前の法第701条の41第1項第9号)、同号の規定の適用を受ける事業であるかどうかの判定は課税標準の算定期間の末日の現況によるものとされています(法第701条の41第3項)。
 また、改正前の旅館業法第2条第2項には、「「ホテル営業」とは、洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。」と規定され、同条第3項には、「「旅館営業」とは、「和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。」と規定されています。
(3) 事業所税の更正について
 法第701条の31第1項第1号に規定する指定都市等(以下「指定都市等」という。)の長は、申告書の提出があった場合において、当該申告書に係る課税標準額又は税額がその調査したところと異なるときは、これを更正するとされています(法第701条の58第1項)。
 また、指定都市等の長は、更正した場合には、遅滞なく、これを納税者に通知しなければならないとされています(法第701条の58第4項)。
(4) 事業所税の過少申告加算金について
 申告書の提出期限までにその提出があった場合において、更正があったときは、指定都市等の長は、当該更正に係る税額に誤りがあったことについて正当な理由があると認める場合を除き、当該更正による不足税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算金額を徴収しなければならないとされています(法第701条の61第1項)。
2 本件加算金決定処分の適法性及び妥当性について
 審査請求人は、本件施設が簡易宿所であるにもかかわらず、改正前の法第701条の41第1項第9号に該当する施設であり、同号の課税標準の特例が適用されるとして、資産割の課税標準となるべき事業所床面積の算定に際し、本件施設に係る非課税対象床面積を控除した事業所床面積(以下「対象事業所床面積」という。)から対象事業所床面積に2分の1を乗じて得た面積を控除したうえで税額を算出し、本件申告書を提出しました。
 しかしながら、前記1(2)のとおり、同号に規定する施設とは、改正前の旅館業法第2条第2項に規定するホテル営業又は同条第3項に規定する旅館営業の用に供する施設とされており、同条第2項における「ホテル営業」とは、「洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。」とされ、同条第3項における「旅館営業」とは、「和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。」と定められています。
 この点、本件施設についてみると、処分庁は、本件施設が簡易宿所として営業許可がなされていること及び外観調査において現在も営業されていることの確認を行っていること、また、審査請求人も本件施設が簡易宿所であることを認めており、本件施設が簡易宿所であるという点について争いはないことから、本件施設が改正前の法第701条の41第1項第9号に規定する施設に該当しないことは明らかです。
 よって、本件施設には改正前の法第701条の41第1項第9号の課税標準の特例は適用されないため、本件申告書に係る課税標準額又は税額がその調査したところと異なるとして、法第701条の58第1項の規定に基づいて本件更正処分は適正になされており、本件加算金決定処分は、本件更正処分を受けて、法第701条の61第1項の規定に基づいて適正になされています。
3 その他の審査請求人の主張について
 審査請求人は、簡易宿所営業に係る事業所税に対して、ホテル特例の適用がないことや、減免が無いことに係る不服等を縷々主張していますが、前記2のとおり本件加算金決定処分は適正になされており、審査請求人の主張は、立法論の範疇に属するものであり、審査請求人が主張する事情によって本件加算金決定処分が違法性ないし不当性を帯びるとは認められません。

第5 結論
 以上のとおり、本件審査請求には理由がないため、行審法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断します。

答申書(令和元年度答申第5号)

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