答申書(令和元年度答申第6号)
2023年2月17日
ページ番号:482167
諮問番号:平成30年度諮問第22号
答申番号:令和元年度答申第6号
答申書
第1 審査会の結論
本件審査請求は棄却されるべきである。
第2 審査請求に至る経過
1 平成30年7月16日、大阪府A警察署(以下、「警察署」という。)から大阪市Bこども相談センター(以下、「処分庁」という。)へ身柄付通告があった。通告内容の主旨は以下の通りであった。
(1) 本事案は、審査請求人から、C、D及びE(以下、「本児ら」という。)やF(以下、「母」という。)が暴力を受ける旨の通報を受け、認知した、本児らへの身体的虐待事案である。本児らは、審査請求人、母とともに5人で暮らしている。平成30年7月15日、母が審査請求人からDVを受けている旨の申し立てがあり、本児らの居宅まで赴いたところ、母が、「私は旦那(審査請求人)からの暴力が怖くて、子どもら(本児ら)を連れて避難したい。子どもら(本児ら)も旦那(審査請求人)から暴力を受ける。」と述べたので、母ならびにE、Dを連れ、警察署へ避難させた。
(2) その一方で、同日付で、審査請求人ならびにCの帰宅を待ち、警察署で審査請求人から聴取した結果、審査請求人は、「躾の範囲で、子供ら(本児ら)には、暴力を振るいます。今日も子どもら(本児ら)がケンカするので、仲裁に入ったときに、下の子を押し倒しました。何が悪いんですか。」と怒号する状況であり、また、母の携帯電話機には、審査請求人が本児らに対して暴力を振るう状況を秘匿撮影した動画の記録が認められ、本児らへの身体的暴力が常態化していることが認められた。
(3) 日本語を話せない母は、審査請求人の本児らに対する身体的虐待を阻止できず、DV被害にもあっている状況下であり、審査請求人は、「母親に代わって育児をしている。躾の範囲で暴力を振るっている。」旨を申し立てているが、本児らの身体の安全を確保の上、保護者等関係機関との調整を図ることが重要と判断したことから本児らを身柄付通告する。
2 平成30年7月16日、上記通告を受け、処分庁が児童福祉法(昭和22年法律第164号)(以下、「法」という。)第33条に基づき、本児らの一時保護決定処分(大〇〇第〇〇号、同第〇〇号及び同第〇〇号)(以下、「本件処分」という。)を行った。
3 平成30年8月28日、審査請求人が大阪市長に対し、本件処分の取消しを求める審査請求をした。
第3 審理員意見書の要旨
本件審査請求についての審理員意見書の要旨は次のとおりである。
1 審査請求人の主張
審査請求人の妻である母こそ本児らに対する精神的及び身体的虐待を行っていたことはあっても、審査請求人においては、本児らに対して身体的虐待はもちろんのこと精神的な虐待を加えたことも断じて一切なく、真摯に子育てに励んできたことは明らかであり、審査請求人において本児らを引き取って養育する所存である以上、本件処分を行う理由は全くない。
2 処分庁の主張
(1) 本件処分については、警察署からの身柄付通告を受け、本児らに対する身体的虐待の疑いがあり、本児らの安全を確保し養育環境等の調査をする必要があるため、法第33条の規定に基づき適法に行ったものであり、妥当であると考える。
(2) また、本件処分以降、審査請求人は母や本児らへの暴力行為について否定し、母から本児らへの育児放棄、精神的及び身体的虐待があった旨を述べている。審査請求人は、母と本児らで審査請求人のもとへ戻ってきてほしいが、母が戻りたくないのであれば、本児らだけでも戻ってきてほしい旨を述べている。審査請求人は本児らの早期の家庭引き取りを希望しており、一時保護の長期化や施設入所には納得できないとの意向である。
(3) 一方、母は審査請求人から母や本児らへの暴力が日常的にあった旨を述べている。母は審査請求人と離婚し、本児らと〇〇に帰国したいと述べており、母が本児らを早期に家庭引取りすることを希望している。また、母は審査請求人と母との離婚協議に時間を要するのであれば、一時保護の長期化や施設入所に同意するとの意向である。
(4) 現在、審査請求人、母はそれぞれ各自への本児らの家庭引取りを希望しており、親権者の意向が対立している状況である。処分庁としては、引き続き本児らに対する養育環境等の調査が必要と考えており、平成30年9月7日、家庭裁判所に対し、法第33条第5項に基づく申立てを行い、引き続いての一時保護の承認を求め、平成30年9月19日付け、家庭裁判所より、引き続いての一時保護の承認を受けた。
(5) 以上により、本件請求に関しては棄却するとの裁決を求める。
3 審理員意見書の結論
本件審査請求には理由がないから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきである。
4 審理員意見書の理由
(1) 本件に係る法令等の規定について
法第33条第1項においては、「児童相談所長は、必要があると認めるときは、第26条第1項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。」と規定されている。
(2)
本件処分の違法性についての検討
本件処分は、処分庁が警察署からの身柄付通告を受け、本児らの安全確保の必要および、その心身の状況や養育状況などの調査を行う必要があると判断し、法第33条に基づく行政処分として処分庁が行ったものであり、手続きに瑕疵はなく、違法性はない。
(3) 本件処分の不当性についての検討
審査請求人の主張は「審査請求人においては、本児らに対して身体的虐待はもちろんのこと精神的な虐待を加えたことも断じて一切なく、真摯に子育てに励んできたことは明らかであり、審査請求人において本児らを引き取って養育する所存である以上、一時保護する理由は全くない。」とのことであるが、処分庁の主張から本件においては「養育環境等の調査をする必要があるため、法第33条の規定に基づき適法に行ったもの」と認められるものであり、本件処分が、社会観念に照らし著しく不合理なもので、処分庁に裁量権の逸脱又は濫用が認められるとはいえない。
第4 調査審議の経過
当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
平成31年3月1日 諮問書の受理
平成31年3月25日 審査請求人からの主張書面の収受
平成31年3月25日 調査審議(審査庁による口頭説明・処分庁による陳述)
平成31年4月25日 調査審議
令和元年5月23日 審査庁からの主張書面の収受
令和元年5月27日 調査審議
令和元年6月12日 審査庁からの主張書面の収受
令和元年6月13日 審査請求人からの主張書面の収受
令和元年6月18日 調査審議(審査請求人による口頭意見陳述)
令和元年6月25日 審査請求人からの主張書面の収受
令和元年7月11日 審査庁からの主張書面の収受
令和元年7月12日 調査審議
第5 審査会の判断の理由
1 本件に係る法令等の規定について
(1)
前記第3、4、(1)に記載の他、以下のとおりである。
(2) 法第33条第3項により、同条第1項による一時保護の期間は「当該一時保護を開始した日から2月を超えてはならない」ものとされているが、同条第4項により、「児童相談所長又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、引き続き第1項又は第2項の規定による一時保護を行うことができる」ものとされている。
ただし、同条第5項により、「引き続き一時保護を行うことが当該児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反する場合においては、児童相談所長又は都道府県知事が引き続き一時保護を行おうとするとき、及び引き続き一時保護を行った後2月を超えて引き続き一時保護を行おうとするときごとに、児童相談所長又は都道府県知事は、家庭裁判所の承認を得なければならない」ものとされている。なお、同項に基づく家庭裁判所の承認は、同裁判所による審判を以て行うこととされている(家事事件手続法第39条、同法別表第一の第128の2の項)。
また、同条第6項により、「児童相談所長又は都道府県知事は、前項本文の規定による引き続いての一時保護に係る承認の申立てをした場合において、やむを得ない事情があるときは、一時保護を開始した日から2月を経過した後又は同項の規定により引き続き一時保護を行った後2月を経過した後も、当該申立てに対する審判が確定するまでの間、引き続き一時保護を行うことができる」こととされている。
さらに、同条第7項により、同条第6項本文の規定により引き続き一時保護を行った場合において、同条第5項本文の規定による引き続いての一時保護に係る承認の申立てに対する家庭裁判所の審判が確定した場合の同項の適用については、「同項中『引き続き一時保護を行おうとするとき、及び一時保護を行った』とあるのは、『引き続いての一時保護に係る承認の審判が確定した』とする」ものとされている。
2 争点について
審査請求人及び処分庁の主張を踏まえると、本件審査請求における争点は次のとおりである。
(1) 本件処分を行ったことについて違法又は不当な点があるか否か(争点1)
(2) 本件処分を現在まで継続していることについて違法又は不当な点があるか否か(争点2)
3 争点1に係る審査会の判断について
(1) はじめに
前記第2、2のとおり、本児らへの身体的虐待が疑われる旨の警察署からの通告を受けて処分庁が行った本件処分につき、審査請求人は、少なくとも同人においては、本児らに対して身体的虐待はもちろんのこと精神的な虐待を加えたことも断じてなく、真摯に子育てに取り組んできたものであるから、本件処分には理由がなく、違法である旨主張する。そこで、当審査会では、まず、処分庁が本件処分を行ったことについて、違法又は不当な点があるか否かという点につき、検討を行った。
(2) 一時保護の要件について
前記第3、4、(1)のとおり、法第33条第1項は、児童相談所長が「必要があると認めるとき」に一時保護を行うことができる旨を定めている。
また、「一時保護ガイドラインについて(平成30年7月6日子発0706第4号厚生労働省子ども家庭局長通知)」において提示されている「一時保護ガイドライン」(以下、「ガイドライン」という。)では、「一時保護の判断を行う場合は、子どもの最善の利益を最優先に考慮する必要がある。」(ガイドラインⅡ-1)としつつ、「特に児童虐待対応においては、対応が後手に回ることで、子どもの生命に危険がおよぶ可能性があることから、子どもや保護者の同意がなくとも、子どもの安全確保が必要な場面であれば、一時保護を躊躇なく行うべき」(ガイドラインⅡ-2-(1))とされている。
さらに、「子ども虐待対応の手引き(厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課作成、平成25年8月改正版)」(以下、「手引き」という。)においても、「単に生命の危険にとどまらず、現在の環境におくことが子どもの安全な家庭生活を確保する上で明らかに問題があると判断されるときは、まず一時保護を行うべきである」(手引き99頁)、「必要とされる場合は、躊躇せず一時保護を行い、その上で虐待の事実等を調査するということが子どもの最善の利益にかなう」(手引き99頁)、「虐待によって子どもの安全が脅かされている疑いがある場合には、一時保護を積極的に活用することが期待されている」(手引き105頁)、「保護者の反発が激しいから、子ども本人の同意が得られないからと言って一時保護をためらってはならない」(手引き105頁)などとされている。
以上のことを踏まえると、子どもに対する虐待が疑われる場面においては、児童相談所等が一時保護の措置を積極的に活用し、虐待の事実を確定することに先んじて速やかに子どもの安全を確実に確保することが、法的にも想定されているといえる。
(3) 本件処分について
本件処分は、前記第2、2のとおり、本児らに対する審査請求人からの身体的虐待が疑われる旨の警察署からの通告を契機とするものであるところ、同通告が、実際に本児らを自宅から速やかに保護し、本児らや母、審査請求人より直接事情の聴取を行ったうえで、「本児らの身体の安全を確保の上、保護者等関係機関との調整を図ることが重要」と判断したうえでのものであるという点に照らせば、このような通告を受けた処分庁として、本件につき審査請求人による本児らへの児童虐待を疑い、かつ、本児らに対する危険性が切迫したものと評価したとして、何ら不合理な点はないというべきである。
さらに、前記第5、3、(2)でも指摘した一時保護の制度の趣旨、目的等に照らせば、上記通告を受けた処分庁としては、むしろ、本児らに係る最悪の事態を想定したうえで、速やかに本件処分を行うべき状況にあったといえる。
したがって、処分庁が本件処分を行ったことについて、何ら違法又は不当な点はないというべきである。
4 争点2に係る審査会の判断について
(1) はじめに
これまでの調査審議によれば、処分庁は、以下のとおり、本件処分を継続していることが認められる。
ア 平成30年7月16日 処分庁による本件処分
イ 平成30年9月16日以降 処分庁による本件処分の継続(1回目)
平成30年9月19日 同継続に係る大阪家庭裁判所による承認の審判
(大阪家庭裁判所平成30年(〇〇)第〇〇号外2件)
平成30年10月5日 同審判の確定
ウ 平成30年12月5日以降 処分庁による本件処分の継続(2回目)
平成30年12月12日 同継続に係る大阪家庭裁判所による承認の審判
(大阪家庭裁判所平成30年(〇〇)第〇〇号外2件)
平成30年12月29日 同審判の確定
エ 平成31年3月1日以降 処分庁による本件処分の継続(3回目)
平成31年3月18日 同継続に係る大阪家庭裁判所による承認の審判
(大阪家庭裁判所平成31年(〇〇)第〇〇号外2件)
平成31年4月26日 同審判に係る大阪高等裁判所による即時抗告棄却決定
(大阪高等裁判所平成31年(〇〇)第〇〇号)
令和元年5月10日 同審判の確定
上記のとおり、処分庁が本件処分を順次継続していることについて、審査請求人は継続行為をそれぞれ別個の行政処分として捉えたうえで、継続行為それぞれには何ら理由がなく、違法であるから、当該処分を取消す旨を求めている。そこで、当審査会では、本件処分の継続についての処分性の有無(争点2-①)、並びに、処分庁による本件処分の継続につき違法又は不当な点があるか否かという点(争点2-②)について、各々検討を行った。
(2) 争点2-①に係る審査会の判断について
ガイドラインのⅡ-2-(1)において、「一時保護は行政処分」であるとされているが、ガイドラインのⅡ-5-(2)アにおいて、「一時保護の継続は新たな行政処分ではない」とされている。また、法第33条第5項に基づく一時保護の継続について、独自の行政処分たることを特に認める法令上の規定も見当たらない。よって、本件処分を継続することは、独自の行政処分としての性質を有するものとは認められない。
もっとも、審査請求人の主張には、実質的には、本件処分を継続させたまま解除しないという処分庁の不作為が、違法又は不当であるとの趣旨を含んでいるとも考えられる。また、一時保護は本来暫定的なものであることから、これを解除すべき事情が生じたにもかかわらず継続させたような場合には、そのこと自体が違法性ないし不当性を帯びる場合があると考えられる。そこで、以下、このことを前提に、処分庁が本件処分を解除していないことにつき違法または不当な点があるかという点について検討する。
(3) 争点2-②に係る審査会の判断について
ア 一時保護の継続に係る家庭裁判所の承認の趣旨
前記第5、1、(2)のとおり、法第33条第5項は、一時保護の継続につき、家庭裁判所の承認を要するものと定めるとともに、同承認は家庭裁判所による審判を以て行うものとされている。
このように、法が一時保護の継続を家庭裁判所の審判による承認に係らしめた趣旨として、ガイドラインのⅡ-5-(2)アによれば、「一時保護は、親権者等(親権を行う者又は未成年後見人をいう。以下同じ。)の意に反しても行政の判断によって子どもを保護することができる強い権限であるため、その権限行使の適正性を担保する仕組みが必要であることから、平成29年6月21日に公布された『児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律』により、2か月を超えて一時保護を継続することが当該子どもの親権者等の意に反する場合には、引き続き一時保護を行おうとするとき、及び引き続き一時保護を行った後2か月を経過するごとに、児童相談所長又は都道府県知事は、家庭裁判所の承認を得なければならないこととされた」とされている。
また、前記第5、4、(1)、エに係る大阪高等裁判所の決定においては、「家庭裁判所が、同条(法第33条)第5項に基づき、引き続いての一時保護を承認するためには、児童の安全を確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため必要があると認められる場合であることを要するものと解される」とされている。
以上によれば、法第33条第5項において、家庭裁判所(審判に対する抗告が為された場合には高等裁判所)は、一時保護の継続に関する適法性の判断を通じて、一時保護を解除すべき必要性が生じていたか否かを実質的に判断することが予定されていると言え、同審判を以て一時保護の継続が承認されることにより、同審判の確定日時点で、児童相談所長等が一時保護を解除せず、以降も継続させることが適法であることが、担保されることになるものというべきである。
もっとも、同審判の確定日以降、同審判において一時保護を解除しないことが適法とされた根拠となる事情が消滅する等の事情の変更や、処分の継続をすべきでない新たな事情等が生じた場合には、児童相談所長等において、速やかに一時保護を解除する必要があるというべきである。
イ 審査会での調査審議終結日(令和元年7月12日)までの一時保護の継続について
前記第5、4、(1)、エのとおり、平成31年3月1日以降の一時保護の継続について家庭裁判所が承認をした審判は、令和元年5月10日を以て確定している。したがって、令和元年5月10日において、処分庁が本件処分を解除せずに継続させていることが適法であることは明らかであるし、その他不当とみるべき点も特段見受けられない。
また、前記第5、4、(1)、エに係る大阪高等裁判所の決定では、平成31年3月1日以降の一時保護の継続が必要であると判断した理由として、「抗告人(審査請求人)と母は、婚姻関係(離婚)及び児童らの監護者の定めを激しく争っており、大阪家庭裁判所において、夫婦関係調整調停申立事件及び審判前の保全処分申立事件がそれぞれ係属している状況にあるのであって、同裁判所によって監護者等が定められていない現時点において、原審申立人が、抗告人(審査請求人)と母のいずれかに児童らを引き渡した場合、引渡しを受けた者と引き渡しを受けられなかった者との間で、紛争がますます激化し、児童らが父母である抗告人(審査請求人)と母との葛藤にさらされることによって、その安全が脅かされたり、適切な保護を受けられないおそれが多分にあるものと認められる」、「原審申立人が、自らの判断で、児童らを抗告人(審査請求人)又は母に引き渡し、それが後の監護者指定の審判等における監護権者等と異なるものであった場合、監護の継続性が損なわれたり、児童らの引渡しなどをめぐってさらに紛争となり、児童らの安全や適切な保護が害されるおそれもあるというべきである」ことが挙げられている。
この点、審査会での調査審議終結日である令和元年7月12日時点においても、審査請求人と母との間では、依然として、上記裁判所が指摘する夫婦関係調整調停申立事件等が係属しているところであり、本児らに係る監護者等の指定も為されていないままであることから、同裁判所が指摘した本件処分を継続すべき必要性は、上記7月12日時点においても未だ解消されていないと言わざるを得ない。
したがって、令和元年5月10日以降、同年7月12日までの事情からは、本件処分を解除すべき事情は見受けられず、処分庁が本件処分を継続していることにも何ら違法な点はないし、その他不当というべき点も見受けられない
5 小括
以上のとおり、処分庁が本件処分を行ったこと、並びに本審査会の調査審議の終結日である令和元年7月12日まで本件処分を解除せずに継続させていることについて、違法又は不当な点は認められない。
6 審査請求に係る審査手続について
本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
7 結論
よって、本件審査請求は理由がないと認められるので、当審査会は、第1記載のとおり判断する。
(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
大阪市行政不服審査会総務第1部会
委員(部会長) 田中宏、委員 片桐直人、委員 北川豊
答申書(令和元年度答申第6号)
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