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答申書(令和元年度答申第17号)

2022年12月22日

ページ番号:502526

諮問番号:令和元年度諮問第15号
答申番号:令和元年度答申第17号

答申書

第1 審査会の結論
 本件各審査請求は、棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 審査請求人は、平成29年○月○日に確定した離婚等請求事件に係る判決(以下「本件判決」という。)により元夫である○○○○(以下「代表者」という。)と離婚し、代表者と共有していた別紙物件目録記載の土地及び家屋(以下「本件不動産」という。)の審査請求人の持分(2分の1)を代表者に対して財産分与した。
 また、代表者は上記財産分与を原因とする単独名義の所有権移転登記を経由していない。
2 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、本件不動産に係る平成29年度分、平成30年度分及び令和元年度分の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」といい、以下、各年度分の固定資産税等を併せて「本件各固定資産税等」という。)について、それぞれ当該年度の当初に代表者に対して、納税通知書を交付することにより、各賦課決定処分をした。
3 本件各固定資産税等について、各納期限までに納付がなかったため、処分庁は、令和元年9月20日付けで、本件不動産の共有者である審査請求人に対して、納税通知書を交付することにより、本件各固定資産税等に係る各賦課決定処分(以下「本件各処分」という。)をした。
4 審査請求人は、令和元年10月17日、大阪市長に対して、本件各処分を不服として、審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 本件判決により、本件不動産の共有持分権は本件判決確定日に代表者に移転している。
 実質的に考えても、不動産の権利や価値を把握している者が税等、物件から発生する費用を負担すべきところ、審査請求人は本件不動産の権利や価値を本件判決により喪失している。
 本件不動産に係る所有権移転登記は、登記義務者である審査請求人一人では実現できないところ、一方、登記権利者である代表者は本件判決をもって単独で登記できる。また、所有権移転登記には、登記費用がかかるところ、登記義務者である審査請求人にそれを負担させ、また、負担しなければ本件各固定資産税等の支払をしなければならないとするのは不当、不合理である。
 以上より、本件各固定資産税等の支払義務を負うのは代表者であり、審査請求人への請求は法解釈に誤りがある。
(2) 審査請求人は現在失業しており、失業保険ももらっておらず、代表者から○年○か月養育費ももらえていない。貯金を切り崩しながら生活し、就職するため面接へ行っている。何十万も払えない。
 平成29年度なら代表者は会社に行っていたし、なぜ法律上、差押えに係る手続は10日後と書いてあるのにされなかったのか。代表者は実家のある○○にいるのに、なぜ請求せず、たとえ○○にいたとしても預金等の口座を差し押さえることができるのではないか。
 無職で3人の子を育てている審査請求人にどうして請求するのか。お金を持っている、代表者にまず請求すべきではないか。
(3) 市区町村は、納付期限が過ぎても固定資産税が納付されない場合、20日以内に督促状を発送しなければならず、督促状を発送し、10日を経過しても納付されない場合、納税義務者の財産を差し押さえなければならないと定められている。市税事務所は、職務をしなかった。代表者には退職後、退職金が銀行に振り込まれていたのにもかかわらず、放置された。なぜ、差し押さえ、税金を支払わせなかったのか。
(4) 法によれば、権利がないのに義務など存在しない。市税事務所の言うとおりならば、審査請求人に権利があることになり、市税事務所は裁判所の判決に従わないことになる。現に審査請求人は、本件不動産の権利を放棄したから、代表者から強制執行により財産の分与分を支払ってもらっている。
2 処分庁の主張
(1) 処分庁においては、共有物に係る固定資産税等の納税通知書を代表者にのみ送付しているが、滞納となった場合には代表者以外の共有者に対して、納税の告知を行う必要があることから、審査請求人に対し、令和元年9月20日付けで本件各処分を行った。
(2) 固定資産税は固定資産の所有者に課するとされ(地方税法(以下「法」という。)第343条第1項)、その所有者とは、土地又は家屋については登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいう。また、都市計画税を課することができる所有者とは、当該土地又は家屋に係る固定資産税について法第343条において所有者又は所有者とみなされる者をいうとされている(法第702条第2項)。
 したがって、土地及び家屋の所有権を有する者であるか否かにかかわらず、所有権を喪失していたとしても、賦課期日現在において、登記簿上所有者となっている場合は、当該登記簿上の所有者が納税義務者となる。
 また、賦課期日現在、登記簿に所有者として登記されていた者が、後になって真実の所有者でなくなったとしてもその者に対してなされた固定資産税の賦課処分は適法であり、したがって、既になされた賦課処分の取消しをすることはできないと示されている(昭和32年7月18日自丁市発第122号及び昭和38年7月2日自治丁固発第72号)。
 よって、本件判決により本件不動産の財産分与が確定されているものの、確定内容に応じた登記簿上の所有権移転登記がされていないことから、平成29年度、平成30年度及び令和元年度の納税義務者は、各年度の賦課期日時点の登記簿上所有者である代表者と審査請求人になる。
(3) 審査請求人からの、「所有権移転登記を審査請求人単独では行うことができず、登記費用を審査請求人が負担し、所有権移転登記を行わなければ、納税の義務を負うというのは不当、不合理である」旨の主張については、本件各処分の違法性に直接関係するものではない。
(4) 共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負うとされている(法第10条の2第1項)。また、地方団体の徴収金の連帯納付義務については、民法第432条から第434条まで、第437条及び第439条から第444条までの規定を準用することとされている(法第10条)。
 したがって、審査請求人は徴収金を連帯して納付する義務を負っており、審査請求人が主張するように、他の登記簿上所有者である代表者のみを納税義務者として認定することはできない。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件各審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
(1) 本件各処分の適法性について
 審査請求人は、本件判決をもって、本件不動産の共有持分権は本件判決確定日に代表者に移転しており、審査請求人に対して本件各固定資産税等を請求するのは法解釈に誤りがある旨主張している。
 しかしながら、法第343条及び第702条第2項において、固定資産税等の納税義務者は、登記簿等に所有者として登記等されている者とされている。これは、課税庁は、課税の対象となる多数の固定資産につき限られた人員で短期間に徴税事務を行わなければならないところ、私法上の所有権の帰属の判定には困難が伴うことから、徴税の便宜を図る必要があるという理由によるものであると解されており(横浜地方裁判所平成12年2月21日判決、最高裁判所昭和30年3月23日大法廷判決(以下「最高裁昭和30年大法廷判決」という。)同旨)、私法上の法律関係における真の所有権を有するか否かによって、固定資産税等の納税義務者が認定されるものではない。
 本件不動産の登記事項全部証明書によると、本件各処分の各賦課期日現在における登記簿上の所有者(共有者)は、代表者と審査請求人であることが確認できるので、本件各処分に係る固定資産税等の納税義務者は代表者と審査請求人となる。
 また、法第10条の2第1項及び法第10条により準用される民法第432条の規定のとおり、共有物等に対する地方団体の徴収金は、納税義務者が連帯して納付する義務を負うとされ、地方団体は、その連帯納税義務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯納税義務者に対し、徴収金の全部又は一部の履行を請求することができるとされているので、審査請求人に対する本件各処分は適法である。
 さらに、法第17条の5第5項の規定のとおり、賦課決定の期間制限に照らしても本件各処分は適正になされている。
 以上により、本件各処分は適正である。
(2) その他の主張について
 審査請求人は、代表者に対して本件各固定資産税等を請求し、差押えを行うべきである旨等主張しているが、上記(1)のとおり、本件各処分は適正になされており、これらの主張は、直接本件各処分の違法性又は不当性に影響を及ぼすものではないため、審査請求人の主張は採用することができない。
(3) 上記以外の違法性又は不当性についての検討
 他に本件各処分に違法又は不当な点は認められない。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件各審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  令和2年2月21日 諮問書の受理
  令和2年2月28日 調査審議
  令和2年3月17日 調査審議

第6 審査会の判断
1 関係法令等の定め
(1) 固定資産税等の賦課期日について
 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする(法第359条及び第702条の6)。
(2) 固定資産税等の納税義務者について
ア 固定資産税は、固定資産の所有者に課し(法第343条第1項)、その所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいう(同条第2項)。
イ 都市計画税を課することができる所有者とは、当該土地又は家屋に係る固定資産税について法第343条において所有者とされ、又は所有者とみなされる者をいう(法第702条第2項)。
(3) 連帯納税義務について
ア 地方団体の徴収金の連帯納付義務又は連帯納入義務については、民法第432条から第434条まで、第437条及び第439条から第444条までの規定を準用する(法第10条)。
イ 共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う(法第10条の2第1項)。
ウ 数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる(民法第432条)。
(4) 固定資産税等の徴収の方法等
ア 固定資産税の徴収については、普通徴収の方法によらなければならない(法第364条第1項)。
イ 普通徴収とは、徴税吏員が納税通知書を当該納税者に交付することによって地方税を徴収することをいう(法第1条第1項第7号)。
ウ 都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、特別の事情がある場合を除くほか、固定資産税の賦課徴収とあわせて行うものとする(法第702条の8第1項)。
2 争点等について
(1) 審査請求人が本件各固定資産税等の支払義務を負うか
 審査請求人は、本件判決により、本件不動産の共有持分権は本件判決確定日に代表者に移転しているため、本件各固定資産税等の支払義務を負うのは代表者であり、審査請求人に対して本件各固定資産税等を請求するのは法解釈に誤りがある旨主張する。
 しかしながら、上記1(1)及び(2)のとおり、地方税法は固定資産税の納税義務者を決定するのに課税の便宜のため形式的な標準を採用しており、固定資産税等の賦課期日であるその年の1月1日現在において、登記簿に登記されていれば、それだけで固定資産税等の納税義務者として法律上確定されるというべきである(最高裁昭和30年大法廷判決)。
 また、上記1(2)及び(3)イのとおり、共有物に対する固定資産税等は納税者が連帯して納付する義務を負うところ、上記1(3)ウのとおり、債権者である地方団体は、順次にすべての連帯債務者に対し、連帯債務の全部の履行を請求することができるから、当該固定資産税等を請求された納税者は、その全部を納付する義務を負う。
 これを本件についてみると、上記第2、1のとおり、本件各固定資産税等の賦課期日において、代表者及び審査請求人が本件不動産に係る所有者として登記されており、本件各固定資産税等の納税義務者は代表者及び審査請求人であると認められるから、審査請求人は本件不動産に係る本件各固定資産税等の支払義務を負う。この理は、賦課期日において登記簿の記載とは異なり、審査請求人が本件不動産に係る共有持分権を現に有していなかったとしても変わるところはない。
 したがって、審査請求人の上記主張は認めることができない。
(2) 連帯納税義務者への納税通知書の交付について
 審査請求人は、本件各固定資産税等については、審査請求人に請求するのではなく、代表者へまず請求すべきである旨主張する。
 しかしながら、上記1(3)のとおり、共有物に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負い、数人が連帯債務を負担するときは債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができるとされ、また、上記1(4)のとおり、固定資産税等の徴収については、普通徴収の方法によらなければならず、普通徴収とは、徴税吏員が納税通知書を当該納税者に交付することによって地方税を徴収することをいうとされている。
 これを本件についてみると、共有物である本件不動産に対する固定資産税等については、代表者及び審査請求人が連帯して納付する義務を負うこととなり、この場合、処分庁は代表者若しくは審査請求人の一人に対し、又は同時に若しくは順次に代表者及び審査請求人に対し、全部又は一部の履行の請求をすることができることから、処分庁が本件各固定資産税等の連帯納税義務者である審査請求人に納税通知書を交付し、本件各処分を行ったことに違法又は不当な点は認められない。
(3) その他の審査請求人の主張について
 審査請求人は、審査請求人自身が現在失業しており、生活に困窮している旨や代表者に対して督促を行い、預金の差押えといった滞納処分を行うべきである旨等主張しているが、それらの主張は本件各処分の違法性又は不当性に関する主張とは認められないため、採用することはできない。
3 審査請求に係る審理手続について
 本件各審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
4 結論
 よって、本件各審査請求には理由がないものと認められるので、当審査会は第1記載のとおり答申する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第1部会
 委員(部会長)佐藤善恵、委員 永井秀人、委員 秋山利元

別紙物件目録 省略

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