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答申書(令和2年度答申第3号)

2023年2月17日

ページ番号:507106

諮問番号:令和元年度諮問第14号
答申番号:令和2年度答申第3号

答申書
第1  審査会の結論
 本件審査請求は棄却されるべきである。

第2  審査請求に至る経過
1 平成〇〇年〇〇月〇〇日、大阪市〇〇区〇〇丁目〇〇にある建物(以下「本件施設」という。)について、〇〇〇〇〇(以下「事業者」という。)が、国家戦略特別区域法(平成25年法律107号。以下「法」という。)第13条1項に基づき、大阪市長(以下「処分庁」という。)に対して、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に係る特定認定(以下「特定認定」という。)の申請(以下「本件申請」という。)を行った。
2 令和〇〇年〇〇月〇〇日、処分庁は、本件申請に対し、法第13条第3項に基づき、特定認定処分(以下「本件処分」という。)を行った。
3 令和元年5月29日、審査請求人が大阪市長に対し、本件処分の取消しを求める本件審査請求をした。

第3  審理員意見書の要旨
 本件審査請求についての審理員意見書の要旨は次のとおりである。
1 審査請求人の主張
 本件処分の取消しを求める。その理由は、次のとおりである。
(1) 審査請求人の健康被害について
 特定認定がなされた建物の至近距離にあった民泊施設で、〇〇〇〇〇事件が平成〇〇年にあり、事件から〇〇年と少ししか経過しておらず、当時の記憶がまだ鮮明に残る状況で特区民泊が開始されることにより、平穏かつ安寧な生活を送ることができなくなった。また、審査請求人の1人はかかりつけの病院からは、〇〇〇〇〇とする診断書が提出されるなど健康で文化的な生活が送れなくなった。
 また、大阪市健康局の運営方針における「局の使命」では、「全ての市民が健康で安心して生活がおくれるよう、健康危機から市民を守るとともに、市民ひとりひとりの健康意識を高め、主体的に健康づくりに取り組めるような環境づくりを支援することにより健康寿命の延伸をはかる。」とされているが、本件処分は、健康危機から市民を守るどころか、逆に悪化をさせている。
(2) 要望書に対する事業者及び大阪市保健所の対応について
ア 民泊事業に対する事業者との溝を埋めるため、事業開始後の懸念点及びトラブルについて、2度にわたり事業者に要望書を提出し、いずれも事業者から回答を得たものの、令和〇〇年〇〇月〇〇日付けの要望書(3回目)については未だに回答がなく、住民としては、民泊事業の開始後に予想される様々な問題や質疑に対して、事業者からの回答に納得するに至っていない。
イ 大阪市保健所から事業者に対する要望・質疑を行っている間は、すぐに認定することはないとの助言を受け、事業者に対する要望・質疑を行うこととなった。そのため、事業者への要望・質疑や、事業者からの回答は、随時、処分庁へ提出していたが、大阪市保健所は3回目の要望書に対する回答がないことを知りながら、「住民と事業者との間での質疑はし尽した」ことを理由として、特区民泊の特定認定を行った。しかし、処分庁からの弁明書では、本請求の審理に不利益とならないように、あえてその事実を記載していない。
 加えて、生活権を守るための要望や問い合わせについて、大阪市保健所は事業者が誠意のない回答を行ったことを把握しているにもかかわらず、本件処分が行われたことについて、処分庁は当該施設の近隣住民の不利益よりも申請者である事業者の利益を恣意的に優先しているのではないか疑われる。
(3) 裁量権の濫用・逸脱について
ア 事業者は、施設の所有者や賃借人でもなく、宿泊客へ賃貸する権原を持たない(無権限で他人物を賃貸する)状況下で申請を行ったが、法第13条第1項に規定する国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の特定認定等に係る審査基準(以下「審査基準」という。)2(9)においては、「特定認定を受けようとする者が施設の賃借人又は転借人である場合」の添付書類が、また、審査基準2(10)においては「施設が建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第2条第1項に規定する区分所有権の目的である建物の部分の場合」の添付書類がそれぞれ定められている。
 処分庁は、「審査基準に則り、当該施設を特区民泊の用に供することが当該規約に違反していないことを証する書面を求め、特定認定を受けようとする施設において民泊事業の実施を禁止していないことを確認している。」と主張するが、本件処分の場合、事業者は施設の賃借人または転借人ではなく、審査基準2(9)は適用されず、また、当該施設は区分所有権の目的である建物の部分であるが、規約が定められていないため、同基準2(10)も適用されない。
 さらに、審査基準2(9)の趣旨は、民法第612条第1項で定める「転貸の制限」を回避するために存在しているが、本件については、賃借人との間で賃貸(転貸)借契約を締結しておらず、同基準2(9)は適用されない。
 よって、本件処分を行う上で適用されない審査基準の確認を行うものであり、かかる事項の確認を行ったとしても特定認定を行う上では、何ら影響を及ぼさない。
 また、処分庁は、「所有者及び賃貸人からの使用承諾書に加え、申請者の使用権原の確認を行うため業務委託契約書の提出を求め記載内容を確認した。その結果、事業者が当該施設において民泊事業を実施することを禁止する規定がないため審査基準に適合したものと判断した」と主張するが、当該確認行為は、国家戦略特別区域法施行令(平成26年政令第99号。以下「政令」という。)など特区民泊関連法規のいずれの規定にも存在せず、規定外の確認行為により、審査基準に適合しているものと判断したとの主張は、裁量権の逸脱・濫用に値する。
イ  処分庁は、再弁明書において「要件に定めのない事由で取り消すことはできない」と裁量権が無いと解釈できる主張を行っている。その反面、申請者が施設の所有者又は賃貸人ではない場合の規定がない状況下で、認定要件を類推適用し、規定外の確認を行い、民泊事業の実施を禁止していないことを理由に本件処分を行った。これは、ある場面では裁量権を行使し、また別の場面では裁量権が無いと主張しており、恣意的に裁量権を濫用している。
 また、法第13条第4項において、旅館業法第3条第1項を適用除外とする規定はあるが、それ以外では、他の法律を適用除外とする規定は存在せず、処分庁の裁量によって、他の法令を適用除外にすることができる旨の規定も存在しない。よって、民法の賃貸借を適用除外として行った本件処分は、裁量権を逸脱している。
(4) 事業者の適格性について
 施設の所有者や賃借人でもない者が特定認定を受けていることから、建物の使用権原の問題や、宿泊客から受領した宿泊代金(賃料)の債権が委託者若しくは事業者に帰属するのか等、様々な面で権利関係が複雑な状態となっている。
 また、当該事業者は、原則、宿泊客に対して施設を賃貸できないため、政令第13条第5号で定める「必要な役務」が提供できない。加えて、法を所管する内閣府地方創生推進事務局からは、所有権や賃借権がある者が事業を行うことを想定している旨回答を得ており、東京都大田区からも、賃借人と事業者の間で転貸借契約が必要であり、事業者は、当該建物についての転貸(賃貸)借契約書の提出が必要(認定要件)である旨回答を得ている。
 よって、処分庁は「特定認定を受けることができる事業者として、物件の所有者や賃貸人に限定する規定ない」と主張しているが、特区民泊関連法規に明文化されていないだけであって、これ以外の法律(今回の場合であれば民法)に違背することが許されることにはならない。
(5) 「適切な説明」について
 政令第13条第7号の定めとは、周辺住民に対し、単に「通知」することを要件としているものではなく、周辺住民に何らかの影響があることを予想し、事業開始までに周辺住民に対する事前説明を義務付けているものである。これは、予め事業者と周辺住民との間に接点を設けることにより、事業者にとっては、周辺住民へ事業開始の理解と協力を求められることであり、周辺住民にとっては、無断で事業開始されることを防ぎ、事業内容や事業者の体制、住民への配慮等の詳細につき、事業者から説明を受け、要望があればそれらを伝え、これまでの生活環境が害されることのないように紛争の予防を図る権利を与えていることであると考える。
 よって、大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する要綱(以下「要綱」という。)第7条で定める説明会の開催または戸別訪問の実施という形式的な条件を満たしたというだけでは、政令第13条の趣旨に鑑みれば「適切な説明」が行われたとは到底認められない。
 加えて、苦情及び問い合わせが主たる内容である要望書に対する回答が不誠実であり、適切な説明はおろか、政令第13条第8号で定める「適切かつ迅速」に処理が行われていないことは明白な事実である。
(6) その他
 行政書士でない者が、業として他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成することは、特段の定めがある場合を除き、行政書士法違反となる。本件処分に係る申請において、事業者(受託者)が報酬を得て特定認定の申請を行っていれば、行政書士法違反の疑いがある。
2 処分庁の主張
 本件審査請求の棄却を求める。その理由は、次のとおりである。
(1) 特区民泊にかかる法規制について
 特区民泊の特定認定とは、法第13条で定められた特区民泊を行うとする者が特定認定を受けることを言い、この特定認定を受ける要件は、政令第13条において、その運用については、厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則(平成26年厚生労働省令第33号。以下「省令」という。)において、それぞれ定められている。
 本市においては、法を運用するために、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例(平成28年大阪市条例第3号。以下「条例」という。)、大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する規則(平成28年大阪市規則第149号。以下「規則」という。)、要綱、審査基準を定めている。
(2) 裁量権の濫用・逸脱に対する反論
 審査請求人は、「事業者は施設につき賃借人や転借人に該当しないため、提出された承諾書には法的拘束力が無い。事業者が施設の所有も賃借もしていない場合、賃貸借権原を持たない他人物を宿泊客に賃貸することは不安定な権利関係のうえで事業を行うことになり、事業を行う者として不適格である。大阪市保健所は、特区民泊関連法規を理解しようとせず、逸脱した判断をしている。」と主張している。
 特区民泊の特定認定を行う際、申請者が政令第13条第5号の「外国人旅客の滞在に必要な役務が提供されること。」の要件の履行が可能である旨、民泊事業の用に供する施設の管理規約や賃貸借契約に違反しないこと及び貸主の同意が得られていることを確認する必要がある。そのため、審査基準2(9)及び(10)で定められた書面を求め、特定認定を受けようとする施設において、民泊事業の実施を禁止していないことを確認している。
 本案件については、事業者が施設の賃借人から民泊事業の運用業務を委託された者であるため、賃貸借契約書の写し並びに当該施設の所有者及び当該契約書に係る賃貸人からの使用承諾書に加え、申請者に使用権原の確認を行うため業務委託契約書の提出を求め記載内容を確認した。その結果、事業者が当該施設において民泊事業を実施することを禁止する規定がないため審査基準に適合したものと判断した。
(3) 事業者の適格性について
 審査請求人は、「特区民泊関連法規では、事業者は施設とする建物を所有しているか、賃貸借契約にて賃借しているかのいずれの場合しか想定されていない。」と主張している。事業者は賃借人から民泊の運用業務を委託された者であるが、法第13条及び認定要件を定める政令第13条とも、特定認定を受けることができる事業者として、物件の所有者や賃貸人に限定する規定はなく、また、条例や規則においても運用業務を委託される者を排除する規定はない。
 また、法第13条第3項では「特定認定の申請に係る事業が第1項の政令で定める要件に該当すると認めるときは特定認定をするものとする。」と規定されている。
 したがって、本件処分が適正であるか否かは、政令で定める要件に該当するか否かについて検討すべきであり、認定要件に定めのない事由により本件処分の取消しを行うことはできない。
(4) 適切な説明の確認について
 特区民泊の特定認定を受けるための要件の1つとして、政令第13条第7号において、施設の周辺住民に対し、当該施設が特区民泊事業の用に供されるものであることについて、適切な説明が行われていることと定められている。ここで定める適切な説明として、本市では省令第10条の3で定める周辺住民に対し、要綱第7条に定める方法により実施することを求めている。
 本案件については、事業者が事業実施前に苦情等の窓口の連絡先や廃棄物の処理方法など要綱第7条で定める必要な事項を記載した書面により、省令第10条の3で定める周辺住民への戸別訪問を実施するとともに、住民の求めに応じて、説明会を開催していることが認められた。これらの状況を勘案し、本件は政令第13条第7号を満たしているものと判断した。
3 審理員意見書の結論
 本件処分は妥当な判断であり、審査請求を行う理由が見受けられないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却すべきである。
4 審理員意見書の理由
(1) 本件に係る法令等の規定について
ア 特区民泊については、法第13条第1項により、「外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき一定期間以上使用させるとともに当該施設の使用方法に関する外国語を用いた案内その他の外国人旅客の滞在に必要な役務を提供する事業」とされ、同条第3項により、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下「都道府県知事」という。)は、特定認定の申請に係る事業が第1項の政令で定める要件に該当すると認めるときは、特定認定をするものとするとされている。
 また、政令第13条において、第1号から第9号の各号に具体的な認定要件が定められている。
イ 処分庁では、特区民泊の認定を行うにあたり、行政手続法(平成5年法律第88号)に基づく審査基準を定め、この審査基準に基づき、特定認定を行うか否かを判断している。特に、審査基準2(9)において、「特定認定を受けようとする者が施設の賃借人又は転借人である場合にあっては、当該施設に係る法第13条第1項の賃貸借契約以外の全ての賃貸借契約に係る契約書の写し並びに当該施設の所有者及び当該契約書に係る全ての賃貸人が当該施設を国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の用に供することについて承諾していることを証する書面の写し」を、また、同基準2(10)において、「施設が建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第2条第1項に規定する区分所有権の目的である建物の部分の場合であって、当該施設に係る区分所有法第30条第1項の規約が定められているときは、当該施設を国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の用に供することが当該規約に違反していないことを証する書面」を特区民泊の認定申請書に添付することとされている。
(2) 本件の争点について
 審査請求人及び処分庁の主張から、本件の争点を次の3点に整理を行った。
ア  処分庁が行った賃貸借契約書、業務委託契約書及び所有者等の使用承諾書の確認は、裁量権の濫用・逸脱にあたるか
イ 認定要件以外の法違反を特定認定の審査対象とするべきか
ウ 政令第13条第7号で定める「適切な説明」が履行されたかどうか
(3) 争点にかかる調査結果について
 上記(2)に掲げる争点について、次のとおり調査を行った。
ア 処分庁が行った賃貸借契約書、業務委託契約書及び所有者等の使用承諾書の確認は、裁量権の濫用・逸脱にあたるか
 本件における所有者及び事業者の関係は、次のとおりである。
 (所有者と事業者の関係性についての図の記載は省略)
 審査請求人の主張のとおり、事業者は施設の所有者でもなく、かつ賃借人でもないことから、本件処分における審査基準2(9)及び(10)については、本来、処分庁の審査の対象外であると考えられる。
 では、処分庁が行った賃貸借契約書の写し、当該施設の所有者及び賃借人からの使用承諾書及び業務委託契約書の確認及び規定外の審査は、裁量権の濫用・逸脱に当たるか否かついて検討する。
(ア) 管理規約等への違反に対する国の見解について
 「外国人滞在施設経営事業に係る国家戦略特別区域法の解釈について(回答)(平成28年3月31日付け事務連絡)」の「3 管理規約等に違反している場合等を排除する認定基準の設定の可否」において、大阪府政策企画部長及び大阪市経済戦略局長から「分譲マンションの管理規約や、共同住宅等の賃貸借契約の規定に反して、区分所有者又は賃借人が、当該専用部分を外国人滞在施設として使用させる場合、滞在者は立ち退き請求をいつ受けるか分からないという不安定な立場に立たされることとなるなど、滞在者の平穏な滞在に支障が生じているといえ、特区法施行令12 条5号の「外国人旅客の滞在に必要な役務を提供すること」という要件を履行しえないと考えられる。したがって、特定認定の審査基準として、「外国人滞在施設経営事業の実施がマンション管理規約(及びその解釈)に違反しないと認められること。外国人滞在施設経営事業の実施が当該事業の用に供する施設の賃貸借契約に違反しないと認められること。外国人滞在施設経営事業の実施について貸主(認定を受けようとする者が転借人である場合には所有者及び転貸人)の同意が得られていること。」の趣旨を内容とする基準を設け、認定申請時に管理規約に反していないことを確認する資料、及び賃貸借契約書の提出を求め、同基準を満たさない区分所有者又は賃借人の申請を認定しないことは、特区法施行令12条の趣旨に違反しないと考えてよいか。」との照会に対し、内閣府地方創生推進室は、「そのように解して差し支えないものと考える。」と回答している。
 そのため、処分庁において審査基準2(9)及び(10)の基準を設け、特定認定の可否を判断していると考えられる。
(イ) 本件処分に対する見解について
 本件については、上記図のとおり、事業者は施設の所有者(上記図A)でもなく、かつ賃借人(上記図B)でもないことから、審査基準2(9)及び(10)は、本来、審査の対象外であると考える。しかしながら、平成28年3月31日付け事務連絡(参考資料1)で内閣府地方創生推進室が示すとおり、分譲マンションの管理規約や賃貸借契約に反して外国人滞在施設として使用された場合、滞在者がいつ立ち退き請求をいつ受けるか分からず、不安定な立場に立たされるため、政令第13条第5号で定める「外国人旅客の滞在に必要な役務を提供すること」を履行していないとの見解を考慮すると、上記図にある①賃貸借契約書、②業務委託契約書並びに所有者(上記図A)及び賃借人(上記図B)からの③④使用承諾書の確認及びその審査は、規定外の確認であるものの、外国人旅客の平穏な滞在に支障が生じ、その結果として、滞在に必要な役務の提供がされない可能性があることから、本申請では必要な審査であったと考えられる。
 したがって、処分庁による裁量権の濫用・逸脱は見受けられない。
イ 認定要件以外の法違反等を審査対象とするべきか
 上記1及び処分庁の主張のとおり、法や政令など特区民泊関連法規には、特定認定を受けることができる事業者として、物件の所有者や賃借人に限定する規定は存在しない。
 一方で、審査請求人の主張のとおり、法第13条第3項では、「都道府県知事は、特定認定の申請に係る事業が第1項の政令で定める要件に該当すると認めるときは、特定認定をするものとする」とされ、政令で定める要件に該当する場合、必ず特定認定をしなければならないわけではなく、特定認定を行う都道府県知事等に対して、僅かながら裁量権が付与されていると解することができる。
 では、審査請求人の主張のとおり、不認定(申請の拒否処分)を行うと仮定した場合、本件は政令第13条各号に定める認定要件に適合しているにもかかわらず、施設の所有者や賃借人でもない者が特区民泊の事業者となるため、宿泊客から受領した宿泊代金(賃料)の債権に関する問題や民法に違反することが、不認定処分を行う理由にあたると考えられる。
 しかし、当該理由のみをもって不認定処分を行うことは、特区民泊における法及び政令の趣旨に鑑みて、合理的理由はなく、かつ許容された限度を超えた不当な処分となるため、本申請に対して不認定処分を行うことは適当ではない。
 また、審査請求人が繰り返して主張する民法違反については、特定認定を行うか否かで判断するのではなく、民法の範疇内で違反の是非を問うのが妥当であると考える。
ウ 政令第13条第7号で定める「適切な説明」が履行されたかどうか
 認定要件である政令第13条第7号において、「法第13条第1項に規定する特定認定の申請前に、施設の周辺地域の住民(施設を構成する建築物に居住する者その他の厚生労働省令で定める者に限る。)に対し、当該施設が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の用に供されるものであることについて、適切な説明が行われていること」とされている。
 法を所管する内閣府は、この「適切な説明」について具体的に言及していないものの、「外国人滞在施設経営事業の円滑な実施を図るための留意事項について(通知)(平成27年7月31日付け府地創第270号及び健発0731第6号)」の「2 近隣住民の不安を除去する観点から、事業の実施に当たっては、以下に掲げる点に十分に留意すること。」とされ、留意点として「 (1)認定事業者は、事前に施設の近隣住民に対し、当該施設が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用されるものであることについて、適切に説明し、周辺住民の理解を得るように努めること。」とされている。
 また、全国で初めて特区民泊事業の認定事務を開始した東京都大田区では、周辺住民への適切な説明について、大阪市が求める説明会の開催又は戸別訪問だけでなく、ポスティング(書面の配布)のみでも適切な説明であると判断している。
 したがって、特区民泊における法及び政令の趣旨に鑑みても、施設の周辺住民への理解を得ることは、あくまでも努力義務とされ、事業開始後に周辺住民とトラブルに発展する可能性の高い、例えば、苦情等の窓口の連絡先、廃棄物の処理方法、火災等の緊急事態が生じた場合の対処方法について事前説明がなされていれば、相当程度の蓋然性が認められ、少なくとも政令第13条第7号で定める「適切な説明」がなされているものと考えられる。
 本件については、事業者が要綱第7条に基づき、戸別訪問だけではなく、周辺住民の求めに応じて、説明会を実施していることから、法や施行令の趣旨に沿って周辺住民への説明がなされており、認定要件である「適切な説明」が履行されたものと判断できる。また、東京都大田区など他都市の状況から勘案しても、要綱第7条における周辺住民への説明に特段瑕疵は見受けられない。
(4) その他の審査請求人の主張について
ア 政令第13条第8号における「苦情及び問合せに対する適切かつ迅速な処理」について
 政令第13条第8号において「施設の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについて、適切かつ迅速に処理が行われること。」とされ、要綱第8条において、適切かつ迅速な処理を行うため、苦情等に適切に対応する窓口の設置及び24時間施設に速やかに駆けつけることができる体制の構築を求めていることから、処分庁は、特定認定の申請があった際、この点について確認していると考えられる。
 審査請求人は、本件処分後における事業者による杜撰な苦情対応について主張しているものの、本件は、「申請に対する処分」に対する認定取消を求める審査請求であり、苦情及び問合せに適切かつ迅速に対応していないことを理由として、不利益処分を行うか否かを争点とする更なる調査審議の継続は、簡易迅速性を目的とした行政不服審査法の趣旨に鑑みても相当ではない。
イ 審査請求人の健康被害等について
 審査請求人は、審査請求人の1人である〇〇〇〇〇氏の健康被害について主張している。たしかに、当該審査請求人は健康被害を訴えているものの、当該審査請求人以外の周辺住民から同様の訴えは認められず、現時点では、本件処分を取り消しすべき事由とは判断できないことから、この主張は採用できない。また、大阪市健康局が定める運営方針を遵守しておらず、健康危機から市民を守るどころか、逆に悪化させていると主張している。しかし、この運営方針の遵守については、本件処分を取り消しすべき事由ではないことから、この主張は採用できない。
ウ 要望書による大阪市保健所の対応等について
 審査請求人は、大阪市保健所から事業者に要望を行っている間は、すぐに認定することはないとの助言を受けたと主張している。しかし、仮にそのような事実が認められたとしても、本件処分を取り消しすべき事由ではないことから、この主張は採用できない。また、大阪市保健所が要望書への回答がないことを知りつつも、本審査に不利益とならないよう弁明書等にその事実を記載していないと主張しているが、この主張についても本件処分を取り消しすべき事由ではないことから採用できない。
エ 行政書士法違反について
 審査請求人は、事業者(受託者)が報酬を得て特定認定申請を行っていれば、行政書士法違反の疑いがあると主張している。しかし、本件は、事業者自身が申請者であり、仮に事業者から更に行政書士ではない者に申請を委託する事実があったとしても、行政書士法違反は本件処分を取り消しすべき事由ではないことから、この主張は採用できない。
(5) その他(審査請求人からの申し出に対する対応結果)について
 審査請求人は、再反論書において、審理員に対し「契約書に民泊事業の禁止に関する規定の有無を確認し、禁止する規定がなかった場合、処分庁が禁止されていないと判断した経緯と根拠について処分庁に対して確認してほしい。また、業務の委託範囲についても確認してほしい。」旨、主張している。
 この申し出を受け、処分庁から上記図①から④に関する書類の提出を求め、処分庁からこれら全ての書類の提出を受けた。①賃貸借契約書及び②業務委託契約書において、民泊事業を実施することを禁止する規定は記載されておらず、かつ、③④使用承諾書において、所有者(上記図A)及び賃借人(上記図B)が、民泊事業として使用することを承諾する旨記載されていること及び、委託者(上記図B)と事業者(上記図C)の間で交わされた業務の委託範囲について確認した。この確認結果に対する意見については、「4 審理員意見書の理由 (3)争点にかかる調査結果について」で述べたとおりである。
(6) 上記以外の違法性又は不当性についての検討
 他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。

第4  調査審議の経過
 審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  令和2年1月22日 諮問書の受理
  令和2年2月13日 審査請求人からの主張書面の収受
  令和2年2月21日 調査審議(審査庁による口頭説明・処分庁による陳述)
  令和2年3月11日 審査庁からの主張書面の収受
  令和2年3月13日 調査審議
  令和2年3月30日 調査審議
  令和2年3月31日 審査請求人からの主張書面の収受
  令和2年4月17日 調査審議

第5 審査会の判断の理由
1 本件に係る法令等の規定について
 前記第3、4、(1)に記載のとおりと認められる。
2 争点について
 審査請求人及び処分庁の主張を踏まえると、本件審査請求における争点は次のとおりである。
(1) 事業者が法第13条第1項「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を行おうとする者」に該当するといえるか否か(以下「争点1」という。)。
(2) 事業者が政令第13条第7号記載の基準に該当するものであるといえるか否か(以下「争点2」という。)。
(3) 事業者が政令第13条第8号記載の基準に該当するものであるといえるか否か(以下「争点3」という。)。
3 争点に係る審査会の判断について
(1) 争点1について
 法第13条第1項では、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、その行おうとする事業が当該政令で定める要件に該当している旨の市長の認定を受けることができることが定められている。
 本件では、事業者は、対象施設について所有者でも賃借人でもなく、対象施設の賃借人から民泊運用業務委託を受託する者であることから、当該事業者が「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を行おうとする者」に該当するといえるか、その定義が問題となる。
 この点、法は、第1条で「国家戦略特別区域に関し、規制改革その他の施策を総合的かつ集中的に推進するために必要な事項を定め、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与すること」を目的と定め、これまでの規制を特定の地域において緩和し、産業の国際競争力を強化し、国際的な経済活動の拠点を形成することを目指すものとしているところ、対象施設が要件に該当する場合には旅館業法の適用を除外し、許可ではなく、認定という方法を採用しているのは、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を実施する者の意思を尊重しつつ、広く事業を行う者の参入を想定しているものであるといえる。
 他方、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を実施する者については、市民の安全・安心の確保及び滞在者の平穏な滞在環境を確保することが求められるのであるから、自己の事業として責任をもって主体的に事業運営等を行うことが必要であり、具体的には自己の名義及び自己の計算によって国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を目的として対象施設において滞在者との間で賃貸借契約を締結する者であるといえる必要がある。
 そして、認定を受ける者と対象施設の所有者や賃借人等の権利関係者が違う場合には、その関係者間の契約関係から自己の事業として責任をもって主体的に事業運営等を行う者といえるかについて判断すべきである。
 これを本件についてみると、まず、対象施設の建物所有者「〇〇〇〇〇」は、対象施設について使用目的を「住宅宿泊事業」、「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(対応)」として建物賃借人に貸し付け、建物賃借人は事業者との間で対象施設における民泊運用業務委託契約を締結していることが認められる。そして、建物所有者は事業者が対象施設を住宅宿泊事業・国家戦略特別区域外国人滞在施設として使用することを承諾している。これらの権利関係を踏まえると、民泊運営業務を受託した事業者は、自己の名義で自己の事業として責任をもって主体的に事業運営等を行う者として本件申請を行っているといえる。
 次に、事業者が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を目的として滞在者との間で締結する賃貸借契約書においては、貸主を事業者、借主を滞在者とし、契約期間及び賃貸料を定めていることが認められ、同賃貸借契約書第3条では借主たる滞在者は賃料を貸主たる事業者に支払う内容となっている。
 以上の建物所有者、建物賃借人及び事業者の権利関係並びに事業者と滞在者の賃貸借契約の内容を総合的に考慮すると、事業者については、自己の名義及び自己の計算によって国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を目的として対象施設において滞在者との間で賃貸借契約を締結する者であるということができる。
 よって、事業者が法第13条第1項「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を行おうとする者」に該当するとして本件処分を行った処分庁の判断に不合理な点はない。
 なお、審査請求人は、契約の内容から、「旅客からの宿泊代金は事業者の収益とはならず、委託者が収受することになる」のであるから、事業者は「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業者」たりえないと主張する。
 この点、事業者が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を目的として滞在者との間で締結する賃貸借契約書第3条では、借主たる滞在者は賃料を貸主たる事業者に支払う内容となっており、賃料はあくまでも受託者たる事業者が受け取ることとなっていることから、契約の内容からも、事業者は「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業者」たりえないとする主張は採用できない。
(2) 争点2について
 政令第13条第7号は「法第13条第1項に規定する特定認定の申請前に、施設の周辺地域の住民(施設を構成する建築物に居住する者その他の厚生労働省令で定める者に限る。)に対し、当該施設が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の用に供されるものであることについて、適切な説明が行われていること。」とし、条例第4条第1項は「認定事業者は、事前に、施設の近隣住民に対し、当該施設が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用されるものであることについて、適切に説明しなければならない。」とする。
 また、要綱第7条は、「特定認定を受けようとする者は、令第13条第7号で定める施設の周辺地域の住民に対し適切な説明を行うにあたり、説明会の開催又は戸別訪問により次の各号に掲げる事項を記載した書面を使用しなければならない。」とし、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を実施する意思のある者については、主体的に適切な説明を施設の周辺地域の住民に実施することを求めているといえる。
 そして、いかなる状態にあれば「適切な説明が行われていること」にあたるかについては、関係する諸規定をもとに、認定事業者の説明会の開催又は戸別訪問の態様が社会通念上妥当であるか否かで判断すべきである。
 これを本件についてみると、事業者は、平成〇〇年〇〇月〇〇日に周辺地域の住民の住戸を戸別訪問したが、どの住戸でも対面で説明を行うことはできなかったため、要綱第7条の要件を満たす「特定認定を受けようとする者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)」、「施設の名称及び所在地」、「事業の概要」、「苦情等の窓口の連絡先(責任者の氏名、電話番号等)」、「廃棄物の処理方法」、「火災等の緊急事態が生じた場合の対応方法」が記載された書面を全戸にポスティングしていることが認められる。
 その後、事業者は平成〇〇年〇〇月〇〇日19時から及び〇〇月〇〇日19時からの2回にわたって説明会を実施したところ、2回目の説明会の際に周辺地域の住民より「民泊事業開始反対表明書」、「住民要望書」の提出を受けたことから、〇〇月〇〇日にこれに対して回答し、さらに〇〇月〇〇日に周辺地域の住民より〇〇月〇〇日付けの「質疑応答・要望事項へのご回答について」を受けたことから、〇〇月〇〇日にこれに対して回答していることが認められる。
 これらの事業者が実施した周辺地域の住民に対する書面のポスティング、2回の説明会及び回答については、要綱及び認定事業者による実施が望ましい事項、運用上の疑義に対する解釈、事業実施上の留意事項等を実務上の指針として示した「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関するガイドラン」の記載からみても、申請前の事業者として不合理なものではなく、その対応についても不誠実であるとはいえないことから、認定事業者の説明会の開催及び戸別訪問の態様は社会通念上妥当なものといえ、「適切な説明が行われていること」に該当するものといえる。
 よって、事業者が政令第13条第7号記載の基準に該当するものであるとして本件処分を行った処分庁の判断に不合理な点はない。
(3) 争点3について
 政令第13条第8号は「施設の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについて、適切かつ迅速に処理が行われること。」とし、条例第4条第3項は「認定事業者は、近隣住民からの苦情等の窓口を設置し、近隣住民に周知するとともに、近隣住民からの苦情等に対しては適切に対応しなければならない。」とする。
 そして、その具体的な内容として、要綱第8条は「認定事業者は、令第13条第8号で定める施設の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについて、適切かつ迅速な処理を行うため、苦情等に適切に対応する窓口を設置し、24時間施設に速やかに駆けつけることができる体制を構築するとともに、その連絡先(責任者の氏名、電話番号等)及び滞在者が容易に施設を把握することができる表示を施設の出入口に付けること。なお、省令第10条の3に掲げる者には連絡先(責任者の氏名、電話番号等)を記載した文書を配布しなければならない。」とするところ、本市では、認定申請にあたり当該必要事項を記載する様式として「様式2」を定めている。
 この様式2の項目は、「施設の周辺地域の住民からの苦情及び問合せへの対応体制及びその周知方法」の内容として「(1) 苦情窓口の体制」、「(2) 施設の出入口への表示」、「(3) 建物の出入口付近への表示」の内容は任意の記載とし、「(4) 施設の周辺地域の住民への責任者の氏名、電話番号等の記載した文書の配布」については、「済・未」の選択式になっており、処分庁は当該記載をみて客観的に確認するものになっているが、様式2を基に上記の事項記載のみによって処分庁は審査する方式としている点について、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の趣旨からみてこのような審査方式が許容されるのか、処分庁が認定にあたり審査すべき程度の内容が問題となる。
 この点、政令第13条第8号は「施設の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについて、適切かつ迅速に処理が行われること。」としており、この規定は施設の周辺地域の住民からの苦情及び問合せに対して、適切かつ迅速に処理を行うことについて担保するために、認定の審査段階で事前審査の要件として設けられているものと解される。したがって、事前審査の要件である以上、認定の審査における要件充足性の判断には一定の制約や限界が認められるところであり、処分庁の認定にあたっては必要事項について記載を求める様式について一定の客観的な記載をもとに合理的であると判断できる程度で審査を実施することが必要であると解される。
 これを本件についてみると、様式2の記載事項は上記で示す項目であり、これは要綱第8条の内容を網羅して項目化した必要事項である。
 そして、当該項目について事業者が記載している各内容は、「(1) 苦情窓口の体制」については「施設の周辺地域の住民から滞在者が騒がしい等の苦情に対し、責任者は24時間対応し、必要に応じて市内の担当者が迅速に施設に駆けつけ、滞在者に対して注意を促す」とし、「(2) 施設の出入口への表示」については「施設名称、苦情窓口の責任者・電話番号を分かりやすい位置に掲示する」とし、「(3) 建物の出入口付近への表示」については「施設名称を分かりやすい位置に掲示する」とし、「(4) 施設の周辺地域の住民への責任者の氏名、電話番号等の記載した文書の配布」については「済」が選択されている。
 したがって、当該記載内容についても、申請前の認定事業者として記載できる内容として一定の客観性があり、かつ不整合な記載はないといえる。
 以上の様式の記載項目及び事業者の記載内容から、当該記載のみから客観的な審査を行ったことについては、認定における審査の程度として特段不合理な点はない。
 よって、事業者が政令第13条第8号記載の基準に該当するものとして本件処分を行った処分庁の判断に不合理な点はない。
 なお、事前審査には一定の限界があるとしても、認定した事業者に体制が構築できていない事実があるとするならば、直ちに調査及び指導し、是正が見込めない場合はその認定を取り消すことによって、違法な認定事業者を排除し、施設の周辺地域の住民の安全・安心の確保及び外国人の滞在環境の維持を図ることができるといえ、このような運用が政令第13条第8号記載の要件が事前審査事項とされている趣旨にもかなっているといえる。
4 その他
 その他本件で審査請求人は、過去に対象施設の近隣の民泊施設において〇〇〇〇〇事件があったことから、当時の記憶がまだ鮮明に残る状況であり、〇〇〇〇〇から目と鼻の先で新しく民泊事業が行われることにより、精神的苦痛を受け平穏かつ安寧な生活を送ることができなくなったこと、精神的苦痛から〇〇〇〇〇も誘発され、健康で文化的な生活が送れなくなったことも主張している。
 確かに、上記のような状況にあっては住民が不安の念をもつことは理解できるところではあるが、これまで見てきた通り、本件について認定基準を満たしているとした処分庁の判断には違法又は不当な点はないと言わざるを得ない。
 本件処分については、その他にも違法又は不当な点は認められない。
 また、本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
5 結論
 よって、本件審査請求は理由がないと認められるので、審査会は、第1記載のとおり判断する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会総務第2部会
 委員(部会長) 長部研太郎、委員 榊原和穂、委員 曽我部真裕

答申書(令和2年度答申第3号)

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