ページの先頭です

答申書(令和2年度答申第10号)

2023年2月17日

ページ番号:529071

諮問番号:令和2年度諮問第11号
答申番号:令和2年度答申第10号

答申書

第1 審査会の結論
 本件審査請求については棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、平成16年11月29日付けで審査請求人から提出されている土地分割評価届出書に基づき、別紙物件目録記載の項番1の土地(以下「本件土地1」という。)と項番2の土地(以下「本件土地2」といい、本件土地1と併せて「本件土地」という。)に本件土地を分割評価し、本件土地2については、隣地(大阪市〇〇区〇〇丁目〇番〇、以下「本件隣地」という。)と一体評価として、当該隣地とともに画地認定を行い、地方税法(以下「法」という。)第349条の3の2に規定する住宅用地に対する課税標準の特例措置(以下「住宅用地特例」という。)を適用して、令和2年4月1日付けで、審査請求人に対して、令和2年度固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)賦課決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。
2 審査請求人は、令和2年6月29日、大阪市長に対して、本件処分のうち、本件土地1の賦課決定に係る部分を不服として審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 本件土地のうち、本件土地1は平成17年度以降、一般貸駐車場として課税されているが、利用状況が平成22年に変わり、本件土地2及び本件隣地上に存する家屋を運営している会社に定期借地権付きで貸しているのだから、令和2年1月1日現在、本件土地1は本件土地2及び本件隣地と区別なく一体として利用されているのに、間違った計算で算出した税金が賦課されている。
 本件土地と本件隣地を併せて二筆を一画地として一体評価し、本件土地1を専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの(以下「住宅用地」という。)として認定し、住宅用地特例を適用した額で求めなければならない。
 なお、令和2年度は基準年度ではないので、画地の認定について固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることはできないから、本件は審査請求で取り上げられるべきである。
2 処分庁の主張
 本件土地1は、平成16年11月29日、審査請求人から土地分割評価届出書の提出があってから、住宅用地に関する異動申告書の提出はなく、利用状況が変更されたという申告もない。
 航空写真を活用した机上調査でも、平成22年から平成24年については、利用状況の変化は確認できず、平成25年に本件土地1のアスファルトが撤去され、砂利敷きの状態となったことが確認できるが、車が複数台駐車されているものの、審査請求人が主張するような利用状況の変化について確認はできなかった。
 代理人の求めに応じ、令和2年7月16日に現地の利用状況調査を行ったが、本件土地上には、看板等の表示もなく、本件家屋の敷地として利用していると外観から判断できる状況ではない。
 したがって、本家土地1は令和2年の賦課期日において、住宅用地であったと認められず、評価を変更する理由は認めらない。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
(1) 画地の認定について
 審査請求人は住宅用地特例の適用に係る不服と共に、本件土地については、本件隣地とあわせて二筆一画地として評価したうえでの価格修正及び当該修正に伴う税額修正を求めているが、当該主張は固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる事項に当たるため、審査請求においては不服の理由とすることができないことから、画地の認定に係る審査請求人の主張については採用することができない。以上から、本件土地に係る本件処分の適法性及び妥当性については、本項に係る判断を除き、次のとおり判断する。
(2) 住宅用地特例の適用に係る適法性及び妥当性に関する判断について
ア 本件審査請求は、本件土地1に関する住宅用地特例の適用に対する不服である。審査請求人は、本件土地1の利用状況が平成22年に変わり、令和2年1月1日現在、本件土地2と区別なく一体として利用されているのに評価は変わらず、間違った税金が賦課されてきたと主張している。
 これに対して、処分庁は、本件土地2についてのみ住宅用地特例を適用して以降、本件処分に至るまでの間、住宅用地に関する異動申告書の提出や利用状況が変更されたという申告もなく、机上や実地の調査においても審査請求人が主張する一体として利用されているような状況の変化については確認できなかったという。
 また処分庁は、令和2年7月に本件土地1は「入居者生活保護施設等を建築するために借りた土地で、建築確認申請まで行い準備していたが予定通り着工することはできず、現在は隣地の本件家屋の駐車スペース及び入居者の散歩スペースとして利用している。」との説明を聴取しており、現地調査時は、土地の大半が未利用地の状態であることを確認していた。
イ 審査請求人が主張する平成22年から変わった本件土地の利用状況とは、本件土地1が住宅用地特例の適用が受けられるような利用状況の変化であると判断する。しかしながら、本件土地1については、平成22年から平成24年までは外形的な変化はなく、平成25年にはアスファルトから砂利敷きになった事実は確認できるが、当該事実のみをもって審査請求人が主張するような住宅用地特例の適用を受けるべき利用状況の変化があったとは認められない。
 また、令和2年7月の調査に基づく事実が令和2年1月1日時点における本件土地の現況であると仮定すると、審査請求人が主張する本件土地1が一体利用されているとする状況は、いずれにおいても一時的であったり、部分的であったりといった限定的な利用が行われている状況に過ぎず、審査請求人が主張するような通常恒常的な一体利用の現況は確認できないことから、現況は未利用地の域を脱しているとは言えない。すなわち、「地方税法第三百四十九条の三の二の規定における住宅用地の認定について」(平成9年4月1日付け 自治固第13号)三(1)にいう「当該住宅を維持し、またはその効用を果たすために使用されている」とまではいえない。
 住宅用地特例の適用に際し、平成17年以降令和2年1月31日までに本件土地に係る申告等はなかったと処分庁は主張しており、この点について審査請求人からも反論はないことから、少なくとも本件土地に係る申告等はなかったものと認められる。
ウ 以上から、本件処分に際し処分庁が行った住宅用地特例に係る本件土地の現況に関する判断には特段不合理な点はない。
 したがって、本件土地1は、本件土地2と一体として本件家屋の敷地の用に供しているとは認められず、審査請求人の主張は採用することができない。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  令和2年12月3日 諮問書の受理
  令和2年12月3日 調査審議
  令和2年12月17日 調査審議
  令和2年12月21日 代理人から主張書面の収受
  令和3年1月14日 調査審議

第6 審査会の判断
1 関係法令等の定め
(1) 固定資産税等の賦課期日について
ア 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする(法第359条及び法第702条の6)。
イ 都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、固定資産税の賦課徴収と併せて行う(法第702条の8)。
(2) 住宅用地特例について
ア 住宅用地に対して課する固定資産税の課税標準は、法第349条及び第349条の3第12項の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1(法第349条の3の2第2項に該当する住宅用地にあっては6分の1)の額とする(法第349条の3の2)。
イ 法第349条の3の2第1項の規定の適用を受ける土地に係る都市計画税の課税標準は、法第702条第1項の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る都市計画税の課税標準となるべき価格の3分の2(小規模住宅用地にあっては3分の1)の額とする(法第702条の3)。
(3) 住宅の敷地の認定について
 住宅の敷地の認定について、次のとおり取り扱うこととされている。
 住宅の敷地の用に供されている土地とは、当該住宅を維持し、またはその効用を果たすために使用されている画地の土地をいう(「地方税法第三百四十九条の三の二の規定における住宅用地の認定について」(平成9年4月1日付け 自治固第13号)三(1))。
(4) 価格に対する不服の申立てについて
ア 固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合は、納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの間において、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる(法第432条第1項)。
イ 固定資産税の賦課についての審査請求においては、法第432条第1項の規定により審査を申し出ることができる事項についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができない(同条第3項)。
2 争点等について
(1) 審査請求人は、本件土地1にも住宅用地特例を適用し、本件土地に係る令和2年度の固定資産税等の税額を求めるべきであると主張する。
 住宅用地特例については、前記1(2)に記載のとおり住宅用地(専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの)に対して適用され、住宅の敷地の用に供されている土地とは、前記1(3)のとおり、当該住宅を維持し、またはその効用を果たすために使用されている一画地の土地をいうとされているところである。
 また、大阪市においては、「住宅用地関係取扱要領」により、住宅用地特例に関する取扱いを定めており、当該取扱要領において、住宅用地特例が適用される土地の単位は固定資産評価実施要領の「画地」の単位と同一としている。
 これを本件においてみると、本件土地1は、令和2年度の、固定資産税等の賦課決定に係る評価において、当該土地のみで一画地を構成していることが認められ、当該土地上には専ら人の居住の用に供する家屋はなく、居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地であるといえないことから、審査請求人の上記主張は採用することができない。
(2) なお、審査請求人は、本件土地と本件隣地を併せて二筆一画地と認定して一体評価したうえで、本件土地に係る令和2年度の固定資産税等の税額を求めるべきであるとも主張する。
 しかしながら、上記1(4)イのとおり、固定資産税の賦課についての審査請求においては、法第432条第1項の規定により審査を申し出ることができる事項についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができないとされており、審査を申し出ることができる事項とは、固定資産課税台帳に登録された価格及び価格の算出に影響を及ぼすような事項をいい、具体的には、土地の地目、地積、路線価及び画地形状の認定等に関する不服とされているところである。
 したがって、画地の認定に係る不服は、固定資産税等の賦課についての審査請求である本件審査請求の理由とすることができず、審査請求人の上記主張は採用することができない。なお、このことは基準年度又は基準年度以外の年度にかかわらず妥当するものである。
3 その他の違法性又は不当性について
 本件処分において、税額の算定等、上記以外にも特段違法又は不当な点は認められない。
4 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
5 結論
 よって、本件審査請求には理由がないものと認められるので、当審査会は第1記載のとおり答申する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第2部会
 委員(部会長) 永井秀人、委員 野村宏子、委員 櫻井多美

別紙省略

答申書(令和2年度答申第10号)

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

SNSリンクは別ウィンドウで開きます

  • Facebookでシェア
  • Xでポストする
  • LINEで送る

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市総務局行政部行政課法務グループ
住所: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所4階)
電話: 06-6208-7443 ファックス: 06-6229-1260

メール送信フォーム

このページへの別ルート

表示