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答申書(令和3年度答申第13号)

2023年2月17日

ページ番号:555769

諮問番号:令和3年度諮問第6号
答申番号:令和3年度答申第13号

答申書

第1 審査会の結論
 本件審査請求は棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 審査請求人は、令和2年11月30日に、別紙1物件目録「分筆前の土地の表示」記載の土地(以下「本件分筆前土地」という。)を、同物件目録「分筆後の土地の表示」記載の各土地(以下「本件各土地」という。)の2筆に分筆登記した。
2 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、航空写真及び令和3年2月3日に行った実地調査により、本件各土地を含めた別紙2記載のAからFの土地6筆がコインパーキングとして使用されていたことから、令和3年度より当該6筆の土地について、西側の道路を正面路線として一体評価し、令和3年4月1日付けで本件各土地について令和3年度固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)賦課決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。
3 審査請求人は、令和3年6月14日、大阪市長に対して、本件処分の取消しを求めて審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1)  本件各土地の令和3年度課税明細書に記載された「前年度分の固定資産税課税標準額」及び「前年度分の都市計画税課税標準額」(以下「前年度課税標準額等」という。)を、本件分筆前土地の令和2年度課税明細書に記載されていた額から本件各土地のそれぞれの地積に応じて配分する額に訂正するよう請求する。
(2)  「令和3年度に限り、宅地等について、令和2年度の課税標準額を据え置く」とのことから、令和3年度課税明細書に記載された「当該年度固定資産税課税標準額」と「当該年度都市計画税課税標準額」(以下「当該年度課税標準額等」という。)を上記に合わせて同様に訂正するよう請求する。
2 処分庁の主張
ア 令和2年中に分筆登記がなされた本件各土地は、令和3年度の当該年度課税標準額等を算定するに当たり、「地目の変換その他これに類する特別の事情がある土地(以下「地目の変換等があった土地」という。)に該当し、分筆前の前年度課税標準額等を用いることは、不適当であるため、地方税法(以下「法」という。)の規定により類似土地を選定し、比準課税標準額を算定した。
イ 地目の変換等があった土地の固定資産税等の課税標準については、前年度課税標準額等をそのまま用いて、宅地等(農地以外の土地をいう。以下同じ。)の固定資産税等に係る税負担の調整措置(以下「負担調整措置」という。)等を講ずることができないため、前記アで算定した比準課税標準額を用いて、令和3年度の負担調整措置を講じることとなる。そして、当該年度課税標準額等はその比準課税標準額を据え置いた額となる。
 よって、前年度課税標準額等は、今年度の評価見直し後の額を遡及して前年度課税標準額等としているのではなく、前記アで算定した比準課税標準額であり、当該年度課税標準額等はその比準課税標準額を据え置いた額である。
ウ 「固定資産(土地)に係る第二年度及び第三年度の評価等の取扱いについて」(平成24年9月26日付け通知)(以下「平成24年9月26日通知」という。)には、第二年度及び第三年度に評価替えをする事由が列挙されており、本件各土地は当該通知第1、2イ(ウ)に規定する分筆又は合筆、及び(キ)に規定する画地の認定の変更を必要とする利用状況の変化、に該当するため、類似土地を選定し比準課税標準額を算定することになる。
 本件各土地の類似土地は、同一路線価上の同用途の土地で、令和3年に評価の見直しがない土地のうち、本件各土地に最も近い○○丁目○○番○を選定した。
エ 平成22年4月9日付けの実地調査では、本件各土地は更地であり、令和3年度の賦課期日までのいずれかの時期に、6筆がコインパーキングとして使用され始めたと推察されるが、平成29年度以降の航空写真の比較によっても事実発生年月日を遡って明確に確認することはできない。
 ただし、少なくとも令和3年の賦課期日時点では、利用状況に変化があった事実に変わりはなく、よって、令和3年度から画地認定を変更したものである。
オ 以上のことから、本件各土地の固定資産税等の賦課決定処分については、法に基づき適正に行っている。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
 審査請求人は、本件各土地の前年度課税標準額等について、本件分筆前土地の令和2年度課税標準額を本件各土地の地積に応じて配分した金額とすべきであり、また「令和2年度の課税標準額に据え置く措置」に従って、当該年度課税標準額等をその配分した金額に訂正すべきと主張している。
 この点、負担調整措置において、令和3年度については、新型コロナウイルス感染症により社会経済活動や国民生活全般を取り巻く状況が大きく変化したことを踏まえ、令和3年度に限り、宅地等については、令和2年度の課税標準額を据え置くこととされている。
 もっとも、地目の変換等があった場合には、比準課税標準額を用いて負担調整措置を行うこととなっている。そして、ここにいう「地目の変換その他これに類する特別の事情」とは、具体的には、地目の変換、土地の分合筆等土地の区画形質に著しい変化があった場合をいう。
 これを本件各土地についてみると、本件各土地は令和2年11月30日付けで分筆の登記がなされていることから、「地目の変換その他これに類する特別の事情がある土地」に該当し、比準課税標準額を用いて負担調整措置を行うこととなる。
 したがって、本件各土地の当該年度課税標準額等について、本件分筆前土地の令和2年度課税標準額を本件各土地の地積に応じて按分計算し前年度課税標準額等を求めた上で当該年度課税標準額等に据え置くべきとする審査請求人の主張は認められない。
 なお、令和3年度課税明細書の前年度課税標準額等の欄には、令和2年11月30日の分筆登記を反映して算定した比準課税標準額が記載されており、審査請求人が指摘する当該年度課税標準額等の欄に記載された金額は、当該比準課税標準額を負担調整措置により据え置いた額を記載したものであることから、評価替え後の当該年度課税標準額等を前年度課税標準額等に記載したわけではない。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  令和3年10月4日 諮問書の受理
  令和3年10月12日 調査審議
  令和3年10月25日 処分庁からの資料の収受
  令和3年10月26日 調査審議
  令和3年11月9日 処分庁からの資料の収受
  令和3年11月9日 調査審議
  令和3年11月18日 処分庁からの資料の収受
  令和3年11月22日 調査審議
  令和3年12月8日 処分庁からの資料の収受
  令和3年12月8日 調査審議(処分庁による口頭説明)

第6 審査会の判断
1 関係法令等の定め
(1)  固定資産税等の賦課期日等について
ア 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする(法第359条及び法第702条の6)。
イ 都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、固定資産税の賦課徴収と併せて行う(法第702条の8)。
(2) 比準課税標準額について
 当該土地に係る当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格に、当該土地に類似する土地で当該年度の前年度に係る賦課期日に所在するもの(以下「類似土地」という。)の前年度課税標準額を当該類似土地の当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき価格で除して得た数値を乗じて得た価格をいう(法附則第17条第1項第7号)。
(3) 負担調整措置について
 宅地等に係る当該年度分の固定資産税等額が、当該宅地等の当該年度分の固定資産税等に係る前年度分の固定資産税等の課税標準額に、当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき価格に100分の5を乗じて得た額を加算した額(令和3年度分の固定資産税にあっては、前年度分の固定資産税の課税標準額)を当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき額とした場合における固定資産税等額(以下「宅地等調整固定資産税等額」という。)を超える場合には、当該宅地等調整固定資産税等額とする(法附則第18条第1項及び第25条第1項)。
(4) 地目の変換等特別の事情がある土地について
 令和3年度に係る賦課期日において地目の変換等がある宅地等に係る令和3年度の「前年度分の固定資産税の課税標準額」とは、当該宅地等の同年度の比準課税標準額をいう(法附則第18条第6項第2号及び第25条第6項)。
2 争点等について
(1) 審査請求人は、本件各土地の令和3年度課税明細書に記載された前年度課税標準額等について、本件分筆前土地の令和2年度課税標準額を本件各土地の地積に応じて配分した金額に訂正するよう主張している。
 この点、固定資産税額等の算出においては、前記1(4)のとおり負担調整措置を適用する場合において、地目の変換その他これに類する特別の事情がある宅地等に係る前年度課税標準額については、比準課税標準額とするとされている。
 地目の変換その他これに類する特別の事情とは、法第349条第2項第1号の事情と同意義であるとされ、大阪市においては、第2年度又は第3年度に評価替えの対象となる土地の要件について、平成24年9月26日通知により、地目の変換その他これに類する特別の事情として、①分筆又は合筆、②画地の認定の変更を必要とする利用状況の変化等を掲げている。
 これを本件においてみると、令和2年度まで本件分筆前土地は、1筆1画地で評価されていたところ、令和3年度は、賦課期日現在、本件各土地は他の4筆と併せてコインパーキングとして利用されているとして、一体評価されていることが認められる。よって、本件各土地は、平成24年9月26日通知における画地の認定の変更を必要とする利用状況の変化があった土地であるとして、地目の変換その他これに類する特別の事情がある土地に該当することから、比準課税標準額を用いて負担調整措置を行うこととなる。
 したがって、本件分筆前土地の令和2年度課税標準額を本件各土地の地積に応じて按分計算し前年度課税標準額等を求めるべきとする審査請求人の主張は認められない。
(2) 審査請求人は、「令和3年度に限り、宅地等について、令和2年度の課税標準額を据え置く」とのことから、令和3年度課税明細書に記載された当該年度課税標準額等について本件分筆前土地の令和2年度課税明細書に記載されていた額を本件各土地のそれぞれの地積に応じて配分した額に訂正するよう求めている。
 令和3年度の負担調整措置については、新型コロナウイルス感染症により社会経済活動や国民生活全般を取り巻く状況が大きく変化したことを踏まえ、前記1(3)のとおり、当該年度に限り、宅地等については、令和2年度の課税標準額を据え置くこととされている。
 これを本件においてみると、本件各土地は、前記(1)のとおり地目の変換その他これに類する特別の事情がある土地に該当し、当該土地に係る前年度課税標準額については、前記1(4)のとおり、比準課税標準額とするとされていることから、本件各土地に係る令和3年度の負担調整措置の適用において、令和2年度の課税標準額として据え置かれるべきであるのは、本件分筆前土地の令和2年度の課税標準額ではなく、本件各土地に係る比準課税標準額である。
 したがって、令和3年度課税明細書に記載された当該年度課税標準額等について本件分筆前土地の令和2年度課税明細書に記載されていた額を本件各土地のそれぞれの地積に応じて配分した額に訂正するべきとする審査請求人の主張は認められない。
(3) 上記以外についても、本件処分に違法又は不当な点は認められない。
3 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
4 結論
 よって、本件審査請求には理由がないものと認められるので、当審査会は第1記載のとおり答申する。

第7 付言
 本件処分に対する当審査会の判断については前記のとおりであるが、本件各土地については、処分庁の主張にもあるように、平成22年4月9日以降、令和3年度の賦課期日までのいずれかの時期にコインパーキングとして使用されたと推認できるものである。
 したがって、本件各土地については、コインパーキングとして一体利用されているという利用形態の変化を適時に把握して、直ちに評価替えを行い、翌年度以降の賦課決定処分に反映し、適正・公平な課税事務に努めるべきであったと思料する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第1部会
 委員(部会長) 吉岡奈美 、委員 平松亜矢子 、委員 森本勝志

別紙省略

 

上記答申書に関する問合せ先
財政局税務部管理課(審査監察グループ)
電話:06-6208-8236  ファックス:06-6202-6953

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