ページの先頭です

答申書(令和3年度答申第15号)

2023年2月17日

ページ番号:560046

諮問番号:令和3年度諮問第11号
答申番号:令和3年度答申第15号

答申書

第1 審査会の結論
 本件審査請求は棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、○○区○○丁目○番○の土地(以下「本件土地」という。)について、審査請求人に対して、令和3年4月1日付けで、令和3年度固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)賦課決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。
2 審査請求人は、令和3年6月28日、大阪市長に対して、本件処分の取消を求めて、審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 本件処分(本件土地が更地であると評価して行った処分)の取消しを求める。
 本件土地上に存在していた家屋(以下「本件家屋」という。)の取壊し完了は令和3年1月15日であり、本件土地は、令和3年1月1日現在は更地でないので、令和3年度の固定資産税等は本件土地上に建物が有る状態で評価してほしい。
 処分庁は本件家屋を2棟とし、うち東側1棟分の土地は更地で、西側の1棟は取壊し作業中であるとするが、本件家屋は1棟4軒長屋で、2棟とするのは無理だ。
2 処分庁の主張
 令和2年12月11日に行った実地調査により、本件家屋のうち、東側の1棟分の土地は更地であり、西側の1棟は取壊し工事に着手しており、作業者に建物すべて取壊し予定であることを確認している。
 取壊し工事が着手されることによって、固定資産税における家屋としての要件を満たさなくなることから、取壊しに着手したときを家屋の滅失時期としている。
 本件処分に係る令和3年度の固定資産税等の賦課期日(以下「本件賦課期日」という。)である令和3年1月1日現在、本件土地上に固定資産税における家屋が存在せず、住宅用地に対する固定資産税等の課税標準額の特例(以下「住宅用地の特例」という。)を適用する理由がないため、本件処分は適正である。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
 「地方税法第349条の3の2の規定における住宅用地の認定について」(平成9年4月1日付け自治固第13号 平成27年5月26日一部改正)(以下「総務省通知」という。)では、住宅の認定において、地方税法(以下「法」という。)第349条の3の2でいう家屋が住宅であるかどうかは、当該家屋が屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならず、現況がこうした状態にないものは固定資産税における家屋には該当しないとされている。
 処分庁は、令和2年12月11日に行った実地調査により、本件家屋の屋根及び周壁の取壊し作業中であることを確認しており、この時点で、本件家屋は、「屋根及び周壁又はこれに類するものを有し」ておらず、「その目的とする用途に供し得る状態」になかったため、固定資産税における家屋には該当しない状態であったということになる。
 以上の点より、本件土地の課税に当たり、固定資産税における家屋の存在を前提とする住宅用地の特例を適用することはできない。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  令和3年11月24日 諮問書の受理
  令和3年12月7日 調査審議
  令和3年12月20日 調査審議
  令和4年1月7日 調査審議

第6 審査会の判断
1 関係法令等の定め
(1) 固定資産税等の賦課期日等について
ア 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする(法第359条及び第702条の6)。
イ 都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、固定資産税の賦課徴収と併せて行う(法第702条の8)。
(2) 住宅用地の特例について
ア 住宅用地とは、専ら人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地をいい、これに対して課する固定資産税の課税標準は、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1(法第349条の3の2第2項に該当する住宅用地(以下「小規模住宅用地」という。)にあっては6分の1)の額とする(法第349条の3の2)。
イ 法第349条の3の2第1項の規定の適用を受ける土地に係る都市計画税の課税標準は、当該住宅用地に係る都市計画税の課税標準となるべき価格の3分の2(小規模住宅用地にあっては3分の1)の額とする(法第702条の3)。
(3) 住宅の認定について
 当該家屋が住宅であるかどうかの判定については、次のとおり取り扱うものとする。
 なお、家屋とは、不動産登記法の建物とその意義を同じくするものであること。したがって、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならず、現況がこうした状態にないものは家屋には該当しないことに留意する必要がある。(総務省通知)
ア 住宅に該当するかどうかは、一個の家屋ごとに判断するものとし、この場合原則として一棟の家屋をもって一個の家屋とする。なお、複数棟から構成される家屋で外観等からみて別個の家屋と判断できる場合には、例外として別個の家屋として取り扱って差し支えない。
イ 付属的な家屋(物置、納屋、土蔵等)については、本体の家屋と効用上一体として利用される状態にある場合には、一個の家屋に含めるものとする。
ウ 人の居住の用に供するとは、特定の者が継続して居住の用に供することをいう。
エ  賦課期日において現に人が居住していない家屋については、当該家屋が構造上住宅と認められ、かつ、当該家屋(併用住宅にあっては、当該家屋のうち居住部分とする。)が居住以外の用に供されるものでないと認められる場合には、住宅とする。ただし、賦課期日における当該家屋の使用若しくは管理の状況又は所有者等の状況等から客観的にみて、当該家屋について、構造上住宅と認められない状況にある場合、使用の見込みはなく取壊しを予定している場合又は居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合には、住宅には該当しないものであるので、賦課期日における当該家屋の客観的状況等に留意する必要がある。
オ 併用住宅の共用部分については、専用部分の床面積の割合によってあん分し、それぞれの専用部分に含める。
2 争点等について
 審査請求人は、本件家屋の取壊し完了は令和3年1月15日であり、本件土地は、令和3年1月1日現在は更地でないので、令和3年度の固定資産税等は本件土地上に建物が有る状態で評価してほしいと述べ、本件賦課期日には本件土地上に住宅が存在したため、住宅用地の特例を適用すべきだと主張しているようである。
 ここで、住宅用地の特例については、前記1(2)アのとおり、専ら人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地に適用されるものである。また、当該家屋が住宅であるかどうかに関して、総務省通知においては、前記1(3)エのとおり、賦課期日において現に人が居住していない家屋については、賦課期日における当該家屋の使用若しくは管理の状況又は所有者等の状況等から客観的にみて、構造上住宅と認められない状況にある場合、使用の見込みはなく取壊しを予定している場合又は居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合には、住宅には該当しないものであるとされている。
 これを本件においてみると、本件賦課期日現在、本件家屋は現に人が居住していない家屋であることについて、双方に争いは無い。また、審査請求人は令和2年12月14日に本件家屋を取り壊す予定であると本件家屋の所有者より連絡を受けており、令和3年1月15日に本件家屋の解体が完了したと解体業者から書面を受領している。一方、処分庁は令和2年12月11日に行った実地調査により本件土地に取壊しのための資材や機械が搬入されていること及び作業業者に本件家屋はすべてが取壊し予定であることを確認したことが認められる。
 以上のことからすると、本件賦課期日現在、本件家屋は、使用の見込みはなく取壊しを予定されていて、今後人の居住の用に供される見込みがない家屋であると認められ、住宅用地の特例の適用の対象となる住宅には該当しないとするのが相当である。
 なお、審査請求人は、本件家屋は1棟4軒長屋で東側と西側の2棟とするのは無理だとも主張する。この点については、前記1(2)アのとおり、住宅に該当するかどうかの判断の単位に影響を及ぼす事項ではあるものの、いずれにしても、本件家屋が今後人の居住の用に供される見込みがない家屋であることに変わりはない。
 したがって、本件土地については、本件賦課期日現在、当該土地が更地であるかどうかにかかわらず、専ら人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地であるとは言えず、住宅用地の特例を適用することはできないとする本件処分に違法な点はない。
3 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
4 結論
 よって、本件審査請求には理由がないものと認められるので、当審査会は第1記載のとおり答申する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第2部会
 委員(部会長) 永井秀人、委員 野村宏子、委員 櫻井多美

 

上記答申書に関する問合せ先
財政局税務部管理課(審査監察グループ)
電話:06-6208-8236  ファックス:06-6202-6953

答申書(令和3年度答申第15号)

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

SNSリンクは別ウィンドウで開きます

  • Facebookでシェア
  • Xでポストする
  • LINEで送る

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市総務局行政部行政課法務グループ
住所: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所4階)
電話: 06-6208-7443 ファックス: 06-6229-1260

メール送信フォーム

このページへの別ルート

表示