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答申書(令和3年度答申第20号)

2023年2月17日

ページ番号:566060

諮問番号:令和3年度諮問第21号
答申番号:令和3年度答申第20号

答申書

第1 審査会の結論
 本件審査請求は棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、審査請求人の平成30年度の市民税及び府民税に係る特別徴収税額の決定通知書(以下「納税通知書」という。)を平成30年5月18日に発送した後、審査請求人は平成29年分所得税確定申告書を令和元年6月6日に○○税務署(以下「税務署」という。)へ提出した。
2 処分庁は、審査請求人の令和元年度の納税通知書を令和元年5月17日に発送した後、審査請求人は平成30年分所得税確定申告書を令和2年4月24日に税務署へ提出した。
3 処分庁は、審査請求人の令和2年度の納税通知書(以下「本件通知書」という。)を令和2年5月19日に発送した後、審査請求人は令和元年分所得税確定申告書(以下「本件申告書」という。)を令和3年3月15日に税務署へ提出した。
4 処分庁は、本件申告書の内容に基づき、令和3年6月22日付けで令和2年度の市民税及び府民税に係る税額変更決定処分(以下「本件処分」という。)を行い、令和3年6月28日に令和2年度市民税・府民税納税通知書兼税額変更(決定)通知書を発送した。
5 審査請求人は、令和3年9月21日、大阪市長に対して、本件処分を不服として審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 所得税は確定申告で損失の繰越控除が3年間認められたのに、住民税では認められなかった。
 平成28年分の確定申告時に期限切れで受け付けられないことを教えてもらえれば、今回のようなことには至らなかった。
 大阪市のホームページで、住民税の申告に期限があること、期限がいつまでかを調べたが、見つけることができなかった。
2 処分庁の主張
 審査請求人に係る平成30年度から令和2年度までの納税通知書について、平成30年度は平成30年5月18日に、令和元年度は令和元年5月17日に、令和2年度は令和2年5月19日に郵便によりそれぞれ発送している。
 審査請求人は、平成29年分所得税確定申告書を、平成30年度の納税通知書の送達後である令和元年6月6日に、平成30年分所得税確定申告書を、令和元年度の納税通知書の送達後である令和2年4月24日に、本件申告書は、本件通知書の送達後である令和3年3月15日に、税務署へそれぞれ提出している。このように、各年分の所得税確定申告書は納税通知書の送達後に提出されており、審査請求人に係る令和2年度の市民税及び府民税において、平成29年度から令和元年度までの先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除は適用できない。
 なお、本件審査請求の趣旨及び理由において、申告書の提出期限について本市からの連絡がなかったことやホームページに掲載がない旨の記載があるが、申告書の提出は納税義務者の責任で行うものであり、当該提出期限は法定事項である。したがって、本市からの連絡及びホームページへの掲載がないことをもって本件処分が違法になるものではない。
 以上のことから、本件処分は適正である。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
 審査請求人は、平成29年度市民税及び府民税の賦課期日現在、大阪市に住所を有する者でないため確認することはできないが、少なくとも、その後の連続する年度である平成30年度については平成29年分所得税確定申告書が令和元年6月6日に、令和元年度については平成30年分所得税確定申告書が令和2年4月24日に、令和2年度については本件申告書が令和3年3月15日にそれぞれ提出されていることが確認でき、当該年度の市民税及び府民税申告書の提出期限を徒過して提出していることが認められる。また、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除は、当該損失の生じた年の末日の属する年度の翌年度の市民税及び府民税について先物取引の差金等決済に係る損失の金額の控除に関する事項を記載した申告書を3月15日までに提出した場合に適用され、やむを得ない事情があると認められる場合には納税通知書が送達される時までに提出した場合を含むと規定されているところ、処分庁は平成30年度納税通知書を平成30年5月18日に、令和元年度納税通知書を令和元年5月17日に、本件通知書を令和2年5月19日にそれぞれ発送しており、審査請求人は、前述のとおり納税通知書が送達された後に各年分の所得税確定申告書を提出していることが認められる。
 よって、審査請求人が令和3年3月15日に税務署へ提出した本件申告書に基づき行われた本件処分に、平成28年分から平成30年分までの各年に生じた先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を適用しないことは適正である。
 なお、審査請求人は、平成28年分の確定申告時に期限切れで受け付けられないことを教えてもらえれば今回のようなことには至らなかったこと、大阪市のホームページで住民税の申告に期限があることや期限がいつまでかを調べたが見つけることができなかったこと等についても不服としている。
 この点、大阪市のホームページでは、市民税及び府民税の申告について、申告書の提出期限が掲載されており、当該提出期限までに先物取引の差金等決済に係る損失の金額の控除に関する事項を記載した申告書を提出することは法定事項である。
 したがって、大阪市のホームページに先物取引の申告について掲載されているか、いないか等をもって本件処分が違法になるものではない。よって、審査請求人の主張を採用することはできない。
 以上の点より、本件処分は適正であり、他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  令和4年2月14日 諮問書の受理
  令和4年2月15日 調査審議
  令和4年3月8日 調査審議

第6 審査会の判断
1 関係法令等の定め
(1) 市町村民税の申告等
ア 市町村内に住所を有する個人は、3月15日までに総務省令の定めるところにより、前年の総所得金額や控除額等を記載した申告書を、賦課期日現在における住所所在地の市町村長に提出しなければならない。ただし、給与支払報告書又は公的年金等支払報告書を提出する義務がある者から1月1日現在において俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与又は公的年金等の支払を受けている者で前年中において給与所得以外の所得又は公的年金等に係る所得以外の所得を有しなかったものについては、この限りでない(地方税法(以下「法」という。)第317条の2第1項)。
イ 給与支払報告書又は公的年金等支払報告書を提出する義務がある者から1月1日現在において給与又は公的年金等の支払を受けている者で前年中において給与所得以外の所得又は公的年金等に係る所得以外の所得を有しなかったもの(第1項の申告書を提出する義務を有する者を除く。)は、雑損控除額若しくは医療費控除額の控除、純損失の金額の控除、雑損失の金額の控除又は寄附金税額控除額の控除を受けようとする場合には、3月15日までに、これらの控除に関する事項を記載した申告書を、賦課期日現在における住所所在地の市町村長に提出しなければならない(法第317条の2第3項)。
ウ 市町村内に住所を有する個人の者が前年分の所得税につき確定申告書を提出した場合には、市町村民税の規定の適用については、当該確定申告書が提出された日に市町村民税の申告書が提出されたものとみなす(法第317条の3第1項)。
(2) 先物取引に係る課税の特例
 市町村は、市町村民税の所得割の納税義務者が前年中に差金等決済に係る先物取引による事業所得、譲渡所得又は雑所得を有する場合には、当該事業所得、譲渡所得及び雑所得については他の所得と区分し、前年中の当該事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下「先物取引に係る雑所得等の金額」という。)に対し、先物取引に係る雑所得等の金額の100分の3(当該納税義務者が指定都市の区域内に住所を有する場合には、100分の4)に相当する金額に相当する市町村民税の所得割を課する。この場合において、先物取引に係る雑所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、市町村民税に関する規定の適用については、当該損失の金額は生じなかったものとみなす(法附則第35条の4第4項)。
(3) 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
 市町村民税の所得割の納税義務者の前年前3年内の各年に生じた先物取引の差金等決済に係る損失の金額(この項の規定により前年前において控除されたものを除く。)は、当該先物取引の差金等決済に係る損失の金額の生じた年の末日の属する年度の翌年度の市町村民税について先物取引の差金等決済に係る損失の金額の控除に関する事項を記載した第317条の2第1項又は第3項の規定による申告書を提出した場合(市町村長においてやむを得ない事情があると認める場合には、これらの申告書をその提出期限後において市町村民税の納税通知書が送達される時までに提出した場合を含む。)において、その後の年度分の市町村民税について連続してこれらの申告書(その提出期限後において市町村民税の納税通知書が送達される時までに提出されたものを含む。)を提出しているときに限り、前条第4項後段の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該納税義務者の同項に規定する先物取引に係る雑所得等の金額を限度として、当該先物取引に係る雑所得等の金額の計算上控除する(法附則第35条の4の2第7項)。
2 争点等について
 審査請求人は、所得税は確定申告で損失の繰越控除が3年間認められたのに、住民税では認められなかったと主張している。
 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除については、前記1(3)のとおり、前年前3年内の各年に生じた先物取引の差金等決済に係る損失の金額は、当該損失の金額の生じた年の末日の属する年度の翌年度の市町村民税について先物取引の差金等決済に係る損失の金額の控除に関する事項を記載した申告書をその提出期限である3月15日までに提出した場合(やむを得ない事情があると認められる場合には市町村民税の納税通知書が送達される時までに提出した場合を含む。)において、その後の年度分について連続して申告書を提出期限までに提出しているとき(その提出期限後において市町村民税の納税通知書が送達される時までに提出されたものを含む。)に限り、その年度分に係る先物取引に係る雑所得等の金額を限度として計算上控除するとされている。
 これを本件においてみると、審査請求人は、令和2年度の市民税及び府民税に係る損失の繰越控除に関して本件申告書を令和3年3月15日に税務署へ提出していることが認められる。よって、本件申告書は、当該申告書の提出期限(令和2年度については、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から令和2年4月16日)はもとより、やむを得ない事情があると認められる場合の期限である市民税及び府民税の納税通知書が送達される時(本件納税通知書の送付日は令和2年5月19日)までに提出されていないことは明らかである。
 なお、繰越控除に係る前年前3年内の各年に生じた損失の金額についても、審査請求人は、平成29年分所得税確定申告書を令和元年6月6日に、平成30年分所得税確定申告書を令和2年4月24日にそれぞれ提出していることから、これらについても当該申告書の提出期限及び、やむを得ない事情があると認められる場合の期限である市民税及び府民税の納税通知書が送達される時までに提出されていないことが認められる。
 したがって、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を適用せず、令和2年度の市民税及び府民税の税額を算定し、決定した本件処分に違法又は不当な点は認められない。
 また、審査請求人は平成28年分の確定申告時に期限切れで適用されないことを教えてもらえれば、今回のようなことには至らなかったことや大阪市のホームページで、住民税の申告期限があることや期限がいつまでか調べたが見つけることができなかった旨も主張している。
 審査請求人は平成29年度市民税及び府民税の賦課期日現在、大阪市に住所を有する者でないことが認められることからすると、審査請求人の平成28年分の確定申告書の提出に関する主張については、処分庁の知るところではなく、その後の年分についても、申告書の提出は納税義務者の責任で行うものであることから、審査請求人の主張は認められない。また、先物取引の差金等決済の損失の繰越控除に係る市民税及び府民税の申告期限について、現時点では大阪市のホームページにも掲載されているものの、本件処分時において当該記載はなかったことが認められる。しかしながら、市民税及び府民税の申告書を提出することやその期限は前記1(1)ア及び(3)のとおり、法定事項であるため、ホームページに掲載されていないことをもって本件処分が違法になるものではない。
3 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
4 結論
 よって、本件審査請求には理由がないものと認められるので、当審査会は第1記載のとおり答申する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第1部会
 委員(部会長) 吉岡奈美、委員 平松亜矢子、委員 森本勝志

 

上記答申書に関する問合せ先
財政局税務部管理課(審査監察グループ)
電話:06-6208-8236  ファックス:06-6202-6953

答申書(令和3年度答申第20号)

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