答申第142号
2019年9月9日
ページ番号:584731
概要
(1)開示請求の内容
(2)実施機関(=大阪市長)の決定
実施機関は、「平成24年9月20日から平成31年3月4日のケース記録票(開示請求者が書いた手紙は除く)」と特定した上で、そのうち、「請求人以外の個人の氏名」、「続柄」、「ケース番号」及び「現状」(以下「本件非開示部分1」といいます。)については大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「条例」といいます。)第19条第2号に該当し、実施機関の請求人に対する評価及び所見並びに援助方針(以下「本件非開示部分2」といいます。)、関係機関に関する情報及び提供された情報(以下「本件非開示部分3」といいます。)については、条例第19条第6号に該当することを理由に非開示とする部分開示決定(以下「本件決定1」といいます。)を行いました。
実施機関は、本件請求2に係る保有個人情報を存在しないことを理由として、不存在による非開示決定(以下「本件決定2」といい、本件決定1とあわせて「本件各決定」といいます。)を行いました。(3)審査請求の内容
(4)答申の結論
(5)答申のポイント
審議会は次のとおり判断しています。
ア 本件非開示部分1の条例第19条第2号該当性について
(ア)本件非開示部分1のうち「請求人以外の続柄、ケース番号及び現状」については、審査請求人以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより、審査請求人以外の特定の個人を識別することができるもの又は審査請求人以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお当該個人の権利利益を害するおそれがあるものと認められることから、条例第19条第2号本文に該当し、またその性質上、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。
(イ)本件非開示部分1のうち「請求人以外の個人の氏名」については、審査請求人以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより、請求人以外の個人を識別することができるため、条例第19条第2号本文に該当する。
しかし、当該個人の氏名については、審査請求人が扶養義務者として申告している個人の氏名であるため、審査請求人であれば知り得る情報であることから、同号ただし書アに該当する。
よって、条例第19条第2号には該当しない。
イ 本件非開示部分2及び本件非開示部分3の条例第19条第6号該当性について
(ア)本件非開示部分2について、実施機関に確認したところ、生活保護制度においては、被保護者とケースワーカー等との良好な人間関係を構築した上で、被保護者の自立を支援していくことが重要であり、そのため、ケースワーカー等は、ケースワークの援助技術として受容的な態度で指導を行う一方で、被保護者(世帯)の実情を明らかにし処遇方針や保護決定の根拠を示す必要があり、したがって、ケースワーカー等は、被保護者に対する評価等をケース記録票等に率直に記録するものである以上、当該記録は被保護者自身の所感と異なる場合もあり得ることから、本件非開示部分2を被保護者へ開示した場合、被保護者に無用の不信感や感情的な反発を生じさせることになり、事務の性質上、被保護者に対する支援のみならず、将来の生活保護事務全般の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとのことであった。
(イ)これに鑑みれば、本件非開示部分2のうち別表1に掲げる情報を除いて、ケースワーカーが審査請求人に対する生活保護の実施に関し適正な判断を行うために、審査請求人に対する評価及び所見を率直に記録しており、これを開示すると、審査請求人が実施機関に不信感を抱き、今後の生活保護事務の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められることから、条例第19条第6号に該当する。
(ウ)しかしながら、本件非開示部分2のうち別表1に掲げる情報については、審査請求人が発言した内容、審査請求人に合意を得た内容及び伝達した内容、客観的な事実等であることから、審査請求人へ開示したとしても、実施機関と審査請求人との間の信頼関係が損なわれ、生活保護事務の適正な遂行に支障が生じるおそれがあるとは認められないことから、条例第19条第6号に該当しない。
ウ 本件非開示部分3の条例第19条第6号該当性について
(ア)本件非開示部分3について、実施機関へ確認したところ、実施機関が関係機関から収集した情報については、本人の意に反する内容が含まれることもあるところ、仮にこれが開示されることになれば、情報提供を行った関係機関が本人から抗議を受ける可能性があり、今後、関係機関が情報提供に非協力的ないし消極的となって、その結果、実施機関での正確な事実の把握が困難になるおそれがあること、また、本人の感情や反応を考慮するあまり、実施機関が提供を受けた情報を簡略化して記録することになりケース記録票等の内容が形骸化するおそれがあることから、生活保護事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとのことであった。
(イ)これに鑑みれば、本件非開示部分3のうち別表2に掲げる情報を除いて、審査請求人に係る生活保護事務の適正な遂行のために関係機関から収集した情報が記録されていることから、本件非開示部分3が開示されることとなると、関係機関が実施機関への情報提供に消極的となって、その結果、実施機関での正確な事実の把握が困難になり、必要な情報が十分に得られなくなるおそれがあるとともに、本人の感情や反応を考慮してケース記録票等の記録内容を簡略化・定型化することが予想され、生活保護事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、条例第19条第6号に該当する。
(ウ)しかしながら、本件非開示部分3のうち別表2に掲げる情報については、審査請求人が容易に推測し得る内容、審査請求人であれば知り得る内容、客観的な事実等が記載されているものであることから、審査請求人へ開示したとしても、生活保護事務の適正な遂行に支障が生じるおそれがあるとは認められないことから、条例第19条第6号に該当しない。
エ 令和元年5月30日に審査請求人と電話で会話した際の記録の存否について
実施機関に確認したところ、ケース記録票は、被保護世帯の実状を明らかにし、保護決定の根拠を示す基礎資料として、その世帯の実態をはじめ、訪問調査活動結果や指導指示の内容等について、その世帯への援助や決定に関する重要な事項を記載することとしており、具体的には、家庭訪問、関係機関等への訪問、生活状況に大きな変化のあった場合等に記載する必要があると指導しているとのことであり、実施機関の事務処理マニュアルである「生活保護の基礎知識」令和2年度版に、その旨記載されていることが確認される。
これを踏まえれば、令和元年5月30日の電話での問合せ内容は、担当ケースワーカーの変更希望などであり、訪問調査活動の結果や指導指示の内容、今後の援助方針等その世帯への援助や決定に関する重要な事項に該当するものではなく、当該内容についてケース記録票を作成していないとする実施機関の主張に、特段不自然不合理な点は認められない。
答申第142号
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