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答申第143号

2019年9月9日

ページ番号:584733

概要

(1)開示請求の内容

別表項番1から項番4までの(え)欄に記載の旨の保有個人情報の開示請求(以下、項番順に「本件請求1」及び「本件請求2」といいます。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報のうち、別表項番1の(か)欄に記載の情報(以下「本件情報1」といいます。)については、存在しないことを理由として、不存在による非開示決定(以下「本件決定1」といいます。)を行いました。

実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報のうち、別表項番2の(か)欄に記載の情報と特定した情報(以下「本件情報2」といいます。)については、依頼者氏名及び印影、利用目的の内容、備考欄、世帯番号、問合せ先、個人のサイン及び利用目的の種別が大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「条例」といいます。)第19条第2号に、法人等の印影について条例第19条第3号に該当することを理由に非開示とする部分開示決定(以下「本件決定2」といいます。)を行いました。

実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報のうち、別表項番3の(か)欄に記載の情報(以下「本件情報3」といいます。)と特定した情報については、そのすべてが条例第19条第7号に該当することを理由に非開示とする非開示決定(以下「本件決定3」といいます。)を行いました。

実施機関は、本件請求2に係る保有個人情報について、別表項番4の(か)欄に記載の情報(以下「本件情報4」といいます。)と特定した上で、個人の署名が条例第19条第2号に該当することを理由に非開示とする部分開示決定(以下「本件決定4」といい、本件決定1から本件決定3までとあわせて「本件各決定」といいます。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件各決定の取消しを求めて、審査請求がありました。

(4)答申の結論

実施機関が行った本件決定1、本件決定3及び本件決定4は妥当である。

本件決定2において開示しないこととした部分のうち、戸籍筆頭者の生年月日の情報を開示すべきであり、その余の部分は妥当である。

(5)答申のポイント

審議会は次のとおり判断しています。

ア 本件各決定における保有個人情報及び非開示部分について

(ア)本件情報1は、審査請求人以外の第三者による審査請求人に係る住民票の写し等請求書(平成25年1月1日から平成29年3月31日請求分)及び審査請求人に係る戸籍全部事項証明書等請求書(平成25年1月1日から平成26年12月31日請求分)に記録されている情報である。

(イ)本件情報2-1は、国又は地方公共団体の機関からの戸籍謄本等の交付依頼文書に記録されている情報であり、本件情報2-2は、戸籍法第10条の規定に基づき弁護士(以下「本件弁護士」といいます。)から提出された戸籍謄本等職務上請求書に記録されている情報である。

実施機関が本件決定2において非開示とした情報は、本件情報2-1のうち「請求の照会元機関名及びその公印」、「文書番号」、「照会の目的及び根拠法令」、「必要とする者の氏名欄」、「備考欄」、「世帯番号」、「問合せ先」及び実施機関の職員等記載欄としての「作成」・「発送」欄の情報(以下「本件非開示部分1」といいます。)並びに本件情報2-2のうち、「利用目的の種別」及び「弁護士の職印」(以下「本件非開示部分2」といいます。)である。

(ウ) 本件情報3は、本件情報2-1の依頼元とは別の国又は地方公共団体の機関からの戸籍謄本・戸籍附票交付等請求書に記録されている情報であり、実施機関はそのすべてを非開示としている。   

(エ) 本件情報4は、審査請求人本人が請求した特定日の「全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書」及び「住民票の写し等請求書」に記録されている情報であり、本件決定4において実施機関が非開示とした情報は、実施機関の職員等記載欄である「受付」、「作成」、「交付」及び「審査」欄の情報(以下「本件非開示部分3」といいます。)である。

 

イ 本件情報1の存否について

実施機関に確認したところ、各請求書は、国又は地方公共団体の機関からの請求書(以下「各公用請求書」といいます。)と公用請求書を除く請求書(以下「各一般請求書」といいます。)に区別し、さらに各一般請求書についても八業士(弁護士、司法書士等)からの請求書(以下「各八業士請求書」といいます。)と八業士を除く請求書(以下「各その他一般請求書」といいます。)に区別して、それぞれ管理しているとのことである。

また、各公用請求書については、平成29年度及び平成30年度の廃棄簿冊目録において、それぞれ廃棄していたことが認められ、廃棄したため存在しないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。

次に、各一般請求書のうち八業士請求書については廃棄の延長を行っていることから請求時点で保有していた旨が実施機関から改めて説明があったものであるが、本件請求時に探索して確認を行っており、住民票の写し・印鑑登録証明書・戸籍の附票の写し等請求書については平成25年1月1日から平成29年3月31日まで、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書については平成25年1月1日から平成26年12月31日までの間に、審査請求人に係る八業士からの請求がそれぞれなかったことから、各八業士請求書については、実施機関においてそもそも作成又は取得していないとのことである。

したがって、本件情報1が記録されている公文書のうち各八業士請求書については、そもそも審査請求人の個人情報が存在しないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。

一方、各その他一般請求書については、簿冊に編集せずに管理しており、保存期間が同じである各公用請求書に係る簿冊の廃棄時期と合わせて廃棄したとのことである。

審議会としては、公文書は簿冊に編集し、保存期間が満了する公文書を編集した簿冊は目録を作成した上で廃棄するという公文書管理条例及び同条例施行規則に基づく適正な手続が実施機関において取られておらず、各その他一般請求書については廃棄簿冊目録が確認できないため、廃棄したとの実施機関の説明を裏付ける証拠はないと言わざるを得ないものの、一方で実施機関の当該説明を覆すことができる特段の事情も見当たらない。

したがって、本件情報1のうち各その他一般請求書については廃棄したため存在しないとする実施機関の主張については、これを是認するほかない。

 

ウ 本件非開示部分1及び本件非開示部分2について

審議会において、本件非開示部分1及び本件非開示部分2を見分したところ、本件非開示部分1には、国又は地方公共団体の機関及びその公印、文書番号、照会の目的、根拠法令、審査請求人の親族に係る生活状況の情報、当該機関からの公用請求日時点において審査請求人の属していた戸籍の筆頭者であった者(以下「戸籍筆頭者」といいます。)の生年月日及び委託事業者の担当者氏名が記載されており、本件非開示部分2には、本件弁護士の業務の具体的な内容(以下「本件非開示部分2-1」といいます。)及び本件弁護士の職印(以下「本件非開示分2-2」といいます。)が記載されていることが認められる。

(ア) 本件非開示部分1の条例第19条第2号該当性について

A 本件情報2-1は、審査請求人の親族に関わって国又は地方公共団体の機関が審査請求人に係る戸籍謄本等を請求したものであり、本件非開示部分1のうち、「国又は地方公共団体の機関及びその公印、文書番号、照会の目的、根拠法令」は、開示することにより、審査請求人の親族に係る生活状況が明らかになるものである。

実施機関によれば、当該機関が公用により審査請求人に係る戸籍謄本等を入手した後、当該機関から審査請求人に当該親族の生活状況を知らせることは必ずしも予定されていないとのことである。

したがって、本件非開示部分1のうち「国又は地方公共団体の機関及びその公印、文書番号、照会の目的、根拠法令」は、審査請求人以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより、特定の個人を識別できる情報であるため、条例第19条第2号本文に該当し、かつ、その性質上、同号ただし書ア及びウのいずれにも該当しない。

本件非開示部分1のうち、「委託事業者の担当者氏名」については、審査請求人以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより、審査請求人以外の特定の個人を識別することができるものであり、業務委託している民間従事者の氏名は慣行として公にしていない情報であることから、条例第19条第2号本文に該当し、かつ、その性質上、同号ただし書ア及びウのいずれにも該当しない。

B 審査請求人は、本件非開示部分1は、人の生命、身体、健康、生活又は財産の保護を害するおそれがあり非開示情報に該当しない旨を主張するため、条例第19条第2号ただし書イ該当性を検討する。

非開示にすることにより得られる利益と、開示することにより得られる公益の比較衡量を行うに当たっては、人の生命等を害する相当の蓋然性その他保護の必要性、緊急性等を具体的かつ慎重に判断する必要がある。現時点において、審査請求人から、人の生命・身体・健康・生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる確たる主張がない以上、開示により得られる公益と非開示とすることにより得られる利益を比較衡量することはできない。

したがって、本件非開示部分1は、条例第19条第2号ただし書イに該当するとは判断できない。

C また、実施機関によれば、現在、審査請求人は戸籍筆頭者と別戸籍となっているため、本件非開示部分1のうち「戸籍筆頭者の生年月日」を非開示としたとのことであるが、改めて実施機関に確認したところ、戸籍法第10条の規定により、審査請求人の属していた戸籍を請求することができるとのことであり、そうすると「戸籍筆頭者の生年月日」は審査請求人が知ることができる情報である。

したがって、「戸籍筆頭者の生年月日」は条例第19条第2号ただし書アに該当する。

(イ)本件非開示部分2の条例第19条第2号該当性について

実施機関は、本件非開示部分2-1が開示されると、本件弁護士の業務内容及び戸籍謄本等を利用する目的が審査請求人に明らかとなり、他の情報と照合すると、本件弁護士の依頼人が識別されるおそれがあるため条例第19条第2号に該当する旨主張している。

本件非開示部分2-2を他の情報と照合することにより、審査請求人において、依頼人が誰であるかを一定程度の確実さをもって推測することができ、結果として依頼人を識別できる可能性があることは否定できない。

したがって、本件非開示部分2-1は、条例第19条第2号本文に該当し、かつその性質上及び前記(ア)Bに記載した条例第19条第2号ただし書イ該当性の判断と同様、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

(ウ)本件非開示部分2の条例第19条第3号該当性について

本件非開示部分2-1は、本件弁護士がどのような業務を受任しているかの情報であって、当該情報は、秘密保持の義務を定めた弁護士法第23条に規定する「職務上知り得た秘密」に該当する情報である。

したがって、本件非開示部分2-1を開示することにより、本件弁護士の正当な利益を害するおそれがあると認められることから、本件非開示部分2-1は、条例第19条第3号本文に該当し、かつ、前記(ア)Bに記載した条例第19条第2号ただし書イ該当性の判断と同様、本件非開示部分2-1が条例第19条第3号ただし書に該当する事情は認められない。

本件非開示部分2-2は、本件弁護士の職印の印影であり、一般に、弁護士の職印の印影は、弁護士としての資格に基づき、弁護士が一般の法律事務を行うに当たって作成する文書に押印されるものである。その印影は、当該文書が当該弁護士によりその職務上真正に作成されたことを認証する意義を有するものといえる。

弁護士の職印の印影は、法人の事業の遂行に当たり、契約書の作成等に用いられる印影と同様の重要性を有するものといえ、これが開示されると、これを用いて文書の偽造がされるなどにより、本件弁護士の権利又は正当な利益が害される相当の蓋然性があるということができる。

したがって、本件非開示部分2-2は、条例第19条第3号本文に該当し、かつ、その性質上、同号ただし書にも該当しないことは明らかである。

以上より、本件非開示部分2は、条例第19条第3号にも該当することが認められる。

   

エ 本件情報3について

審議会において、本件情報3を見分したところ、本件情報3には、国又は地方公共団体の機関及びその公印、照会対象者の氏名、照会理由等が記載されていることが認められる。本件情報3を開示した場合、どの機関がどのような目的で照会対象者の戸籍に関する情報を必要としているかが明らかとなり、当該機関の業務に支障が生じる可能性があると認められる。

したがって、本件情報3は、開示により公共の安全と秩序の維持を図るため、人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査等に支障が生じると認められ、条例第19条第7号に該当する。

 

オ 本件非開示部分3について

審議会において、本件非開示部分3を見分したところ、本件非開示部分3には、委託事業者の担当者氏名及び実施機関の職員の署名が記載されていることが認められる。

「委託事業者の担当者氏名」については、審査請求人以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより、審査請求人以外の特定の個人を識別することができるものであり、業務委託している民間従事者の氏名は慣行として公にしていない情報であることから、条例第19条第2号本文に該当し、かつ、その性質上及び前記ウ(ア)Bに記載した同号ただし書イ該当性の判断と同様、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

「実施機関の職員の署名」は、実施機関の職員が自書したことが認められるため、審査請求人以外の個人に関する情報であって、審査請求人以外の特定の個人を識別することができることから、条例第19条第2号本文に該当する。また、「実施機関の職員の署名」は、本人が自書したにとどまらず、個人の認証機能として果たしている役割を考慮すると、開示することにより偽造等当該個人の権利利益を害する場合もあると認められることから、実施機関の職員の氏名について公表する慣行があるからといって、当該署名を開示することが妥当であるとは認められず、条例第19条第2号ただし書アに該当せず、かつ、その性質上及び前記ウ(ア)Bに記載した同号ただし書イ該当性の判断と同様、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

答申第143号

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