答申第503号
2025年2月14日
ページ番号:587885
概要
(1)公開請求の内容
平成30年度に実施された「区政に関する区民アンケート」について、
1 費用の支出の時期及び金額が示されているもの(以下「本件請求1」という。)
2 「成果指標と目標値を設定しており、すべての区で、統一的手法のもと無作為抽出した区民に対してアンケートを行い、成果指標を測定する」となっている目的が記載されている文書及び、この目的が達成されていることがわかる文書(調査の設計内容がわかるもの及び「市政改革プラン2.0」の進捗状況(平成30年度末時点)において「目標達成」などとしている判断根拠がわかるもの)(以下「本件請求2」という。)
3 「『市政改革プラン2.0』の進捗状況(令和元年8月末時点)」のページに掲載されている各報告書の実績値を測定した「区政に関する区民アンケート」の此花区及び東成区における回答率及び回答者の性別・年齢階層別構成比の分かるもの(以下「本件請求3」といい、「本件請求1」及び「本件請求2」と合わせて「本件各請求」という。)
の公開を求める旨の公開請求がありました。(2)実施機関(=大阪市長)の決定
(3)審査請求の内容
(4)答申の結論
(5)答申のポイント
審査会は、次の理由により、上記(4)のとおり判断しています。
ア 公開請求及び審査請求の状況
審査請求人は、平成30年11月以降公開請求を継続し、平成30年度で19件、令和元年度で11件、令和2年度で2件の公開請求を行っており、このうち令和2年6月の2件の公開請求却下決定について本件審査請求に至っている。
平成30年度の公開請求のうち2件は文書を特定し公開決定等を行ったが、残りの17件の請求については不存在による非公開決定を行っており、そのうち9件の請求に係る決定83件分については、別途審査請求がなされており、審査会は令和3年6月15日、答申第492号から第499号において一部を除き不存在による非公開決定は妥当である旨判断している。
イ これまでの請求内容の特徴について
審査請求人による平成30年11月からの公開請求は、30件のうち2件を除きアンケート調査が統計学的に適切に行われている根拠になる資料や調査結果を活用して事業を行うことの妥当性が示された公文書の公開を繰り返し求めるもの(以下「一連の公開請求」という。)である。
ウ 本件各請求の権利濫用該当性について
上記の一連の公開請求における公開請求制度の利用の態様等を踏まえ、以下本件各請求の権利濫用該当性について検討する。
(ア) 本件請求1について
本件請求1は、アンケート調査にかかわる公開請求ではあるものの、一連の公開請求にみられるような、アンケート調査が統計学的に適切に行われている根拠になる資料や調査結果を活用して事業を行うことの妥当性が示された公文書の公開を繰り返し求めるものとは異なるものである。また実施機関に確認したところ、審査請求人が本件請求1と同一内容の公開請求を繰り返し行っていたという事実もないとのことであった。さらに、「区政に関する区民アンケート」は業務委託契約により実施されたとのことであるから、委託料の支出に係る意思決定の文書又は委託料支出一覧等が本件請求1に係る公文書に該当すると考えられるが、これらの公文書の公開に係る事務が「実施機関の業務遂行を混乱及び著しく停滞させる」ものとは考えられない。
(イ) 本件請求2について
本件請求2は、審査請求人による一連の公開請求と同趣旨の内容であると認められる。
しかしながら、一連の公開請求については以下のとおりであるから、本件請求日時点では、本件請求2が著しく不適正なものであることが明らかであるとまでは言えない。
A 審査請求人の一連の公開請求の目的について
審査請求人による一連の公開請求内容を確認したところ、公開請求書には実施機関の事務事業を批判する記載はしばしば確認されるが、例えば特定の職員を念頭に誹謗中傷するような記載までは確認できなかった。
たしかに審査請求人の一連の公開請求は、実施機関が統計学に基づく適切なアンケート調査をしていないという事務事業に対する強い批判や、実施機関が説明責任を果たさないことに対する不服が含まれていることが多く見受けられる。
しかし一方で、審査請求人は一連の公開請求に関する不存在による非公開決定に対し公文書は存在するはずだとして審査請求(以下「別件審査請求」という。)を行っており、本件各請求の時点では別件審査請求に対する裁決がなされておらず審理中であったことを考慮すると、実施機関から不正な目的で公開請求を行っていると明らかに認められる事情の主張もなかったことから、審査請求人による一連の公開請求の目的が公文書の入手以外にあることが明らかとまでは言えない。
なお、本件請求2は、審査会の答申第492号から第499号までにおいて不存在による非公開決定は妥当であると判断された審査請求と同内容の公開請求であると認められ、先行答申と同様に、実施機関は本件請求2に係る公文書を保有していないものと認められる。
B 一連の公開請求に係る実施機関の事務負担について
公開請求に係る事務に関しては、担当部署での対応方針を調整するなどに要した時間についての説明があったが、一連の公開請求に対し実施機関はほぼすべてについて不存在による非公開決定を行っていることから、その探索に時間を要するとはいえ、少なくとも膨大な公文書の黒塗り作業を必要とするものではないと認められ、また、電話及び窓口での審査請求人の応対も生じていないことから、一連の公開請求が、通常の公開請求に要する事務量を超えて著しい事務量に達しているとまでは言えない。
(ウ) 本件請求3について
本件請求3は、アンケート調査にかかわる公開請求ではあるものの、一連の公開請求にみられるような、アンケート調査が統計学的に適切に行われている根拠になる資料や調査結果を活用して事業を行うことの妥当性が示された公文書の公開を繰り返し求めるものとは異なるものである。また実施機関によると、審査請求人が本件請求3と同一内容の公開請求を繰り返し行っていたという事実はないとのことであった。さらに、「区政に関する区民アンケート」は業務委託契約により実施されたとのことであるから、本件請求3に係る公文書には当該業務委託の成果物が該当すると考えられるが、これらの公文書の公開に係る事務が「実施機関の業務遂行を混乱及び著しく停滞させる」ものとは考えられない。
(エ) 上記(ア)及び(ウ)のとおり、本件請求1及び3については、上記(イ)Aに示したような存在しない公文書の公開を求めるものではなく、一連の公開請求と同趣旨のものではない。また上記(イ)のとおり、本件請求2は、一連の公開請求と同趣旨の公開請求であるが、別件審査請求の答申がなされていない時点ではその目的が公文書の入手以外にあることが明らかとまではいえないし、一連の公開請求に対する実施機関における負担が著しい事務量に達しているともいえない。
以上の点に加えて、市民の声の回答に係る事務の負担は公文書公開請求の対応に係る事務の負担に含まれないものであることにも鑑みると、公開請求制度の利用を認めず却下を行う実施機関の対応は、本件各請求日時点では行き過ぎたものと言わざるを得ず、また実施機関から公開請求の目的が公文書の公開以外にあることや事務遂行の停滞を明確に立証する説明がなく、ほかに濫用と認められる事情の主張もなかったため、本件各請求は権利の濫用に該当しない。
答申第503号
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