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答申第507号

2024年3月22日

ページ番号:589483

概要

(1)公開請求の内容

「大阪市の松井一郎市長が令和2年1月1日から9月10日までの間に、新型コロナウイルス対応にあたったことがわかる主たる会議等の議事録(ホームページで公開分を除く)と個別に行った市長レクの記録」の公開を求める旨の請求(以下「本件請求」という。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

実施機関は、対象文書が大量であるため延長決定をしたのち、請求期間における市長への説明資料を答申第507号の別紙(あ)欄のとおり特定し(以下「本件各文書」という。)、大阪市情報公開条例(以下「条例」という。)第10条第1項に基づき、公開決定(以下「本件決定」という。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件決定を取り消し、他に特定すべき公文書(以下「本件請求文書」という。)の公開を求めて審査請求がありました。

(4)答申の結論

本件決定は、妥当である。

(5)答申のポイント

審査会は、次の理由により、上記(4)のとおり判断しています。

審査請求人は、市長の応答についての記載のある公文書を求めており、「説明責任を果たすための公文書作成指針」(以下「作成指針」という。)に基づき本件請求文書は存在すると主張しているため、以下、作成指針で求められている市長への説明資料に対する取扱いを踏まえ、検討する。

作成指針には、文書の作成及び保存方法として、次のとおり示されている。

ア 説明資料の余白を利用して、実施日、出席者、主たる説明者等を記録すること

イ 原案どおり了承された場合など、特記すべき指示等がないときは、同じく余白にその旨を記録すること

ウ 内容の変更などの指示や注意事項などがあった場合は、必要に応じて別に説明時の指示内容等をまとめ、資料とともに保存すること

実施機関の説明によると、新型コロナウイルス対策は、主に都道府県(大阪府)が担っており政令指定都市(大阪市)は主導する立場になく、本件各文書に関わる市長説明は、感染状況の報告、大阪府が開催した会議内容の説明又は開催前の事前説明、記者会見時の市長コメント案や既に大阪府から示された具体的な対策事業の方針の説明であり、市長の指示等を仰ぐ性質のものではなく、実際に市長からの指示もなかったため本件請求文書は存在しないとのことであった。

作成指針のイのとおり、特筆すべき市長からの指示等がなかった場合には、資料の余白にその旨を記録しておくべきものであるが、当時、新型コロナウイルス感染症対応の混乱の中で、事業の実施に影響を及ぼすような市長の指示等がない場合にもその旨を記録しておく必要があるとの認識がなかったとのことであった。

なお、本件請求対象期間中は作成指針に示されている取扱いはしていなかったが、令和3年1月より特別職への説明における議事録を作成するように改め、指示等がなく原案どおり了承される場合においてもその旨記録する運用としているとのことである。

医療法(昭和23年法律第205号)や新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)では、国が対策の実施に関する政府行動計画を示して都道府県が地域の実情に応じて各種措置を実施することとされ、政令指定都市の権限は定められておらず、また、本件請求対象期間には、ワクチン接種や病床確保協力金などの市独自事業は行われていなかったことが確認できる。

そこで、審査会において、実施機関が令和3年1月より作成している、市長への説明における議事録を確認したところ、作成開始から令和4年1月31日までの間に新型コロナウイルス感染症に係る対応に関するものは131件あり、そのうち24件には市長の発言の記載があった。

市長から何らかの発言があった24件の記載内容を確認したところ、20件は原案どおり了承した内容への補足や念押しに当たる発言であったが、残る4件については、市独自事業であるワクチン接種の対象者の範囲の拡大や病床確保協力金の支援期間の延長など事業にかかわる発言が記載されていた。上記のことから、大阪市の独自事業についてはその事業に影響を与える指示等が行われていたものの、大阪市の独自事業以外の感染状況の報告等については補足や念押しに当たる発言しかなく、その事業内容に影響を与える指示等はなかったことが確認できる。

以上を踏まえると、本件請求対象期間中、各市長説明において職員と市長の間で何らかのやりとりが存在したことは推測できるが、新型コロナウイルス対策の権限が大阪府にあり、当該期間における市長説明内容が感染状況の報告、大阪府が開催した会議内容の説明又は開催前の事前説明、記者会見時の市長コメント案や既に大阪府から示された具体的な対策事業の方針の説明といった性質であったことにかんがみると、市長の指示等が実際なかったことから本件請求文書は作成しておらず存在しないという実施機関の説明について、不自然、不合理であるとは認められない。

また、審査請求人から市長説明の際に何らかの指示等があったとする具体的な指摘はなく、他に存在するはずだとする客観的事情も確認できないため、本件決定を取り消す理由は認められない。

なお、作成指針に従えば、市長の指示等がない場合でも資料の余白にその旨を記録すべきであったが、このような取扱いがされていなかった点は、新型コロナウイルス感染症に関する市長の対応についての市民への説明責任を果たすという観点から適切でなかったと付言しておく。

答申第507号

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