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答申第511号

2024年3月22日

ページ番号:589499

概要

(1)公開請求の内容

「平成25年4月~8月の東淀川区保健福祉センターにおける特別養護老人ホーム入所措置処分についての全記録」の公開を求める旨の請求(以下「本件請求」という。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

実施機関は、本件請求に係る公文書を「要援護高齢者緊急一時保護 依頼書」、「要援護者入退所報告書」、「想定問答集」、「関係者との面談記録」、「関係機関との経過記録」(以下「本件各文書」という。)と特定した上で、①「要援護高齢者緊急一時保護 依頼書」に記載された「依頼日」、「個人の氏名」、「生年月日」、「年齢」、「住所」、「介護認定」、「日常生活自立度」、「認知症レベル」、「移動の手段」、「医療の必要性」、「服薬中の薬」、「食事」、「食事介助」、「虐待の種別」、「世帯状況」、「利用開始日」、「退所予定日」、「今後の方針」、「入所時所持金」の情報(以下「本件非公開部分1」という。)を大阪市情報公開条例(以下「条例」という。)第7条第1号に該当することを理由に、②「要援護者入退所報告書」に記載された「日付」、「個人の氏名」、「生年月日」、「性別」、「種別」、「発生場所」、「住所」、「所持金」、「入所年月日」、「退所年月日」、「退所理由」の情報(以下「本件非公開部分2」という。)を条例第7条第1号に該当することを理由に、③「要援護者入退所報告書」に記載された「法人の所在地」、「名称」、「代表者名」、「印影」の情報(以下「本件非公開部分3」という。)を条例第7条第5号に該当することを理由に、④「想定問答集」に記載された質問及び回答のうち、特定の個人のために作成された部分に係る情報(以下「本件非公開部分4」という。)を条例第7条第1号に該当することを理由に、⑤「関係者との面談記録」に記載された特定の個人に関する情報(以下「本件非公開部分5」という。)を条例第7条第1号に該当することを理由に、⑥「関係機関との経過記録」に記載された特定の個人に関する情報(以下「本件非公開部分6」という。)を条例第7条第1号に該当することを理由に、⑦「関係機関との経過記録」に記載された本市の事業に関する情報(以下「本件非公開部分7」という。)を条例第7条第5号に該当することを理由に、条例第10条第1項に基づき、部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件決定を取り消し、全部公開決定を求める審査請求がありました。

(4)答申の結論

本件決定で実施機関が公開しないこととした部分のうち、答申第511号別表に掲げる部分を公開すべきである。

本件決定のその余の部分は妥当である。

(5)答申のポイント

審査会は、次の理由により、上記(4)のとおり判断しています。

ア 条例第7条第1号該当性について

(ア) 本件非公開部分1について

A 「服薬中の薬」欄(「利用予定者の状況」欄中のもの)に係る情報は、当該要援護者に係る緊急一時保護事業による保護の措置の依頼時における、服薬中の薬の有無を明らかにするものであるところ、この情報が公開されたとしても、服薬中の具体的な薬剤の名称等までが明らかになるものではないことから、当該情報そのものからはもちろん、他の情報と照合することによっても当該要援護者の識別が直ちに可能となるものではないと言える。

また、このように、服薬中の具体的な薬剤の名称等を明らかにする情報ではないことから、この情報は、当該要援護者の人格と密接な関連性を有する具体的な身体の状況等を示すものとは言えず、当該要援護者の権利を侵害するものとも言えない。

よって、条例第7条第1号に該当しない。

B 「入所時所持品」欄(「一時保護」欄中のもの)に係る情報は、その具体的な記載のある部分を含めても、当該書面等に係る事務的処理の内容や、当該要援護者に係る当該薬剤の服薬期間に係る情報のみが示されているに過ぎないことから、いずれにせよ、当該情報そのものからはもちろん、他の情報と照合することによっても当該要援護者の識別が直ちに可能となるものではないと言える。また、この情報は、当該要援護者の人格と密接な関連性を有する情報とは言えず、当該要援護者の権利を侵害するものとも言えない。

よって、条例第7条第1号に該当しない。

C 「依頼日」、「氏名」、「生年月日」、「年齢」、「住所」、「世帯状況」、「利用開始日」、「退所予定日」欄に係る情報については、当該要援護者に関する情報であって、当該要援護者個人を識別し得る情報そのもの、若しくは他の情報と照合することにより特定の個人を識別し得る情報であるから、条例第7条第1号本文に該当し、条例第7条第1号ただし書に該当すべき事情は認められない。

よって、これらの情報は、条例第7条第1号に該当する。

D 「介護認定」、「日常生活自立度」、「認知症レベル」、「移動の手段」、「医療の必要性」、「食事」、「食事介助」、「虐待の種別」、「今後の方針」欄に係る各情報については、これらの情報そのものからはもちろん、各々の情報について他の情報と照合することによっても、直ちに特定の個人を識別することができるものではないものの、これらの情報は、特定の個人の身体の状況や認知能力の程度を明らかにするものであるから、個人の人格と密接に関わる情報と言え、これらの情報が公開されることにより、当該要援護者個人の権利を侵害するおそれがあり、条例第7条第1号本文に該当し、条例第7条第1号ただし書にも該当すべき事情は認められない。

よって、これらの情報は、条例第7条第1号に該当する。

(イ) 本件非公開部分2について

A 「所持金」欄に係る情報については、当該要援護者についての、緊急一時保護事業による保護の措置に関して、施設への入所時又は施設からの退所時の当該要援護者の所持金の金額を明らかにするものであるが、この情報が公開されたとしても、当該情報そのものからはもちろん、特異な金額であるといった事情のない本件においては、他の情報と照合することによっても、直ちに特定の個人が識別されることとはならない。また、この情報は、当該要援護者の入退所時点での所持金の金額を明らかにするものに過ぎず、直ちに当該要援護者個人の資産状況を示すものとは言えないことから、当該要援護者の人格と密接な関連性を有する情報とは言えず、当該要援護者の権利を侵害するものとも言えない。

よって、条例第7条第1号に該当しない。

B 「日付」、「氏名」、「生年月日・性別」、「種別」、「発生場所」、「住所」、「入所年月日」、「退所年月日」、「退所理由」欄に係る各情報については、これらの情報が公開されることにより、当該情報そのものから、若しくは他の情報と照合することにより特定の個人を識別することが可能になる情報と言えることから、条例第7条第1号本文に該当し、条例第7条第1号ただし書のいずれにも該当しない。

よって、条例第7条第1号に該当する。

(ウ) 本件非公開部分4について

A 上記⑷ウに記載の各情報については、本件非公開部分4を含む想定問答全体が特定の個人を想定しての、当該個人と大阪市職員との間での想定問答を記載しているものであるとしても、緊急一時保護事業による保護に係る措置の期間や、同保護に係る措置についての費用の負担方法、同保護に係る措置の契機となる通報の根拠等、緊急一保護事業による保護の措置に関して、一般的な手続の内容に係る問答の域を超えない内容である。

よって、これらの情報が公開されたとしても、当該情報そのものからはもちろん、他の情報と照合することによっても特定の個人を識別することが可能になるものとは言えない。また、これらの情報は、特定の個人の人格と密接な関連性を有する情報とは言えず、特定の個人の権利を侵害するものではない。

よって、条例第7条第1号に該当しない。

B 上記⑷ウに記載の情報以外の情報については、特定の要援護者個人の事案にのみ該当し得る具体的な事情が記載されていることが認められ、これらの情報が公開されることにより当該情報そのものから、若しくは他の情報と照合することにより当該要援護者及びその関係者個人の識別が可能になるおそれがあると認められることから、条例第7条第1号本文に該当し、条例第7条第1号ただし書のいずれにも該当しない。

よって、条例第7条第1号に該当する。

(エ) 本件非公開部分5について

緊急一時保護事業による要援護者に対する保護の措置に関して、特定の要援護者に係る措置の経過、内容につき、要援護者の関係者と本市職員との間で実際に交わされた問答の一言一句を具体的に明らかにするものであることから、これらの情報が公開されることにより、当該情報そのものから、若しくは他の情報と照合することによって、当該情報が当該要援護者及びその関係者個人に係る情報である旨が明らかになり、特定の個人の識別が可能になるおそれがあると認められる。よって、これらの情報は、条例第7条第1号本文に該当し、条例第7条第1号ただし書のいずれにも該当しない。

したがって、条例第7条第1号に該当する。

(オ) 本件非公開部分6について

緊急一時保護事業による要援護者に対する保護の措置に関して、特定の要援護者に係る措置の経過、内容につき、関係機関又は関係職員の間で実際に交わされたやりとりの経過、内容を具体的に明らかにするものであることから、これらの情報が公開されることにより、当該情報そのものから、若しくは他の情報と照合することによって、当該情報が当該要援護者及びその関係者個人に係る情報である旨が明らかになり、特定の個人の識別が可能になるおそれがあることが認められる。よって、これらの情報は、条例第7条第1号本文に該当し、条例第7条第1号ただし書のいずれにも該当しない。

したがって、条例第7条第1号に該当する。

イ 条例第7条第5号該当性について

(ア) 本件非公開部分3について

本情報が公開されることにより、当該法人が緊急一時保護事業における要援護者の受け入れ先であることが明らかになり、緊急一時保護事業による高齢者等に対する緊急的な分離保護の実効性が担保できなくなるおそれがあることが認められる。

このことにより、実施機関が行う緊急一時保護事業の目的の達成が困難となり、実施機関による同事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることが認められる。

したがって、条例第7条第5号に該当する。

(イ) 本件非公開部分7について

本情報が公開されることにより、虐待を行っている者において、実施機関が行う緊急一時保護に対する対抗措置や防衛措置を予め講じることが可能になるおそれがあると認められる。

このことにより、実施機関が行う緊急一時保護事業の目的の達成が困難となり、実施機関による同事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることが認められる。

したがって、条例第7条第5号に該当する。

答申第511号

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