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答申第512号

2024年3月22日

ページ番号:589508

概要

(1)公開請求の内容

Aクリニック(以下「本件診療所」という。)に対して大阪市保健所が令和2年12月に対応した端緒や内容、結果に関する一切の公文書の公開を求める旨の請求(以下「本件請求」という。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

実施機関は、本件請求には特定の事業者名が記載されており、当該請求に係る公文書(以下「本件各文書」という。)が存在しているか否かを答えることにより、事業者の経営上又は技術上の情報等、大阪市情報公開条例(以下「条例」という。)第7条第2号の規定する「事業を営む個人の当該事業に関する情報等であって、当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。」を公開することとなるため、本件各文書の存否の応答を拒否すべきものと判断した上で、条例第10条第2項の規定に基づき、公開請求拒否決定(以下「本件決定」という。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件決定を取り消し、公開決定を求める審査請求がありました。

(4)答申の結論

本件決定は妥当である。

(5)答申のポイント

審査会は、次の理由により、上記(4)のとおり判断しています。

本件請求に係る条例第9条該当性について

条例第9条が適用されるためには、①特定の個人又は法人を名指しして、あるいは特定の事項(場所や分野)を限定して公開請求がなされているため、非公開決定(当該公文書が不存在であることを理由にする場合を含む。)を行って、その旨を請求者に通知することにより、何らかの情報が明らかになること(以下「要件1」という。)及び②当該情報が条例第7条各号のいずれかに該当すること(以下「要件2」という。)の2つの要件を備えていることが必要である。

なお、本条を適用して公開請求を拒否する必要のある公文書の公開請求については、公文書が存在しない場合に不存在による非公開決定を行い、公文書が存在する場合にのみ公開請求を拒否する決定を行ったのでは、公開請求を拒否する決定を行う場合は公文書が存在していることを公開請求者に推測させる結果となる。よって、特定の個人又は法人を名指しして、あるいは特定の事項(場所や分野)を限定してなされた公開請求については、公文書の存否を示すことにより明らかになる情報が特定の事実がないというものであっても、条例第7条各号に該当し要件2を満たすものとして、公開請求を拒否する必要があると解される。

ア 要件1該当性について

本件診療所を指定しての、同診療所に係る保健所への通報等とこれを受けて保健所が行った調査指導等の対応に関する一切の公文書の公開を求める請求に対しては、その存否を答えることにより、本件診療所について、保健所への通報等の事実や、当該通報等を受けて保健所が行った調査指導等の事実の有無(以下「本件情報」という。)が明らかになると認められる。

したがって、要件1に該当することが認められる。

イ 要件2該当性について

本件情報は、本件診療所について保健所への通報等の事実や、当該通報等を受けて保健所が行った調査指導等の事実の有無である。この点、一般的に、保健所に通報等があったり、保健所の調査指導等を受けたりした医療機関は、その運営等に関して何らかの問題を抱えている医療機関であると受け取られる蓋然性が高いと認められることから、本件診療所についての、保健所への通報等の事実や、当該通報等を受けて保健所が行った調査指導等の事実を明らかにすることで、本件診療所の社会的信用が低下してその事業運営が損なわれ、本件診療所の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれが生じるものと認められる。

したがって、保健所への通報等の事実や、当該通報等を受けて保健所が行った調査指導等の事実は条例第7条第2号に該当し、要件2に該当することが認められる。

なお、仮に、保健所への通報等の事実や、保健所が行った調査指導等の事実が実際には存在せず、以て対象となる公文書が存在しない場合には、公文書は存在しない旨を明らかにしたところで本件診療所の権利、競争上の地位その他正当な利益を害することにはならない。しかしながら、上記で述べたとおり、この場合に不存在による非公開決定を行うこととすると、条例第9条を適用して公開請求を拒否するときには、対象となる公文書が存在し、以て調査指導等の事実があったことを示してしまうことになる。したがって、保健所への通報等の事実や、保健所が行った調査指導等の事実が実際には存在せず、以て対象となる公文書が存在しない場合でも、条例第7条第2号に該当し要件2を満たすものとして公開請求を拒否すべきである。

ウ 審査請求人の主張について

審査請求人は、本件診療所が、本件請求時点より前の令和2年12月20日を以て既に事業を廃止している事実を摘示し、本件情報が公にされたとしても、本件診療所の権利、競争上の地位その他正当な権利を害するものではない旨を主張する。

実施機関の説明によれば、本件診療所は令和2年12月20日を以て事業を廃止した旨の届出を行っていることが認められるものの、その後、令和2年12月21日を以て、本件診療所の管理者と同一の人物が、本件診療所と同一名称の診療所を、他区において開設した旨の届出を行っていることが認められる。この点、実施機関によれば、医療法上の診療所の開設等に係る手続においては、その所在地を移転する場合には、従来の所在地における診療所の廃止の届出を行うとともに、移転後の所在地における診療所の開設の届出を行うとの運用がなされているとのことである。これらの事実に照らせば、本件診療所はその実態において、令和2年12月21日を以て、所在地を他区に移転させたものと解するのが相当である。

以上のことから、本件情報を明らかにした場合、その所在地を移転した後の本件診療所の社会的信用が低下し、本件診療所の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められることから、審査請求人の主張には理由がない。

エ 結語

以上のことから、本件請求は条例第9条に該当する。

答申第512号

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