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答申第148号

2019年9月9日

ページ番号:590298

概要

(1)開示請求の内容

答申第148号の別表(以下「別表」という。)項番1から項番9までの(え)欄に記載の保有個人情報の開示を求める請求(以下、項番1から項番4までに係る請求を「本件請求1」、項番5から項番7までに係る請求を「本件請求2」、項番8に係る請求を「本件請求3」、項番9に係る請求を「本件請求4」といい、本件請求1から本件請求4までをあわせて「本件各請求」という。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報のうち、別表項番1の(か)欄に記載の「開示請求に係る保有個人情報」を対象情報と特定した上で、同欄に記載の「開示しないこととした部分」を開示しない理由を別表項番1の(き)欄に記載のとおり付して、大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「条例」という。)第23条第1項に基づき、別表項番1の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定1」という。)を行いました。

実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報のうち、別表項番2の(か)欄に記載の情報を対象情報として特定したうえで、そのすべてを開示しない理由を別表項番2の(き)欄に記載のとおり付して、条例第23条第2項に基づき、別表項番2の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定2」という。)を行いました。

実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報のうち、別表項番3の(か)欄に記載の情報を対象情報として特定したうえで、開示請求を却下する理由を別表項番3の(き)欄に記載のとおり付して、条例第23条第2項に基づき、別表項番3の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定3」という。)を行いました。

実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報のうち、別表項番4の(か)欄に記載の情報については、保有していない理由を別表項番4の(き)欄に記載のとおり付して、条例第23条第2項に基づき、別表項番4の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定4」という。)を行いました。

実施機関は、本件請求2に係る保有個人情報のうち、別表項番5の(か)欄に記載の「開示請求に係る保有個人情報」を対象情報と特定した上で、同欄に記載の「開示しないこととした部分」を開示しない理由を別表項番5の(き)欄に記載のとおり付して、条例第23条第1項に基づき、別表項番5の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定5」という。)を行いました。

実施機関は、本件請求2に係る保有個人情報のうち、別表項番6の(か)欄に記載の情報を対象情報として特定したうえで、そのすべてを開示しない理由を別表項番6の(き)欄に記載のとおり付して、条例第23条第2項に基づき、別表項番6の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定6」という。)を行いました。

実施機関は、本件請求2に係る保有個人情報のうち、別表項番7の(か)欄に記載の情報については、保有していない理由を別表項番7の(き)欄に記載のとおり付して、条例第23条第2項に基づき、別表項番7の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定7」という。)を行いました。

実施機関は、本件請求3に係る保有個人情報のうち、別表項番8の(か)欄に記載の情報を対象情報として特定したうえで、開示請求を却下する理由を別表項番8の(き)欄に記載のとおり付して、条例第23条第2項に基づき、別表項番8の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定8」という。)を行いました。

実施機関は、本件請求4に係る保有個人情報のうち、別表項番9の(か)欄に記載の情報については、保有していない理由を別表項番9の(き)欄に記載のとおり付して、条例第23条第2項に基づき、別表項番9の(お)欄に記載の決定(以下「本件決定9」といい、「本件決定1」から「本件決定3」まで及び「本件決定5」から「本件決定9」までをあわせて「本件各決定」という。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件各決定の取消しを求めて、審査請求がありました。

なお、本件決定4について審査請求はありませんでした。

(4)答申の結論

実施機関が行った本件各決定のうち、本件決定2及び本件決定3並びに本件決定6から本件決定8までは妥当である。

また、本件決定1及び本件決定5においては、別表項番1及び項番5の(か)欄に記載の開示しないこととした部分のうち、「行政書士会会員証の会員番号」を開示すべきであり、本件決定9においては、不存在とした「行政書士A(以下「本件行政書士」という。)が令和元年8月7日に西成区長宛に請求し交付された、旧姓のCの戸籍の附票の請求書」について、戸籍の附票の写し等請求書(郵送等請求書)の写し(申請日:令和元年8月7日)を対象情報として特定した上で、改めて開示決定等を行うべきであり、その余の部分は妥当である。

(5)答申のポイント

審議会は次のとおり判断しています。

ア 本件審査請求1及び本件審査請求5について

(ア) 決定の適法性について(決定通知書の記載内容について)

審議会において、本件決定1及び本件決定5に係る決定通知書を見分したところ、確かに文書番号を除いて決定通知書の記載内容は同じであったが、審査請求人と亡くなった審査請求人の父及び兄は同一戸籍に在籍していたことから、対象情報として特定した戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等請求書等が同じであることは当然であり、本件決定1及び本件決定5で特定した保有個人情報に関して決定通知書の記載に誤りは確認できなかった。よって、本件請求1に対しては本件決定1、本件請求2に対しては本件決定5を行った旨の開示請求と決定の対応関係を決定通知書に明示していなかったとしても、決定に誤りがあるとはいえず、これらの決定はいずれも適法である。

(イ) 本件非開示部分1の条例第19条第2号、第3号及び第6号該当性について

本人確認資料に添付された行政書士会会員証は、その記載内容から行政書士の業を営むことができる者であることを証するにとどまらず、一般的な本人確認書類としての機能も有すると認められ、当該会員証には条例第19条第2号に定める個人に関する情報と同条第3号に定める事業を営む個人の当該事業に関する情報が一体的に記録されていることを踏まえ、各情報について個別に検討する。

本件非開示部分1のうち「請求に係る者の本籍地、戸籍筆頭者、住所、住民票世帯主、氏名、印影、生年月日、利用目的及び本件行政書士の住所、運転免許証表面の氏名を除く全部並びに行政書士会会員証の写真、生年月日、住所」については、審査請求人以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより、審査請求人以外の特定の個人を識別することができるものであることから、条例第19条第2号本文に該当し、かつ、その性質上、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

本件非開示部分1のうち「本件行政書士の職印及び行政書士会長印」については、法人等の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、開示することにより偽造等のおそれがあり、当該法人等の事業運営が損なわれるおそれがあると認められることから、条例第19条第3号に該当し、かつ同号ただし書にも該当しない。

本件非開示部分1のうち「証明書発行クライアント」については、実施機関によると、戸籍事務のコンピューターシステム端末のネットワーク上の名称であり、公にすることにより戸籍情報システム並びに業務ネットワークに属するすべてのシステム機器名称を類推されるおそれがあり、業務システムへの不法な侵入及び破壊を招くおそれがあるとのことであり、開示することにより戸籍事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められることから、条例第19条第6号に該当する。

一方、「行政書士会会員証の会員番号」については、審査請求人以外の個人に関する情報ではなく、事業を営む個人の当該事業に関する情報であり、当該個人を識別し得る情報ではあるものの、開示したとしても当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められないことから、条例第19条第2号及び第3号には該当しない。

(ウ) 審査請求人の主張について

審査請求人は本件非開示部分1が遺言書保管法(「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(平成30年法律第73号))の規定による「遺言書保管事実証明書」の交付により知ることができ、「関係遺言書保管通知」により知ることが予定されている情報に該当するため条例第19条第2号ただし書アに該当する旨主張するが、本件各決定の妥当性は本件各決定を行った時点において判断するものであり、本件決定1及び本件決定5が行われた後に、本件における個別の事情により明らかとなった事実から、審査請求人が法令等の規定により審査請求人が知ることができ、又は知ることが予定されている情報に該当することになったとしても、本件決定1及び本件決定5が行われた時点において、当該非開示部分が「法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」であるとは認められないことから、同号ただし書アには該当しない。

 

イ 本件審査請求2及び本件審査請求6について

(ア) 決定の適法性について(決定通知書の記載内容について)

審議会において、本件決定2及び本件決定6に係る決定通知書を見分したところ、確かに文書番号を除いて決定通知書の記載内容は同じであったが、審査請求人と亡くなった審査請求人の父及び兄は同一戸籍に在籍していたことから、対象情報として特定した戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等請求書に添付されていた戸籍謄本、除籍謄本及び改製原戸籍が同じであることは当然であり、本件決定2及び本件決定6で特定した保有個人情報に関して決定通知書の記載に誤りは確認できなかった。よって、本件請求1に対しては本件決定2、本件請求2に対しては本件決定6を行った旨の開示請求と決定の対応関係を決定通知書に明示していなかったとしても、決定に誤りがあるとはいえず、これらの決定はいずれも適法である。

(イ) 本件情報2の条例第19条第2号該当性について

戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等請求書に添付されていた、請求者が戸籍謄本等を請求することができるものであることを証するための請求者の戸籍謄本、除籍謄本及び改製原戸籍については、審査請求人以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより、審査請求人以外の特定の個人を識別することができるものであることから、条例第19条第2号本文に該当し、かつ、その性質上、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

(ウ) 審査請求人の主張について

審査請求人は本件情報2が条例第19条第2号ただし書アに該当する旨主張するが、この点については、上記ア(ウ)と同様である。

また、審査請求人は本件情報2が同号ただし書イに該当する旨主張するが、同号ただし書イは条例第19条第2号本文の例外として、本文に規定する個人に関する情報に該当する情報であっても、当該情報を非開示とすることにより得られる利益よりも、当該情報を開示することにより得られる公益が優越する場合には、当該情報を開示すべきことを定めたものであり、比較衡量を行うに当たっては、人の生命等を害する相当の蓋然性その他保護の必要性、緊急性等を具体的かつ慎重に検討する必要があるが、審査請求人の主張に人の生命等を害する相当の蓋然性その他保護の必要性、緊急性があるとは認められないことから、同号ただし書イには該当しない。

 

ウ 本件審査請求3及び本件審査請求8について

(ア) 審査請求人を本人とする保有個人情報該当性について

審議会において本件情報3及び本件情報5を見分したところ、当該各情報は戸籍謄本等の交付請求に関する情報であり、当該個人情報が審査請求人自身の個人情報であると認められる情報ではないものであり、審査請求人が亡兄及び亡祖母の相続人であるかを判断するまでもなく、当該各情報は条例第17条の「自己を本人とする保有個人情報」には該当しない。

(イ) 審査請求人のその他の主張について

A 審査請求人は、本件決定3及び本件決定8は開示をしない旨の決定ではなく請求自体を却下したもので何の応答もされていないため条例第23条の規定に反しており、却下決定は誤りであり拒否決定が正しい旨主張するが、「実施機関が取り扱う個人情報の保護に関する事務取扱要綱」に基づき行われていることから、当該各情報が条例第17条の「自己を本人とする保有個人情報」には該当しないとして実施機関が行った、本件決定3及び本件決定8に違法性はない。

B また、審査請求人は、補正や補正の参考情報の提供を行わずに却下決定を行っている旨主張するが、請求内容の補正の求めや補正のための参考情報の提供は、請求内容に形式上の不備があり、これを補正する余地がある場合に行うものであるところ、本件決定3及び本件決定8に係る請求内容はいずれも明らかに審査請求人以外の個人の保有個人情報の開示を求めるものであり、補正の余地はないから、実施機関において補正を求める必要は認められない。

C 次に、審査請求人は、本件決定3及び本件決定8は理由記載に不備がある旨主張するが、決定通知書の「開示請求を却下する理由」欄には、「本件開示請求は、条例第17条に基づいて開示請求することができる『自己を本人とする保有個人情報』に該当しないため」と説明していることから、理由付記の不備は認められない。

 

エ 本件審査請求7について

(ア) 本件情報4の存否について

実施機関によると、「戸籍事務取扱準則制定標準(平成16年4月1日付け民一850号民事局長通達)」には、すべての履歴を届書類画像情報として記録するといった規定は存在せず、「戸籍手続オンラインシステム構築のための標準仕様書(第3版)平成23年3月 法務省」では戸籍等交付請求そのものがオンラインで行われた場合は、申請情報や画像等を保存しておく規定が存在するものの、本件において戸籍等交付請求行為は郵送で行われたものであり、申請情報や交付したものの画像等を保存する必要はないとのことである。

また、各区役所等窓口及び大阪市郵送事務処理センターに戸籍等の交付請求があり戸籍謄本等の交付処理を行う際、窓口請求や郵送請求かを問わず、実際に交付した戸籍謄本等の写しや画像などを必ず保存しなければならないという法令等は存在せず、本件においても戸籍謄本送付事務を行った実施機関である大阪市郵送事務処理センターで実際に交付した戸籍謄本等の写しを保管するという事務は行っておらず、本件情報4は存在しないとのことである。

したがって、本件情報4は存在しないとする実施機関の主張に特段不自然、不合理な点は認められない。

 

オ 本件審査請求9について

(ア) 本件情報6のうち「交付された戸籍の附票の電子ファイルの記録文書」の存否について

本件請求4に記載している審査請求人の亡くなった父であるCが旧姓であったのは大阪市内に本籍が異動されるまでとのことであり、届出によって本籍地を大阪市外から大阪市内に変更すると同時に旧姓から新姓に変更となったため、本件請求4に合致する戸籍や戸籍の附票は存在しなかったことから、戸籍の附票の交付等を全く行っておらず、電子ファイルの発行記録が存在しないとの実施機関の主張に特段不自然、不合理な点は認められない。

(イ) 本件情報6のうち「戸籍の附票の請求書の全部」の存否について

実施機関は、保管している本件戸籍の附票の写し等請求書の写しは、同時に請求のあった戸籍謄本等請求書の添付書類として保管しているに過ぎず、戸籍の附票の写しの請求書として保有しているものではなく、原本は請求者である本件行政書士に返却しており保有していないと主張するが、本件請求4に係る「旧姓のC」と「新姓のC」が同一人物であるということは実施機関において確認できており、実際に請求の対象となる個人情報を保有している以上、対象情報として特定しなくてもよいということにはならない。

加えて、実施機関は、戸籍謄本等請求書の添付書類として保管している本件戸籍の附票の写し等請求書の写しについては、本件決定1及び本件決定5により別途部分開示決定を行っているため再度特定する必要がないと判断した旨も主張するが、別の決定で保有個人情報として特定していることを理由に本件決定9において対象情報として特定しなくてもよいということにもならない。

したがって、戸籍の附票の写し等請求書(郵送等請求書)の写し(申請日:令和元年8月7日)を改めて対象情報として特定した上で開示決定等を行うべきである。

 

カ 本件各決定を行った実施機関の担当所属が平野区役所であることについて

審査請求人は、戸籍謄本等の郵送請求に係る事務を行った市民局や本件請求2、本件請求3及び本件請求4に記載のある西成区役所ではなく、平野区役所が担当所属として本件各決定を行ったことに対して不服を述べている。

実施機関によると、戸籍に関する事務処理を行った所属又は発行された戸籍謄本等に記載された所属が、戸籍謄本等の請求に係る開示請求に対する担当所属とならなければならないとの規定はなく、現在、戸籍はシステム処理されて各区で文書を保有していないので区役所を統括する市民局の通知に基づき、戸籍謄本等請求書に関する開示請求があった場合は、原則として開示請求者の本籍地(市外に転出している場合には最終の本籍地)の区役所において決定等の事務を行うこととしているが、本件各請求に係る戸籍の筆頭者である審査請求人の父の最終本籍地が平野区であり、審査請求人も同区に在籍していたこと等から、関係区と調整のうえ平野区役所が担当所属として決定を行ったとのことである。そうすると、本件各請求に関係する情報や公文書を確認することができる所属として、実施機関内で調整のうえ平野区役所が担当所属として本件各決定を行ったものであることから、平野区役所が決定担当所属として本件各決定を行ったことが直ちに違法であるとは認められない。

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