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答申第152号

2019年9月9日

ページ番号:590304

概要

(1)開示請求の内容

平成18年1月1日以降開示請求日までの審査請求人の住民票、戸籍、戸籍の附票、印鑑証明をいつ誰が取得したかわかる文書の開示を求める請求(以下「本件請求」という。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

実施機関は、本件請求に係る保有個人情報のうち、「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書 平成27年5月8日、平成27年5月29日、平成29年5月16日、平成30年11月5日、令和元年9月12日、19日請求分」に記載された情報(以下「本件情報1」という。)、「戸籍謄本等職務上請求書(戸籍法10条の2第3項から第5項までの規定による請求)平成30年12月27日請求分」に記載された情報(以下「本件情報2」という。)、「住民票の写し等職務上請求書(住民基本台帳法12条の3第2項等による申出による請求)平成30年10月30日請求分」に記載された情報(以下「本件情報3」という。)及び「住民票の写し等職務上請求書(住民基本台帳法12条の3第1項等による申出【弁護士業務用】による請求)平成31年4月1日請求分」に記載された情報(以下「本件情報4」といい、本件情報1から本件情報4までをあわせて「本件各情報」という。)と特定した情報について、本件情報1のうち「窓口にこられた方、筆頭者の氏名、請求者と筆頭者との関係、請求の理由、(区役所取扱使用欄)本人確認資料種別及び続柄確認欄上の続柄、受付作成審査交付欄署名」、本件情報2のうち「利用目的の種別、請求に際し明らかにしなければならない事項、使者(事務職員限定)住所氏名、受付作成交付欄署名」、本件情報3のうち「利用目的の内容、業務の種類、依頼者の氏名又は名称、使者(事務職員限定)住所氏名、作成者点検者欄署名」及び本件情報4のうち「利用目的の具体的内容、使者(事務職員限定)住所氏名、作成者点検者欄署名」が大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「条例」という。)第19条第2号に該当すること、本件情報2から本件情報4までの請求者職印印影が条例第19条第3号に該当することを理由に、部分開示決定(以下「本件決定」という。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件決定を取り消し、上記(2)で開示しないこととした部分(以下「本件非開示部分」という。)を開示することを求めて、審査請求がありました。

(4)答申の結論

実施機関が行った本件決定は、妥当である。

(5)答申のポイント

審議会は次のとおり判断しています。

ア 本件非開示部分について

実施機関が本件決定において非開示とした情報は、次のとおりである。

(ア) 本件情報1のうち、「窓口にこられた方」、「筆頭者の氏名欄に記載された請求者と筆頭者との関係」、「請求者と筆頭者との関係」、「請求の理由」及び「本人確認資料種別及び続柄確認欄上の続柄」(以下「本件非開示部分1」という。)

(イ) 本件情報2及び本件情報4のうち、「利用目的の種別」、「利用目的の具体的内容」(以下「本件非開示部分2」という。)

(ウ) 本件情報3のうち、「利用目的の内容」、「業務の種類」及び「依頼者の氏名又は名称」(以下「本件非開示部分3」という。)

(エ) 本件情報2、本件情報3及び本件情報4のうち「請求者職印印影」(以下「本件非開示部分4」という。)

(オ) 本件各情報のうち「使者(事務職員限定)住所氏名」、「受付作成審査交付欄署名」、「受付作成交付欄署名」及び「作成者点検者欄署名」の情報(以下「本件非開示部分5」という。)

イ 本件非開示部分1について

(ア) 条例第19条第2号本文該当性について

審議会において本件非開示部分1を見分したところ、本件非開示部分1のうち「窓口にこられた方」(以下「本件申請者」という。)の情報は、審査請求人が属する戸籍の請求を行った審査請求人以外の個人の氏名であり、当該氏名そのものにより、審査請求人以外の特定の個人を識別することができるものである。また、本件非開示部分1のうち「筆頭者の氏名欄に記載された請求者と筆頭者との関係」、「請求者と筆頭者との関係」及び「請求の理由」の情報は、当該情報と他の情報を照合することにより、審査請求人において、本件申請者が誰であるかを一定程度の確実さをもって推測することができ、結果として本件申請者を識別できる可能性があることは否定できない。

したがって、本件非開示部分1は、条例第19条第2号本文に該当する。

(イ) 条例第19条第2号ただし書ア該当性について

A 戸籍法(昭和22年法律第224号)に定められた要件を満たせば、戸籍の謄本に記録されている個人情報が第三者に提供されることは現行法上想定されているところであり、審査請求人以外の第三者がこれらの法の規定に基づき交付の請求をした結果として、実施機関は、本件情報1を保有している。

B 本件情報1のうち審査請求人以外の第三者の情報を、審査請求人が知ることができ、又は知ることが予定されているとする根拠となる法令等の規定は確認できない。

なお、実施機関は、戸籍法の規定により戸籍の謄本を第三者に交付した場合において、事前に登録をした者に対しその交付の事実を通知する「住民票の写し等の交付に係る本人通知制度」を設けているが、当該制度において通知する事項は、証明書の交付年月日、交付した証明書の種別、交付した証明書の通数及び交付申請者の種別(第三者、代理人、職務上請求)のみであり、交付請求者の氏名や住所等については通知しない取扱いとしている。

C 審査請求人は、戸籍全部事項証明書等交付請求書の記載は審査請求人の兄の筆跡であることは明らかであり、また、本件申請者が戸籍筆頭者の相続人であることは明らかであるから、戸籍に記載されている者は、申請者が誰であるかを慣行として知ることができ、又は知ることが予定されている情報であると主張する。   

一般に、実父が死亡したこと、それにより相続が発生したことは、実子が知ることができ、又は知ることが予定されている情報と解されるが、上記A及びBのとおり、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等の交付の請求をする者は相続人に限られておらず、また当該請求をした第三者の情報を知ることができ、又は知ることが予定されているとする法令等の規定及び申請者が相続人の場合に当該戸籍に記載されている者に知らせる慣行もない。

したがって、本件申請者が誰であるかについて審査請求人が知ることができ、又は知ることが予定されている情報とはいえず、本件非開示部分1は、条例第19条第2号ただし書アに該当しない。

(ウ) 条例第19条第2号ただし書イ該当性について

審査請求人は、本件申請者から戸籍の不正利用により財産等の侵害があり、本件非開示部分1は条例第19条第2号ただし書イに該当する旨を主張している。

非開示にすることにより得られる利益と、開示することにより得られる公益の比較衡量を行うに当たっては、人の生命等を害する相当の蓋然性その他保護の必要性、緊急性等を具体的かつ慎重に判断する必要がある。

現時点において、審査請求人から、人の生命・身体・健康・生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる具体的な権利侵害の事実は明らかにされていないため、開示により得られる公益が非開示とすることにより得られる利益より優越するとは認められない。

したがって、本件非開示部分1は、条例第19条第2号ただし書イに該当しない。

(エ) 条例第19条第2号ただし書ウ該当性について

本件非開示部分1は上記(ア)のとおり「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書」に記載された本件申請者に係る情報であり、その性質上同号ただし書ウに該当しない。

ウ 本件非開示部分2及び本件非開示部分3について

(ア) 条例第19条第2号該当性について

実施機関は、本件非開示部分2及び本件非開示部分3が開示されると、本件情報2、本件情報3及び本件情報4に係る請求書を実施機関に提出した弁護士(以下「本件各弁護士」という。)の業務内容及び戸籍謄本等を利用する目的が審査請求人に明らかとなり、他の情報と照合すると、本件各弁護士の依頼人が識別されるおそれがあるため条例第19条第2号に該当する旨主張している。

本件非開示部分2及び本件非開示部分3を他の情報と照合することにより、審査請求人において、依頼人が誰であるかを一定程度の確実さをもって推測することができ、結果として依頼人を識別できる可能性があることは否定できない。

したがって、本件非開示部分2及び本件非開示部分3は、条例第19条第2号本文に該当し、かつ、その性質上同号ただし書ア及びウに該当せず、前記イ(ウ)に記載した条例第19条第2号ただし書イ該当性の判断と同様、同号ただし書イにも該当しない。

(イ) 条例第19条第3号該当性について

本件非開示部分2及び本件非開示部分3は、本件各弁護士がどのような業務を受任しているかの情報であって、当該情報は、秘密保持の義務を定めた弁護士法第23条に規定する「職務上知り得た秘密」に該当する情報である。

したがって、本件非開示部分2及び本件非開示部分3を開示することにより、本件各弁護士の正当な利益を害するおそれがあると認められることから、本件非開示部分2及び本件非開示部分3は、条例第19条第3号本文に該当し、かつ、前記イ(ウ)に記載した条例第19条第2号ただし書イ該当性の判断と同様、本件非開示部分2及び本件非開示部分3が条例第19条第3号ただし書に該当する事情は認められない。

以上より、本件非開示部分2及び本件非開示部分3は、条例第19条第3号にも該当することが認められる。

エ 本件非開示部分4について

本件非開示部分4は、本件各弁護士の職印の印影であり、一般に、弁護士の職印の印影は、弁護士としての資格に基づき、弁護士が一般の法律事務を行うに当たって作成する文書に押印されるものである。その印影は、当該文書が当該弁護士によりその職務上真正に作成されたことを認証する意義を有するものといえる。

弁護士の職印の印影は、法人の事業の遂行に当たり、契約書の作成等に用いられる印影と同様の重要性を有するものといえ、これが開示されると、これを用いて文書の偽造がされるなどにより、弁護士の権利又は正当な利益が害される相当の蓋然性があるということができる。

したがって、本件非開示部分4は、条例第19条第3号本文に該当し、かつ、その性質上、同号ただし書にも該当しないことは明らかである。

オ 本件非開示部分5について

審議会において、本件非開示部分5を見分したところ、本件非開示部分5には、本件各弁護士の使者の住所及び氏名、証明書発行業務に係る民間委託事業者の担当者氏名並びに実施機関の職員の署名が記載されていることが認められる。

本件非開示部分5のうち、使者の住所及び氏名並びに委託事業者の担当者氏名については、審査請求人以外の個人に関する情報であり、当該情報そのものにより、審査請求人以外の特定の個人を識別することができるものである。また、実施機関によれば、委託事業者の担当者氏名については、業務委託している民間従事者の氏名は慣行として公にしていない情報とのことである。

本件非開示部分5のうち、実施機関の職員の署名については、実施機関の職員が自書したことが認められるため、審査請求人以外の個人に関する情報であって、審査請求人以外の特定の個人を識別することができることから、条例第19条第2号本文に該当する。また、実施機関の職員の署名は、本人が自書したにとどまらず、個人の認証機能として果たしている役割を考慮すると、開示することにより偽造等当該個人の権利利益を害する場合もあると認められることから、実施機関の職員の氏名について公表する慣行があるからといって、当該署名を開示することが妥当であるとは認められない。

したがって、本件非開示部分5は、条例第19条第2号本文に該当し、かつその性質上同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

答申第152号

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