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答申書(令和4年度答申第10号)

2023年2月17日

ページ番号:595998

諮問庁(審査庁):大阪市長
諮問日:令和4年11月16日
諮問番号:令和4年度諮問第5号
 

答申書

原処分の文書番号:令和3年4月1日付け〇〇第a号
答申日:令和5年2月22日
答申番号:令和4年度答申第10号

大阪市長 松井一郎様

大阪市行政不服審査会
会長 榊原和穂 

 生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)第6条第1項に基づく生活困窮者住居確保給付金支給中止決定に係る令和3年4月14日付け審査請求についての上記審査庁の行政不服審査法第43条第1項の規定に基づく諮問に対し、次のとおり答申する。

第1  結論
・本件審査請求は棄却されるべきである。
・下記第9のとおり、住居確保給付金支給中止決定に付すべき理由について付言を付す。

第2 事案の概要
 本件は、大阪市長(以下「処分庁」という。)が、生活困窮者自立支援法第6条第1項の規定に基づき令和3年2月12日付けで行った生活困窮者住居確保給付金支給決定の処分の名宛人である審査請求人に対して、令和3年4月1日付けで行った同項の規定による生活困窮者住居確保給付金支給中止決定(以下「本件処分」という。)に対して、審査請求人が、本件処分は、審査請求人においては支給要件に該当しているにもかかわらずなされた決定である等と主張して、処分の取消しを求める事案である。

第3 事実関係
1 関係法令等の定め(本件処分に係る根拠法令等)
(1) 生活困窮者自立支援法(以下「法」という。)
ア 法第3条第1項は、「この法律において「生活困窮者」とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう。」と規定する。
イ 法第3条第3項は、「この法律において「生活困窮者住居確保給付金」とは、生活困窮者のうち離職又はこれに準ずるものとして厚生労働省令で定める事由により経済的に困窮し、居住する住宅の所有権若しくは使用及び収益を目的とする権利を失い、又は現に賃借して居住する住宅の家賃を支払うことが困難となったものであって、就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるものに対し支給する給付金をいう。」と規定する。
ウ 法第6条第1項は、「都道府県等は、その設置する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する生活困窮者のうち第3条第3項に規定するもの(当該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産及び収入の状況その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、生活困窮者住居確保給付金を支給するものとする。」と規定する。
エ 法第6条第2項は、「前項に規定するもののほか、生活困窮者住居確保給付金の額及び支給期間その他生活困窮者住居確保給付金の支給に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。」と規定する。
(2) 生活困窮者自立支援法施行規則(平成27年厚生労働省令第16号。以下「規則」という。)
ア 規則第3条は、次のとおり規定する。
「法第3条第3項に規定する厚生労働省令で定める事由は、次に掲げる事由とする。
一 事業を行う個人が当該事業を廃止した場合
二 就業している個人の給与その他の業務上の収入を得る機会が当該個人の責めに帰すべき理由又は当該個人の都合によらないで減少し、当該個人の就労の状況が離職又は前号の場合と同等程度の状況にある場合」
イ 規則第10条は、次のとおり規定する。
「法第6条第1項に規定する厚生労働省令で定める生活困窮者は、次の各号のいずれにも該当する者とする。
一 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める者であること。
イ 離職の場合又は第3条第1号に規定する場合 生活困窮者住居確保給付金の支給を申請した日(以下この条、次条、第12条第1項、附則第4条第2項及び附則第5条において「申請日」という。)において、離職した日又は事業を廃止した日(以下「離職等の日」という。)から起算して2年を経過していない者
ロ 第3条第2号に規定する場合 申請日の属する月において、第3条第2号に規定する状況にある者
二 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める者であること。
イ 離職の場合又は第3条第1号に規定する場合 離職等の日においてその属する世帯の生計を主として維持していた者
ロ 第3条第2号に規定する場合 申請日の属する月においてその属する世帯の生計を主として維持している者
三 申請日の属する月における当該生活困窮者及び生活困窮者と同一の世帯に属する者の収入の額を合算した額が、基準額及び当該生活困窮者が賃借する住宅の1月当たりの家賃の額(当該家賃の額が住宅扶助基準に基づく額を超える場合は、当該額)を合算した額以下であること。
四 申請日における当該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の所有する金融資産の合計額が、基準額に6を乗じて得た額(当該額が100万円を超える場合は100万円とする。)以下であること。
五 公共職業安定所に求職の申込みをし、誠実かつ熱心に期間の定めのない労働契約又は期間の定めが6月以上の労働契約による就職を目指した求職活動を行うこと。」
ウ 規則第13条は、「生活困窮者住居確保給付金の支給を受けようとする者は、生活困窮者住居確保給付金支給申請書(様式第1号)に厚生労働省社会・援護局長が定める書類を添えて、都道府県等に提出しなければならない。」と規定する。
エ 規則第15条第1項は、「生活困窮者住居確保給付金は、当該生活困窮者が正当な理由がなく、就労支援に関する都道府県等の指示に従わない場合には、支給しない。」と規定する。
オ 規則附則第4条第1項は、「新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。次条第1項及び附則第6条において同じ。)に伴う経済情勢の変化に鑑み、当分の間、第3条第2号に規定する場合における第10条第5号及び様式第1号(裏面)の適用については、第10条第5号中「公共職業安定所に求職の申込みをし、誠実かつ熱心に期間の定めのない労働契約又は期間の定めが6月以上の労働契約による就職を目指した求職活動」とあるのは「誠実かつ熱心に求職活動」と、様式第1号(裏面)中「受給中は、公共職業安定所に求職の申し込みを行うとともに、誠実かつ熱心に求職活動」とあるのは「受給中は、誠実かつ熱心に求職活動」とする。」と規定する。
(3) 「生活困窮者自立支援制度に係る自治体事務マニュアルの改訂について(社援発0201第11号令和3年2月1日)」(以下「国通知」という。)の「生活困窮者自立支援制度に係る自治体事務マニュアル」(令和3年2月1日第9版。以下「事務マニュアル」という。)及び大阪市住居確保給付金事務取扱い要領(令和3年2月1日改正。以下「事務取扱い要領」という。)
ア 地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として通知されている事務マニュアルに基づき、処分庁は事務取扱い要領を定めている。以下、事務マニュアルにおける記載を挙げるが、〔〕内の記載は、事務取扱い要領において同じく記載されているもののうち、事務取扱い要領において記載の内容が異なる部分を示すものである。
イ 事務マニュアル第7、2、(2)〔事務取扱い要領2、(2)〕は、求職活動等要件として、次のとおり定める。
「①自治体〔自立相談支援機関〕は、支給対象者に対し、常用就職に向けた次のイ)~ハ)の求職活動等を行うことを指示するものとする。但し、則第3条第2号に該当する者については、ロ)ハ)を求めない。
イ) 月4回以上、自立相談支援機関の〔総合就職サポート事業の支援員から〕面接等の支援を受ける
ロ) 月2回以上、公共職業安定所で職業相談等を受ける
ハ) 原則週1回以上、求人先へ応募を行う又は求人先の面接を受ける」
ウ 事務マニュアル第7、10、(1) 〔事務取扱い要領10、(1)〕は、支給の中止として、次のとおり定める。
「下記のいずれかの要件に該当した場合、自治体〔区保健福祉センター〕は住居確保給付金の支給を中止する。自立相談支援機関は、次の①から⑩〔⑨〕の事実が判明した場合、できる限り証拠をもって、早急に自治体〔区保健福祉センター〕に報告をする。
① 受給者が、誠実かつ熱心に求職活動等を行わない場合又は就労支援に関する自治体〔自立相談支援機関〕の指示に従わない場合、原則として(※)当該事実を確認した日の属する月の支給から中止する。
※ 住居確保給付金の支給がなされた後に、当該事実を確認した場合は、確認後、すみやかに支給を中止する。」
(4) 「生活困窮者住居確保給付金の支給期間の延長に係る今後の就労支援等について」(厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室令和2年12月8日事務連絡)は、求職活動要件について、次のとおりと定める。
「二 求職活動要件等について
規則第10条第5号における常用就職要件は、当面の間不要としておりましたが、現下の状況が今後も一定期間継続することを前提に、受給者の生活再建を早期に図る必要があることから、今般、受給者の状態像に応じ、令和3年1月から下記(1)(2)に示す求職活動及び就労支援を実施していただくこと(中略)を受給の要件とします。
(1)当初(中略)の受給者の求職活動要件
イ)(省略)
ロ)休業等(規則第3条第2号)
①月に1回以上の自立相談支援機関との面談等
②申請(中略)の際、休業等の状況について自立相談支援機関へ報告
③申請(中略)決定時に、自立相談支援機関における面談を実施し、本人に応じた活動方針を決定する」
(5) 大阪市住居確保給付金事務取扱い要領に基づく事務の手引き(令和3年2月。以下「事務の手引き」という。)
ア 事務の手引きⅥ、1、(2)、①は、求職活動要件が不足する者に対する指導等として、面接等及び求職活動等の回数の不足の場合には「面接の回数がⅤの2(3)②未満の場合、自立相談支援機関は受給者に対し、これらの求職活動等を促すとともに、システム入力締切日までに来庁するよう指示する。来庁時には職業相談票(参考様式6)及び就職活動状況報告書(参考様式7)を提出するようあわせて指示する。その際、受給者に対し、指示された日に来庁しない場合や求職活動等が誠実に行われていない場合は、住居確保給付金の支給が一旦保留されること、来庁を指示された月を経ても来庁しない場合には、保留した対象月以降の家賃相当分について支給中止となることを伝える。」とする。
2 処分の内容及び理由
 処分庁においては、本件処分の決定通知書によると、審査請求人において「就職活動の怠り」があることを理由に、令和3年2月12日付けで支給決定した生活困窮者住居確保給付金について支給を中止する旨の本件処分を行った。
3 審理員による審理手続及び調査審議の経過
令和3年4月14日、審査請求人は、行政不服審査法第2条に基づいて、本件処分に対する審査請求を行った。
令和3年5月10日、審理員が指名された。
令和3年6月3日、処分庁より弁明書が提出された。
令和4年10月26日、審理員より審理員意見書が提出された。
令和4年12月15日、審査庁より、主張書面が提出された。
令和4年12月21日、当審査会において調査審議を行った。
令和5年1月25日、当審査会において調査審議を行った。
令和5年2月14日、当審査会において調査審議を行った。

第4  審理員意見書の要旨
1  審理段階における審理関係人の主張
 審査請求人の主張は、給付金の申請時には収入申告を行っており、自身の自営業収入について減収が続いていることを報告している、また、自立相談支援機関より受給期間中の求職活動や収入申告については、令和3年3月分から報告が必要である旨の説明を受けていたことから、給付金の受給要件に該当することを理由として、本件処分の取消しを求める、というものである。
 処分庁の主張は、処分庁から審査請求人に対して、給付金の支給期間中に到来する報告期限までに求職活動状況報告書の提出による求職活動等の報告が必要であること、この報告期限までに求職活動状況報告書の提出による求職活動等の報告が無い場合には給付金の支給を中止する可能性があることの説明を書面及び口頭で行っているにもかかわらず、審査請求人は給付金の申請時の収入申告以降、報告期限までに求職活動状況報告書の提出による求職活動等の報告を行わなかったことから、審査請求人において誠実な求職活動義務違反があると判断し、本件審査請求には理由がなく、棄却されるべき、というものである。
2  審理段階における論点整理
 審理員意見書によれば、審理員は、審査請求人において求職活動等が行われていたかが論点と考え、その点について検討を行っている。
3  審理員意見の理由
 上記2の検討の結果、審理員意見書によれば、次のとおりである。
「(1) 本件申請は、受給者の給与その他の業務上の収入を得る機会が改善しない場合であることによる給付金の支給申請であり、受給者は、給付金の受給中、求職活動等を行う必要があり、月に1回求職活動状況報告書を自立相談支援機関に提出する必要がある(規則第14条第2項)。しかしながら、請求人は求職活動について、処分庁へ支給決定後の求職活動実績の確認資料の提出が全く無い状態であった。
(2) 処分庁は、正当な理由がなく就労支援に関する指示に従わない場合にあたるとし、支給要件が確認できないとして本件処分を行っている。
(3) 以上のとおり、本件処分は、法令の規定及びその解釈に従い適正になされたものであり、何ら違法又は不当な点は存在しない。」

第5  調査審議における審査関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張の要旨
 調査審議において、審査請求人から新たな主張はなされていない。
2 審査庁の主張の要旨
 審査庁は、裁決についての考え方及びその理由として、「審理員の意見に同じ」との意見を付して諮問している。

第6  論点整理
 処分庁においては、生活困窮者住居確保給付金の受給者が、誠実かつ熱心に求職活動等を行わない場合又は就労支援に関する自立相談支援機関の指示に従わない場合、原則として当該事実を確認した日の属する月から支給を中止するとされている。
 そこで、本件においては、審査請求人において、規則附則第4条第1項で読み替えられた同規則第10条第5号の「誠実かつ熱心に求職活動を行うこと」(以下「求職活動要件」という。)に該当する事実を審査請求人において認めることができないとした処分庁の判断は妥当か否か、求職活動要件に該当する事実が審査請求人に認められるか否かを判断する必要がある。

第7 答申の理由
1 認定した事実
 審理関係人及び審査庁から提出された証拠や審査会にて行った職権調査から、以下の事実が認められる。なお、事実記載の後ろの「()」内には、当該事実についての証拠を記載している。
(1) 令和3年1月29日、審査請求人は、新型コロナウイルス感染症の影響によって、当該個人の責めに帰すべき理由によらないで就業機会等が減少し、当該個人の就労の状況が離職又は廃業の場合と同等程度の状況であるとのことで、生活困窮者住居確保給付金の申請を行い(令和3年1月29日付け「生活困窮者住居確保給付金支給申請書」)、処分庁は、令和3年2月12日付けで住居確保給付金支給の決定を行った(令和3年2月12日付け「住居確保給付金支給決定通知書」)。
(2) 処分庁は、審査請求人に対して、給付金受給中は月に1回の求職活動状況の報告等が必要であること、当該報告は「求職活動等状況報告書」に必要な事項を記載して行わなければならないこと、当該報告書は報告期限までに自立相談支援機関に対して提出しなければならないこと、及びその報告期限を明示した書面、報告に使用する「求職活動等状況報告書」の様式(3枚)及び記載例を同封して、令和3年2月12日付け支給決定通知書を送付した。当該書面記載の報告期限は、令和3年1月の求職活動分(1枚目)及び同年2月の求職活動分(2枚目)が同年2月26日、同年3月の求職活動分(3枚目)が令和3年3月31日としていた(処分庁発送の住居確保給付金支給決定通知に同封された「住居確保給付金の給付を受けられる方へ」、「求職活動状況報告書と収入状況報告について」、求職活動等状況報告書様式、及び報告書記載例)。
(3) 令和3年2月15日、自立相談支援機関は、審査請求人に架電し、支給決定が出たことを伝え、給付金受給中は月に必要な1回の求職活動状況の報告等を行うことを促すとともに、「求職活動等状況報告書」について報告期限までに提出が無い場合には支給中止になる可能性があることを伝えた。(自立相談支援機関による「支援経過記録シート」)。
(4) 令和3年3月1日、自立相談支援機関は、審査請求人に架電し、「求職活動等状況報告書」の同年1月の求職活動分(1枚目)及び同年2月の求職活動分(2枚目)の報告期限は同年2月26日と案内しているが審査請求人からは同年2月26日までに「求職活動等状況報告書」の提出が無く、同年3月1日時点でも提出が無いことから、同年1月の求職活動(1枚目)及び同年2月の求職活動(2枚目)の報告分について、あらためて報告期限を同年3月2日としたうえで、この報告期限までに提出が無い場合は、支給を中止とすることになる旨の内容を審査請求人の電話の留守番電話に残した(自立相談支援機関による「支援経過記録シート」)。
(5) 審査請求人より、令和3年3月2日を過ぎても同年1月の求職活動(1枚目)及び同年2月の求職活動(2枚目)に係る求職活動等状況報告書の提出は無かった(本件における審理関係人の主張の全趣旨より)。
2 論点に対する判断
 処分庁が求職活動要件に該当するか否かを判断するためには、上記第3、1、(3)乃至(5)からすると、受給期間中において、受給者に、毎月1度、自立相談支援機関に対して各記載事項を充たした求職活動等状況報告書について報告期限までに提出させ、報告期限までに提出のあった求職活動等状況報告書の記載に基づいて、受給者が受給期間中において実際に求職活動を行っていることを確認する必要がある。
 そして、この方法を採用している以上、例えば報告期限を過ぎても未報告である受給者に対しては求職活動等状況報告書の提出を指示し、当該指示をしたにもかかわらず、なお当該受給者が求職活動等状況報告書の提出を行わない場合には、受給者が求職活動を行っているという事実について認定の基礎とすべき客観的資料を処分庁は得ることができず、結果として、処分庁においては受給者が受給期間中において実際に求職活動を行っていることを確認することが出来ないと言わざるを得ない。
 以上から、本件において、求職活動要件に該当する事実が審査請求人に認めることができないとした処分庁の判断が不合理とは言えない。
 よって、審査請求人に対して、誠実かつ熱心に求職活動等を行わない場合にあたるとした処分庁の判断は妥当であり、本件処分に違法又は不当な点があるとは認められない。

第8 まとめ
 以上の点から、本件審査請求は棄却すべきである。
 よって、結論記載のとおり答申する。

第9 付言
 本件処分に係る「住居確保給付金支給中止決定通知書」には、本件処分の理由として、「就職活動の怠り」とだけ記載されているが、かかる記載からは、給付金の求職活動要件における要件該当事実のうち、いかなる事実についてどのように認定されたうえで、求職活動要件に該当する事実を認めることが出来ないと判断されたのかが、容易に了知できるとは必ずしも言えない。
 本件においては、審査請求人は令和3年4月1日付けで処分通知を受け、同年4月14日に本件審査請求を行っていること、当該審査請求書記載の審査請求の理由において活動報告に係る主張を記載していることから、審査請求人においては、少なくとも、求職活動報告が本件処分の判断を左右するものであることを了知していると推認できることから、本件の処分理由の記載が直ちに行政手続法第14条に反して違法であるとまでは言えない。
 しかし、処分理由を具体的に記載することは、当該処分に係る公正の確保及び透明性の向上を図り、併せてその不服申立てに便宜を与えるという行政手続法第14条の規定の趣旨に適うと考える。
 確かに、処分庁においては、一定数発生する可能性のある支給中止決定の通知書に詳細な理由を付すことにつき、一定の作業が生じることは否定できない。しかし、給付金の支給要件については生活困窮者自立支援法及び同法施行規則の規定の内容からもある程度類型化された事案が想定されるため、支給中止の事案に応じた具体的な理由を付すことは手続の円滑な遂行を妨げるおそれがあるとまでは言えない。
 よって、住居確保給付金支給中止決定に付すべき理由については事案に応じた具体的な記載とする、市民にとってわかりやすい処分理由とするための工夫をすることが望ましい。

大阪市行政不服審査会総務第1部会
委員(部会長) 北川豊
委員 常谷麻子
委員 丸山敦裕

答申書(令和4年度答申第10号)

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