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答申第530号

2024年3月22日

ページ番号:615256

概要

(1)公開請求の内容

 「(恐らく)健康局健康推進部健康づくり課分室が保有する次の施設における改正健康増進法の義務違反に係る通報への対応内容や経緯が分かる文書/・A店(大阪市中央区A地a丁目b-c)/・居酒屋(大阪市中央区B地d丁目e-f)」と表示して公文書の公開請求(以下「本件請求」という。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

 実施機関は、本件請求に係る公文書を、「受動喫煙防止対策に係る通報受理記録(通報受付No2-1001)」(以下「本件文書1」という。)、「【市民の声:情報提供】店舗前の灰皿設置について(供覧)(供覧開始日 令和3年4月21日)」(以下「本件文書2」という。)と特定した上で、大阪市情報公開条例(以下「条例」という。)第10条第1項に基づき、部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行いました。

(3)審査請求の内容

 審査請求人は、令和3年9月27日、本件決定を不服として実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、審査請求を行いました。

(4)答申の結論

 本件決定で実施機関が公開しないこととした部分のうち、答申第530号別表(以下「別表」という。)に掲げる部分を公開すべきである。
 本件決定のその余の部分は妥当である。

(5)答申のポイント

 審査会は、次の理由により、上記(4)のとおり判断しています。

ア 答申第530号における本件非公開部分4(以下「本件非公開部分4」という。)の条例第7条第5号該当性について
(ア) 前提
 審査会において、本件非公開部分4を見分したところ、実施機関の主張のとおり、受動喫煙防止対策に係る通報受理記録に記載された事業者への対応内容であり、健康増進法に関する一般的な説明及びこれに基づく行政指導並びに実施機関の説明等に対する事業者の対応等が記載されている。

(イ) 条例第7条第5号該当性
A 実施機関の説明等に対する事業者の対応等について
 本件非公開部分4に係る情報のうち、実施機関の説明等に対する事業者の対応等の部分について、実施機関は、公にすることより、事業者等との信頼関係を損ない、調査への協力を拒まれるなどして、必要な事情聴取を回避され、また、正確で詳細な供述を得ることが困難となるなど当該事務事業の適正な遂行に支障をきたすおそれがあると主張する一方、審査請求人は、実施機関が事業者への立入検査を行う権限を有しており、検査を拒む等をした場合に20万円以下の過料が科されることから、事業の適正な遂行に支障をきたすおそれは認められない旨を述べている。
 確かに実施機関による立入検査は、事業者に過料が科されることがあり得ることから、間接的に強制力を有するとも考えられる。しかし、本件における実施機関の対応は、行政指導に留まっており、また、実施機関が行政指導的な手法を駆使し、事業者等との信頼関係を築きつつ、指導・助言等の円滑な実施に努めている点を考慮すると、当該情報を公にすることより、事業者の十分な協力を得られず、当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとする実施機関の主張に不合理、不自然な点はない。
 なお、審査請求人は、他の地方自治体が公開した公文書を資料として審査会に提出している。そして、当該文書を確認したところ、健康増進法違反の通報等に対する他の地方自治体の対応等が記載されており、多くの地方自治体において、事業者名は非公開であるものの、事業者への対応内容に係る部分を公開し、また、一部の地方自治体では、事業者名及び事業者への対応内容に係る部分の双方を公開している状況が見受けられた。
 この点、審査請求人の主張は明確ではないが、他の地方自治体が公開している情報は、本件についても公開すべきであると主張しているとも解されるところ、具体的な案件や非公開の根拠となる条例が異なることから、必ずしも他の地方自治体と同様の判断をすべきとは考えられない。
 以上のことから、当該情報は、条例第7条第5号に該当する。

B 健康増進法に関する一般的な説明及びこれに基づく行政指導について
 本件非公開部分4に係る情報のうち、健康増進法に関する一般的な説明及びこれに基づく行政指導の部分について、実施機関は、健康増進法の制度や一般的な経過の説明などについては、一見するとそれの記載自体では、事務事業上の支障がないと考えられるが、このような記載を含め、実施機関の職員の対応の一部でも公開すると、事業者の対応を推測することが可能となり、事務事業に支障をきたすおそれがある旨を主張している。しかしながら、健康増進法に関する一般的な説明及びこれに基づく行政指導の部分から、事業者の対応を推測できるとまでは考え難く、適正な事務の遂行に看過し得ない支障を及ぼすとは認められない。
 以上のことから、当該情報は、条例第7条第5号に該当しない。

イ 本件非公開部分4の条例第7条第2号該当性について
() 本件非公開部分4に係る情報のうち、別表に掲げる部分以外は、条例第7条第2号に該当するか否かにかかわらず、上記4のとおり条例第7条第5号に該当し、非公開とすることが妥当であるため、本項では本件非公開部分4に係る情報のうち、別表に掲げる部分について検討する。

() 事業者の法令違反等に関する情報については、事業者の社会的評価等を損なうことがありうる情報でもあるが、違反の重大性等を考慮し、公益上、その不利益を事業者等が受忍すべきであると認められる場合には、事業者の「正当な利益」を害するとはいえないことから、公開する。
 この点、実施機関は、当該情報について、健康康増進法は、勧告に従わなかったときの行政処分として違反者の名称等の公表を規定し、指導・助言を行われたものの公表は規定しておらず、現に行っていないこと、また、単なる法制度の一般的な説明のみを行っている場合であっても、これらを公開することにより、法令違反の事実がないにもかかわらず、行政からの指導があった、あるいは、受動喫煙防止対策に非協力的であるといった風評被害が生じ、当該事業者の正当な利益を害するおそれがある旨を主張する。
 しかし、本件非公開部分4に係る情報のうち、別表に掲げる部分は、健康増進法に関する一般的な説明及びこれに基づく行政指導であり、公にすることにより、法令違反の事実が推測され又は明らかになると考えられるものの、これらの情報は、公になったとしても、当該事業者の被る不利益は著しく軽微で、当該事業者が受忍すべきものであると認められる。
 なお、実施機関によると、健康増進法は、勧告に従わなかったときの違反者の名称等の公表を予定しているものの、指導・助言を行われた案件の公表は規定していないとのことであるが、これは、指導・助言を行われた案件の公開をしない若しくはできない旨を規定しているとは解されないことから、条例に基づく公開を妨げるものではない。
 よって、当該情報は、公にすることにより、当該事業者の社会的評価等を損ない、当該事業者の財産、権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。

答申第530号

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