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答申第185号

2019年9月9日

ページ番号:615338

概要

(1)利用停止請求の内容

「昨年、9月頃、私が総務局監察部監察課に提出した、2020年8月11日の話し合いの録音データおよび文字起こし等それに類するもの」の利用停止を求める利用停止請求(以下「本件請求」といいます。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を「昨年、9月頃、私が総務局監察部監察課に提出した、2020年8月11日の話し合いの録音データおよび文字起こし等それに類するもの」に記載された保有個人情報(以下「本件保有個人情報」という。)と特定した上で、本件保有個人情報の利用を停止しない理由を付して、大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第40条第2項に基づき利用停止不承認決定(以下、「本件決定」といいます。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件決定を取り消すとの裁決を行うことを求めて、審査請求がありました。

(4)答申の結論

実施機関が行った本件決定は妥当である。

(5)答申のポイント

審議会は次のとおり判断しています。

ア 保有個人情報の利用停止義務について

旧条例第38条は、実施機関は利用停止請求があった場合において、当該利用停止請求に理由があると認めるときは、当該実施機関における個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で、当該利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止を行わなければならない旨を規定している。

「個人情報の適正な取扱いを確保する」とは、旧条例第36条第1項各号に該当する違反状態を是正することをいい、「必要な限度で」とは、利用停止請求に係る保有個人情報について、当該利用等の全部が違反していれば全部を、当該利用等の一部が違反していれば一部の利用停止を行う必要があるものと解される。

イ 本件情報の利用停止義務の有無について

(ア) 本件保有個人情報の利用・提供について

審査請求人は本件請求において、実施機関が大阪地方裁判所に申し立てた面談強要禁止等仮処分命令申立事件において、本件保有個人情報を含む録音ファイルを提出したことが、事務の目的の範囲を超えた実施機関以外のものへの提供に該当し、旧条例第10条第1項に違反すると主張する。

そもそも、審査請求人が指摘する仮処分命令申立事件にかかる地方裁判所への提出は、本件決定が行われた後になされたものであり、本件決定の当否には影響を与えない。

そして、この点を措くとしても、次のとおり、旧条例第10条第1項に違反しているものとは認められない。

すなわち、旧条例第10条第1項ただし書及び同項第6号によれば、「実施機関の内部で利用し、又は当該実施機関以外のものに提供することに相当の理由があると認められる場合において、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められるとき」には、目的の範囲を超えて実施機関以外のものへの提供が許されている。

そして、実施機関によれば、過去の公益通報に関する審査請求人の苦情の申出などにより、平穏な業務遂行が妨害されたことから、仮処分命令申立てを行うこととし実施機関の保有する各種の資料のなかから、その証明力等を勘案し、大阪地方裁判所に提出する疎明資料を選定した結果、当該録音ファイルを提出するに至ったとのことである。この点について、審査請求人は仮処分命令申立て事件の疎明資料としての証明力を否定する主張やこれに関する証跡の提出を行っておらず、また、実施機関の主張を覆すに足る事実も確認できなかったものであるから、当該音声ファイルを裁判所に提出したことには、相当の理由があるものと認められる。

また、仮処分命令申立事件の記録については、一般の民事事件の訴訟記録とは異なり、一般の者が閲覧・謄写をすることはできないこととされているから、裁判所への提出により、審査請求人の権利利益を不当に侵害するものとは認められない。

以上のとおり、当該録音ファイルの大阪地方裁判所への提供については、旧条例第10条第1項第6号に基づくものであると認められるから、事務の目的の範囲内であるかにかかわらず、同項に違反するものではない。

なお、同号に該当することを理由として、実施機関以外のものに提供する場合においては、同条第2項が準用する第6条4項において、事前に当審議会の意見を聴かなければならないとされているが、同項は、「争訟…を行うために第三者から第2項に規定する個人情報以外の個人情報を収集しようとするときを除く。」とされており、本件においては、仮処分命令申立てを行うために裁判所に提供したものであり、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、当該ファイルには同条第2項に規定する個人情報は含まれていなかったとのことであることから、裁判所への提出にあたっては、当審議会の意見を聴く必要はなかったものと認められ、この点においても、旧条例第10条第1項及び第2項に違反しているものとは認められない。

そして、審査請求人は、これ以外にも実施機関の職員に対し、自らの公益通報外での複製(文字起こしも含む)、その他目的での利用、流出を禁止する旨を申し出ていたと主張するが、事務局をして実施機関に確認させたところ、実施機関においてその職員に聞き取りを行ったが、審査請求人が主張する事実は確認されなかったとのことであり、かかる実施機関の主張に不自然、不合理な点はなく、また、審査請求人においても、自らの主張を裏付ける証跡の提出も行わない。

(イ) 本件保有個人情報の収集・保有について

審査請求人は、本件保有個人情報の収集・保有について、実施機関が旧条例第6条第1項から第3項まで及び第7条第1項に違反して本件保有個人情報を収集したこと及び実施機関が旧条例第13条第3項に違反して本件保有個人情報を保有していることについて、具体的な主張を行わず、また、客観的な証跡も提出しない。そして、本件保有個人情報の審査請求人の音声部分は自らに著作権が存在する、本件保有個人情報は審査請求人が通報した公益通報での使用に限るという条件で貸与したものであるといった審査請求人の主張を前提としても、実施機関の本件保有個人情報の収集・保有について旧条例に違反するものとはいえない。

したがって、実施機関の本件保有個人情報の収集・保有については、旧条例第6条第1項から第3項まで及び第7条第1項並びに第13条第3項に違反するものとは認められない。

(ウ) 小括

以上より、実施機関において、本件保有個人情報の収集、利用、提供及び保管について、旧条例第第6条第1項から第3項まで及び第7条第1項、第10条第1項並びに第13条第1項に違反しているとは認められないから、審査請求人の利用停止請求には理由がなく、実施機関は、旧条例第38条の利用停止義務を負わないものと認められる。

答申第185号

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