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答申第187号

2019年9月9日

ページ番号:622701

大個審答申第187
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和3年10月7日付け大北登第367号及び同日付け大北登第368号により諮問のありました件について、一括して次のとおり答申いたします。

第1 審議会の結論
 
実施機関が令和3年6月22日付け大北登第172号により行った部分開示決定(以下「本件部分開示決定」という。)及び同日付け大北登第173号により行った非開示決定(以下「本件非開示決定」という。)は、いずれも妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
 審査請求人は、令和3年5月10日、旧条例第17条第1項に基づき、実施機関に対し、「請求者に係る戸籍謄本等交付請求書及び戸籍の附票の写し等請求書(令和1年5月1日から令和3年4月23日分)」の開示を求める旨の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 本件各決定
(1) 実施機関は、本件請求に係る保有個人情報を次のとおり特定した。
ア 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書(令和元年5月17日請求分)(以下「対象文書1」という。)
イ 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書(郵送請求用)(令和元年9月9日請求分)(以下「対象文書2」という。)
ウ 戸籍謄本・住民票の写し等職務上請求書(令和2年1111日請求分)(以下「対象文書3」という。)
エ 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書(郵送請求用)(令和3年2月26日請求分)(以下「対象文書4」という。)
オ 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書(令和3年4月9日請求分)(以下「対象文書5」という。)
カ 請求者に係る戸籍関係書類の交付請求書(令和元年5月30日請求分)(以下「対象文書6」という。)
(2) 実施機関は、対象文書1から対象文書5までのうち、アに掲げる非開示部分について、それぞれ、イに掲げる理由を付して本件部分開示決定を行った。
ア 開示しないこととした部分
(ア) 対象文書1について
 「窓口にこられた方」欄の自宅の住所、生年月日及び法人の印影、「権限書類」欄に記載された本人確認書類、「本人確認書類」欄、「受付」「作成」「交付」欄の委託事業者の従業員の個人の署名、委任状に押印された法人の印影
(イ) 対象文書2について
 「手続をされる方」欄の住所、氏名、生年月日、電話番号、「請求者と筆頭者との関係」欄、「請求の理由」欄
(ウ) 対象文書3について
 「請求者」欄に押印された法人の印影
(エ) 対象文書4について
 「手続をされる方」欄に押印された法人の印影
(オ) 対象文書5について
 「本人確認書類」欄、「受付」「作成」「交付」欄の委託事業者の従業員の個人の署名
イ 開示しない理由
(ア) 上記ア()()及び()について
 旧条例第19条第2号に該当
(説明)
 上記ア()のうち、「窓口にこられた方」欄の自宅の住所、生年月日「権限書類」欄に記載された本人確認書類、「本人確認書類」欄及び「受付」「作成」「交付」欄の委託事業者の従業員の個人の署名並びに上記ア()及び()については、開示請求者以外の個人に関する情報であって、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより、特定の個人が識別される情報であると認められ、かつ同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しないため。
(イ) 上記ア()()及び()について
 旧条例第19条第3号に該当
(説明)
 上記ア()のうち、「窓口にこられた方」欄に押印された法人の印影及び委任状に押印された法人の印影並びに上記ア()及び()については、法人の事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報であって、公にすることにより偽造あるいは転用のおそれがあり、当該法人の事業運営が損なわれるおそれがあると認められ、かつ同号ただし書にも該当しないため
(3) 実施機関は、対象文書6について、開示することにより、犯罪の予防、犯罪の捜査、その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生じると認められる情報であるため、旧条例第19条第7号に該当するとして、旧条例第23条第2項に基づき、本件非開示決定を行った。
3 審査請求
 審査請求人は、令和3年9月8日に本件部分開示決定及び本件非開示決定を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 本件審査請求の趣旨
(1) 本件部分開示決定のうち、令和元年9月9日付け「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書」に関する部分を取り消し、「手続きをされる方」の「住所」、「氏名」及び「請求者と筆頭者との関係(以下これらを「本件非開示部分1」という。)並びに「請求の理由」(以下「本件非開示部分2」といい、本件非開示部分と併せて「本件各非開示部分」という。)について開示決定を求める。
(2) 本件非開示決定を取り消し、開示決定を求める。
2 本件審査請求の理由
(1) 本件部分開示決定について
 本件部分開示決定では、旧条例第19条第2号を適用して、令和元年9月9日付け「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書」の本件各非開示部分を非開示としている。
ア 本件非開示部分2について
 戸籍謄本の交付を請求する理由は、「開示請求者以外の特定の個人を識別することができる」情報ではない。また、他のどの情報と照合しても、特定の個人を識別することができる情報ではない。
 加えて、戸籍謄本の交付を請求する理由は、開示請求者以外の個人の人格に関わる機微な情報ではなく、「開示請求者以外の特定の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」でもない。
 したがって、少なくとも、本件非開示部分2は、そもそも旧条例第19条第2号本文の定める「非開示情報」には該当しないから、開示の対象となる。
イ 本件各非開示部分について
(ア) 旧条例第19条第2号本文の定める「非開示情報」に該当する情報であっても、同号ただし書きイ「人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要である」に該当する場合は、開示の対象となる。
 ところで、大阪市総務局及び大阪市市民局作成の「個人情報保護条例解釈・運用の手引」では旧条例第19条第2号ただし書イについて、「本文に規定する個人に関する情報(中略)を非開示とすることにより得られる利益よりも、当該情報を開示することにより得られる開示請求者を含む人の生命、身体、健康、生活又は財産の保護という公益が優越する場合には、当該情報を開示すべき」とし、その上で、「比較衡量を行うに当たっては、人の生命等を害する蓋然性その他保護の必要性、緊急性等を具体的かつ慎重に検討する」としている。
(イ) 本件では、令和3年4月頃に、週刊誌の記者が審査請求人だけでなく、元妻に対してもその自宅を訪問し、取材を行っている。
 しかし、審査請求人は元妻とは20年以上前に離婚しており、元妻の氏名・現住所地等及びそもそも審査請求人の元妻であることについては、審査請求人の戸籍等を手がかりにしない限り知ることが難しいものである。したがって、当該週刊誌記者が、戸籍法(昭和22年法律第224)の定める事由がないにもかかわらず、審査請求人の戸籍を取得した可能性がある。(戸籍法第10条の2第1項は、戸籍に記載されている者等以外は、「自己の権利を行使し、又は事故の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合」や「正当な理由」等が認められる場合に限って戸籍の取得を認めており、「取材」目的での戸籍等の取得は認めていない。)
 上記取材によって、審査請求人の私生活は害されており、審査請求人のプライバシー権を違法に侵害したとして損害賠償請求を行うなど審査請求人の権利行使のために、審査請求人の戸籍の開示を受けた者の個人情報の開示を受ける必要がある。
(ウ) 他方、審査請求人の戸籍謄本等の交付を請求した者(以下「戸籍謄本等交付請求者」という。)の氏名・住所を非開示にすることにより得られる利益は、戸籍謄本等請求者のプライバシーである。
 ところで、戸籍謄本等請求者は、自ら戸籍謄本等の交付を請求して、審査請求人のプライバシーを侵害した者であり、戸籍謄本等交付請求者のプライバシー保護の要請は低いと言わざるを得ない。
(エ) 以上のとおり、開示により得られる利益が、非開示とすることにより得られる利益より優越しているので、本件各非開示部分は、旧条例19条第2号ただし書イに該当し、開示すべき情報に当たる。
(2) 本件非開示決定について
ア 本件非開示決定では、旧条例第19条第7号を適用して、保有個人情報の全部を非開示としている。
イ 保有個人情報の開示義務を定めた旧条例第19条は、本人が、実施機関が保有する自己に関する個人情報の内容や取扱いの状況を確認する上で重要な制度であり、憲法第13条によって保障される自己情報コントロール権の根幹をなすものである。
 従って、旧条例第19条第7号の該当性判断にあたっては、開示により犯罪の予防等に一般的抽象的な支障が生じるおそれでは足りず、具体的に支障の生じるおそれが必要と考えるべきである。
 大阪市総務局及び大阪市市民局作成の「個人情報保護条例解釈・運用の手引」62頁が旧条例第19条第7号に該当する場合の具体例として、①「開示することにより、犯罪の被害者、参考人、情報提供者等が特定され、その結果これらの人の生命若しくは身体に危害が加えられ、又はその財産若しくは社会的な地位が脅かされるおそれがあると認められる情報」、②「開示することにより、特定の個人の行動予定、家屋の構造等が明らかになり、その結果これらの人が犯罪の被害を受けるおそれがあると認められる情報」を挙げているのは、まさに、具体的な支障が生じる場合に限るという趣旨である。
ウ 本件では審査請求人は「請求者に係る戸籍関係書類の交付請求書」の開示を求めているところ、審査請求人についての戸籍関係書類の交付請求書には、交付請求者の住所・氏名・生年月日、窓口に来て実際に交付申請をおこなった者の氏名・住所、交付請求の理由等が記載されているのみで、前記具体例①や②に準じるような情報は記載されていない。
 従って、本件決定2で非開示とされた情報を開示したとしても、「犯罪の予防、犯罪の捜査、その他の公共の安全と秩序の維持」に具体的な支障が生ずるおそれはなく、本件決定2で非開示とされた情報は旧条例第19条第7号には該当しないから、開示の対象となる。

第4 実施機関の主張
実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
1 本件各非開示部分の旧条例第19条第2号の該当性について
 本件非開示部分1は、開示請求者以外の個人の住所、氏名、請求者と筆頭者との関係であり、開示請求者以外の個人に関する情報であって開示請求者以外の特定の個人を識別することができるものであり、本件非開示部分2は、開示請求者以外の個人に関する情報であって、申請者(以下「本件申請者」という。)がどのような理由で請求するかという本件申請者の個人情報にあたり、開示することにより、本件申請者である特定の個人が識別されるおそれは否定できないことから、旧条例第19条第2号本文に該当し、かつ同号ただし書ア、イ及びウのいずれにも該当しないとして、非開示としたものである。
2 本件決定2において開示しないこととした「請求者に係る戸籍関係書類の交付請求書(令和元年5月30日請求分)」に記載された情報の全部(以下「本件非開示部分3」という。)の旧条例第19条第7号の該当性について
 本件非開示部分3については、国又は地方公共団体の機関からの請求であり、開示することにより、どの機関がどのような目的で照会対象者の情報を必要としているのかが明らかとなり、当該機関の業務に支障が生じる可能性があると認められる。したがって、犯罪の予防、犯罪の捜査、その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生じるおそれがあると認められる情報であるため、非開示としたものである。
3 審査請求人の主張に対する反論
 審査請求人は、審査請求人の戸籍謄本等の交付を請求した者は、審査請求人のプライバシーを侵害しており、本件各非開示部分が旧条例第19条第2号ただし書イに該当する旨主張しているが、非開示にすることにより得られる利益と、開示することにより得られる公益の比較衡量を行うに当たっては、人の生命等を害する相当の蓋然性その他保護の必要性、緊急性等を具体的かつ慎重に判断する必要があり、現実に不正取得が行われ、人の生命・身体・健康・生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる確たる証拠が得られていない以上、旧条例第19条第2号ただし書イには該当しないと判断したことに誤りはない。
 また、本件非開示部分3については、非開示にすることにより犯罪の予防、犯罪の捜査、その他の公共の安全と秩序の維持に具体的な支障が生ずるおそれはないと審査請求人は主張するが、本件非開示部分3を開示した場合、どの機関がどのような目的で照会対象者の戸籍に関する情報を必要としているかが明らかとなり、当該機関の業務に支障が生じるおそれがあると判断したことに誤りはない。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
2 争点
 実施機関は本件各非開示部分を旧条例第19条第2号に該当するとして非開示としたのに対して、審査請求人は、本件非開示部分2は同号本文に該当しない、又は、本件各非開示部分は同号ただし書イに該当すると主張している。また、実施機関が対象文書6を旧条例第19条第7号に該当するとして非開示としたのに対し、審査請求人は、対象文書6は同号に該当しないと主張している。
 したがって、本件審査請求における争点は、次の3点である。
(1) 本件非開示部分2の旧条例第19条第2号該当性
(2) 本件各非開示部分の旧条例第19条第2号ただし書イ該当性
(3) 対象文書6の旧条例第19条第7号該当性
3 本件非開示部分2の旧条例第19条第2号該当性について
 本件非開示部分2は、「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等交付請求書」の「戸籍謄本の交付を請求する理由」欄に記載されている情報であって、「請求者と筆頭者との関係」欄の記載内容とあわせて、戸籍法第10条第1項に定める者に該当するか、これに該当しない場合には、同法第10条の2第1項各号に掲げる者であって、当該各号に掲げる理由の有無があるかを判断して、戸籍全部事項証明書の発行の可否を判断しているものである。
 したがって、同法第10条第1項に定める者(戸籍に記載されている者の配偶者、直系尊属又は直系卑属)は、不当な目的によることが明らかなとき(同条第2項)を除き、証明書の発行を受けることができるとされているが、同法第10条の2第1項各号に掲げる者は、当該各号に掲げる理由があることがわかるよう具体的な申請理由を申請書に記載する必要があることとなる。
 すなわち、「戸籍謄本の交付を請求する理由」欄に具体的な事由が記載されていれば、その内容によって戸籍の筆頭者とどのような関係にあるかを推測することが可能となるし、一方で、当該欄に抽象的な事由しか記載されていない場合には、その事由からは戸籍の筆頭者との関係を推測することはできないが、抽象的な事由しか記載されていていないという事実それ自体により、同法第10条第1項に定める者であることを推測することが可能となる。
 以上のとおり、「戸籍謄本の交付を請求する理由」については、その記載内容が具体的なものか抽象的なものかを問わず、これが開示されると、戸籍の筆頭者との関係が推測され、これにより個人が特定されるおそれがあるから、旧条例第19条第2号に該当するものと認められる。
4 本件各非開示部分の旧条例第19条第2号ただし書イ該当性について
 審査請求人は、令和元年9月9日付けの戸籍全部事項証明書等の交付請求が、週刊誌記者による違法な申請であることを前提として、本件各非開示部分が旧条例第19条第2号ただし書イに該当する旨主張する。
 しかしながら、本件各非開示部分を見分したところ、当該請求を行った者が戸籍法第10条第1項に規定する者又は第10条の2第1項各号に掲げる理由を有する者のいずれかに該当することが認められ、その記載からは、審査請求人が主張する「週刊誌の記者」であることを推測させる事実は見当たらなかった。そして、審査請求人においても、その主張を裏付ける証跡を提出しておらず、他に令和元年9月9日付けの戸籍全部事項証明書等の交付請求が違法な申請であることを認めるに足る事実も見当たらず、他に旧条例第19条第2号ただし書イに該当することをうかがわせる事実もなかった。
 したがって、本件各非開示部分は旧条例第19条第2号ただし書イに該当しないから、同号に該当するものと認められる。
5 対象文書6の旧条例第19条第7号該当性について
(1) 旧条例第19条第7号の基本的な考え方について
 旧条例第19条第7号は、「開示することにより、人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生じると認められる情報」は、原則として開示しないことができると規定している。
 そして、「人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生じると認められる情報」とは、例えば、開示することにより、犯罪の被疑者、参考人、情報提供者等が特定され、その結果これらの人の生命若しくは身体に危害が加えられ、又はその財産若しくは社会的な地位が脅かされるおそれがあると認められる情報や、開示することにより、特定の個人の行動予定、家屋の構造等が明らかになり、その結果、これらの人が犯罪の被害を受けるおそれがあると認められる情報などをいうと解される。
 また、「犯罪の予防」とは、刑事犯、行政犯を問わず、犯罪行為をあらかじめ防止することをいい、犯罪を誘発・助長するおそれがあると認められる情報を含むと解され、「犯罪の捜査」とは、被疑者等の捜索、身柄の確保、証拠の収集、保全等の活動をいい、内偵活動等を含むと解される。
 なお、「犯罪の予防」及び「犯罪の捜査」とは、いわゆる司法警察を念頭においたものである。
(2) 対象文書6の条例第19条第7号該当性について
 当審議会において対象文書6を見分したところ、対象文書6は、国又は他の地方公共団体等の行政機関がその所掌事務について法令等の規定により付与された権限に基づいて行う調査の一環として、実施機関に対して、審査請求人の本籍地、戸籍附票上の住所等を照会したものであり、その回答に際して、実施機関が回答文書に戸籍附票上の住所地を記入する代わりに回答文書に審査請求人の戸籍附票を添付して回答したものであることが認められる(なお、本籍地については、実施機関が回答文書に記入して回答しているため、戸籍謄本等は交付されていない)。
 したがって、対象文書6は、いわゆる司法警察が行う犯罪の捜査に関する情報には該当しないことから、対象文書6は旧条例第19条第7号には該当しないと認められる。
 ここで、実施機関は、対象文書6が条例第19条第7号に該当するとの誤った判断に基づいて対象文書6を非開示としたものであるが、次に述べるとおり、そもそも本件請求の対象である「請求者に係る戸籍謄本等請求書及び戸籍の附票の写し等請求書」に該当しないものであって、本件請求の対象外とすべきものであったものと認められる。
 すなわち、対象文書6は、上述のとおり、国又は地方自治体の機関から実施機関に対して、審査請求人の本籍地、戸籍附票上の住所等を照会したものであるところ、照会への対応として実施機関が審査請求人の戸籍附票を交付してはいるものの、そもそも、対象文書6は、実施機関に対して審査請求人の戸籍謄本等や戸籍附票の写しを請求したものではないから、対象文書6は、本件請求の対象外とすべきであったものと認められる。
 以上のとおり、本件非開示決定については、対象文書6が旧条例第19条第7号に該当するものとして非開示とした実施機関の判断は誤りであるが、対象文書6が開示されないという点においては同様であり、結果として妥当である。
6 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 金井 美智子、委員 岡澤 成彦、委員 塚田 哲之、委員 野田 崇

(参考)調査審議の経過 令和3年度諮問受理第50号・第51

答申第187号

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