ページの先頭です

答申第192号

2019年9月9日

ページ番号:622707

大個審答申第192
令和6年3月29

大阪市長 横山 英幸 様

大阪市個人情報保護審議会
会長 金井 美智子

答申書

 大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例(令和5年大阪市条例第5号)附則第3項の規定によりなお従前の例によることとされた同条例による改正前の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「旧条例」という。)第45条に基づき、大阪市長(以下「実施機関」という。)から令和4年5月10日付け大西成保生第191号及び令和4年8月1日付け大西成保生第672号により諮問のありました件について、次のとおり一括して答申いたします。

第1 審議会の結論
 
実施機関が行った令和4年2月24日付け大西成保生第1843号による不存在による非開示決定(以下「本件決定1」という。)及び令和4年5月24日付け大西成保生第307号による不存在による非開示決定(以下「本件決定2」といい、本件決定1とあわせて「本件各決定」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過
1 開示請求
(1) 審査請求人は、令和4年2月9日に、旧条例第17条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、「西成区役所の適正化の〇〇係長が「女性職員のAが〇〇〇〇(審査請求人)にストーカー被害を受けている。」と西成警察の生活安全課に申告している事実があります。この事実を証明する記録を開示してほしい。」旨の開示請求(以下「本件請求1」という。)を行った。
(2) 審査請求人は、令和4年5月11日に、旧条例第17条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、「西成区役所のケースワーカーのAが、西成警察に行って、ストーカー被害を〇〇〇〇から受けていると申告して、その翌日に電話を〇〇にして、「西成区役所に来庁してください。」「お話を聞きます。」と言って、区役所に来させて、同時に西成警察に「ストーカー行為をくり返している〇〇が西成区役所に来ています。」と通報されて、やってきた警察官に2時間にわたって、ストーカー行為とわいせつ行為をきびしく注意されました。その時、防犯カメラ、メイル、電話などの証拠物件もある。それからDNA鑑定をする予定であると言われました。それに加えて、目げき者の証人もいる。と言われました。用もないのに、毎日ように区役所に来て、Aさんに「大きな声で、Aさんと叫んで、だきつきに行って、逃げるAさんを女子トイレまで追いかけて、トイレのボックスの中で、Aさんにだきついて、わいせつ行為をした。」と、怒鳴られました。やってきた警察官にこういう行為を続けていると、いずれつかまるぞ」と言われたので、何年ぐらい、刑務所に入らねばなりませんか」と聞くと、「お前のしていることは悪質やから10年や」と言われました。こういった取りあつかいと受けて、精神的苦痛を感じていますので、DNA鑑定の結果と、西成区役所が西成警察に申告した証言とその証言を証明する証拠物を開示してください。」という旨の開示請求(以下「本件請求2」といい、本件請求1とあわせて「本件各請求」という。)を行った。
2 本件各決定
(1) 実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報を保有していない理由を次のとおり付して、旧条例第23条第2項に基づき、本件決定1を行った。

 請求内容にかかる事柄について承知していないことから、当該保有個人情報をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。
(2) 実施機関は、本件請求2に係る保有個人情報を保有していない理由を次のとおり付して、旧条例第23条第2項に基づき、本件決定2を行った。

 請求内容にあるストーカー行為、わいせつ行為について、西成区役所から西成警察に対して被害の報告、申告、相談等の事実が無いことから、当該保有個人情報をそもそも作成又は取得しておらず、実際に存在しないため。
3 審査請求
 審査請求人は、令和4年4月11日に本件決定1を不服として、令和4年7月6日に本件決定2を不服として、実施機関に対して、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づきそれぞれ審査請求(以下順に「本件審査請求1」及び「本件審査請求2」といい、あわせて「本件各審査請求」という。)を行った。

第3 審査請求人の主張
 
審査請求人の主張は、おおむね次のとおりである。
1 本件審査請求1の趣旨及び理由
 本決定の理由につきおかしいと思っている。
 職務命令で警察に相談に行ったと聞いたので、Aさんがストーカー被害を受けていたという当該事柄について承知していないという理由はおかしい。
2 本件審査請求2の趣旨及び理由
 本決定の理由につきおかしいと思う。
 A氏は適正化の上司の命令で、警察(西成)に「ストーカー行為を受けている。」と申告するように言われて、実際申告している。それにもかかわらず、被害の報告、申告、相談等の事実がないと言う理由はおかしい。事実と解答が矛盾している。
3 審査請求人意見書での主張
 A氏に対するストーカー行為をした根拠となる記録を開示を請求すると西成区役所から「A氏に対するストーカー行為を承知していません。」という解答をもらいました。しかし、私は大阪府警本部からA氏がストーカー行為を受けているという相談カードを入手しています。

第4 実施機関の主張
1 本件請求に係る経過
 審査請求人は、本件請求に記載のAを西成区役所庁舎窓口(以下「当該窓口」という。)において繰り返し呼び出す等の行為(以下「当該事案」という。)を行うことがあった。
 平成30年2月、当庁で女性職員が暴行を受ける事件が発生し、駆け付けた西成警察署の警察官に、念のために当該事案についても合わせて相談を行った。
2 本件各決定の理由について
(1) 本件決定1について
 審査請求人は本件審査請求の理由として「ストーカー被害を受けていたという当該事柄について承知していないという理由はおかしい。」と主張しているが、上記1に記載したように、本件請求にある「ストーカー被害を受けている」と西成警察署に対して申告した事実は無く、事実は「審査請求人が当該窓口で繰り返し呼び出す迷惑行為」について西成警察署に相談していることから、当庁は本件決定1の理由として「請求内容に係る事柄について承知していない」と記載したものである。
(2) 本件決定2について
 審査請求人は本件審査請求の理由として「A氏は適正化の上司の命令で、警察(西成)に「ストーカー行為を受けている。」と申告するように言われて、実際申告している。それにもかかわらず、被害の報告、申告、相談等の事実がないと言う理由はおかしい。事実と解答が矛盾している。」と主張し、当該職員にかかるストーカー事案処理経過簿、およびストーカー事案相談カードとされるものの写しを審査請求書に添付しているが、その内容を実施機関は了知していないし、上記1に記載したように、本件請求にある「ストーカー被害を受けている」と西成警察署に対して申告した事実は無く、事実は「審査請求人が当該窓口で繰り返し呼び出す迷惑行為」について西成警察署に相談していることから、実施機関は本件決定2の理由として「請求内容にあるストーカー行為、わいせつ行為について、西成区役所から西成警察に対して被害の報告、申告、相談等の事実が無い。」と記載したものである。

第5 審議会の判断
1 基本的な考え方
 旧条例の基本的な理念は、第1条が定めるように、市民に実施機関が保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し、個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって、市民の基本的人権を擁護し、市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある。したがって、旧条例の解釈及び運用は、第3条が明記するように、個人情報の開示、訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない。
2 争点
 審査請求人は、本件各決定の理由に誤りがある旨を主張しているのに対し、実施機関は、本件各決定の理由に誤りはないと主張している。したがって、本件各審査請求の争点は、本件各決定における理由付記の誤りの有無である。
 また、審査請求人の主張は、本件各決定の理由は本件各請求にかかる保有個人情報の不存在を正当化するものとなっていないという趣旨を含むものと解されるため、本件各決定における保有個人情報の特定の是非についてもあわせて検討する。
3 本件各決定における保有個人情報の特定の是非及び理由付記の誤りの有無について
 当審議会において、西成区役所が西成警察に申告した内容のわかる記録等の提出を受け、内容を見分したところ、審査請求人の主張するAへのストーカー行為について記述しているものはなかった。また、Aが西成警察に行ったと審査請求人が主張している点について、事務局職員をして実施機関に確認させたところ、実施機関が把握している限りそのような事実は無く、そもそも請求内容に係る文書を作成又は入手していないとのことであった。
 審査請求人は、職務命令で警察に相談に行ったと聞いているとし、また、警察から入手したとする相談カードの写しを示すものの、当審議会はその事実関係を確認することはできず、請求内容に係る事柄を承知していないとする実施機関の主張を覆すに足る事実は確認できなかった。さらに、審査請求人は、口頭意見陳述において、西成区役所が本来保有していた文書を廃棄したと主張するが、これを示す客観的な資料を示しておらず、上記の実施機関の主張を覆すに足る事実があるものとは認められない。
 したがって、本件各決定による保有個人情報の特定及び理由付記に誤りがあるものと認めることはできない
4 結論
 以上により、第1記載のとおり、判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
委員 野呂 充、委員 小林 邦子、委員 篠原 永明、委員 矢口 智春

(参考)調査審議の経過 令和4年度諮問受理第2号、第13号

答申第192号

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市 総務局行政部行政課情報公開グループ

住所:〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所1階)

電話:06-6208-9825

ファックス:06-6227-4033

メール送信フォーム